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Ryukoku Extension Center
龍谷エクステンションセンター(REC)

特別講演
エクステンションのこれまでとこれから

木村 睦 龍谷大学RECセンター長

龍谷大学は、大学の重要な使命として教育・研究・そしてエクステンション(普及・還元)を掲げています。龍谷大学エクステンションセンター「REC」事業の3本柱は「産官学連携事業」「地域連携事業」「生涯学習事業」。設立から現在まで、そして今後の展望を、木村睦 龍谷大学RECセンター長が講演しました。

滋賀県と大津市のニーズに応え「REC」が誕生

1980年代、滋賀県は県内への大学誘致と理工系学部の設置を進め、ローカライゼーションを必要としていました。滋賀県は東レや日本電気、パナソニック、IBMなど大企業の事業所が設置され、工業化を遂げておりましたが、これらの大企業は滋賀県内の経済・技術・システム・人材とは分断された関係にありました。当時、県内の大学に理工系学部がなかったため、大手企業は他府県の卒業生を採用しており、また県内高校から他府県へと若手人材が流出しているという課題がありました。

本学は、滋賀県と大津市から新キャンパス開設の誘致を受け、1989年に創立350周年記念として瀬田キャンパスを開学し、理工学部、社会学部を開設いたしました。

1991年、大学が組織的に地域社会と連携する体制を構築する目的として、瀬田キャンパスに龍谷大学エクステンションセンター「REC」が設立されました。参考にしたのは、アメリカの大学における2つの地域連携システムです。1つは、教育機能を利用して地域と連携(生涯学習)する「ユニバーシティ・エクステンション」、もう1つは地域ニーズに基づく研究プログラムの成果と普及・還元(産学連携)の「ユニバーシティ・コーポレイティブ・エクステンション」です。

21世紀初頭、龍谷大学は「共生(ともいき)をめざすグローバル大学」というスローガンを掲げていました。「共生(ともいき)」の理念のもと、「ローカル」に事象をとらえ、「グローバル」に展開する大学改革の構想です。キーワードは「高度化」「多様化」「流動化」「個性化」です。2001年には深草キャンパスに「REC京都」を設置いたしました。人文科学・社会科学分野での産学連携事業と学生ベンチャー育成事業の展開を目指したものです。

2010年からの10年は、産官学連携の推進と、連携体制の再構築を検討するフェーズに入りました。社会貢献活動における新たな拠点形成を図るべく、2008年には大阪梅田キャンパスに「大阪オフィス」を開設いたしました。

「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」の研究と社会支援でSDGsの達成を目指す

2039年、本学は創立400周年を迎えます。そこで、400周年を超えた未来に向けて「龍谷大学基本構想400」が進められています。

「構想400」を通じた本学の使命は、以下の3つです。

①どのような状況にあっても、他者を排除するのではなく受容し、価値創造を通して、人類や社会の発展のために貢献する。
②人類全体の共存・共栄と、地球環境と調和した社会の実現をめざした取り組みを行い、その知見を世界に広く発信し普及させていく。
③異なる価値観を許容する未来を創出し、誰一人として取り残さない社会を形成していく変革の担い手を育む。
③はSDGsの考えと、まさに一致しています。

2019年には、グラミン銀行を創設した、ソーシャルビジネスの第一人者であるムハマド・ユヌス博士と連携し、RECのもとに「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」を開設いたしました。ちなみにユヌス博士は、2021年東京五輪開会式でオリンピックローレル賞を受賞されています。スポーツを通じた教育・文化・平和の発展に功績のある個人に国際オリンピック委員会(IOC)より贈呈されるもので、博士が2人目の受賞者となります。

龍谷大学の「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」の目的は、仏教の観点から見たSDGsに関する研究、および具現化の事業、ソーシャルビジネスの研究、地域実装化の学術支援事業、大学の社会貢献指名の実現に向けた事業、多世代多文化協働型の人材育成のための事業の運営です。

ここでは、ユヌス博士や世界に点在する「ユヌスソーシャルビジネスセンター」から学び、ソーシャルビジネス論において日本をリードし、SDGsの達成へと結びつけたいと考えています。具体的には、ソーシャルビジネスの地域実装化に繋がるような研究活動や社会活動を支援し、大学地域連携型の事業の発展に取り組んでおります。中でも、若い世代の志を活かす事業の発展に力を入れています。

「産官学連携事業」「地域連携事業」「生涯学習事業」の3本柱を軸に、さらに広く展開を進めたい

RECの特徴は、大学のもつ知的資源を地域に普及、還元する活動にとどまらず、地域の人材や資源、あるいは課題を大学に取り込み、これらを本学の教育や研究に活用した上で、その成果をあらためて地域に還元する、双方向型のサイクルです。そして、その成果として社会貢献を果たしていくことを基本理念としています。

「産官学連携事業」では、民間企業や行政機関、金融機関と大学を結びつけ、積極的な展開を進めております。具体的には、企業との共同研究を支援、企業からの技術相談、経営相談に対し専門教員をマッチング、産学連携による研究プロジェクトや知的財産管理などのコーディネートがあります。龍谷大学の全教員数は約570名と多く、それぞれの専門分野も多岐にわたります。企業の方で、何かご相談ごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。良い協力関係を構築できるようお手伝いいたします。

「地域連携事業」では、キャンパスが立地する京都、滋賀を中心に様々な団体やグループが、自治体や企業などと連携した活動を実施しています。私たちは、こうした活動のサポートやマッチングなどを行なっています。

「生涯学習事業」は、龍谷大学の公開講座は、1896(明治29)年に初の仏教公開講座を開講したことに始まる、歴史のある事業です。子どもからシニア層まで幅広い世代を対象とした「RECコミュニティカレッジ」や「龍谷ジュニアキャンパス」など年間約400講座を開講し、延べ約1万人が受講してきました。新型コロナウイルスの感染拡大にともない、対面での講座開講が困難になったことから、2020年度末より「龍谷オンライン講座」を開講しています。「龍谷大学だからこそできる」内容に厳選して配信し、量から質への転換を図っています。

その他の事業としてはレンタルラボ、RECホールなどの「施設開放事事業」、学生のチャレンジ精神を活かす「学生ベンチャー育成事業」がございます。将来は、これらの事業を軸に、30年で培ってきた連携の強化、新しい時代に向けた展開を行なっていきたいと考えております。

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