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社会学部

社会共生実習『The First Aid』(栗田修司)
防災活動を通して、地域との共生を図る。
岡山県下原地区を訪れて

2019.09.11岡山県下原地区を訪れて

社会学部 社会共生実習『The First Aid』(栗田修司)

私たちは8月6日に岡山県総社市下原地区へ行ってきました。下原地区は平成30年7月豪雨で甚大な被害を受けた地域です。アルミ工場爆発の爆風で屋根が飛んでしまうなど、建物に被害をもたらしました。建物の建て替えが進んでいる一方で、未だビニールシートで覆われた屋根のある家があり被害の爪痕が残っています。また、工場爆発の後に浸水被害も受け、下原の公民館にある浸水標識には1.52mまで浸水した表示がありました。この複数の被害をうけた下原は死者0人の町としてメディアでもよく取り上げられます。今回は、川田さん夫妻を中心として、枝松國明先生、下原自治会・防災組織の方々、住民など下原地区の沢山の方々、総社市の行政や岡山県立大学の方々など沢山の方々と交流させていただきました。

まず始めに世界的に有名な墨彩画家である枝松國明先生の自宅へ訪問させていただきました。先生の自宅は、ビニールシートを石で固定した簡易の屋根など災害の爪痕が見られました。浸水被害や爆発による被害を受けたにもかかわらず、今年の6月には、自宅で展覧会を開催されました。私も実際展覧会の作品を見せていただきました。作品の中には、泥のついたものや額縁が割れてしまったものなどもありました。

続いて、下原住民の方々と交流を兼ねて食事をしました。住民の方々は、私たちを温かく受け入れてくださり、交流の中で住民の現状や思いを知りました。下原に残れる住民がいる一方で、土地的な問題などから残れない人がいること。災害当時のことを振り返り涙ぐむ人。明るくて笑顔の人が多く、復興に対して積極的な人が多い町であるが心の中には悲しい記憶が残っていると感じました。また、現地を観て町の復興のスピードは比較的進んでいるように感じましたが、心の面での復興がまだまだ進んでいないのだと思いました。

最後に、下原自治会・防災組織と総社市の行政、岡山県立大学の方も加わり情報交換を行いました。その中で、下原は町の人と行政の関係が密接であること。住民の防災意識が高いこと。住民同士の繋がりが強いことがわかりました。甚大な被害を受けたのにも関わらず、死亡者0人がこうしたことから理解できました。普段の人と人との繋がりは、平常時は勿論災害時にはそれ以上のものになるのだと思いました。

災害から一年経過した下原では、毎日視察などの受け入れがあり住民達が多忙であるという現状もわかりました。また今回下原を訪れて、今後被災地の人たちの思いを伝えたり、減災に繋がる活動をしたりしたいと思いました。

なお、今回、龍谷大学REC(京都)の「地域連携活動旅費サポート制度」の補助を受けました。感謝いたします。

大辻 明莉(滋賀県立河瀬高等学校卒業)