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農学部

淡路和則ゼミ
持続可能な社会における食と農を探る。
熊本県水俣での農業体験を通して(その1)

2020.03.09熊本県水俣での農業体験を通して(その1)

農学部 淡路和則ゼミ

私たち淡路ゼミは2月4日から2月7日までの3泊4日、熊本県水俣市で農業体験をしました。龍谷大学農学部と熊本県は、水俣・芦北地域の農業研究や発展に向けた連携協定を結んでいます。当地域では、水俣病を体験したという経験から、環境に配慮した農業が積極的に取り組まれています。今回、その農業について体験を通して学ぶ機会に恵まれました。農業体験は、二つの班に分かれて行われましたので、2回に分けて報告したいと思います。

2月5日に津奈木町において、果樹講習に参加し、スイートスプリングという品種の柑橘の収穫作業を体験しました。果樹講習では自然栽培を推進している先生の講習を受けました。自然栽培とは無肥料無農薬で自然本来の状態で栽培する方法です。大学では、肥料の三大要素が大切と教えられてきて、土づくりは重要なことと考えていました。しかし、習ってきたこととは全く違う考え方を教えてもらったのでとても勉強になりました。今までの農業を否定するかのようなとても革新的な方法でありながらも、講習には多くの農家さんが来られていたので、新たなことを学ぼうとする意識の高さに環境に対する思いが強いことが分かりました。
午後には実際に自然栽培で栽培されている農家の吉田さんの果樹園で収穫を行いました。蜜柑などの柑橘類というと橙色のきれいな色をイメージしますが、スイートスプリングは青い状態で熟期を迎える珍しい品種です。ほとんどが青い状態収穫されてそのまま出荷されるか、保管してオレンジ色になってから出荷されてますが、吉田さんのところでは木に成ったまま完熟させて出荷されているので、とても甘くなったものが消費者に届けられます。周りには自然栽培を行っている農家の方は少なく、自分がこの地域での見本となられるように頑張っているとおしゃっていました。その後直売所である「つなぎ百貨堂」で、サイズの選別作業と箱詰めの一連の流れを体験しました。

この地域では水俣病という私たち世代でも知っている公害が起こりました。水俣病があったということを引け目に感じることなく、それをバネに私たちが環境保全に対する先駆けとなっていこうと前向きに考えられている姿はとても印象深かったです。瀬田キャンパスのある滋賀県でも琵琶湖の環境問題に取り組んでおり、「環境こだわり農産物」という化学肥料と化学農薬の使用を通常よりも半分以下に抑える農業が広がっています。同じ環境に重きを置いている県同士で、より良い環境を作っていける良き関係になっていければいいなと考えました。今後もこう言った機会を通してもっと水俣を知っていき、皆に伝えていきたいと考えました。とても良い経験でした。

山田 あゆみ(大阪府立農芸高校卒業)
小財 知夏(大阪府立箕面高校卒業)
浅見 瑞穂(京都府立南陽高校卒業)
告野 拓郎(滋賀県立東大津高校卒業)