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農学部

淡路和則ゼミ
持続可能な社会における食と農を探る。
熊本県水俣での農業体験を通して(その2)

2020.03.16熊本県水俣での農業体験を通して(その2)

農学部 淡路和則ゼミ

私たちのグループは、水俣市内で、柑橘類を生産しているMr.Orangeさんの農園を訪れ、農作業体験をさせてもらいました。社長の安田さんは現在育てている柑橘の栽培方法を丁寧に教えてくださいました。この農園は柑橘栽培を専門にしていて、以前は慣行的な栽培方法で農協に出荷していました。しかし、健康と環境にこだわって、化学肥料、化学合成農薬を使わない有機JAS規格に準じた栽培に転換し、販売もネット販売など個人で直接販売に切り替えています。環境にやさしく、安全・安心な栽培方法ですが、外観が悪くなりがちなので、販売の苦労は絶えないそうです。また、年間を通じて収入が得られるように、少量多品目の構成で柑橘類を生産しながら、収穫のない時期はジュースなどの加工品で収入を確保しています。栽培面だけではなく経営面での工夫があることを知りました。

農園についての説明を受けた後、スウィーティーという柑橘の収穫をさせて頂きました。柑橘の収穫は初めてでしたが、ゼミ活動で柿や梨の収穫の経験があったのですぐに慣れて、4人で約400kgのスウィーティーを収穫することができました。その後、紅晩白柚という顔くらい大きな大型柑橘を収穫させて頂きました。

収穫させてもらった柑橘は、どれも関西のスーパーではあまり見慣れないものばかりで、地方にはこんなにも良いものがまだまだあるのかと驚き、多くの人に食べてもらうために、是非広めたいと思いました。

お昼には、地元食材の美味しいお弁当をご馳走になり、会話も楽しく弾みました。食後に7種類の柑橘を食べ比べさせて頂きました。無農薬で栽培しているため、外観に難があるものもありましたが、とても美味しく感動しました。無農薬栽培においては、見た目ではなく味を知ってもらうことが不可欠であると実感しました。

午後からはデコポンの選果を体験させて頂きました。実が熟しているものや傷がついているものはジュースやジャム用に除けて、それ以外のものをサイズごとに分けました。そして、選果したものをタオルで磨いてきれいにする作業も体験させて頂きました。

選果作業の後、レモンハウスを見学しました。Mr.Orangeさんでは雑草駆除のために、ハウス内で七面鳥を飼っています。鳥類を利用した農法としては、水田のアイガモ農法がありますが、ハウス内では七面鳥の方が雑草や害虫の駆除に有効で、排泄物で土壌を豊かにする効果を期待できます。七面鳥は、肉用に出荷されることはなく「従業員として終身雇用」(安田さん談)だそうです。

その後、マンゴーの枝吊りを体験しました。垂れ下がっているマンゴーの枝を見つけて、麻紐で固定する作業です。なかなか難しく慣れるまでに時間がかかりましたが、スムーズに作業することができるようになり、達成感がありました。

今回、実際に作業を体験させてもらうことによって、農家さんの日々の苦労を知ることができました。とくに環境に配慮した農業の難しさを現場で学ぶことができたことは有意義でした。そして、常に自分のまわりに食べものがあることの有り難さを実感できました。

嶋田 亜久里(兵庫県立鳴尾高校卒業)
池堂 由夏(兵庫県立西宮今津高校卒業)
山下 隼弥(京都府立桂高等学校卒業)
瀧本 彩夏(奈良県立奈良北高等学校卒業)