2023.10.09
【ノータバコ23】喫煙と呼吸器疾患

前々回は喫煙とがん、前回は循環器疾患との関係について紹介しました。
今回は、呼吸器疾患についてです。
タバコを吸うと、基礎的疾患がなくても、呼吸器疾患を引き起こす原因となります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発生と、それによる死亡を引き起こす可能性があります。
また、肺機能の発達障害や、呼吸機能の早期の低下にもつながります。
さらに、新型コロナウイルスに感染したとき、喫煙者は非喫煙者と比較して、重症となる可能性が高いことが報告されています。
タバコの煙の呼吸器系への影響
タバコの煙には多数の有害化学物質が含まれており、喫煙は全身の諸器官に悪影響をもたらします。その中でも特に影響を受けやすいのが、直接タバコ煙にさらされることになる呼吸器系です。
タバコの煙は、主に活性酸素やフリーラジカルなどを過剰に産生するため、酸化ストレスの増大や炎症などを引き起こします。
喫煙は呼吸器系の形態的・機能的変化をきたし、様々な症状や疾患を引き起こします。
喫煙者は非喫煙者に比べて、咳(せき)・痰・喘鳴(ぜんめい:気道が狭くなっているため、呼吸時にゼーゼーという異常音が連続的に発生する状態)・息切れなどの症状が多く見られます。
また、喫煙は気管支喘息のリスク因子とされています。
喫煙とCOPDとの関連
喫煙はCOPDのリスクの9割を占めるとされています。
世界保健機構(WHO)の報告によると、COPDは世界の疾患別の死亡順位が第3位となっており、2019年の1年間におよそ300万人(全死亡者数に占める割合は6%)がCOPDで亡くなっていると推計されています。
喫煙と新型コロナウイルスとの関連
喫煙は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスク要因となります。
喫煙者あるいは過去に喫煙していた人は、非喫煙者に比べ、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクや死亡リスクが高まることがわかってきました。
喫煙は、がんや循環器疾患と同様、呼吸器系においても重篤な疾患を招くリスクがあります。
できるだけ早く、卒煙・禁煙しましょう。
参考・出典:厚生労働省e-ヘルスネット 「喫煙と呼吸器疾患」
執筆 平野 公康、中村 正和
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-003.html