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2023.10.25

法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/『生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界-法学者・最高裁判事・宮内庁参与」』を見て(3)【法学部】

前回公開した團藤プロジェクトの続きです!!もし、第一回と第二回をまだご覧になっていない方はそちらの方をぜひご覧ください!!

法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/『生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界-法学者・最高裁判事・宮内庁参与」』を見て(1)【法学部】

法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/『生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界-法学者・最高裁判事・宮内庁参与」』を見て(2)【法学部】

とうとう今回で一端の区切りです。本当に素晴らしいお話を聞くことができて幸せな時間でした。私たちが行った取材記事は今回が最後ですが、團藤プロジェクト自体はまだまだ続いているのできっと素晴らしい記事を私たちの “優秀な” 後輩たちが書いてくれることでしょう(笑)その時は一人の人間として楽しみながら読もうと思います。
ここまで読んでくださった読者の皆さんありがとうございます。では最後までお楽しみください!

團藤プロジェクトについて

團藤文庫について


プロジェクトメンバーについて
Q. プロジェクトのメンバーは、(團藤先生からコレクションを受贈した)福島先生が直接お声をかけて集めたメンバーですか。
A. 最初は小所帯だったんですよ。それで、何人ぐらいだったかな。刑事法と法制史が多いですが、憲法とか、アーカイブズ学とか色々な人が入っていて。歴史系の人も、異分野の人たちが集まってこのプロジェクトに取り組んでいます。しかも非常にびっくりな人がたくさん来ます。本当にこのプロジェクトがなかったら絶対会わないような人とも会っているので、とても勉強になりますし、色々な輪が広がっていきますね。先ほどのお礼を申し上げたいっていうのに繋がってきますけど、そんな感じですね(笑)

Q. 現在の團藤文庫の進捗状況を教えてください。
A. とても難しい質問ですね。富士登山に例えるならまだ、1合目や2合目ぐらいですね。大学院のドクターとして帰ってきて、元々は刑事訴訟法が専門でした。その時に團藤文庫が大学に寄贈されまして、「團藤プロジェクト立ち上げるけど、一緒に調査研究やる?」って福島先生に誘われて「やります」と答えたのが最初で、もう10年が経ちました。
團藤先生は存じていましたし、歴史が好きでした。さらに僕は来た仕事を断らないです。一緒にすることになりました。しかし歴史を主体とした法律学の勉強はしてきましたが、今回の様な資料を扱うような知識は全くなかったので、ゼロベースで仕事を始めました。その時にこの様な資料を扱うアーカイブズ学という学問があり学会もあることを知りました。このアーカイブズ学をゼロから体系的に学べる講座(人間文化研究機構国文学研究資料館の実施する「アーカイブズ・カレッジ」(資料管理学研修会))が東京で開催されているというのを聞いて元々の指導教官だった先生のご自宅に居候しながら2ヶ月間東京で勉強しました。そこからアーカイブズの世界と関わるようになりました。完全アウェイで友達0人の状態でアーカイブズの知識もありませんでした。そこから少しずつ輪が広がっていき、色々な人との縁に恵まれてやっと入口部分に立てたのではないかと思っています。およそ10万点だからものすごい時間がかかります。1代では終わらないのでバトンを繋ぎながら色々な人にやってもらう感じになると思います。ただ、 僕の後に続いてくれる人がいないのが悩みです。
その資料を管理しそれ伝えていくための専門家としてアーキビストという仕事があります。国立公文書館の認証アーキビスト制度というがありまして、歴史史料をちゃんと残していくための技術と知識を持っている人を国立公文書館が認証する制度が2020年に始まりました。僕はその1期生で翌年の、2021年の1月1日から認証アーキビストとして認証を受けました。しかし、本学には私だけであり、全国でも今のところ(2022年度現在)281人しかいません。潜在的にはこのような能力を持った人はたくさんいるのですが、皆さん認証を受けたりしません。少しでも制度自体をアピールしながら、認証を受ける人を増やしていき僕の後にチャレンジしたい人が 入ってきてくれたらとても嬉しいです。
僕はもう10年以上携わっています。これは結構すごいことだと思っていて、歴史は飯が食えない学問だと言われていたのですが、そうではない道も新たに出来上がってくるということだと思います。またデジタル化の動きがある中でこのアーカイブを通じた仕事の展開があり得ると思っています。その資料を使って人に教育をする、つまりエディケーターとか、コミュニケーターや様々な職種がこれからも出来上がってくると思います。昔は学校の先生とかしかなかったと思うのですがこの制度ができたことによって色々な道が広がっていくと確信しています。ぜひ、若い人達に團藤プロジェクトをはじめとするアーカイブズの世界に参加してもらいたいなと思っています。求む、チャレンジャーみたいな(笑)

團藤プロジェクトのこれからの計画
Q. 團藤プロジェクトの今後の活動方針は決められていますか。
A. これから当面の間やっていくのはノートかな。主任事件メモを他の資料と照らし合わせながら最高裁に関する研究を続けていきます。
あと、日記も。今年度内に型をつけて、来年度(2024年度)に出版する予定です。当面はその2つです。


最後に
Q.今回の展示会で、見学しに来た方に感じてほしいことは何ですか。
A.今回は1回目のリバイバルでもあるので、團藤重光という人がどういう人だったかっていうことを、彼が持っていた資料を通じて知ってもらいたいです。
「あ、こういう人だったんだ」っていうのが、少しでも伝わればいいなと思っています。そのために、展示をやっているということもあるのでね。
記録や資料が残っていないと人々の記憶によってしかその人っていうのは伝わらないんです。しかし、ここは色々な紙や物の資料が残っているのでそれを通じて人の記憶以外の彼の生きた証や道筋などの息吹をここで感じていただけたらなという風に感じています。なので、それが来た人にとても伝わったらすごく嬉しいです。来られた方は必ず「もっと何回も展示をやってほしい」っておっしゃってくださるので、僕が思っていた團藤重光という人物に対しての思いの一かけらぐらいは来られた方にはお伝えできているのではないかなという風に思いますね。

Q. 遠方の方で、京都まで来れない人など様々な都合で今回来れない人とかもいらっしゃったと思われますが、 そのような方に向けて何かメッセージはいただけますか。
A. 申し訳ないという風な一言に尽きるわけなんだけれども、デジタルアーカイブで現在、お出しできているのは非常に限られたものしか、まあ見ていただけないんですが、今後はそういうものを少しずつですね、増やしていこうと考えております。
また、住んでるところによって、そういった資料が見れないというのは 解消していかないといけないという風にすごく感じていて、デジタルの強みはどこに住んでてもいろんな資料にアクセスできたりとか、それを見ることができるということなので、そういう風にデジタル化に力を入れていくことができたらいいなと思っていますね。今後好評であれば次回をですね、また続けていきたいなと実は思っているので、また次回お越しいただけると嬉しいです。

取材を終えて
今回の取材を通して團藤先生の学生時代のノートから最高裁判所判事を退官されたときの写真まで数多くの資料に触れることができ團藤先生の偉大さを感じることができたとともに全体から見れば一部かもしれませんがこれほど多くの資料に関わることができて本当に幸せな時間を過ごすことができました。
さらに展示自体もただの展示ではなく展示内容が期間で変わるという「成長する展示、変化する展示」がとても魅力的でした。何度も訪れたくなる展示で私自身も複数回会場に足を運びました。
そして太田さんにインタビューをさせていただき太田さんの團藤先生に対する思いを感じることができました。特に「團藤先生に直接お会いできると仮定したら、どんな感じのお話がしたいですか。」と質問した際に感極まり顔が赤くなるシーンがありました。これほどまでにこのプロジェクトは熱意をもって行われているのだと思うと、このプロジェクトのことを大学生のうちに知れて本当にうれしく思いました。今回のインタビューで太田さんは「縁」という単語を何度も使われていたことも印象的でした。これまでの人生、そしてこれからの人生で出会う方々との「縁」を大事にしようと思いました。
最後になりましたが、取材に協力してくださった太田さんを始め多くの先生方、大学職員の方々、今回の記事作成に協力してくださったすべての方々に感謝を申し上げます。そして同時に團藤重光先生とこのプロジェクトがより一層多くの方に知ってもらえることを願っています。 


写真左から太田宗志様 鈴木啓太 川上桃佳 山本真央 伊藤千夏

【取材・記事】
法学部学生広報スタッフ LeD's
伊藤 千夏(法学部3年)
川上 桃佳(法学部3年)
鈴木 啓太(法学部3年)
山本 真央(法学部3年)