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2026.07.01

法学研究科・羽渕有稀さんが英国中東学会BRISMESで研究成果を英語で報告【研究部/法学部/法学研究科】

報告テーマ:「長期化する戦争に対するイスラエル世論のイデオロギーならびに価値観に基づく差異:2023年10月7日以降のガザ戦争の事例」

 2026年6月23日〜26日、英国中東学会 British Society for Middle Eastern Studies(BRISMES)の年次大会(2026年大会)が、ロンドン大学SOAS(School of Oriental and African Studies)で開催されました。BRISMESは中東研究を代表する国際学会の一つであり、政治、社会、歴史、宗教、国際関係など、中東地域をめぐる多様な研究成果が世界各国の研究者によって報告される場です。

 本大会において、法学研究科修士課程2年の羽渕有稀さんが、英語による研究報告を単独で行いました。報告題目は、Ideological and Value-Based Differences in Israeli Attitudes toward Prolonged War: The Case of the Gaza War since October 7, 2023(長期化する戦争に対するイスラエル世論のイデオロギーならびに価値観に基づく差異:2023年10月7日以降のガザ戦争の事例)です。


法学研究科修士課程2年の羽渕有稀さん

法学研究科修士課程2年の羽渕有稀さん

 報告では、2023年10月7日のハマースによる攻撃以降、長期化したガザ戦争をめぐって、イスラエル国内の世論がどのように形成されているのかを検討しました。本研究では特に、戦争継続への賛否が、単に左右イデオロギーの違いによって生じているのではなく、「人質解放を優先するのか」「ハマースの軍事能力の壊滅を優先するのか」という戦略的判断を通じて形成されている可能性に注目しています。


羽渕有稀さんの報告スライド

羽渕有稀さんの報告スライド

 分析には、イスラエル国内の世論調査データを用い、OLS回帰分析および因果媒介分析を行いました。その結果、右派の回答者はハマースの打倒を重視し、戦争継続を支持する傾向がある一方、左派の回答者は人質解放を重視し、戦争継続に批判的な傾向があることが示されました。また、イスラエル国防軍の軍事作戦を道徳的にどう評価するかは、戦争継続への支持を説明する主要な要因ではなく、人質解放とハマース打倒のどちらを優先するかという戦略的評価の方が、より強い説明力を持つことが明らかになりました。

 本研究は、ガザ戦争をめぐるイスラエル世論を、単なる「右派対左派」や「好戦派対和平派」という対立としてではなく、戦争目的をめぐる優先順位の違いとして捉え直すものです。長期化する戦争において、市民が軍事行動の是非をどのような基準で判断するのかを計量的に分析した点に学術的意義があります。

 報告後には、討論者と会場参加者から、本研究の学問的貢献、ガザ戦争下における人質問題の位置づけ、世論調査データを用いた戦争支持分析の方法論的課題などについて質問とコメントが寄せられました。羽渕さんはそれらの質問に英語で応答し、活発な質疑応答が行われました。
 羽渕さんはこれまでにも、中東政治およびイスラエル政治に関する実証研究に取り組んできました。今回のBRISMESでの報告は、法学研究科における大学院生の研究成果を国際的な中東研究の場で発信する重要な機会となりました。


羽渕有稀さんの報告風景

羽渕有稀さんの報告風景


羽渕さん報告後のディスカッション風景

羽渕さん報告後のディスカッション風景

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