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2020年1月25日、本学深草キャンパス和顔館において、「龍谷大学ATA-net研究センター キック・オフ・シンポジウム」が、ATA-net JST/RISTEX定着支援事業採択記念として開催されました(犯罪学研究センター共催)*1。当日は、230名にものぼる参加者をはじめ、ニコニコ動画の生配信においても1万を超える方に視聴していただき、たいへん盛況となりました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4692.html
【第2部レポート>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-5036.html

当日は、2部構成で行われました。第1部は「動きはじめた世界の薬物政策」と題し、薬物政策問題の第一人者であるイーサン・ネーデルマン(Ethan A. Nadelmann)氏 *2を迎え、「薬物使用と非犯罪化 ―再使用と回復支援」について講演いただきました。講演の後、「「いま、あなたに問う〜薬物使用は、犯罪か?」と題し、ネーデルマン氏とジョー横溝氏 *3による対談が行われました。第2部は、「メディアスクラムとソーシャル・インクルージョン〜当事者の位相、支援者の位相、協働の位相」をテーマに課題共有型“えんたく”が行われました。



最初に、指宿信教授(成城大学/同治療的司法研究センター長)があいさつに立ち、「刑罰から治療・福祉へ」というスローガンを提示しました。つぎに石塚伸一教授(本学法学部/ATA-net研究センター長/ATA-net代表)によるイベントの趣旨説明が行われました。石塚教授は「薬物を刑事法的に厳しく規制する厳罰主義は古いやり方。薬物問題が深刻な海外諸国では、薬物事犯(単純所持・使用)を刑事手続きから外す“ダイバージョン”を利用している。また昨今、ヨーロッパにおいては福祉・経済的観点から“ハーム・リダクション”を推し進めて非犯罪化する政策が定着し始めている。日本においてもこの非犯罪化への政策転換のきっかけへのイメージを持ってもらうために今回のイベントを企画した。そして、アメリカにおける“ハーム・リダクション”への方向転換の動向に重要な役割を果たしたネーデルマン氏を招聘した。このアイディアをどう生かすのかが私たちの課題だ」と述べました。


指宿 信教授(成城大学/同治療的司法研究センター長)

指宿 信教授(成城大学/同治療的司法研究センター長)


石塚伸一教授(本学法学部/ATA-net研究センター長/ATA-net代表)

石塚伸一教授(本学法学部/ATA-net研究センター長/ATA-net代表)

第1部 動きはじめた世界の薬物政策


イーサン・ネーデルマン(Ethan A. Nadelmann)氏

イーサン・ネーデルマン(Ethan A. Nadelmann)氏


イーサン・ネーデルマン氏は、はじめに科学的な知見がどのように薬物政策に変化をもたらしたのかについて説明し、その後に世界的な動向、特にオランダにおける薬物政策である“ハーム・リダクション”の重要性について述べました。人は有史以前より体内に様々な物質を服用して生活を営んできました。現在、お酒とタバコは合法であるけれども薬物は違法です。ネーデルマン氏は、「薬物を違法化してきたここ100年の政策は、闇市場における薬物取引を盛況にさせ、かつ、流通している違法薬物の品質が粗悪であるゆえに被害を深刻化させてきた」と説明しました。違法薬物とされる大麻と合法的に入手できるタバコやお酒はこの点において大きな違いがあります。しかし、科学的な知見によれば、健康被害をもたらす度合いは、大麻よりもお酒やタバコの方が深刻であるとされています*4。ネーデルマン氏は、「薬物は管理しながら安全に使用できる状況にしなければならない」と主張します。世界的な動向として、薬物の危険性よりも薬物がもたらす利益に目が向けられ始めているのです。注目されているのは、さまざまな難病の症状を緩和するために医療目的で大麻を使用することです。これらは科学的エビデンスに基づいて行われています*5。たとえエビデンスがあり医療的に有効であったとしても、文化的・宗教的な背景を理由に、薬物は道徳的な観点から違法でありつづけるかもしれません。しかし、「このような状況と世論は変えていくことができる」とネーデルマン氏は述べました。オランダにおける薬物政策の転換は、法律で禁止しても違法薬物使用者が減らないことから試みられました。「法律違反者に対する刑罰的制裁」から「依存症を患っている人への福祉的・医療的なサポート」へという転換です。その転換はオランダの経済、社会状況にも好影響を与え、その結果として、ヨーロッパにおいて“ハーム・リダクション”が注目されるようになりました。薬物に依存している人が抱えている問題をどのように解決していくのか、その人が受けている害をどれだけ和らげることができるのか、それが“ハーム・リダクション”の姿勢です。ネーデルマン氏は「個人がより良い生活を送れるように寄り添う政策が必要だ。薬物政策は、科学、思いやり、健康、そして人権を重んじたものでなければならない」と強調し、講演を終えました。


左:イーサン・ネーデルマン氏/右:ジョー横溝氏

左:イーサン・ネーデルマン氏/右:ジョー横溝氏


講演後、ネーデルマン氏とジョー横溝氏の対談が行われました。「アメリカと日本の薬物に対する世論の問題」、そして「薬物政策を変えるというメッセージを強く社会に打ち出すためには何が必要なのか」について、対談を通して議論を深めていきました。

まず、横溝氏からネーデルマン氏に対して「アメリカの世論は薬物政策の転換に対してどのような反応を示しているか」という質問がなされました。ネーデルマン氏は、「アメリカ世論は非常に多様で複雑である」と述べ、その背景を説明しました。1980〜90年代のアメリカにおいて、厳しい薬物政策下でも受刑者は増えるばかりで解決の見通しがつかなかったこと、人種差別の問題、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)の問題などが顕在化したことによって、厳罰派であった共和党ですら薬物政策を健康の問題として捉えざるを得なくなりました。他方で、自助グループに所属し依存からの回復を目指す途上にいる人の中には、自分たちがそれまで行なっていた活動に、「国の政策が“ハーム・リダクション”に移行することによって悪い影響を及ぼすのではないか」と不安視する声もありました。ともすれば、「ハーム・リダクション=ドラッグを使っても良い」というメッセージに捉えられたからです。しかし、「回復に向かう途上は人によりさまざまです。薬物を使用しないで済むようにするアプローチには、柔軟でいろいろな手段があった方が良いのではないかということで、“ハーム・リダクション”に対する理解がアメリカでは進んでいる状況です」とネーデルマン氏は述べました。
これに対し横溝氏は、日本における薬物に対する拒否反応と、公に薬物について議論する場がなく、タブー視されている状況を紹介しつつ、「アメリカでは薬物政策の転換に向けて、どのようなメディアが先陣を切ったのか」と質問をしました。ネーデルマン氏は、情報を発信するというツールに関してインターネットの誕生と影響力の大きさを挙げ、「新しいストーリー、新しい市民運動、政治運動を作ることが鍵となった」と述べました。いろいろな背景を持つ人々、難病を患っている本人や家族(特に難病を患う幼児の両親)は、医療用大麻の使用を巡って決して諦めず、議会やテレビ局に赴いて発言を繰り返しました。そうした活動がアメリカ社会に大きな影響を及ぼし、メディアが薬物の問題について取りあげるようになったのです。また、ネーデルマン氏は、ヨーロッパにおける薬物政策の変革を促した個人の活動を紹介しながら、「ひとりの人間が勇気を持って声をあげることが変革につながる」と主張。その後も一度に大勢の人と意識を共有するツールとしての音楽をはじめとする芸術の可能性の話など、多彩な話が交わされ、対談が終了しました。
_______________________________________
【補足】
*1 本イベントは、下記の団体の主催・共催・後援により行われた。
主催:
- 龍谷大学ATA-net研究センター
- JST/RISTEX(社会技術研究開発事業)「安全な暮らしをつくる公/私空間の構築」研究開発領域「多様な嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」(ATA-net)
共催:
- 龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)
- DARS(Drug Addicts Recovery Supports)
後援:(順不同)
- 龍谷大学矯正・保護総合センター 刑事司法未来プロジェクト(金子武嗣基金)
- 一般社団法人京都社会福祉士協会
- NPO法人京都ダルク
- NPO 法人アパリ
- 木津川ダルク
- 京都市
- 寝屋川市
- 京都弁護士会

*2 イーサン・A・ネーデルマン(Ethan A. Nadelmann)氏
ニューヨーク生まれ。ハーバード大学で博士号を取得。政治学者としてプリンストン大学で教鞭を執り(1987-1994)、リンデスミスセンター(1994-2000、ジョージ・ソロス氏からの資金的援助を受けて設立された薬物政策研究所)を創設後、ドラッグ・ポリシー・アライアンス(DPA)を創設し、2000 年から2017 年まで代表を務めた。
アメリカ月刊誌「ローリング・ストーン」では、薬物政策改革運動の「先鋒」であり、「真の薬物政策の指導者」と紹介され、1980 年代後半からアメリカをはじめグローバルに、薬物政策改革運動の主要な役割を担ってきた。
TED トーク「なぜ私たちは薬物との戦争を終わらせる必要があるのか」は、まもなく200 万ビューに達し、日本語を含めた28 言語に訳されている。
http://digitalcast.jp/v/22690/(TED)

*3 ジョー横溝氏
ライター/ラジオDJ/MC
2017年まで『ローリングストーン日本版』シニアライターを務める。
2019年1月まで『DAYS JAPAN』編集長を務める。
現在は、音楽はもとより、ファッション、カルチャー、社会問題に関するインタビュー・取材・執筆も行い、新聞、雑誌、WEBメディアでの連載・執筆も多数。ラジオDJとしてはInterFM897『THE DAVE FROMM SHOW』『LOVE ON MUSIC』他にレギュラー出演中。
MCとしてはニコニコ動画でレギュラー番組2本『ジョー横溝チャンネル』『深堀TV』を持つ他、『中津川THE SOLAR BUDOKAN』をはじめとするロックフェス、音楽イベントや討論番組のMCも担当している。
著書に「FREE TOKYO~フリー(無料)で楽しむ東京ガイド100」「ボブ・ディラン語録―静寂なる魂の言葉」『永遠の言葉 LUNA SEA』他。

*4 The Global Commission on Drug Policy(GCDP)が公開しているレポート
“CLASSIFICATION OF PSYCHOACTIVE SUBSTANCES: WHEN SCIENCE WAS LEFT BEHIND”
http://www.globalcommissionondrugs.org/reports/classification-psychoactive-substances
参考記事:「アルコールやたばこ、大麻より有害」と指摘した国際NGOリポートの中身
https://globe.asahi.com/article/12708952(The Asahi Simbun GLOBE+ 2019.9.18)

*5 「GREEN ZONE JAPAN」
ネーデルマン氏は、医療大麻に関する科学的エビデンスに基づいた正しい知識を日本で紹介しているとして「GREEN ZONE JAPAN」について触れた。
http://www.greenzonejapan.com/about/(GREEN ZONE JAPAN)


2月9日(日)、龍谷ミュージアムにおいて龍谷大学農学部生による「あずき粥をふるまう会」を開催しました。

この取り組みは、大学での研究と社会とのつながりに興味をもった学生が、広く一般の方に実習農場で収穫した作物、その中でも親鸞聖人の小豆好きにちなんで小豆やお米を味わってもらおうと企画し、今年で3年目を迎えます。
農学部の学生が実習農場で収穫・調製した小豆(京都大納言)とうるち米(日本晴)を炊きあげた「あずき粥」は非常においしく仕上がっており、今年も開始から1時間程で用意していたあずき粥は全てなくなりました。
また、学生が収穫した「龍谷米」を販売していましたがこちらも好評で完売となりました。

あずき粥を食べられた方からは、「小豆の自然な甘さが感じられて美味しかった。」、「普段、あずき粥は食べられないので、とても嬉しかった。」といった声が多く聞かれました。






昨日までの暖かな天気とはうってかわり、午前中の京都は雪がちらつく肌寒い天気となりました。

さて、「シリーズ展6/特集展示:仏像ひな型の世界」を開催中の龍谷ミュージアムでは、本日9日(日)、龍谷大学農学部生による「あずき粥をふるまう会」を開催しました。

この取り組みは、大学での研究と社会とのつながりに興味をもった学生が、広く一般の方に実習農場で収穫した小豆やお米を味わってもらおうと企画し、今年で3年目を迎えます。

農学部の学生が実習農場で収穫・調製した小豆(京都大納言)とうるち米(日本晴)を炊きあげた「あずき粥」は好評で、今年も開始から1時間程で用意していたあずき粥は全てなくなりました。

あずき粥を食べられた方からは、「小豆の自然な甘さが感じられて美味しかった。」、「普段、あずき粥は食べられないので、とても嬉しかった。」といった声が多く聞かれました。


さて、龍谷ミュージアムは、明日10日(月)から21日(金)まで、展示替えなどのため一旦、休館させていただき、2月22日(土)からシリーズ展6の後期展示を開催します。

後期展示では、大谷探検隊関係資料、刺繍 阿弥陀三尊来迎図など、前期には展示していなかった作品も多数展示いたしますので、ぜひ、ご来館ください。



【関連サイト】
 ◆ 龍谷ミュージアム
 ◆ シリーズ展6/特集展示:仏像ひな型の世界
 ◆ 龍谷ミュージアム公式Twitter
 ◆ 開館スケジュール
 ◆ アクセス




小林徹先生(本学文学部専任講師)

【新刊情報】フィリップ・デスコラ『自然と文化を超えて』、小林徹訳、水声社、2020年。

クロード・レヴィ=ストロースの弟子の一人で、世界的に著名な人類学者フィリップ・デスコラ(コレージュ・ド・フランス教授)の代表作が、小林徹先生(本学文学部専任講師・龍谷哲学会委員)によって翻訳され、2020年1月に水声社から刊行されました。

「アチュアル族のインディオとの出逢いをきっかけに、地球規模で広がる四つの存在論を横断し、非人間をも包摂する関係性の分類学を打ち立てる――。近代西洋が発明した「自然/文化」という二分法を解体し、人類学に“転回”をもたらした記念碑的著作。」(本書帯より)

本書のより詳しい紹介については龍谷哲学会のホームページをご覧ください。

URL 龍谷哲学会のホームページ


【新刊情報】フィリップ・デスコラ『自然と文化を超えて』、小林徹訳、水声社、2020年


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作成日2016/04/26

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作成日2016/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/04/26

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作成日2017/04/26

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作成日2017/05/08

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作成日2017/05/08

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作成日2017/05/15

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作成日2016/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/01

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