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Health Care Center

保健管理センター

健康情報シリーズ 7月号

自分をいろいろな立場で見直そう

朝起きて学校に来ても、授業に目一杯参加していると帰宅は夕方になります。帰宅してから自宅でぼんやりと過ごしているうちに夜になり、ゲームをしていると夜中になって眠る。朝ぎりぎりまで寝ていて飛び起きる…。こんな毎日になっていませんか? こうした日々を送っていると気づくと夏休みです。こうした日々の送り方は、敷かれたレールの上で過ごすようなもので変化は少なく、過ごしやすいかもしれません。しかし、事情が一変するのは試験が始まる時です。単位を取るために試験に合格しなければならない。そんなレールの上で、単位修得が目標に意識されると急に精神負担となります。こうしたストレスは誰もが通過する時点に経験することでどうして今更と思うかもしれません。

しかし問題は、こうしたありふれたハードルを越えられない学生が増えてきていることです。一つ上手く行かないと次から次へとドミノ倒しのように崩れて行く。思い当たる人は居ませんか?

問題はどこにあったのでしょう。それは皮肉なことに敷かれたレールの上で過ごすといった単調な生活に起因があります。毎日の生活において「今はこんなことをやっている」とか、「今はこの問題に取り組んでいる」とか、生活の実感として意識されていることに偏りがあるとつまずきの原因となるのです。例えると、レールに障害物があると進行できなくなることと同じです。確かに、障害物を処理し進行できるようにすることが最善の対処です。しかし、処理に時間がかかったり、処理方法が分らなくなったりすると、不安や焦燥感が生じます。処理できない自分への屈辱感に至ることさえあります。こんな時どうすればいいか?これは、進行するレールに別ルートが用意されていることです。1つのレールが障害物で塞がれていても、別ルートで回避できれば通り越すことができるのです。これを日常生活で考えてみましょう。

生活の実感として意識されることに偏りがあるというのは、いつも学校のことばかり意識されている場合、単位がうまくとれない状況に陥るとそのことに悩み、抑うつ気分や自責感が生じマイナス思考の悪循環にはまります。同様に、いつも彼氏や彼女のことばかり意識していると、その関係が崩れると大きなショックとなり、立ち直りに時間がかかります。つまり、日頃から生活の実感の意識を、自分の関わる幾つかの生活環境に分けておくことです。学生の場合ですと、学業のこと、サークルのこと、友人関係のこと、自分の趣味のこと、家族のことなど幾つかの関わりの中で、自分自身を常に客観的にみていくことです。こうした見方ができていると、1つの関わりにトラブルが生じても、一時的に他の関わりに目を向けられると、そこでは自分が上手くこなせていることに気づきます。ここで冷静さが取り戻せるのです。1つのレールでのつまずきから冷静さを失っていても、暫く別ルートで上手くできていると安心、達成感が生まれます。このちょっとした生活の実感の意識の一休みによって、自分を客観的に再評価することができ、一時的に障害物処理に途方に暮れていても、一休みによって別の解決法が見えてくるのです。

普段から日常生活を幾つかの関わりに分けておくことの有用性が理解できましたか? ここで言えることは、いつも自分の失敗や問題点ばかりに目を向けないことです。立場を変え自分を見直すとそこでは自分が上手くやれていることに気づきます。自分を低く評価せず、プラス指向にすることです。こうした機会を日頃からつくっておくこと、これが大切なのです。

保健管理センター
センター長 須賀 英道