頭痛は大きく分けると2種類あります。その一つは頭の中に大変な病気―例えば脳腫瘍や脳出血など―があってこのために頭が痛くなっているタイプ(これをタイプ1とします)。これは、命の危険がありますから、すぐにも適切な治療を受けなければなりません。二つめのタイプは、脳の中には恐ろしい病気がない頭痛です(タイプ2)。頭痛に悩む人の90%がこのタイプ2です。タイプ2の頭痛にもいくつかの種類がありますが、とりわけやっかいなのは片頭痛という頭痛です。
図1は片頭痛をもつ人が日常生活にどれほど支障をきたしているかを調べた調査結果です。
片頭痛があると75%のひとが日常生活に何かしら支障をきたしています。
片頭痛の特徴は体を動かすと頭痛がひどくなり、気分が悪くなるために体を動かせなくなることにあります。
こうなると、学校へ行けなくなる、会社へ行けなくなる、家事が出来なくなるという事態になります。たかが頭痛ですがこうなると立派な病気です。
こんな川柳があります。
休日は 頭痛とともに 暮れてゆく (30代女性)
有給が 頭痛のせいで 減ってゆく (20代男性)
こんな風に片頭痛もちは人知れず辛い時間を耐えているのです。また、片頭痛というものがまだ日本では病気として十分に認知されていないので、ただの頭痛で片づけられがちです。そのせいか、次のような川柳が詠まれました。
片頭痛 上司が言うには 怠け病(20代女性)
それでは、あなたの頭痛が片頭痛かどうかチェックしてみます。過去3ヵ月にあった頭痛を思い出して、□にチェックを入れて下さい。
1~4の質問の2項目以上で「ときどき」あるいは「半分以上」と回答した場合、あなたは片頭痛の可能性が高いです(およそ90%の可能性)。
片頭痛は、20代の人たちの10%以上が悩まされている病気です。
片頭痛の医学は欧米で非常に大きく発展し、治療薬の開発がすすんできました。
頭痛研究の分野で周回遅れだった日本でも、ようやく10年前から片頭痛の薬(トリプタン製剤)が処方されるようになりました。
もし、いつもの頭痛が片頭痛にあてはまるようなら、近くの神経内科や脳外科の先生に相談してください。
最後に大事なことがあります。頭痛の中にはタイプ1のようにとても怖い頭痛があります。片頭痛と思っていたら、とんでもないものが脳に見つかったというケースがまれならずあります。頭痛を甘く見ないで是非専門医を受診しましょう。
保健管理センター
副センター長 中村 慎一