結核というと戦前のイメージであったり、あるいは、ずいぶん昔に流行った病気と思われている方が多いと思います。これは大きな誤解で、結核は現代でも死亡原因になっている感染症の一つです。日本では毎日62人(平成23年)の人たちが新しく結核患者となっています。世界的にみると日本は先進国の中では突出して感染が多い国です。
図は新しく結核を発病した患者数を国別に表したグラフです。日本は米国の4.3倍の人たちが新たに結核を発病しています。世界的には中蔓延国(低、中、高とあります)というありがたくない状況にあります。
我が国の結核の問題点の一つに受診の遅れがあります。特に働き盛り(30~59歳)の人たちでの結核の発見が遅れがちであることが挙げられています(厚生労働省 平成23年結核登録者情報調査年報)。この年代の排菌している肺結核患者の30%が発病から初診までに3ヶ月以上かかっていることが報告されています。この問題は次世代に結核を残す原因となるため大変困ったことです。さらに私たち学校職員にとって重大なことは、結核の発見の遅れが別の問題を招くことです。すなわち、私たちが知らないうちに肺結核を発病し、教室内に排菌する可能性があることです。教室は閉じられた狭い空間に多数の学生がいるという空気感染には好適の場所です。
学校職員が学生に結核を感染させるようなことは断じてあってはならないことです。教職員はデインジャー職種(発病すると周囲への影響が大きい職種のことで、 医療従事者、教職員、福祉施設職員などが該当します)であり、健康診断によって結核の早期発見が必要な職種です。
まもなく10月には年1回の職員定期健康診断があります。胸部レントゲン検査を受けることは私たち学校職員の責任であり、この機会に必ず受けるようにしてください。
保健管理センター
副センター長 中村 慎一