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2023.07.24

大学生による高齢者のデジタルツール習得支援プロジェクト ―民間企業との共同研究で効果的なスマートフォン講習のあり方を探る―【社会学部】

 社会学部コミュニティマネジメント学科坂本ゼミは、高齢者のスマートフォンやパソコンの利用習得を支援するゼミプロジェクトに取り組んできました。


坂本ゼミ生による高齢者(レイカディア大学同窓会大津支部メンバー)へのワークショップ

 さらに2023年度7月からは、行政等と連携して地域のデジタルディバイド解消に取り組んでいる㈱HONKIとの共同研究(注1)を行い、同社が実施する高齢者等を対象としたスマートフォン講習会の実地調査やアンケートデータの分析を行い、より効果的なデジタルツール習得支援のあり方について探っていきます。

 情報化が進む現代において、高齢者のICT・デジタルツールの習得は地域社会の維持や活性化上、重要な課題となっています。特に高齢者の孤立を防ぎ人々とのつながりを強めるため、そして地域自治の効率的な運営のために、デジタルツールの重要性は増しています。

 ところが、高齢者がデジタルツールを学ぶことは容易ではありません。高齢者の特性に配慮したスマートフォンなども存在するものの、その使い方を1人で習得することはまだ困難な場合が多く、習得効果が高いとされる講習会などのニーズが高まっています。

 ここに若い世代が高齢者のデジタルツール習得支援に携わる必要性や意義があります。講習会などで、子供の頃からスマートフォンになじんできた今の大学生による高齢者の習得サポートの効果は高く、有望な支援策であると言われています。


学生が丁寧にアプリの使い方を教えられるワークショップが効果的

 坂本ゼミが取り組んできた高齢者のICT利用習得ワークショップ(注2、注3) や、社会学部社会共生実習の取り組み(注4)でも、参加した高齢者から高い評価を受けてきました。

 他方で、若い世代による高齢者へのデジタルツール習得支援には課題もあります。若い世代と高齢者ではスマートフォンなどを使うニーズ、使用する機器やアプリ・ソフトウェアには違いがあります。大学世代には当たり前のデジタル用語も、高齢者にはまったくなじみのないものであったりします。若い世代が高齢者とコミュニケーションをとる際には、高齢者の特性を踏まえた話し方、聞き方などさまざまな配慮が必要です。


ワークショップでは普段とは違うスマホの使い勝手に学生が苦労する場面も

 こうした課題の把握と解決のため、坂本ゼミ生を中心とする学生が㈱HONKIの運営する講習会の場で講師・アシスタントとして高齢者のスマートフォン習得をサポートしながら、講習実施上の課題を実地にて検証し、データを分析します。


㈱HONKIが運営するスマートフォン講習会でアシスタントを務めた坂本ゼミ生

 また、受講者、講師・アシスタントへの聞き取りやアンケートによる講習の効果や満足度把握も行う予定です。これらの調査・分析結果をまとめて、高齢者のデジタルツール習得支援のためのより良いコミュニケーションのあり方を提言します。

 さらに、大学生による高齢者のスマートフォン講習会には独自の社会的価値や意義もあります。デジタルツール習得という機会を介して、普段はお互い話す機会のない若い世代と高齢者が「スマホの使い方を教える・学ぶ」だけでなく、世代間の認識ギャップを埋め、お互いの経験を共有して学び合える場となる可能性があります。


若い世代による高齢者のデジタルツール習得支援は異世代間交流の機会でもある

 このように、この共同研究プロジェクトでは、高齢者のデジタルツール習得の効果的なコミュニケーションのあり方を検証、提言するとともに、高齢者と若い世代の異世代間交流の場としての意義や価値についても分析を進める予定です。

 注1 2023年7月10日より㈱HONKIの龍谷大学への受託研究という形で共同研究が開始されました。
 注2 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-9073.html
 注3 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-13085.html 
 注4 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-9930.html