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2024.05.09

法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/畠山先生「團藤文庫・プロジェクトとの関係について」前編【法学部】

今回は、すでに公開している團藤プロジェクトについての記事<法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/『生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界-法学者・最高裁判事・宮内庁参与」』を見て(1)【法学部】 | ニュース | 龍谷大学 You, Unlimited (ryukoku.ac.jp)>と関連して、龍谷大学法学部と團藤文庫・プロジェクトとの関係についてなど、このプロジェクトの代表である畠山先生にお話をうかがってきました。
なお、畠山先生のインタビュー記事は、こちらになります。
【法学部企画広報学生スタッフLeD’s】畠山 亮先生インタビュー | ニュース | 龍谷大学 You, Unlimited (ryukoku.ac.jp)



質問1
畠山先生が團藤プロジェクトに参加することになったきっかけについて教えてください。


畠山
團藤重光先生が亡くなる前に、團藤先生が所蔵されていたコレクション、書籍や貴重な資料の全てを寄贈してくださるということで、龍谷大学としては、現在の矯正・保護総合センターが受け入れ先になって、全ての資料を受け入れるということになりました。他にも受け入れ先としてふさわしいところはあったと思うのですが、團藤先生は、一部ではなくて全ての資料を受け入れること、そして受け入れて終わりではなく広く活用してほしいということを大事にしておられまして、それにかなったのが本学でした。今は名誉教授の福島至先生が團藤先生の親戚に当たるということもあって、当初は矯正・保護総合センター、福島先生の下で整理事業が進みましたが、膨大な資料の整理はもちろんのこと、きちんと利活用できるような体制で臨まないといけないという中で、法学部で史資料を扱う法制史が専門の僕に、一緒にやらないかと言われて関わるようになったところから始まります。まあありていに言えば、福島先生が僕の出身大学(※東北大学)の先輩で断れなかったのですが(笑)。

質問2
畠山先生が團藤プロジェクトを通じて経験したこと、面白かったこと、あるいは印象に残ったことなどについて教えてください。


畠山
まず、資料自体が本当に多様なので、最初は単純に「お!こんなのもあるんだ」とか思ったり、團藤文庫の資料に関わること自体が非常に面白かったですね。ところが膨大すぎて、だんだん「これ、どうすんねん」てな感じになっていきます(笑)。もちろんアカデミックで貴重なものもたくさんあるのですが、例えば先生が使われた生活資料などもたくさんありまして、僕は残念ながら、生前にお会いしたことはないですが、團藤重光という人間がどういう人だったのかっていう息遣いのようなものが感じられることが本当に、楽しいですね。僕は刑事法の専門家ではないので、法学的な、刑事法学的な視点というよりも、歴史としての團藤重光、人間・團藤重光との関わりという。
それから、プロジェクトを通じて、普通に自分の研究をしているだけでは出会わなかっただろうなっていうようないろいろな分野の先生とかと知り合いになって勉強させてもらったり、また團藤先生に関わるいろいろなところに出かけて行って、見学とかヒアリングとか様々な経験をさせてもらったりができるということも挙げられますかね。例えば、團藤家にゆかりがある岡山県の備中高梁、岡山市内の少年時代を過ごした場所や生家の跡とか、北海道の遠軽の家庭学校というところに行ったのも、團藤プロジェクトに関わらなければ、絶対に行かなかったろうなっていうところがあって。最近だと、『日本人の法意識』で有名な川島武宜という人の「川島文庫」がある札幌大学に行って、貴重な資料を見せていただいてその保存や公開についてお話を伺えたことはとても印象に残っています。

質問3
去年(2023年)の團藤展において、畠山先生にとっての成果・感想・改善点などについて教えてください。


畠山
團藤展の方は、学生さんとか、お客さんがたくさん来てくださって、しかも、すごく真剣に見て、いろんな感想や質問とかを出してくださったり。(当時1回生の)高橋くんも来てくれましたけども。

高橋
はい。行きました。

畠山
そうした学生の反応などは、印象に残りましたね。福島先生も、特に1回生が素晴らしいと褒めていましたよ。
團藤文庫は法学部の所管ではないのですが、法学部生にとっては、龍谷大学に團藤文庫があるということはすごく意義があることだと思うのです。今回はたまたま團藤展や講演会(があったからみんな知るところとなったけども、知らないまま卒業してしまうことはよくあって、それはもったいないなと。今回、LeD’sのみなさんに、團藤展に関連してインタビューしていただいたのは、もうちょっと龍谷大学法学部生に関わりのあるものとして知ってほしい、というところがありました。
そういう意味では、改善点としては「もっと学生に分かりやすく」というところです。この資料はこういうものです、といった説明をもう少し増やした方がいいかなとは思いますね。みんながみんな専門家じゃないので、1回生とか、全く法律勉強したことない人でもわかるような説明があるといいなという風には思いました。

質問4
團藤プロジェクトを通じて、畠山先生が、ご自身の専門分野である日本法制史の研究のヒントにどのようになったか、教えてください。


畠山
なかなか難しいところではあるんですが、研究面で言うと、僕は、日本法制史でも中世、戦国時代っていう、かなり前の時代が専門なので、現代からかなり遠い時代をやっていますから、いわゆる実定法とか現代法の研究からはだいぶ遠いし、研究手法も、対象にする題材とも、だいぶ離れたものなので、普通にやっていると、一般的な法学研究者と一緒に研究することはなかなかなくて、さらに言えば法制史の中でも、近代法史を専門とする先生方とは結構離れているものなんです。
現代法はもちろんなんですが、法制史としても、明治から始まって、團藤先生の時代、昭和の戦前から戦後にかけてっていうところに関しても、歴史として研究対象にするっていうことが自分にとっても非常に意味があるんだっていうことが分かったということですかね。近代法史の重要性ということについて改めて気付いたということがまず直接的にはあって、それがやがて自分の専門の時代にも繋がってくるんじゃないかな、というところが大きなところです。


法学部企画広報学生スタッフLeD’sインタビュー/畠山先生「團藤文庫・プロジェクトとの関係について」後編【法学部】へ続く