- 教員氏名
- 岸本 圭子 准教授
- 学位
- 博士(人間・環境学)
- 専門分野
- 昆虫生態学、群集生態学
※2027年4月就任予定
昆虫と植物やその他の生物との相互作用網の解明、温帯から熱帯までさまざまな森林における昆虫群集の時空間的な構造特性とそれらの環境への応答パターンの解明、里地里山の環境の変遷が昆虫やその他の生物群集に与える影響の評価と生物多様性の保全を考慮した里地里山管理手法の確立などを研究テーマとしています。
昆虫は地球上の生物種の半数以上を占め、多様な生物、環境と相互に作用しながら生物群集や生態系を支えている重要なグループです。しかし、これほど身近で多様な昆虫がどのように創出され、維持されているのか、また生態系の中でどのような機能を果たしているのかについては、まだわかっていないことが数多く残されています。これまで多くの研究者が仮説や理論を提唱してきましたが、それらを検証する実証データは圧倒的に不足しています。私は、野外調査や操作実験を通して、昆虫同士の関係や環境に対する反応などを一つ一つ解き明かし、先人が積み重ねてきた理論や仮説と実際のデータを結びつけていくことを目指しています。未知の多さと、過去の知見が現在のデータによって新たな理解へとつながる過程こそが、この研究分野の大きな魅力と感じています。
今世界中で昆虫の個体数の減少や絶滅危惧種の増加が深刻な問題となっています。原因は、土地利用の変化、気候変動、外来種の侵入・定着、人間活動の変化などさまざまです。原因を突き止め、昆虫の多様性や生息地環境を回復させないと、生態系のなかで昆虫が担う機能や、昆虫が関係する他の生物とのつながりが崩壊し、生態系のバランスが崩れていくことが懸念されています。その結果、私たちの生活にも大きな影響が及びます。例えば、受粉や害虫の抑制を助ける昆虫の減少によって農作物の収穫量が減少し、我々の食卓が変化するでしょう。また、私たちは自然資源から、デザイン・技術のインスピレーションを得ていることも少なくなく、文化や産業を支える多様な恩恵が失われる可能性があります。さらに、生態系の変化は自然災害とも無関係ではありません。人間の生活圏とは離れた地域であっても、生態系のバランスが崩れることで土壌の保水力や植生が損なわれ、大規模な土砂災害や洪水が発生し、ふもとの街や人々の暮らしに影響を及ぼすこともあります。そのため、昆虫の多様性や機能、生息環境を科学的に理解することは、生物多様性の保全にとどまらず、私たちの生活を支える社会基盤のサステナビリティに貢献する重要な知見を提供すると考えています。
私が学生だった頃、環境問題は今ほど複雑で、多面的な課題として捉えられてはいませんでした。環境について学びたいと思っても、学べる分野や視点は限られていたように思います。現在の環境問題は、自然科学だけでなく、技術、経済、社会の仕組みと深く結びついています。本学部の大きな特徴は、環境工学、経営・経済学、生態学という異なる学問分野を横断的に学べること、そしてそれぞれの専門の教員が揃っていることです。学生には、これらの学問を同時に学びながら、環境問題を多角的に考える力を身につけてほしいと思っています。そのうえで、自分が興味を持って、深めていきたい分野を見つけて、専門性を磨いてください。複数の視点をもったうえで一つの分野を突き詰めることは、将来どのような道に進むとしても、広い視野と柔軟な考え方をもたらしてくれると私は確信しています。
環境に興味はあるけれど、何を専門にしたいのかはまだはっきり決まっていない、そのような人も多いと思います。本学部の特徴である分野横断的な学びは、最初から進む道を決めていなくても、学びながら面白い、もっと知りたいと思える分野に出会える機会が広がると思います。実際に勉強して、フィールドに出て、自然と社会のつながりを知るなかで、自分だけの学びを見つけてください。