- 教員氏名
- 鎌倉 真依 講師
- 学位
- 博士(理学)
- 専門分野
- 植物生理生態学
※2027年4月就任予定
個葉から群落スケールに至る森林生態系の物質循環
森は、ただ木が生えている場所ではなく、さまざまな物質が行き交う大きなシステムです。植物は、光合成や呼吸を通じて二酸化炭素(CO₂)を吸収したり放出したりし、同時に蒸散によって水蒸気を大気中に放出しています。このような植物と大気との間の気体のやり取りを「ガス交換」と呼びます。ガス交換は、地球温暖化の抑制や気候の調節に深く関わっています。
私の研究では、土壌・植物・大気をつなげて、森林の中で起こっているガス交換や物質の動きを調べています。さらに、森の中のわずかな地形の違いや水の流れが、植物のはたらきやガスの出入りをどのように変えるのかにも注目しています。
植物は動くことができないため、体の構造やはたらきを周囲の環境に合わせて調節しながら生きています。1枚の葉の中で起こる小さな反応は、やがて森林全体の働きや地球規模の環境変化へとつながっていきます。そのつながりを解き明かすことが、この研究分野の最大の魅力です。

熱帯林を構成する巨大樹。
幹の基部に発達した板根(ばんこん)が、その圧倒的なスケールを支えています。
森林が吸収するCO₂量を正しく知ることは、地球温暖化をどの程度抑えられるのかを考えるうえで欠かせません。実際には森林はCO₂を吸収するだけでなく放出もしているため、森林全体として正味でどれくらいのCO₂を吸収しているのかを把握する必要があります。また、どのような条件でその働きが強まったり弱まったりするのかを理解することで、気候変動対策の基礎となるデータを提供することができます。
植物が水蒸気を放出する働き(蒸散)は、気温の上昇をやわらげるとともに、陸地の雨の降り方や水循環にも影響を与えています。森林のガス交換や水の動きを理解することは、猛暑や豪雨といった極端な気象現象を考える手がかりにもなります。
さらに、森の中の地形や水の流れを含めて森林のはたらきを調べることで、水源の保全や森林管理、災害リスクの低減にも役立てることができます。どのような場所の森林が水をためやすいのか、あるいは乾きやすいのかを知ることは、安全で持続可能な森づくりにつながります。
このように、私の研究は森の中で起きていることを正しく理解することで、地球環境を守り、私たちの暮らしを支えることに貢献しています。葉1枚の小さな働きを理解することが、地球環境と私たちの未来を考えることにつながっています。

森林内で植物の光合成と蒸散を測定し、生態系のガス交換を調べています。
環境サステナビリティ学部では、琵琶湖や龍谷の森といったキャンパスの利点を生かし、さまざまな授業や実習を展開します。自分の目で実際に観察し、測定し、得られたデータから考えることを大切にしてほしいと考えています。自然を相手にすると、必ずしも予想通りの結果が得られるとは限りません。その「うまくいかなさ」から原因を考えることが、新しい発見につながります。
また、環境問題には一つの正解があるわけではありません。気候変動や水資源、生態系の保全といった課題を理解するためには、生物・化学・物理・地学など、さまざまな分野の視点を結びつけて考える力が必要です。この学部で展開する多角的な学びを通して、自分なりの考え方を身につけてほしいと考えています。
そしてもう一つ大切なのは、自分で問いを立てる力です。「なぜこの場所ではこうなるのか」「環境が変わると何が起こるのか」といった疑問を持ち、自分なりに調べ、考え、言葉で説明できるようになってもらいたいと思います。
この学部での学びを通して、自然や環境を自分ごととして捉え、社会や未来の課題について主体的に考えられる人になってほしいと思っています。
自然や環境の問題は複雑で、教科書どおりの答えがあるとは限りません。だからこそ、「なぜだろう?」と疑問を持ち、自分の目で確かめ、自分なりに考える姿勢がとても大切です。
この学部では、琵琶湖や龍谷の森といった恵まれたフィールドを生かし、観察や実習を通して学びを深めていきます。自然を相手にした学びの中で得られる気づきは、教室だけでは得られない大きな経験になります。
「自然のしくみを知りたい」「フィールドで学んでみたい」「社会とつながる学びがしたい」——
そんな気持ちをもっている方、ぜひ一緒に学びましょう。皆さんとキャンパスで出会えることを楽しみにしています。