龍谷大学では現在、創立400周年を迎える2039年を見据えた長期計画「龍谷大学基本構想400」に基づく諸事業、諸改革に取り組んでいます。構想400に掲げている将来ビジョンは、以下のとおりです。
「まごころ~Magokoro~」ある市民を育み、新たな知と価値を創造することで、あらゆる「壁」や「違い」を乗り越え、世界の平和に寄与するプラットフォームとなる。
このビジョンの実現に向けた一方策として、本学では「仏教SDGs」を推進しています。「仏教SDGs」とは、「誰一人取り残さ(れ)ない(No one will be left behind)」というSDGsの理念と、仏教における「摂取不捨」(すべての者をおさめとって見捨てない)の誓いとの親和性に注目し、「龍谷大学だからこそ」の視座からSDGsの達成をめざす試みです。それによって、現代社会における貧困、環境悪化、社会的格差などの諸課題の複雑な関係を解きほぐし、共創と調和を重視した持続的な解決の道筋を探索することが、私たちの大切な使命です。
以上のような理念に基づき、本学は避難民・難民の支援にも注力しています。
今、世界各地では、紛争や迫害、自然災害などによって多くの人々が住み慣れた土地を追われ、困難な生活を強いられています。彼女・彼らは、安全な住環境の欠如、教育機会の制限、経済的な困窮、さらには社会的孤立といった重層的かつ深刻な問題に直面しているのです。これらは国際社会全体で共有し解決すべき、喫緊の人道的課題です。
こうした現状を踏まえ、本学は高等教育機関としての社会的責務を深く認識し、避難民・難民に対する人道的支援に取り組んでまいりました。具体的には、2022年度以降、ウクライナ情勢への対応を端緒として、特別入学試験制度や奨学金等による経済的支援制度の整備・実施、日本語教育の提供など、多面的かつ継続的な支援策を講じ、避難民・難民学生を幅広く受け入れてきました。
避難民・難民への支援は、公正かつ包摂性のある社会を実現するうえでも不可欠な取り組みです。その一端を担い、教育の力をもって未来を切り拓いていくことは、私たちの倫理的責任に応答することであり、国際社会との連帯と世界の平和への願いを叶えるための営為でもあります。
今後も龍谷大学は、国内外の関係機関や地域社会との連携をいっそう深めながら、世界の平和に寄与するプラットフォームとなるべく力を尽くしてまいります。
龍谷大学 学長
安藤 徹