Need Help?

Special

卒業式・入学式

2018年度 卒業式 式辞

文学研究科、法学研究科、経済学研究科、経営学研究科、
国際文化学研究科、政策学研究科、実践真宗学研究科のみなさまへの式辞

 龍谷大学大学院文学研究科、法学研究科、経済学研究科、経営学研究科、国際文化学研究科、政策学研究科、および実践真宗学研究科での研究を無事に修了され、学位を取得された皆さん、おめでとうございます。龍谷大学を代表して、心よりお祝い申し上げます。

 皆さん方は学部を卒業して、さらに上のステージに上り、学問研究に研鑽を積まれた結果、本日見事に学位を取得されました。ここに至るまで、さまざまな出来事があったと思います。今日に至るまでのプロセスをいま一度反芻してみてください。研究を続けるにあたり、つらい思いをしたこともあったでしょう。努力を重ねてもなかなか研究が進捗せず、焦りの気持ちにわしづかみされたこともあったでしょう。しかし、なんとか学位取得にまで辿り着かれたのです。

 各人の専門領域で、課題を見つけ、新たな視点を確立し、自分の考えを論理的に整理していく。そして結論に導いていく過程、これこそが学問の醍醐味です。

 学問研究を通じ、皆さんは確実にステップアップされました。学位取得という結果よりも、今日に至るまでのプロセスこそが皆さんの今後の人生における活力の源泉になるでありましょう。

 今日は皆さん方にとって新たなる旅立ちの日です。これからさらにひき続き研究に邁進される方、社会に出て企業に就職される方、道は違えど、今日は皆さん方にとって節目となる日です。

 以前、龍谷ミュージアムの館長をしていたときに、他のミュージアムの館長がやって来られて言われた言葉を思い出します。「やはり龍谷大学の大学院で勉強した人は違いますね」と言われたのです。そこのミュージアムには龍谷大学大学院を出た人が学芸員として着任していました。館長が言われるには、人の気づかないことによく気がつき、有益なアイデアをよく提示してくれて助かっているとのことでした。誇らしく思ったものです。

 一方で、社会からこんな声を聞くことがあります。大学院を出た者は組織では使いものにならない。専門に閉じこもりすぎたために、協働作業ができなどといった声です。

 また、社会を見わたせば、人類の抱えている課題が深刻化するにつれ、旧来の専門知では間に合わなくなっている事態が生じています。

 国は大学院重点化政策を推し進めてきました。しかし、いま全国の大学院は苦境に立たされています。修士や博士の学位を取得された人たちを処遇していく仕組み作りが社会に定着していないのが要因のひとつです。

 課題が山積していく現代社会において、大学における高度な専門教育の価値が社会で十分に理解されていないのです。これには大学にも責任はあります。閉塞感漂う現代社会に、新たなる価値が創出できていない。そこは大学が十分に反省すべきで、新たなる価値の創出を担うのが大学であると私は考えています。

 学問研究の価値を社会に認知させるべく、大学からの知の発信力を高めていかねばなりません。そして、社会における意識変革の一翼を担うのは皆さん方一人ひとりです。

 これから皆さんに求められるのは言葉の力です。言葉は言うまでもなく他者との交流の回路です。自らの言葉の力を養うためにまず求められるのは「聞く力」です。自分とは異なる意見であっても、相手がどのような立場でものを言っているか、背景には何があるのか、そうしたことを考えるのです。テキストを読むうえでも、全体の文脈をつかむ重要性は大学院で学んだはずです。文脈を読み取る力は人の意見を聞くという力になって現れます。

 どんなに正しい主張であっても、言葉使いを間違ったら、自分の主張は通りません。どんなに意義深い訴えであっても、言葉に誠意が込められていなければ、人の心は動きません。

 さらには他の分野の人と協働で課題に取り組める協調性はなんとしても必要です。大学院で習得したはずの課題解決能力をどうか社会で大いに発揮して下さい。その中核となるのは皆さん方の用いる言葉です。皆さん方の専門知を封じ込めるのではなく、言葉で開かれたものにするのです。

 皆さんが身につけた専門性と言葉の力を駆使して、どうか雄々しく社会に立ち向かってください。

 皆さん方は龍谷大学で研鑽を積まれました。皆さん方の獲得された専門知の根っこには建学の精神があります。わが龍谷大学の建学の精神は周知の通り、「浄土真宗の精神」すなわち親鸞聖人の精神です。

 常にわが身を省みて社会のために尽くす人格を形成させる教育の根源はここにこそあります。

 留学生の皆さんも、どうかいついつまでも龍谷大学での学びを忘れないでください。

 皆さんが本学の大学院を修了したことを誇りに思ってくださるように、私たちはこれからも魅力ある大学づくりに邁進してまいります。

 皆さんはこれからも龍谷大学の一員です。今後とも校友として篤いご支援をお寄せいただきますよう、最後にお願い申し上げて、私からの式辞とさせていただきます。

 本日はまことにおめでとうございます。

2019(平成31)年3月16日

龍谷大学・龍谷大学短期大学部
学長  入澤 崇