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2021.09.02

日本と世界の薬物政策の現状について各分野の専門家に学ぶフォーラム・レポート【犯罪学研究センター共催】

<2021/9/2更新>「シリーズ大麻ティーチイン」実施レポート

【ポイント】
・厚生労働省は「大麻等の薬物対策のあり方検討会1)を立ち上げ、医療用大麻の使用を拡大する一方で、これまで処罰の対象となっていなかった大麻の使用を犯罪化・刑罰化しようという論議を開始
・こうした議論を受けて、龍谷大学ATa-net研究センター・犯罪学研究センター研究メンバーを中心に企画した全6回の連続ティーチインは、薬物をとりまく現状を知り、薬物政策の意味を学べる内容に

龍谷大学ATA-net研究センター2)犯罪学研究センター3)は、2021年2月から6月まで、全6回の連続ティーチイン(時事問題などを討議するフォーラム)を開催してきました。本ティーチインを通じて、日本をはじめ諸外国における薬物をとりまく現状を知ること、政府政策の意味を学ぶことから始めました。これまでの実施概要・レポートは下記をご覧ください。

実施レポート(2021/8/7更新)
■シリーズ 第1回ティーチイン 「薬物使用と非犯罪化〜翻弄(ほんろう)される日本社会〜」

報告者:長吉 秀夫さん(作家)
テーマ:「大麻、その禁じられた歴史と医療の未来」
日時:2021年2月22日(月)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】

■シリーズ 第2回ティーチイン 「ハーム・リダクションとは何か?〜非犯罪化、非刑罰化、非施設化のメリットとデメリット〜」
報告者:徐 淑子(新潟県立看護大学講師)
テーマ:「オランダの大麻をめぐる政策の流れとハームリダクション」
丸山 泰弘(立正大学法学部准教授)
テーマ:「『その人らしく生きていく』を支援するポルトガルの挑戦」
日時:2021年3月30日(火)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】

■シリーズ 第3回ティーチイン 「ドイツの薬物政策~使用と所持の法規制をめぐって~」
報告者:金 尚均(龍谷大学法学教授)
テーマ:「ドイツの薬物対策」
日時:2021年4月13日(火)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】

■シリーズ 第4回ティーチイン 「日本人が知らない大麻の話〜医療用大麻とエビデンス・ベイスト・ポリシー(EBP)〜」
報告者:正高 佑志(熊本大学大学院生命科学研究部脳神経内科学分野・医師)
「日本人が知らない大麻の話〜医療用大麻とエビデンス・ベイスト・ポリシー(EBP)〜」
日時:2021年4月27日(火)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】

■シリーズ 第5回ティーチイン「薬物政策としての大麻政策 -政策としての歴史的文脈と現在の論点-」
報告者:佐藤 哲彦(関西学院大学社会学部教授)
「薬物政策としての大麻政策 -政策としての歴史的文脈と現在の論点-」
日時:2021年4月27日(火)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】

■シリーズ 第6回ティーチイン「裁判所は大麻の〈有害性〉についてどのように考えてきたのか」
報告者:園田 寿(甲南大学名誉教授)
「裁判所は大麻の〈有害性〉についてどのように考えてきたのか」
日時:2021年5月17日(月)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】

■シリーズ 第7回ティーチイン 「青少年の薬物乱用の現状と課題 ~『ダメ。ゼッタイ。』に換えられるものは何だろうか~」
報告者: 辻 健(京都府警察本部生活安全部少年課少年サポートセンター指導育成係 係長)
「青少年の薬物乱用の現状と課題 ~『ダメ。ゼッタイ。』に換えられるものは何だろうか~」
日時:2021年5月28日(金)18:00~20:00
【>>実施レポート(ATA-net HP)】


■関連イベント:
龍谷コングレス2021「課題共有型“えんたく”大麻論争とダイバーシティー(多様性):薬物使用は、犯罪か?〜使用罪は、何を奪おうとしているのか?〜」

日時:2021年6月20日(日)15:00~18:30
登壇者:
- 司会:土山希美枝
- スピーカー:加藤武士
- センターテーブル:高樹沙耶、長吉秀夫、正高佑志、丸山泰弘、吉田智賀子
【>>実施レポート(龍谷大学 HP)】

【フォーラムの概要・経緯について】
 2020年1月、龍谷大学ATA-net研究センターは設立を記念し、米国より薬物政策問題の第一人者であるイーサン・ネーデルマン(Ethan A. Nadelmann)氏をお招きして、「薬物政策とハーム・リダクション4)」に関する国際シンポジウムを開催して、つぎのことを確認しました。

<「薬物との戦争(A War on Drug)」は終わった。世界では、薬物の自己使用を犯罪として処理することを止めようという動きが本格的化している。特定の薬物を禁止して、それを使うと捕まえて、刑務所に放り込むという厳罰主義のアプローチは、当事者の回復のチャンスを奪い、支援
者との関係を断ち、地域社会の健康に有害な影響を及ぼす。わたしたちは、依存症者を処罰して、社会と刑務所を往復させる「回転ドア」を壊す必要がある。>


ところが、日本ではこれまで処罰の対象となっていなかった大麻の使用を犯罪化・刑罰化しようという論議が始まっています。厚生労働省は「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を立ち上げ、
医療用大麻の使用を拡大する一方で、これまで処罰対象ではなかった「大麻使用罪」を新設しようとしています。欧米では、医療用大麻を積極的に活用しているだけでなく、アメリカやカナダの一部の州では、嗜好品の大麻の非犯罪化が進んでいるなか、なぜ、日本政府は、このような世界的潮流に抗うような作業を始めたのでしょうか。

 龍谷大学ATA-net研究センターと犯罪学研究センターは、全6回の連続ティーチイン(時事問題などを討議するフォーラム)を開催して、日本をはじめ、諸外国における薬物をとりまく現状を知ること、薬物政策の意味を学びます。

【関連NEWS】
 - 龍谷大学ATA‐net研究センター キック・オフ・シンポジウム 第1部レポート
 - 龍谷大学ATA‐net研究センター キック・オフ・シンポジウム 第2部レポート

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【用語解説】
1)大麻等の薬物対策のあり方検討会

大麻事犯が増加傾向にあり、とりわけ若年層における大麻濫用の急増や再犯率の増加、大麻製品の流通拡大への対策を課題としつつ、大麻の医療用途への活用を含む今後の薬物対策へのあり方を議論するため、厚生労働省によって2021年1月に立ち上げられました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuhin_436610_00005.html

2)龍谷大学 ATA-net研究センター
ATA-net(Addiction Trans-Advocacy network)では、「多様化するアディクション(嗜癖・嗜虐行動)からの“立ち直り”の支援」研究テーマに掲げています。本学がこれまで培ってきた刑事政策・犯罪学・アディクションに関する研究・教育・社会実践の成果を踏まえ、ATA-netが運営の主体となって、多くの人たちが人生において直面する多様な“つまずき”(=多様な嗜癖・嗜虐行動や非行問題等)からの “立ち直り”(=主体性の回復)を支援するためのスキームの開発とその社会実装を目的としています。
https://ata-net.jp/

3)龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。実証的な犯罪学研究は19世紀後半のヨーロッパで始まり、現在、欧米諸国の総合大学では「犯罪学部」として学問・研究分野が確立されており、多様な社会ニーズに応える人材を多く輩出しています。2016年6月に発足した龍谷大学 犯罪学研究センターは、建学の精神を具現化する事業として、犯罪予防と対人支援を基軸とする本学ならではの「龍谷・犯罪学」の創生に向けた研究と社会実装活動を展開しています。
http://crimrc.ryukoku.ac.jp/

4)ハーム・リダクション政策
薬物政策の手法の一つ(ハーム・リダクション=害悪の軽減)。欧州では、一定の要件のもと、清潔な注射針や代替薬物を提供したり、自己使用の非犯罪化・少量所持の非刑罰化するなどして、当事者や地域社会への害悪を減らすための政策が実施されています。