社会学部の「社会共生実習(地域エンパワねっと・大津中央)」(担当教員:脇田健一教授)では、滋賀県大津市の中心市街地にある中央学区の住民の皆さまとのコラボを通じて、地域活性化に取り組みます。課題を地域住民とともに学生自身が見つけ出し、その課題解決に向けて活動します。
これまでに、受講生たちは安孫子邦夫さん(大津市中央学区自治連合会顧問)から中央学区の現状を学び(その様子は【こちら】)、岩原勇気さん(NPO法人BRAH=art. 理事長)から地域と福祉のつながりを学びました(その様子は【こちら】)。
それらの学びをもとに、5/18(日)に「大津市中央学区」に赴き、実際にまち歩きをおこないました。まち歩きでは、要所で担当教員による解説がなされました。
大津駅の電光掲示板にて
大津駅ロータリー前の看板
座学で勉強した「車石」についての看板がありました。
江戸時代には人・物が行き交い大変栄えていました。大津宿は、東海道五十三次の中で最も人口が多かったと言われています。
道幅も広くなりました
以前は木造住宅が立ちならんでいた狭い通りでしたが、現在は区画整理事業が行われて新しい住宅が立ち並んでいます。高層マンションも建設されています。
「寺町筋」での解説の様子
メモをとる受講生
虫籠窓のある町家
伝統的な意匠を有する町家があちこちにあります。
こちらの町家には2階に「虫籠窓(むしこまど)」がありました。
以前と比較して、このような町家は少しずつ減少してきています。街の景観が少しずつ変化してきているのです。町家がなくなった跡には、たくさんのマンションが建設され、若い家族世帯の皆さんが転入されてきています。
「寺町」の琺瑯看板
いたるところで旧町名を記す琺瑯(ほうろう)看板を見つけることができます。これは、NPO法人大津祭曳山連盟が、まちづくり活動の一環として取り付けられたものです。
「上小唐崎町」の琺瑯看板
景観が少しずつ変化していくなかで、旧町名という大切な町の歴史や記憶が風化しないようにとの想いが込められています。
整備された旧東海道
こちらは「旧東海道」の現在の姿です。
かつての宿場町の歴史を感じ取ることのできる景観に整備がなされた際、電線は地中に埋められました。
中央市民センター前にて
自治会活動の拠点となる「中央市民センター」の位置も確認しました。
石田歯科医院
(登録有形文化財)
登録有形文化財も目に留まります。
こちらは現在「石田歯科医院」として営業されていますが、昭和初期に建てられた洋館です。
大津市旧大津公会堂
(登録有形文化財)
こちらも登録有形文化財の建物で「大津市旧大津公会堂」です。
現在は指定管理者制度を活用して先に報告した岩原勇気さんが理事を務めておられるNPO法人BRAH=art.が指定管理者としてこの施設を管理されています。
旧公会堂2階及び3階は、貸室や貸ホールとして整備され、市民や観光旅行者の方々が交流できるスペースとなっています。
廊下や交流スペースには町の歴史がわかる古い写真が展示されています。
交流スペースの様子
展示されている写真で歴史を学びました
京阪の浜大津駅まで行くと「浜大津こだわり朝市」が開催されていました。
琵琶湖の魚介類や地酒など、滋賀の食をメインに、県内の生産者を中心としたこだわりの産品が揃っています。
「浜大津こだわり朝市」のチラシ
会場の様子
琵琶湖に浮かぶ沖島の皆さんが、琵琶湖で漁獲した新鮮なワカサギを天ぷらにして販売されていました。教員と学生たちも、この「湖の幸」を味わいました。
パチパチといい音が…
いい香りが漂っていました
滋賀の地酒を試飲できるブースも設けられており、ここに集う方々との交流も楽しむことができました。
ご来場の方々との交流
可愛いおちょこを見つけました!
ふと足元に目をやると、歴史を伝えるパネルがあることも。
こちらは江戸時代に設けられていた近江米の取引所である「大津御用米会所」の解説パネルです。
当時の石畳が現存しているので当時の米取引の時代の面影を偲ぶことが出来ます。
「大津御用米会所」の解説パネル
現存する石畳
玄関先にちまきを発見!
町家にちまきが飾られているのを見つけることもできます。
これは「大津祭」という湖国三大祭のひとつで国指定の重要無形民俗文化財に指定されているお祭りで撒かれるちまきです。玄関先につるしておくと、厄除けになると言われています。
本プロジェクトでは過去にNPO法人大津祭曳山連盟のご協力もと、「大津祭」に参加させていただいたこともあり、関係の深いお祭りです。
街のあちこちにはお地蔵様が祀られているのを見かけます。丁寧に地域の皆さんがお世話をされていることがわかります。このようなお地蔵様の中には、道路整備や住宅やマンションの建設などの際に出土したものも含まれており、地域で大切にお世話されていることが伺えます。
江戸時代、「鰻の寝床」と呼ばれるような細長い町家がたくさん立ち並んでいた当時の街並みを想像することができる敷地をよく目にします。間口の狭い敷地にすることで、たくさんの商店が道に沿って商売をすることができました。
素敵な玄関アプローチを見つけました
かつての町家の「庭」は狭かったわけですが、家を建て替えて、町家がなくなった敷地にたくさんの鉢植えを並べて緑を楽しんでおられる様子も拝見できました。軒下に鉢植えを並べておられるお宅もたくさんあります。これも、まち歩きの楽しみのひとつだと思います。
ビルの壁に面影が…!
こちらのコインパーキングではもともとあった町家の面影が、隣のビルの壁に形となって残っているのを発見しました。町家自体は取り壊されましたが、その跡がとなりのビルに「写絵」のように残っているのです。
大津百町館
大津の町家の存在を広く発信し、町の活性化と心地よいまちづくりのために、町家の活用や保存などを目的に発足した市民団体「大津の町家を考える会」の拠点、「大津百町館」の一角をお借りして、昼食を摂りました。この「大津百町館」は、かつての町家の室内の様子がよくわかるようになっています。
本プロジェクトでは「大津百町館」にも大変お世話になっています。直近では、大津中央学区の地域住民の方々の思い出の場所を撮影した写真を展示した空間で、地域住民たちの交流を目的としたイベント「中央の記憶 レトロ写真展」を開催したことが記憶に新しいです。(その様子を掲載した過去の記事は【こちら】です。)
まだまだ書ききれないほどの歴史と情緒ある本プロジェクトの実習フィールド「大津市中央学区」。株式会社まちづくり大津が提供されている大津百町まちあるきMAPを見ながらまち歩きするのもお勧めです。
今回のまち歩きが今年度の受講生たちの活動にどのように影響するのか、今後の展開を見守りたいと思います。
社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。
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