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【本件のポイント】

・2021年度龍谷大学里山学研究センター※1共催のシンポジウム「琵琶湖流入河川の瀬切れと回遊魚―社会・生態システムの視点から掘り下げる―」を11月6日(土)にオンラインにて開催

 

・瀬切れが河川性動物に与える影響についてだけでなく、瀬切れが発生する要因を地形や社会的背景から掘り下げ、人と自然が共存できる持続可能な社会へつなげるための議論を展開

 

・里山学研究センターでは、2015年度の文部科学省 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の採択を契機に、琵琶湖の保全・再生に「Satoyamaモデル」を活かす政策を模索

 

【本件の概要】

琵琶湖流入河川の多くでは夏場に毎年、大規模な瀬切れが発生しています。瀬切れとは、河川の水の流量が減少し、河床が露出して表流水が途切れてしまう状態のことをいいます。瀬切れの発生は河川性生物に強い影響を与え、特に河川と湖などを移動する回遊魚にとっては重要な問題です。

しかし瀬切れは、夏場の降水量や地形によるものだけではなく、農業など人々の生活や社会の仕組みなど様々な要因で引き起こされます。

そこで本シンポジウムでは、瀬切れを生態学的視点から見た講演2本と社会・歴史・地形などの視点から見た講演2本を設け、皆さまと瀬切れについて社会・生態システムの視点から深く考えていければと思います。

 

1.開催日時 : 2021年11月6日(土) 13:00~16:00

※一般来聴歓迎、入場無料、事前申し込み制

 

2.開催場所 : Zoomによるオンライン ※申込は下記HPにて

https://forms.office.com/r/0bAEgy5qwx

※取材の場合は別途お問い合わせください。

 

3.プログラム:

13:00 趣旨説明

13:05 「トウヨシノボリ当歳魚と瀬切れ」

      太田 真人(龍谷大学里山学研究センター)

13:45 「瀬切れの原因と影響:アユの各生活史の産卵量に着目して」

      沢田 隼(龍谷大学大学院理工学研究科)

14:30 「瀬切れをめぐる社会的背景」

      秋山 道雄 氏(滋賀県立大学名誉教授・龍谷大学里山学研究センター)

 

15:10 「天井川の成因としての過去の自然への作用の検討」

      林 珠乃(龍谷大学先端理工学部・龍谷大学里山学研究センター)

15:50 総括

(オーガナイザー:太田 真人・林 珠乃・三木 健(龍谷大学先端理工学部教授))

 

4.発表者プロフィール

・太田 真人

龍谷大学里山学研究センター・博士研究員。1985年生まれ。龍谷大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。著書に“Break marks on she wings of butter-files and predation pressure in the field”(共著、Entomological Science,17(4),2014).「森里川湖のくらしと環境―琵琶湖水域圏から観る里山学の展望―」(共著、晃洋書房、2020年).「琵琶湖流入河川におけるトウヨシノボリを用いた瀬切れ規模の評価の試み」(共著、応用生態工学24(1),2021)など。

 

・沢田 隼

株式会社西日本科学技術研究所・研究員。1993年生まれ。龍谷大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。著書に「アユの炭素・窒素安定同位体分析のための脂質量補正式と筋肉、卵巣、粘液における濃縮係数」(共著、魚類学雑誌 65(1),2018).“Isotope analysis reveals proportional change and site‐selection variation of river‐and lake‐produced eggs of a landlocked migratory fish ”(共著、Journal of fish biology 96(1),2020).“Turnover rates for muscle, mucus and ovary tissues of ayu fish (Plecoglossus altivelis altivelis) in multiple stages determined through carbon and nitrogen stable isotope analyses ”(共著, Ecology of Freshwater Fish 30(4),2021)など。

 

・秋山 道雄 氏

滋賀県立大学・名誉教授。1949年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。著書に「環境用水―その成立条件と持続可能性―」(共編、技報堂出版、2012年).「琵琶湖と環境」(共編、サンライズ出版、2015年).「琵琶湖岸からのメッセージ 保全・再生のための視点」(共編、サンライズ出版、2017年). 森里川湖のくらしと環境―琵琶湖水域圏から観る里山学の展望―」(共著、晃洋書房、2020年)など。

 

・林 珠乃

龍谷大学先端理工学部・実験助手。1975年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。著書に「里山学のまなざし―<森のある大学>から―」(共著、昭和堂、2009年).「里山のガバナンス―里山学のひらく地平―」(共著、晃洋書房、2012年).「里山学講義」(共著、晃洋書房、2015年). 森里川湖のくらしと環境―琵琶湖水域圏から観る里山学の展望―」(共著、晃洋書房、2020年)など。

 

 

5.主催 : 個体群生態学会

    共催 : 龍谷大学里山学研究センター

 

6.用語説明 :

※1 龍谷大学里山学研究センター

 

問い合わせ先:龍谷大学里山学研究センター事務局 
                               Tel 075-645-2154 Mail satoyamagaku@ad.ryukoku.ac.jp


地域公共人材・政策開発リサーチセンター(LORC)とLAB応用化学大学が共同で書籍を出版したことを記念し、学長を表敬訪問し書籍を贈呈しました。

書籍名は” Japanese and Finnish Development of Wellbeing and Clean Environment – practices in Kyoto prefecture and Päijät-Häme region” <LAB応用化学大学出版社>です。
本書籍は、イントロダクションと6章から構成されており、環境問題、クリーンエネルギー、脱炭素社会、市民参加、持続可能性等をめぐって、フィンランド(ラハティ)と日本(京都)の取り組みを紹介しています。

LAB応用化学大学はフィンランドのラハティ市にあります。ラハティ市は、首都ヘルシンキから北へ100キロメートル離れたところに位置し、人口約12万人、フィンランドで8番目の都市です。豊かな緑に囲まれ、環境に配慮した開発によって、環境にやさしい都市として国際的にも認知されています。European Green Capital 2021*にも選ばれている都市です。
*欧州グリーン首都賞 は、欧州連合 (EU)の 欧州委員会 環境局が主催している 環境分野の自治体賞 。

LAB応用化学大学とLORCは、地域における持続可能性(とりわけ環境に着目)をテーマに、2018年度から研究交流を開始しました。LORCとの研究交流がきっかけとなり、龍谷大学とLAB応用化学大学(2018年度は究明のラハティ応用化学大学)は、2018年度に一般協定を締結し、2020年度からはLAB応用化学大学が加盟するエラスムスジョイントマスタープログラムにおいて、龍谷大学がアカデミックパートナーとして参加しています。

LAB応用化学大学メンバーを含むラハティ市からの使節団は、2018年、2019年秋に2度、龍谷大学を訪れ、何れの訪問時にも入澤学長と面談する機会を得ました。訪問時には、LORCと共同ワークショップを開催したり、LORCがコーディネーターとして京都府や京都市等への訪問に同行しています。

今回の書籍出版を記念して、10月17日(日)には、国際シンポジウム”Finish-Japanese Cooperation: Regional Development and Circular Economy (フィンランド・日本間の連携―地域活性化と循環型経済)」をフィンランド大使館内メッツァ・パビリオン( 〒106-8561 東京都港区南麻布3-5-39)においてハイフレックスで開催しました。(フィンランドからはオンラインで参加)


※写真撮影時のみマスクを外しております


本学の『百縁夕食』の取り組みについて、朝日新聞出版が毎週発行する週刊誌「AERA」(2021年10月25日発行)に掲載されました。

学生3名にも取材に協力いただき、コロナ禍での学生生活や『百縁夕食』を利用した感想など、学生の想いをお話しいただきました。

本記事については、オンラインメディアのAERAdot.にも掲載されておりますので、ぜひご覧ください。
https://dot.asahi.com/aera/2021102200046.html?page=1



本学では、昨今の新型コロナウイルスの感染状況等に鑑み、11月8日(月)から「新型コロナウイルス感染防止のための龍谷大学行動指針」における『活動制限レベル』を「レベル1」に引き下げます。

ただし、授業については準備期間を設ける必要があるため、「レベル1」に基づく授業の開始時期は11月13日(土)からとします。(11月8日(月)から11月12日(金)までは移行期間とします。)

なお、「レベル1」への引き下げに伴い、授業実施形態がオンライン授業から対面授業に変更となる科目については、各授業担当者から、manaba等を通じて連絡があります。今後manaba等を確認するようにしてください。

活動制限レベルは引き下げられますが、コロナ禍での授業運営となることに変わりはありません。本学では、より徹底した感染予防対策を講じています。みなさんにおいても、引き続き感染予防に努めていただきますようお願いいたします。

 

2021(令和3)年10月28日
龍谷大学・龍谷大学短期大学部
 


【ポイント】
・諸外国で盛んに行われる矯正施設での芸術活動とその研究。日本の矯正施設においても何らかの表現活動や文化活動は行われているが、あまり見えてこない実態がある。
・MoMA PS1で行われた展覧会「Marking Time: Art in the Age of Mass Incarceration」のキュレーターであるニコル・R・フリートウッドは、“プリズン・アート”はアウトサイダー・アートとは異なるものとして、「Carceral Aesthetics(監獄の感性学)」という独自の概念を提唱。
・第3回研究会では、エクアドルの事例紹介をもとに、刑務所におけるアートプロジェクトが関わる人々にどのような影響をもたらしたのか、参加者と議論を展開。

龍谷大学 犯罪学研究センターは、2021年9月から「刑務所と芸術研究会」の実施に協力しています。本研究会主催者の風間勇助 氏(東京大学大学院博士課程2年/犯罪学研究センター嘱託研究員)は、「刑務所と芸術」をテーマに、アートマネジメントの観点から、刑務所(矯正施設)の内と外との対話の回路をどのように作りうるのかについて研究しています。

10月9日(土)に実施した第3回研究会では、「社会的意義:アートプロジェクトとしての“プリズン・アート”?」をテーマに、エクアドルの女性刑務所において女性受刑者とともに壁画を制作したミヤザキケンスケさんにお話を伺い、刑務所におけるアートプロジェクトが関わる人々にどのような影響をもたらしたのか議論を展開しました。
>>参考記事:「第1回 刑務所と芸術研究会」開催レポート
>>参考記事:「第2回 刑務所と芸術研究会」開催レポート

実施概要: (>>EVENTページ
■第3回 刑務所と芸術研究会「刑務所と芸術を考える‒‒阻む壁、実践、社会的意義」

日時:2021年10月9日(土)14:00〜16:00
テーマ:「社会的意義:アートプロジェクトとしての“プリズン・アート”?」
【話題提供者】:
風間勇助(東京大学大学院博士課程2年/犯罪学研究センター嘱託研究員)
【ゲスト】:
・ミヤザキケンスケさん(画家)
・熊倉純子さん(東京藝術大学教授)


風間氏の報告スライドより1

風間氏の報告スライドより1


風間氏の報告スライドより2

風間氏の報告スライドより2

下記は、当日の話題提供およびコメントの要旨を抜粋したものです。

■風間氏による話題提供:
はじめに、企画者からの話題提供として、MoMA PS1で行われた展覧会「Marking Time: Art in the Age of Mass Incarceration(時を刻むということ:大量投獄時代におけるアート)」のキュレーターであるニコル・R・フリートウッドが、“プリズン・アート”はアウトサイダー・アートとは異なるものとして、「Carceral Aesthetics(監獄の感性学)」という独自の概念を提唱したことを紹介。すなわち、作品そのものだけでなく、その作品が作られるプロセスや、その作品がどのような人々あるいは社会との関係性のうえにあるのかといったことに着目する必要がある点にふれ、今回の第3回研究会では、エクアドルの女性刑務所において女性受刑者とともに壁画を制作したミヤザキケンスケさんにお話を伺い、刑務所におけるアートプロジェクトが関わる人々にどのような影響をもたらしたのかを皆で検討したい、と述べました。

■ミヤザキケンスケさんによる講演:
はじめに、ライブペイントやワークショップ、壁画を描いて国内外で活動を続けている画家のミヤザキさんの活動紹介が行われました。2006年、ケニアのスラム街にある小学校の壁に子どもたちとカラフルで明るい絵を描いたミヤザキさん。2011年からは東北、2016年に東ティモール、2017年にウクライナ、2018年にエクアドル、2019年にハイチなど、国内外の被災地や紛争地で、平和の壁画プロジェクト「Over the Wall」を続けています。(※各プロジェクトの詳細は、ミヤザキさんの公式HPを参照のこと https://www.miyazakingdom.com/archives/
壁画プロジェクト「Over the Wall」の特長は、①共同作業 ②子どもたちとのワークショップ ③世界展開という点にあります。当初は自費でスタートしたプロジェクトが、次第に国際的評価を得るようになり、日本と相手国の周年事業に認定されたり、国連機関の支援を得たりするなど広がってきました。今回の研究会で主に紹介された2018年のエクアドル壁画プロジェクトは、「刑務所で生まれ育つ子どもたちに愛を伝える壁画を」をテーマに、日エクアドル外交関係樹立100周年事業として行われました。

エクアドルの首都キト・キトゥンベにある「Centro de Rehabilitación Femenino (女子刑務所)」には、当時約50名の受刑者が収容されていました。また、日本の矯正施設では考えられないことですが、乳幼児保育の目的から受刑者の子どもを預かる施設が併設され、母親以外に頼る存在がない乳児、幼児約40名が母親と共に塀の中で生活をしていました。受刑者の大半は、生活のためにドラッグの売買に関わり検挙された人たち。ミヤザキさんが訪れた際には、日中は受刑者が自由に出歩いたり、洗濯をしたりしていて、社会復帰のための更生施設という印象を受けたそうです。しかしながら、エクアドル法務省の担当者に「受刑者の大半は、出所しても『生きる目的』のようなものがないので、再びドラッグの売買に手を染めて、施設に戻ってきてしまう。このプロジェクトが変わるきっかけとなって欲しい」と聞き、いくつかのハードルを越えてプロジェクトの実現に至りました。
ミヤザキさんは、「刑務所という閉じられた環境で暮らす子供たちに少しでも明るくポジティブな幼少期の記憶を残してもらいたい。また、受刑者である母親と共同で壁画を制作することで、彼女たちの社会復帰後の社会生活を前向きなものにしたい」という思いを強くもったそうです。

受刑者が主役となるような絵にしたいと考え、花を描くことにしたそうです。壁画は、エクアドルの先住民族の話「ハチドリのひとしずく(Hatching the Egg of Hope)」*1から着想を得て、花畑の中にプレゼントを持ったハチドリが飛び交い、それぞれの花をめぐってプレゼントを届けてくれるようなイメージ。ミヤザキさんは、日本から100種ほどの花の写真と花言葉の資料を持参し、受刑者が1輪ずつ、自分の子どもをイメージした花を描けるようにサポートしたそうです。やがて、言葉は通じずとも、絵を描きこんでいく中で、同じ作品を作る仲間として打ち解けていきました。また、作品制作でもう一つ大切にしたいと思ったのは、子どもたちのこと。母親が描く姿を見てもらう時間を設けたり、子どもたちに向けたワークショップを企画したりする中で、幸運にも施設職員から多くのサポートを受けられたそうです。


ミヤザキさんの講演資料より

ミヤザキさんの講演資料より


※同プロジェクトの壁画写真は、ミヤザキさんの公式HPを参照のこと 

プロジェクトの最終日、受刑者の数名がスカートに花々を描いて、エクアドルの伝統的なダンスを壁画の前で披露しました。実は最終日まで描くことのできなかった受刑者がひとりだけいましたが、最後にミヤザキさんにその理由を打ち明けてくれたそうです。「自分がこのような場所にいることが信じられず、どうしても描くことができなかった。ただ日に日に壁が変わっていく様子を見て、どん底だった気分が良くなっていった」と言って歌を披露してくれ、その場にいた皆が感極まったそうです。ミヤザキさんは「立場は異なるけれど、共感できる瞬間があることを再認識した」と、当時を振り返りました。
 

■スピーカーによるディスカッション(一部抜粋)
風間さん:エクアドルでの活動について、本当はやりたかったけれどできなかったことはありましたか?
ミヤザキさん:僕は女性受刑者たちと共に一定の時間、絵を描く活動をしていたのですが、彼女(受刑者)たちが夜間収容されている鉄格子の所までは行かせてもらえませんでした。また、彼女たちの生活スペースである場所にも絵を描きたかったのですが、それも許されませんでした。

風間さん:基本的にはどのプロジェクトでもミヤザキさんが下絵を描き、参加者が着色するというやり方でしたか。
ミヤザキさん:そうしたケースが多くありますが、言われたことをやりたい人と、自分で考えてやりたい人に分かれるので、うまく見極めながら、やりたいことと、やっていいことをすり合わせていきました。

風間さん:自由に描きたいという衝動が起こってきて、それがミヤザキさんの意図と調和しないことも起こりうるものですか。
ミヤザキさん:下絵を作り、どういったものを作っていくかという構想を最初に示して、その後、各自に担当するスペースを与えるのですが、自由に描くのが好きという人は1割ほどしかいません。絵の具に抵抗があってある程度導いてもらった方が楽しく描けるというパターンや、ある程度描けるようになったらスイッチが入るというパターンの方が多いので、どちらかというとリードすることが多くあります。

熊倉教授:その後、絵を描いてくれた人たちとのやり取りはありますか。
ミヤザキさん:受刑者の方とは直接連絡を取ることはできなかったのですが、施設にいらっしゃった方やエクアドル法務省の方、そして日本人サポーターの方などを通して、様々な情報をいただいています。

熊倉教授:(第2回研究会にも登壇された)美術家の小山田徹さんが「手を動かす作業には大事な場面が多い」とおっしゃっていたのですが、大人になると自意識の影響で絵は上手く描かなければと思ったり、エクアドルの人がどうなのか分かりませんが、芸術や表現は満たされた人間がするものだという風に無意識に思ってたりする人が多いように感じます。今回のご報告を通して、最初は遠巻きに見ていたような人たちが、プロジェクトが進むにつれてミヤザキさんに近づいてくるような様子がすごくよく分かりました。
ミヤザキさん:僕自身、物を作るということは、やはり作り手が作るものだという意識が強くあったので、当初は手伝ってもらうことに抵抗がありました。今はさまざまな人に制作に参加してもらっていますが、どこまでやっていいのか気にされる方が多いようです。面白いのは、参加時間が長くなるほど作品への思い入れが強くなったり、皆で大事に作品を作っているという空気ができ、作品が違う方向に向かうのをある程度止めてくれるようなところがあります。
 

■全体ディスカッション(一部抜粋)
Q. 暗い絵を描く子どもや収容者の人はいませんでしたか。そんな時、どうされますか?
ミヤザキさん A.
「こういう絵は描かないで」と言うことは基本的にはありません。ただ、僕は“Super Happy”というコンセプトで活動しているので、ネガティブなものは描きません。参加者には「皆をハッピーにするために公共物に絵を書いているので、ネガティブな発信をしたくない」とは言うかもしれません。何のために、誰のために絵を描くのかを先に伝えるので、そこで個を少し押さえてもらうことはあると思います。
もちろん、ワークショップなどで暗い絵を目にした時には、描いた方の話を聞きます。また、子どもたちが描く絵に対してどう反応したらよいのか難しいこともありますが、どんな絵を描いていたとしても何も描かないよりは何か描いた方がいいと思うので、どんどん手を動かしてもらいます。参加してもらうことに意義がある、という感じで関わることが多いかもしれません。

Q. プロジェクトの作品には、とても明るい色合いのものが多いように感じました。日本からは何色ぐらい、どのような画材を持ち込んでいるのですか?また、ミヤザキさんから参加者に「この色やこの画材がおすすめ」と勧めることはありましたか?
ミヤザキさん A.
サクラクレパスの水性アクリル絵の具のチューブをよく使っています。ペンキは航空便で輸送する際に爆発の可能性から規制されることが多くあるので、使用する塗料の多くを現地調達しています。世界中ほとんどの国で日本の塗料メーカーの製品が扱われているので、基本的に現地でそれらを調達しますが、逆に取り扱いがない国では日本のメーカーにはないような派手な塗料がたくさんあるのでそれを使用します。また、共同制作の場合、あまり色を混ぜて使うと同じ色を再現するのが難しくなるので、基本的には塗料そのままの色を使って、ビビッドに描いてもらうようにしています。

Q. 各国のプロジェクトを行うにあたり、モチーフなどを事前に相談・提案することはありますか?また、これまでの失敗などはありますか?
ミヤザキさん A.
初めてケニアのスラム街をプロジェクトで訪れた際に学校の壁にドラゴンの絵を描いたのですが、その結果、全く人が寄ってこなくなりました。後日先生に呼び出され、そのドラゴンが怖すぎて登校拒否になった子どもたちがいて、保護者が大激怒していることを伝えられました。よく聞くと、アフリカには家畜を丸呑みにするような大蛇がいて、子どもたちはそれが大嫌いなのに、僕がそれを描いたと受け取られていたようです。そのような経緯を経て、子どもたちの好きなものをリサーチして他のモチーフを上書きしました。この経験から現在は、公共物、特に壁に描く絵はその地域の生活に根付くものなので、現地の人々に寄り添えるものになるような関係作りをするようにしています。
これまで提案したけれど受け入れられなかった例としては、ウクライナの紛争地域のプロジェクトで、プレゼントがパラシュートで降りてくる絵の構想が「爆弾のように見える」ということで、他のモチーフへ変更しました。また、エクアドルの女子刑務所のプロジェクトで、花の中に母子を描く計画がありましたが「個人的な姿を絵に残すのは良くない」ということで、人を描くのはやめることになりました。このように、場所によっては自分の考えとは違う風に受け取られる可能性があるので、状況に応じて変えるようにしています。

Q. 落書きって、その国や社会の文化を反映していますよね。日本で白い壁に描かせてくれるところはありますか?
ミヤザキさん A.
僕は「誰のために描いた絵なのか」ということを大事にしています。絵に文句を言う人がいても、誰が、誰のためにどういう思いで描いたのか説明すると、おさまるように思います。よって、日本のどこかで壁画を描く時は、その地域の状況を踏まえて受け入れてもらいやすい方法を考え、関わる人とコラボレーションして作るという方法を考えると思います。壁画は作って終わりではなくその場所に残るものなので、完成後も一緒に作った仲間を思い出すことができるのがその面白さではないでしょうか。世界中で活動してそこで仲間を作ることを繰り返すことで、きっと人生が豊かになる。そのような経験をし続ける人生を送りたいというのが、僕の一番の願いです。また、壁画を何百年、何千年と残したいのではなく、住んでいる人と共に風化していく位の期間で残したいと考えています。
※ここで風間さんより岡山刑務所の壁画とその保存に関して、また、広島拘置所の巨大な龍の壁画についても話題提供がなされた。(下記URL参照)
https://www.sanyonews.jp/article/1072957
https://tabetainjya.com/archives/nakaku2/200/


写真:上段左よりミヤザキケンスケさん/熊倉純子さん/風間勇助さん

写真:上段左よりミヤザキケンスケさん/熊倉純子さん/風間勇助さん


■総括コメント:
熊倉教授
「20世紀の最後の四半世紀頃から主に表現者たちが純粋な気持ちで様々な新しい活動をはじめ、21世紀になってからは大きなパラダイムシフトが起こっているということについて、研究が進んできています。それでもなお、美術作品と政治性に関してはいまだに様々な議論があり、表現という行為と創造的であることについても問題視されている部分があります。しかし、今回の研究会を通して、ミヤザキさんの活動が楽しんで表現することについて様々な人に大きな影響を与えているという風に思い、頼もしく感じました。」

ミヤザキさん
「本日このような機会を与えてくださったことと、皆さんに興味を持っていただいたことを本当にうれしく思います。風間さんのお話で、刑務所における芸術活動の中で圧倒的に人気があるのは絵だとおっしゃっていたことが、とても心に残っています。極限の状況で絵というものを欲する人間の気持ちがある限り、絵というものは無くならず、必要なものではないかと思いました。僕も自身の活動をより広く発信したいと思います。」

風間さん:
「手探りの中で『刑務所と芸術研究会』を企画し、開催に至りました。第1回研究会では矯正関係者と、僕を含めたアートマネジメントや文化政策の研究者とタッグを組んで話をしました。その結果、刑務所と芸術をつないでいく研究をしていく覚悟を決めることができました。また、第2回研究会では、矯正施設で生まれたコミュニケーションを面白く感じてくださるアーティストの方々がいらっしゃることが非常に励みになりました。そして最終回である今回は、ミヤザキさんのお話から様々な可能性を感じ、とても楽しそうなプロジェクトの現場をご報告していただきました。本当にありがとうございました。」

研究会終了後のアンケートでは、刑務所におけるアートプロジェクトの印象について、参加者から次のようなコメントが寄せられました。

参加者の声(一部抜粋):
・ことばのいらない表現という点で、絵を描くというのは救いになるんだろうなと思います。受刑者のなかにも、十分にことばで表現するスキルがなく、そこから犯罪に手を染めてしまう人も多いと聞きます。アートが更生の手段として入り込めたら、それは大きな力になることと思いました。
・(エクアドルのプロジェクトで)一人「描かなかった」受刑者が、イベント最後に歌ったというお話には、不覚にもウルウルしてしまいました。同じ芸術でも音楽というジャンルがありますが、刑務所など処遇施設での音楽への取り組みはどうなのか、知りたくなりました。
・エクアドルの刑務所の中で保育される子どもたちにとっては、外界の厳しい現実に直面して心折れるよりも、刑務所内の保護された空間で心身の安全が保障されて育つほうがより望ましいのかもしれないと素朴に思ってしまいました。

第3回研究会のテーマは「社会的意義:アートプロジェクトとしての“プリズン・アート”?」でした。末尾に「?」が付いている通り、公共財としてのアート作品には最適解らしいものはあるのかもしれませんが、このアートプロジェクトはその作品制作に関わる人々や地域社会との関係性、そしてその制作過程や風化など、複合的な視点によって捉えられるものだと考えさせられる内容でした。また、第1回から第3回までの「刑務所と芸術研究会」の開催を通じて、刑務所(矯正施設)の内と外との対話の回路についても、その答えは一つではなく多様であり、参加者それぞれに問いかけられているように感じました。

────────────────────────────
【補注】
*1 「ハチドリのひとしずく(Hatching the Egg of Hope)」
ある日、森が火事になり、動物たちが我先に逃げる中、一滴ずつ水を運ぶハチドリに対して、森から逃げた動物たちは「そんなことして何になるのだ」と笑いますが、ハチドリは「私は、私にできることをしているだけ」と答えました。ちいさな力の大切さを教えてくれる物語です。
辻 信一 監修(2005)「ハチドリのひとしずく いま、私にできること」光文社
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334974916


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作成者有限会社アップルップル

作成日2016/04/26

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  • ウクライナ支援のための募金活動を行っています【ボランティア・NPO活動センター】

    ボランティア・NPO活動センターでは、学生スタッフが中心となり、ウクライナ支援のための募金活動に取り組んでいます。5月23日(月)昼休みには、深草・大宮・瀬田の各キャンパスで募金活動を実施しました。 学生・教職員・その他関係者のみなさまなど、多くの方にご協力をいただくことができました。募金にご協力いただいた皆様、ありがとうございました。 今後も次の日程で募金活動を実施いたしますので、ご協力をお願いいたします。 ◆今後のウクライナ支援募金活動・日程◆ 日時: 5/25(水)、5/27(金)、5/31(火)、6/2(木) 12:45~1...

  • 【端艇部】第75回朝日レガッタ 6種目でメダル獲得

    2024年5月3日〜5月6日に関西みらいローイングセンター(滋賀県立琵琶湖漕艇場)で開催された第75回朝日レガッタに男女合わせて12艇が出場しました。 朝日レガッタは本学端艇部の練習拠点である琵琶湖で開催される大会であり、本学端艇部にとってシーズンのスタートを切る重要な大会です。 今年は金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル2個と言う最先の良いスタートを切ることができました。男子ダブルスカルは2連覇を果たしました。 本学端艇部は、6月に全日本選手権に挑みます。 引き続きのご声援、よろしくお願いいたします。 <龍谷大...

  • 龍谷大学付属平安高等学校 高大連携教育プログラム成果報告会を開催しました

    経営学部では2023年4月入学予定の龍谷大学付属平安高等学校の高校生を対象に高大連携教育プログラムを実施しています。入学前に社会で要求される能力が何であり、なぜ必要とされているのかを体験してもらい、キャリア教育を先取りして体験し、入学後に獲得すべき知識がなんであるのかを学ぶことを目的としています。3か月に渡り取り組んできたワークが終了し、2月16日に成果報告会が開催されました。高校生は緊張した面持ちでしたが、準備を重ねてきたこともあり、堂々とした発表をしていました。

  • 「ちがい」を受け入れてくれる場所での現場体験【社会共生実習】

    社会学部『社会共生実習(多文化共生のコミュニティ・デザイン~定住外国人にとって住みやすい日本になるには?~)』(担当教員:現代福祉学科 准教授 川中大輔)では、受講生それぞれの関心や問題意識に沿ってチームに分かれ、コミュニティパートナーとなる受入先団体で活動しています。 受入先のひとつであるNPO法人東九条地域活性化センターは、年齢や民族や価値観や心身の状態などのいろいろな「ちがい」を自然に表現できる場所としてコミュニティカフェ「ほっこり」を開設されています。12月10日には、本実習の受講生である陸...

  • 実践真宗学研究科進学ガイダンス(1月14日)開催ご案内【文学部】【実践真宗学研究科】

    実践真宗学研究科では、春期入学試験の受験を検討しているみなさんを対象とした進学ガイダンスを、開催いたします。 ホームページにて、実践真宗学研究科紹介動画も掲載しておりますので、ご覧ください。 是非、実践真宗学研究科の受験を検討をいただきますようにお願い致します。関心のある方は、文学部教務課(大宮)までお電話いただきますようにお願いいたします。 <実践真宗学研究科進学ガイダンス> 1 オンラインによる進学ガイダンス 日 時: 2021年1月14日(木) 12時30分~13時10分 質問方法: オンラインにてご説明をいたし...

  • 学長法話(瀬田学舎)

    8:40からの瀬田学舎樹心館での朝の勤行に引き続き、入澤崇による法話がございます。Youtubeおよびインスタグラムで配信します。 https://youtube.com/live/gkK5lWwIKA8

  • 【犯罪学研究センター】2018年度第2回CrimRC公開研究会

    日 時:2018年5月22日(火)18:15~19:45 場 所:至心館1階フリースペース 報 告:1)牧野 雅子<犯罪学研究センター博士研究員(PD)> タイトル:捜査機関の性暴力認識 ――「性犯罪」加害者に着目して 2)中根 真<「保育と非行予防」ユニット長 / 短期大学部・教授> タイトル:「保育事業における非行予防の機能・役割に関する歴史的研究」 参加費無料・事前申込不要のどなたでも参加可能な研究会です。 なお、第3回は7月17日(火)18:15~19:45を予定しています。 (6月はジョン・プラット氏の講演に差し替えになりました。)

  • 進学相談会

    龍谷大学入試アドバイザーが、各地の進学相談会で受験生の個別相談に対応。 キャンパスの雰囲気や大学生活、入試制度、学費、各学部の特色等について分かりやすくご説明します。 主催業者:アクセスリード

  • 卒業証書・学位記授与式(深草学舎)

    卒業式の開催日時・場所のご案内 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-2516.html

  • 『高瀬舟』を題材とした「国語的」模擬裁判授業(公開授業・千葉県)【犯罪学研究センター協力】

    犯罪学研究センターの嘱託研究員である札埜和男准教授(岡山理科大学)が、法教育・法情報ユニットの活動として、下記の通り公開授業を開催します。 法教育とは,法律専門家ではない一般の人々が,法や司法制度,これらの基礎になっている価値を理解し,法的なものの考え方を身につけるための教育です。 法務省では法教育に関する様々な取組を推進しています。当センターの法教育・法情報ユニットは、その取組に賛同し、独自の企画を立ち上げ、どのような法教育の場が設けられるのかを活動を通して研究しています。 【関連Link: 法務省...

  • テスト

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  • 国際学部 履修<履修登録手続編>

    国際学部 履修<履修登録手続編> ■履修<履修登録手続編>重要 &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; 履修<履修登録手続編>(通し)「時間割の組み方、登録の仕方、注意事項など」 20分 ※以下の動画は履修<履修登録手続編>(通し)を分けたものです。 1.履修登録の準備 基本事項の確認「基本事項を確認しよう」 3分半 2.履修登録の流れ「履修登録の流れ」 1分 3.時間割 必修科目編「時間割を組んでみよう 必修科目編」 2分半 4.時間割 教養科...

  • 国際学部 履修<履修登録手続編>

    ■履修<履修登録手続編>重要 履修<履修登録手続編>(通し)「時間割の組み方、登録の仕方、注意事項など」 20分 ※以下の動画は履修<履修登録手続編>(通し)を分けたものです。 1.履修登録の準備 基本事項の確認 「基本事項を確認しよう」 3分半 2.履修登録の流れ 「履修登録の流れ」 1分 3.時間割 必修編 「時間割を組んでみよう 必修科目編」 2分半 4.時間割 教養科目編 「教養科目で残りの科目を決めよう」 4分半 5.予備・事前登録 「科目を決めたら登録しよう 予備・事前登録」 2分半 6.本登録 「本登録しよう...

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作成者有限会社アップルップル

作成日2016/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/12

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/12

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作成者KDL藤川

作成日2017/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/12

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/12

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作成者KDL藤川

作成日2017/04/26

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作成者KDL沖

作成日2017/05/08

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作成者KDL沖

作成日2017/05/08

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/15

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作成者有限会社アップルップル

作成日2016/04/26

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作成者KDL藤川

作成日2017/05/01

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