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2021年3月2日(火)、第16回 龍谷大学FDフォーラム-2020年度「龍谷ICT教育賞・学長賞」公開審査会-をオンライン(Zoomウェビナー)にて開催しました。

龍谷大学FDフォーラムは、毎年度、高等教育政策の動向や本学における教育改革状況等を踏まえながら、テーマを設定して開催しており、16回目を迎える今回は、授業運営に尽力している教員や、学生の学習意欲向上に努めている教職員を対象として、優れた取組を称賛するための制度として創設した「龍谷ICT教育賞」の「龍谷ICT教育賞・学長賞」を決定するための公開審査会として開催、「龍谷ICT教育賞」に応募があった29件の取り組みのうち、「龍谷ICT教育賞」として選定された「個人グループ部門」から6件、「組織部門」から3件、合計9件の取り組みを発表・審査しました。

「龍谷ICT教育賞・学長賞」の審査会を龍谷大学FDフォーラムとして開催することにより、当日参加された約90名もの皆様ともICTを活用した教育や取組の中から得られた成果・課題が共有できる実りある機会となったのではないでしょうか。

審査員は、学長のほか龍谷大学FD企画推進委員会より6名の教職員、そして龍谷大学十学部合同学生会の学生8名が務めました。
審査では、
①学習(教育)効果の向上に寄与しているか
②対面授業における課題の改善されているか
③新たな教育手法・学習スタイルの創出がされているか
といった観点で審査し、「個人グループ部門」「組織部門」それぞれから「龍谷ICT教育賞・学長賞」を選出いたしました。

発表者と審査結果は、以下リンクおよび下表のとおりです。なお、「龍谷ICT教育賞」の表彰式は3月24日(水)に実施する予定です。

審査結果(龍谷ICT教育賞・学長賞)

<当日の動画(学内関係者のみ2021年3月末まで閲覧可)>
教育系のアカウント(~@mail.ryukoku.ac.jp)の視聴はこちら
事務系のアカウント(~@ad.ryukoku.ac.jp)の視聴はこちら

学長賞 申請枠 申請者
○申請代表者
取り組み名
個人・グループ ○青井 昭博(経済学部・非常勤講師) オンライン授業での新たなる展開
個人・グループ ○河合 美香(法学部・准教授)
●小山 きくこ(教養教育科目・非常勤講師)
ICTを活用した運動の習慣化への取り組み
個人・グループ ○坂本 彩(社会学部・非常勤講師) オンライン授業だからこそできる実践現場の空気を伝える授業
☆学長賞 個人・グループ ○野村 康之(教養教育科目・非常勤講師) オンデマンド授業における実物教授の実践
個人・グループ ○舟橋 春彦(農学部・非常勤講師)
●辻村 真衣(農学部・助手)
●原田 賢(農学部・助手)
●森本 彩花(農学部教務課・事務職員)
予想を出し合い実験で確かめる双方向授業「物理学概論・実験」のハイフレックス化の試み
個人・グループ ○松本 卓也(教養教育科目・非常勤講師)
●宮本 佳穂(文学部・3回生)
●柿本 千笑実(経済学部・4回生)
●池田 博紀(文学部・2回生)
異業種のストリーミング技術を取り入れた新しい講義形態の模索—スマホネイティブ世代の学生による/学生のためのFDを目指して—
組織的取組 ○石原 健吾(農学部・教授)
●田邉 公一(農学部・教授)
●中村 富予(農学部・教授)
●岡崎 史子(農学部・講師)
コロナ禍において入門ゼミで行った挑戦と醸成
組織的取組 ○外村 佳伸(先端理工学部・教授)
●富崎 欣也(先端理工学部・教授)
Teamsライブイベントを用いた大人数講義の実施について
☆学長賞 組織的取組 ○矢ノ根 聡(付属平安高等学校・教頭)
●五十嵐 茂樹(付属平安高等学校・理科主任)
●竹内 智一(付属平安高等学校・数学主任)
●吉本 匡伸(付属平安高等学校・高大連携主任)
高大連携科目『理数研究』におけるオンラインと対面のハイブリッド型による授業展開について

審査員の様子


学長挨拶(配信の様子)


配信会場の様子①


配信会場の様子②


学生審査員コメント①


学生審査員コメント②


京都府立大学の武田征士准教授(細胞工学研究室)、奈良先端科学技術大学院大学の津川暁特任助教(植物代謝制御研究室)らの共同研究グループは、江戸時代から知られている変化アサガオのひとつで、花びらが折れ曲がる「台咲(だいざき)」系統を材料に、花びらがまっすぐに伸びる力学的な仕組みを明らかにしました。花器官表面にあるミクロ構造「分泌腺毛」が、器官どうしの摩擦を軽減することで、狭いつぼみの中でも花びらが伸長できることが分かりました。この仕組みを応用し、観賞用の花の形を自在に制御する園芸技術につながる可能性があります。


図1 野生型(左)と台咲(右)の花
野生型では花弁がまっすぐ伸長して漏斗状になる。
台咲では花弁が2度折れ曲がり、花の中央に筒状の「台」と呼ばれる構造を作る。


花びら伸長のメカニズム
野生型(左)では分泌腺毛とそこからの分泌物によってまっすぐ伸びる。
台咲(右)では分泌腺毛がなく、花びらに摩擦が生じ、曲がってしまう。

【研究のポイント】
〇 江戸時代(1815年)に記載された変化アサガオ(※1)のひとつで、花びら(花冠)の筒部分が折れ曲がる「台咲(だいざき)」系統を材料に、花びら伸長のメカニズムを研究しました
〇 花弁とがく片の表面にある分泌腺毛(※2)が、花器官どうしの摩擦を軽減することで、狭いつぼみの中で花びら(花冠)がまっすぐに伸長できることが分かりました。
〇 分泌腺毛の役割として、病害虫に対する物理・化学的防御が広く知られていましたが、今回の研究によって「花器官どうしの摩擦の軽減」という力学的機能が初めて示されました
〇 分泌腺毛というミクロ構造が、花びらの形づくりというマクロな過程に重要な役割を果たすことが分かりました。植物表面のミクロ構造を改良することで、花の形を改良できることが示唆されました

【責任著者コメント】
今回、日本の伝統園芸植物のひとつであるアサガオの研究により、「花弁をまっすぐ伸ばす」という、一見当たり前のような事が、植物の積極的なメカニズムによって制御されることが分かりました。「変化アサガオ」にはまだまだたくさんの種類があり、日本ならではの研究に結びつく宝が埋もれています。国際化・オンラインネットワークにより世界中とつながることのできる今こそ、日本の歴史が蓄積してきた足元の宝に目を向けるのも、とても大事だと考えています。また、新型コロナウイルスで人々の心がすさんでいきがちですが、こういう時こそ、この研究成果によって、花をみて心癒される人が増えるよう、また、皆さんの花(植物)への関心が高まりますよう、心より願っております。
(京都府立大学 武田征士)

【論文情報】
本研究成果は、国際学術誌「Communications Biology(※3)」に、
令和3年3月5日10時 (GMT)に掲載される予定です。
論文タイトル:Reduction in organ-organ friction is critical for corolla elongation in morning glory.
著    者:Ayaka Shimoki, Satoru Tsugawa, Keiichiro Ohashi, Masahito Toda, Akiteru Maeno, Tomoaki Sakamoto, Seisuke Kimura, Takashi Nobusawa, Mika Nagao, Eiji Nitasaka, Taku Demura, Kiyotaka Okada, Seiji Takeda.
doi. 10.1038/s42003-021-01814-x

【研究体制】
● 京都府立大学大学院生命環境科学研究科 細胞工学研究室 准教授 武田征士        大学院生 下木彩香、大橋恵一郎、戸田真人     学部4回生 長尾実果
● 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域 植物代謝制御研究室 教授 出村拓        特任助教 津川暁
● 国立遺伝学研究所 生物遺伝資源センター 植物育成開発支援部門 技術専門職員 前野哲輝
● 京都産業大学 生命科学部 産業生命科学科 教授 木村成介        博士研究員 坂本智昭
● 広島大学大学院統合生命科学研究科 附属植物遺伝子保管実験施設 助教 信澤岳
● 九州大学大学院理学研究院生物科学部門 植物多様性ゲノム学研究室 准教授 仁田坂英二
● 龍谷大学 農学部 教授 岡田清孝(2019.3退職、現RECフェロー)

【問合せ先】 京都府立大学    
【取材】事務局企画課 075-703-5212    
【研究】細胞工学研究室 准教授 武田征士
    TEL: 0774-93-3526  FAX: 0774-93-3528 
    E-mail: seijitakeda@kpu.ac.jp

 

【研究概要】
花はなぜ美しいのでしょうか。花が人目を引くのは、そもそも花が昆虫や鳥の目を引くために進化してきたことにヒントがあります。すなわち、花は花粉媒介者である昆虫や鳥へ存在をアピールすることで、自らの生殖を促すために自発的に形を作り変え、その美しい形態を生み出してきたと考えられています。
しかしながら、その形づくりは植物にとって必ずしも容易な作業ではありません。花びらは閉じられたつぼみの中で発達し、非常に狭い限定された空間の中で成長していきます。「花びらがまっすぐに伸びる」という、一見当たり前に思えるプロセスは、実はつぼみ内の器官どうしの接触摩擦を積極的に軽減することで、初めて達成されることが分かりました。

奈良時代に薬草(下剤)として中国より日本に伝わったアサガオは、栽培中に数多くの魅力的な変異体が出現し、江戸時代には大坂や江戸でアサガオの栽培ブームが起こりました。変わった形のものが数多く記録・維持され、現在では1,500系統以上の変化アサガオが、ナショナルバイオリソースプロジェクト(※4)によって、九州大学で収集・保存・提供されています。

開花した時に、花冠(花弁、花びら)の筒の部分(花筒)が折れ曲がってしまう「台咲(だいざき)」系統は、1815年の「花壇朝顔通 第2巻(壺天堂主人)」や「牽牛品類図考(峰岸正吉)」に記載されています(図1)。下の写真は「台咲牡丹」と呼ばれるもので、雄しべ・雌しべが花弁に変わる変異と、花筒が折れ曲がる台咲(図2、cup tubeの部分)が組み合わさることにより、花の中央から花弁が噴き出すような花になっています。


図2 台咲牡丹の花。(左)花の写真。(右)模式図。
cup tube部分で折れ曲がることで、花の中から花弁が噴き出すような形になる。

私たちは、この花弁の「折れ曲がり」がどのような仕組みで生じているのかを解析しました。台咲の変異を持つ10系統を調べたところ、どの系統でも花冠の折れ曲がりが確認されました。花冠とがく片の表面を走査型電子顕微鏡で観察すると、野生型にある「分泌腺毛(※2)」が、台咲系統では無くなったり、形態が異常になったりしていることが判明しました(図3)。これにより、分泌腺毛が「潤滑油」として働く成分を出すことで、狭いつぼみの中で花冠がスムーズに伸長できるという仮説を立てました。


図3 野生型(左)と台咲(右)の花冠表面を走査型電子顕微鏡で観察した。
野生型には、頭部4細胞からなる分泌腺毛があるが、台咲では見られない。

この仮説を数理力学シミュレーションで検証しました。花弁に見立てた円錐状の物体を上部に成長させると、上に向かってまっすぐに伸びます(下図:摩擦無し)。この際、がく片と花弁の摩擦を想定した力を左上にかけると(図4点線)、その摩擦力の強さに応じて、花弁が曲がっていくことが再現できました。


図4 数理力学シミュレーションによる、花冠屈曲の仕組み。
上方向に成長する際、左上部分に摩擦(点線)を加えると、成長しながら屈曲する。
数値(0.4, 0.7)は摩擦の強さを、色は摩擦による内部応力変化(赤:応力集中、青:応力解放)を示す。

以上の結果から、花弁とがく片の表面にある「分泌腺毛」とそこからの潤滑油がなければ、花弁がまっすぐに伸びることができないことが示されました(図5)。花弁がまっすぐに伸びることの生物学的意義は、開花時に目立って花粉を運ぶ虫などに見つけてもらうという生殖的機能や、内側にある雄しべ・雌しべを風雨等から守る防御的機能が考えられてきましたが、今回の研究で、植物表面の小さなミクロ構造(分泌腺毛)が積極的に摩擦を抑えてマクロな器官の成長を助ける、という力学的および発生生物学的な機能が初めて示されました。今後、分泌腺毛を遺伝子組換えやゲノム編集等によって改変することで、新しい形の花を作り出す園芸技術へ応用することが可能になるかもしれません。


図5 花びら伸長のメカニズム。
野生型(左)では分泌腺毛とそこからの分泌物によってまっすぐ伸びる。
台咲(右)では分泌腺毛がなく、花びらに摩擦が生じ、曲がってしまう。

【用語】
※1 変化アサガオ:様々な形態を示すアサガオの突然変異体。奈良時代に薬草(下剤)として中国より伝わったアサガオは、江戸時代になると数多くの変異体が作られ、大坂や江戸でアサガオの栽培ブームが起きた。現在、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の生物資源のひとつになっており、九州大学で1500以上の変化アサガオ系統が維持されている。
※2 分泌腺毛:植物の表皮に作られる、代謝物を蓄積する毛。植物表面には多くの毛が作られ、大きく非分泌型と分泌型に分けられる。分泌型の腺毛は、二次代謝物を産生・蓄積し、物理・化学防御に役立っている。例えばミントの葉の表皮には大きな分泌腺毛があり、メンソールなどの成分を蓄積する。
※3 Communications Biology:2018年に創刊された、Nature Researchが提供するオープンアクセス・ジャーナル。生物科学の全分野における高品質な論文・総説・論評を出版する。(Communications Biology ウェブサイトより引用)
※4 ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP):ライフサイエンス研究の基礎・基盤となるバイオリソース(動物、植物、微生物等)について収集・保存・提供を行うと共に、バイオリソースの質の向上を目指し、ゲノム情報等の解析、保存技術等の開発によるバイオリソースの付加価値向上により時代の要請に応えたバイオリソースの整備を行うプロジェクト。文部科学省によって日本医療研究開発機構(AMED)によって管理運営されている。アサガオはこのリソース生物のひとつとなっている。(NBRPより引用)

【研究支援】
本研究は、文部科学省および日本学術振興会の科学研究費補助金(JP18K06366, JP18H05484, JP18H0548, JP18H04787)文部科学省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(S1511023)、国立遺伝学研究所NIG-JOINT (44A2020)の支援を受けて行われました。


 2021年3月6日(土)、滋賀県主催「第1回死生懇話会」がオンラインで開催され、農学部植物生命科学科 打本 弘祐 准教授が参加しました。死生懇話会は、結論を出すことを目指しておらず、生と死について考えるきっかけを作ろうと始まりました。誰もが避けられない死と向き合うことで、限りある生を豊かに生きるための施策探求が目的です。死の問題を行政として取り上げるのは珍しいことです。この委員に、打本准教授が選出されました。
 当日は、150名弱が参加し、委員の講演や議論を視聴しました。その中で、打本准教授は、「死者は肉体としては会えないが、私たちの心に働きかけてくれる存在。死者とともに生きることが、社会を豊かに、温かくしてくれる。」と話されました。
 第2回目以降は県民らとの意見交換も行う意向です。
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、命の大切さを身近に感じ人は多く、生と死について考える機会を行政(滋賀県)が提供する本取り組みは、今後、注目を集めるかもしれません。

■参考
滋賀県HP「死生懇話会~「死」を捉えた「生」のあり方を考えるヒントに~」
滋賀県HP「第1回死生懇話会」の案内 




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