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 2019年1月25日に「文学部長と文学部学生会との懇談会」を龍谷大学大宮学舎東黌202教室にて開催しました。

 当日は、学生会(文学部学生会代議員)の学生8名と安藤徹文学部長、椿本文学部教務課長らで懇談が、和やかに行われました。
 
 まず初めに、学生会活動の説明がなされ、続いて学部の問題点について懇談をいたしました。学生会からいくつかの要望などが出され、安藤学部長は学習環境の改善を引き続きこれからも進めていきたい旨伝えられました。

 最後に、文学部長が、学生との懇談会を今後も随時開催し、引き続き学生の声を幅広く聞くことができる機会を今後も設けていきたいとにこやかに話されました。


安藤徹文学部長


椿本善規文学部教務課長








研究者であると同時に弁護士としても活躍する両名が、現場での実務を通して感じた研究のあり方とは? また、龍谷大学が全国に誇る矯正・保護総合センターの歴史と、2016年6月に発足し、同年11月に文部科学省私立大学研究ブランディング事業に採択された犯罪学研究センターの関わりについて尋ねました。


福島 至(Itaru Fukushima)本学法学部教授、矯正・保護総合センター センター長

福島 至(Itaru Fukushima)
本学法学部教授、矯正・保護総合センター センター長

福島 至(Itaru Fukushima)
本学法学部教授、矯正・保護総合センター センター長

矯正・保護総合センターのセンター長を務めながら、弁護士として刑事事件の弁護活動、また保護司としての活動にも意欲的に取り組んでいる。専門は刑事訴訟法。


石塚 伸一(Shinichi Ishizuka)本学法学部教授、犯罪学研究センター センター長

石塚 伸一(Shinichi Ishizuka)
本学法学部教授、犯罪学研究センター センター長

石塚 伸一(Shinichi Ishizuka)
本学法学部教授、犯罪学研究センター センター長・「治療法学」「法教育・法情報」ユニット長

犯罪学研究センターのセンター長を務めるほか、物質依存、暴力依存からの回復を望む人がゆるやかに繋がるネットワーク「“えんたく”(アディクション円卓会議)プロジェクト」のリーダーも務める。犯罪研究や支援・立ち直りに関するプロジェクトに日々奔走。専門は刑事学。



――おふたりは研究者でありながら弁護士として、福島先生はさらに保護司としても活動していらっしゃいます。実務家としての活動は研究でどのように活きていますか。

福島:
保護司は2003年から、弁護士としては2005年から活動を始めました。きっかけは1999年にイギリス・ブリストル大学へ留学した際に、師であったロッド・モーガン先生から「日本では、刑務所へ入る人たち、刑務所を出た人たちとどのように接触できるのか」と尋ねられ、弁護士と保護司が最適だと考えたことでした。それまで龍谷大学では教員の弁護士登録が認められていませんでしたが、2005年に法科大学院がスタートするタイミングで解禁されたので、私も弁護士資格認定制度*1を利用して登録することにしました。

石塚:
私も福島先生と同じく、法科大学院が開設された時に弁護士登録をしました。実務を始めて感じたのが、「現場は研究者にとって宝の山だ」ということです。刑事訴訟法の研究者は全員、現場を経験した方が良いと思うようになりました。

福島:
そうですね。従来の学者としての活動では、裁判の傍聴などごく一部分しか見ることができませんでしたが、弁護士や保護司の現場では勉強になることが多くあります。私の場合、罪を犯してしまった人と、逮捕から裁判までは弁護士として、保護観察・仮釈放期間には保護司として、人間関係や家庭環境を含めて連続して関わることができるのです。

石塚:
矯正・保護の取り組みについて、大学から地域へのアプローチは、時に難しいものがあります。ですが、福島先生が保護司になられてからは、地域の方とのコミュニティベースの話題をうかがう機会が増えましたね。

福島:
はい。石塚先生が現場を大切にされているように、私も保護司の研修や会合を通じて地域との関わりが増えました。罪を償った人たちの社会内処遇のあり方を考えるうえでも、地域が抱える問題を知ることは大いに活きています。



――今後の龍谷大学の発展に向けて、矯正・保護総合センターと犯罪学研究センターはどのように寄与できるでしょうか。

福島:
矯正・保護総合センターは全学の研究所の中で唯一、「矯正・保護課程」という教育プログラムを持ち、研究者や実務家、罪を犯してしまった当事者、そして受講生など、さまざまな人の輪を繋いできました。現在、多くの科目受講生が刑務官や法務教官、保護観察官になって活躍しています。2017年10月に開催した「矯正・保護課程40周年記念事業 シンポジウム」では、法務省の矯正局長や保護局長、大阪高検の検事長などにご列席いただきました。これまでの本学の実績が社会的に認められていることの表れだと思います。当センター40年の歩みは、龍谷大学の強みでもあります。

石塚:
法務省の上層部と繋がりがある刑事学研究者は、世の中に多くいるのでしょうが、本学では実務の現場にいる同窓生たちとのパイプを持っているのが特長ですよね。現場が抱える悩みや問題点を共有できることは、より実践的・生産的な提案をしていくうえで、とても意義深い。他のどの研究機関よりも、矯正・保護の実務家の本音を知っているのは龍谷大学である、と自負があります。

福島:
一方で犯罪学研究センターは、もともと矯正・保護総合センター内に開設する構想があったように、取り扱う内容に密接な関係があります。2016年11月に「文部科学省私立大学研究ブランディング事業」に採択され、広く展開していくことは非常に喜ばしいです。

石塚:
犯罪学研究センターがより自由に研究・発信できる位置づけなのは、矯正・保護総合センターが発展的な歴史を積み重ねてきたからこそです。他大学で同じような研究機関を新設したからといって、当センターほどの発信力は持てないでしょう。

福島:
我々の今後の課題は、次世代の研究者たちのためにどのような研究体制を構築し、どう展開していくか、ではないでしょうか。自由な発想、制約のない研究のための土壌をつくってあげたいですね。

石塚:
引退が視野に入ってきた我々世代には、もう怖いものはありませんものね。既成概念を破り、自由な研究のあり方を示すことが我々の役割だと思っています。例えば、これまでのように少数の研究者だけで実験・提案をするのではなく、実務家たちを巻き込んで「オールジャパン」で海外へ発信していく。そういう動きを支援したいです。

福島:
犯罪学研究センターと矯正・保護総合センターという希有な機関の発展は、龍谷大学が飛躍するためのカギを握りそうです。

石塚:
そうですね。今、世界中の大学における刑事司法分野の課題は、教育と研究――研究者・教育者の養成も含めて――が循環するシステムを確立できていないことです。しかし、龍谷大学にはその要素が揃いつつある。教育と研究の循環において、世界を牽引するパイオニアになれる可能性は高いと思います。



――おふたりの大学生時代を振り返りつつ、龍谷大学の学生に応援メッセージを。

福島:
私の時代は学生運動が盛んだったので、授業があまりなくて暇でした。ただ、当時は公害問題がクローズアップされていたこともあり、工学部で化学を学んでいた身として「このまま、公害の加害側となる企業に就職するのか?」と、進路に対する疑問が強かった。結局、卒業後は就職せずに興味があった法学の道へ進みました。


石塚:
私は検事を目指して司法試験の勉強をしていました。本音では研究者になりたかったのですが、大学入試で挫折したコンプレックスからなかなか言い出せなかった。龍大生にも、自分に自信がないために、望みを口に出せない人が多い気がします。挑戦したいことがあるなら、とにかくまず声に出して行動してみてください。踏み出すことで自分自身に変化が起きたり、幸運が降ってきたりするものですよ。

福島:
人生の先達として申し上げるなら「過ぎたことに悩まず、一晩寝たら忘れなさい」ですね。眠った後には必ず新しい朝が訪れ、人は日々生まれ変わります。矯正・保護の活動でも言えることですが、人と深く関わろうとする人間にとって、ストレスは大敵。心の中で折り合いをつけながら前に進むことが大切ですよ。


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*1 弁護士資格認定制度:
現在、司法試験に合格し、大学の法律学の教授・准教授や国会議員などに5年以上在職した者は、指定の研修を経て法務大臣の認定を受けると弁護士資格を得られる。

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龍谷大学 犯罪学研究センターは、犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」を構築し、日本国内だけでなく、広く世界にアピールしていくことを目標に掲げています。
犯罪学研究センターでは、現在までの研究成果を踏まえて英語でのトライアル授業を2018年10月より2019年1月まで8日程(全15コマ)にわたって開催してきました。
この授業は、欧米諸国では「犯罪学部」として学問分野が確立されている領域を、世界で最も安心・安全とされる日本社会の中で独自に捉え直す試みで、新たなグローバル・スタンダードとしての「龍谷・犯罪学」を目指して、全回英語で実施しています。
龍谷犯罪学セミナー(Ryukoku Criminology in English)【>>実施詳細】

2019年1月26日(土曜)、本学深草キャンパス至心館1階にて、第8回「Ryukoku Criminology in English –Let’s study the Criminal Justice System in the secure and safe society-」を開催しました。今回が最終回で、講師は本学法学部の石塚伸一教授(犯罪学研究センター代表)でした。テーマは「Corrections and Rehabilitation in Japan」で、日本の刑罰と社会復帰についておもに死刑制度を中心にその概要が紹介されました。

基本情報:
Ryukoku Criminology in English –Let’s study the Criminal Justice System in the secure and safe society-
Jan 26th (Sat) <1 lectures (13:15-14:45)>
Shinichi Ishizuka (Director of Criminology Research Center / Professor of the Faculty of Law at Ryukoku University)
“Corrections and Rehabilitation in Japan”



2018年7月、オウム真理教信者らによる一連の事案(弁護士一家殺害、信者家族殺害、長野県松本市サリン散布、東京地下鉄サリン散布)に関与した、松本智津夫元死刑囚をふくむ13名に対する死刑が執行されました(7月6日に7名、7月26日に6名)。これは一度に多くの執行が行われた非常に稀なケースですが、明治時代にも類似したケースがありました。1910年に発覚した明治天皇暗殺未遂事件、いわゆる「大逆事件」です。本件は、社会主義者、無政府主義者ら26名が明治天皇と皇太子の暗殺を企てたものの未遂に終わったとされた事案で、1911年1月18日、24名に死刑(このうち12名は無期懲役に減刑)、2名に無期懲役刑が下されました。その結果、1911年1月24日に11名、翌25日に1名に死刑が執行されました。
日本の刑法における最高刑は死刑です。それでは、死刑も含めた日本の刑罰はどのようなものでしょうか。日本の刑法では、死刑、懲役刑、禁錮刑、拘留刑、罰金刑、科料刑という刑罰が定められています。死刑は、刑法11条で「死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する」と定められており、執行されるまでは拘置所に拘置されます。また懲役刑には有期刑と無期刑があり、有期刑の期間は、1か月以上20年未満で、刑期中は決められた刑務作業をすることが定められています(禁錮刑にも有期刑と無期刑があり、有期刑は1か月以上20年未満、作業義務はありません)。日本では以上のような刑罰がとられていますが、ここで日本国憲法の条文をみると第36条に「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」と定められています。これは戦後、GHQによる憲法草案の第34条「公務員ニ依ル拷問ハ絶対ニ之ヲ禁ス」、第35条「過大ナル保釈金ヲ要求スべカラス又残虐若ハ異常ナル刑罰ヲ科スべカラス」が元になっています。


石塚伸一教授(本学法学部教授・犯罪学研究センター代表)

石塚伸一教授(本学法学部教授・犯罪学研究センター代表)


統計的にみると日本における死刑、無期懲役判決の数は2003年から2005年ころにかけて急激に増加し、2006年にピークを迎えると、近年は急激に減少しています。これは刑事司法における「殺人狂時代(Monsieur Verdoux)」であるといえます。しかしながら死刑囚、無期懲役囚の数は刑事施設収容者の全体数からみると極めて多い状態です。
 刑事施設収容者は特性・犯罪傾向に応じて分類され、分類に応じた刑事施設に収容されます。刑期を終えると刑事施設から釈放されますが、それ以外に仮釈放という制度があります。無期懲役囚は法律上、刑期を10年以上経過すると仮釈放の対象者となりますが、実際は30年以上経過しないと仮釈放の許可が下りません。また無期懲役囚は釈放されても(恩赦がなければ)生涯、保護観察という状態です。実際の統計をみると近年の仮釈放者数は非常に少なく、2015年末時点の無期懲役囚の数は1835名、仮釈放が認められたのはわずか9名でした。また無期懲役囚の高齢化もすすんでいるというのが現状です。こうした現状から、今後は無期懲役囚に対する大幅な処遇スキームの改革が必要になると考えられます。

本講義の終了後のアンケートでは「私の仕事に関する内容もあり、興味を持って聞かせていただきました。こうした形でセミナーを受けたことが初めてでしたので、非常に楽しかったです。」「今回初めて参加しました。 全部参加できず残念です。次回を楽しみにしております。」などご意見をいただきました。

2018年10月よりスタートした本企画では全8日程回(15コマ)、毎回犯罪学にかかわる様々な研究や実情について紹介してまいりました。犯罪学について英語で講義するという日本初の試みでしたが、多くの方にご参加いただくことができ、今後の当センターの活動にとりましても大変有意義な機会となりました。ご参加いただいた皆様、講師の先生方、本当にありがとうございました。


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