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「心のケア」を実践する宗教者 「臨床宗教師」を養成 龍谷大学大学院実践真宗学研究科と東北大学大学院文学研究科が連携協力する大学院教育プログラムがスタート

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2014年2月27日

龍谷大学大学院実践真宗学研究科(以下、龍谷大学大学院)では、東北大学大学院文学研究科(以下、東北大学大学院)と連携協力して、「心のケア」を実践する宗教者「臨床宗教師」を養成する大学院教育プログラム「臨床宗教師研修」を、2014年4月に開設します。東日本大震災以降、被災者の悲しみに寄り添い、被災者に大きな勇気と生きる希望を与えてきた「臨床宗教師」を本学大学院から社会に輩出し、現代世界の人々の苦悩を聞き、孤立する人々に寄り添う宗教者の養成をめざします。

※今後、東北大学と龍谷大学は、臨床宗教師研修について相互に協力・連携しながら、臨床宗教師のあり方を考えていきます。両大学において、それぞれの特色を生かした「臨床宗教師研修」を実施していくことになります。どうかよろしくお願いいたします。

「臨床宗教師研修」の概要等についての詳細は、以下のとおりです。


1.はじめに ~東北大学大学院における「実践宗教学寄附講座」開設の経緯とその目的~
2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、日本中のさまざまな宗教者・宗教団体が積極的に被災者支援の活動を行う中で、布教伝道を目的とせず、また時には異なる宗教的背景をもつ宗教者同士が協同で宗教的ケアをおこない、被災者に大きな勇気と生きる希望を与えてきた。このような役割は、キリスト教国における災害チャプレンに相当するものであるが、これまで日本ではその事に余り関心はもたれず、社会からも注目を浴びてこなかった。しかしながら、東日本大震災を転機とし、その宗教者の役割に対する意味が、学術的にも社会的にも見直され、社会から大きな注目を集めた。これを機に、東北大学大学院では、広い宗教性に基づきつつ超宗派・超宗教的な立場から人々の「心のケア」を実践する宗教者「臨床宗教師」を養成する教育プログラム「実践宗教学寄附講座」を2012年4月に開設するに至った。
「実践宗教学寄附講座」では、宗教者として全存在をかけて人々の苦悩や悲嘆に向き合い、そこから感じ取られるケア対象者の宗教性を尊重し、公共空間で実践可能な「宗教的ケア」を学ぶことを目的としている。また、宗教者が公共空間で活動することは、宗教者の活動の場を広げるというだけでなく、価値観、人生観、死生観についての葛藤に苦悩する人々に救いの手をさしのべることになるとしている。

2.龍谷大学大学院における「臨床宗教師研修」開設の経緯
東北大学大学院に設置された「実践宗教学寄附講座」の開設目的は、龍谷大学大学院の理念と方向を同じくしている。加えて、東北大学大学院の「実践宗教学寄附講座」では、「臨床宗教師」の認証を一大学で独占せず、「臨床宗教師」を全国で養成してほしいという志願があった。その想いに龍谷大学大学院の教員は心動かされ、東日本大震災以降、社会で受け入れられた「臨床宗教師」の認証を尊重し、理念と方向を同じとする龍谷大学大学院においても「臨床宗教師研修」を実施できるよう着手した。2013年3月以降、東北大学大学院を度々訪問し、鈴木岩弓教授、谷山洋三准教授、高橋原准教授から教示を受け、また協力を得ながら、龍谷大学大学院において2014年4月から「臨床宗教師研修」を開設にするに至った。

3.「臨床宗教師研修」における具体的目標
龍谷大学大学院の「臨床宗教師研修」は、東北大学大学院の「実践宗教学寄附講座」と目標を同じくし、次の五点の習得をめざす。

(1)「傾聴」と「スピリチュアルケア」の能力向上
自分の宗教宗派の教義や世界観を前提として対象者に接するのではなく、まず相手の声を真摯に聴き、悲嘆を受け止め、自然に顕れてくる宗教性を尊重することの重要性を学び、それぞれを現場での実践やグループワークを通じて体得することをめざす。

(2)「宗教間対話」「宗教協力」の能力向上
他宗教、他宗派の宗教者と目的を一にして共に学び合う機会を通して、自分の信仰をあらためて相対化することを試み、他者の信仰を尊重する姿勢を学び、自らの気づきを共有する。

(3)自らの死生観と人生観を養う
「病者を看取ることは自己を看取ることである」(『増一阿含経』巻40)と釈尊は説いた。ちょうどそのように、相手に寄り添うには、自分自身の依りどころとする人生観、死生観を培うことが求められる。

(4)宗教者以外の諸機関との連携方法を学ぶ
公的機関と宗教者が連携し、宗教者が公共的存在として活動するためには、お互いにさまざまな配慮が必要である。宗教者としてのアプローチがどのような影響を与えるか、自分自身の言動を見つめつつ、慎重かつ積極的な働きかけの方法を学ぶ。

(5)幅広い「宗教的ケア」の提供方法を学ぶ
他の宗教宗派の儀礼や世界観を学び、他の宗教、他宗派の宗教者との同一性と差異性についての理解を深める。その上で、宗教的儀礼に参加し、さまざまな宗教者ともに礼拝することや、ケア対象者の求めに応じて適切な宗教者や伝統宗教の組織を紹介する方法について学ぶ。

4.臨床宗教師研修の受講資格、履修カリキュラム等
(1)受講人数
5名~10名

(2)受講要件
信徒の相談に応じる立場にある者。あわせて、次に該当する者。
①龍谷大学大学院実践真宗学研究科に在籍する者(二年生以上)
②龍谷大学大学院実践真宗学研究科を修了した者(特別専攻生・修了生)
③大学卒業者で大学院生と同等の資質があると実践真宗学研究科が認める者
(2015年度より社会人を対象とした応募要件の枠を拡大する予定)

(3)履修カリキュラム
<必修科目>

以下の5科目10単位を修得すること
「臨床宗教師研修」に特化した講義
新設科目(1)臨床宗教師実習 ※ 通年集中2単位2年次配当
(2)グリーフケア論研究 半期2単位2年次配当
既設科目(3)ビハーラ活動論研究
(講義の一環として、有識者を招いた特別講演会を開催)
半期2単位2年次配当
「臨床宗教師研修」の基盤となる講義
既設科目
(実践真宗学研究科の必修科目)
(4)実践真宗学研究 半期2単位1年次配当
(5)真宗教義学研究 半期2単位1年次配当
<選択必修科目(推奨科目)>
以下の10科目を推奨科目とし、2科目4単位以上を修得すること
「臨床宗教師研修」に関連した講義
既設科目
(実践真宗学研究科の必修科目)
(1)現代宗教論研究 半期2単位1年次配当
(2)宗教心理学研究(宗教者間対話) 半期2単位1年次配当
(3)宗教教育学研究 半期2単位1年次配当
(4)真宗人間論研究 半期2単位1年次配当
(5)生命倫理論研究 半期2単位1年次配当
(6)人権・平和論研究 半期2単位1年次配当(隔年開講)
(7)カウンセリング論研究 半期2単位2年次配当
(8)地域活動論研究 半期2単位2年次配当(隔年開講)
(9)臨床心理学研究 半期2単位1年次配当(隔年開講)
(10)精神保健学研究 半期2単位1年次配当(隔年開講)
※臨床宗教師実習の概要
(1)「臨床宗教師研修」に関するシンポジウムならびに特別講義に参加し、学内外の有識者の経験
と知見に学ぶ。

(2)三回の全体会と特別実習を以下のとおり行う。被災地、病院、社会福祉施設、ビハーラ関連施設
を訪問し、研修スタッフ、施設スタッフの指導にしたがって研修を積む。
全体会1 2014年5月20日(火)~22日(木)
東日本大震災の被災地での臨床実習 (石巻、東北大学大学院との合同研修)
全体会2 2014年6月25日(水)~26日(木)
あそか第2病院ビハーラクリニック・ビハーラ本願寺での臨床実習 (京都)
全体会3 2014年7月15日(火)~17日(木)
保育園・デイサービスセンター統合社会福祉施設での臨床実習(宮崎)
(3)特別実習プログラムに各自の希望に基づいて参加し、臨床実習を行う。
特別実習1 東日本大震災の被災地での臨床実習 (仙台・南三陸・気仙沼)
特別実習2 広島平和記念資料館訪問と被爆者講話による臨床実習(広島)
特別実習3 社会福祉施設、常清の里などでの臨床実習(大阪など)

(4)主たる研修スタッフ・大学院協力者・施設協力者
<研修スタッフ>
鍋島直樹(龍谷大学文学部教授、臨床宗教師研修主任、日本スピリチュアルケア学会理事、浄土真宗本願寺派ビハーラ活動推進委員)、杉岡孝紀(龍谷大学文学部教授、臨床宗教師研修副主任)、堀靖史(本研究科実習助手)、打本弘祐(社会福祉法人慶徳会常清の里心の相談員)、森田敬史(長岡西病院ビハーラ僧)、金沢豊(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員) 他

<東北大学大学院協力者>
鈴木岩弓(東北大学大学院文学研究科教授、宗教民俗学)、谷山洋三(東北大学大学院文学研究科准教授、臨床死生学、仏教福祉学、日本スピリチュアルケア学会評議員)、高橋原(東北大学大学院文学研究科准教授、宗教心理学、実践宗教学)

<施設協力者>
大嶋健三郎(あそかビハーラクリニック院長、緩和ケア医師)、新堀いずみ(同看護部長)、花岡尚樹(同ビハーラ僧)、山本成樹(同ビハーラ僧)、弘中信厚(橘保育園園長・橘デイサービスセンター長) 他

(4)修了書の授与
「臨床宗教師研修」の修了者には、龍谷大学大学院実践真宗学研究科より、「臨床宗教師研修修了証」を授与する。

(5)フォローアップ研修
  滋賀医科大学医学部生との合同研修に加え、特別講義やシンポジウムを開催する予定である。また、東北大学大学院の主催する「臨床宗教師」フォローアップ研修にも参加できる。宗派宗教を問わず、浄土真宗本願寺派ビハーラ活動養成研修会に参加して研鑽を深めることができる。

(6)アドバイザリーボードによる提言
学内外の有識者によるアドバイザーリーボード(顧問委員会)を組成し、「臨床宗教師研修」を推進させる。研修において、受講生が実習先でトラブルやハラスメントなど倫理的な問題に巻き込まれた際に、アドバイザリーボードの顧問委員に相談し、中立的な立場で、受講生を指導、保護し、実習先との調整をはかることができる体制を構築する。また、「臨床宗教師研修」のカリキュラムや実習内容に関する提言をいただき、本研修を充実して継続させる。

アドバイザリーボード
<学外者>
 島薗進(上智大学グリーフケア研究所所長、東京大学大学院人文系研究科名誉教授)、鈴木岩弓(東北大学大学院文学研究科教授)、谷山洋三(東北大学大学院文学研究科准教授)、高橋原(東北大学大学院文学研究科准教授)、新堀いずみ(あそかビハーラクリニック看護部長)
<学内者>
龍溪章雄(龍谷大学大学院実践真宗学研究科教授、研究科長)、深川宣暢(同教授)、鍋島直樹(同教授)、杉岡孝紀(同教授)、田畑正久(同教授)、早島理(同教授)、吾勝常行(同文学部教授)、黒川雅代子(同短期大学部准教授)。

5.今後の展開
将来的に全国の仏教系大学や、上智大学グリーフケア研究所など宗教的な伝統文化と心のケアを大切にしている諸大学や諸研究機関との連携を検討している。

以上

大学院実践真宗学研究科

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