本学学生で強制飲酒により急性アルコール中毒になった事例が過去にありました。今後このようなことがないように下記をよく読んで十分注意して下さい。
これからの季節、アルコールに接する機会が多くなるかと思います。アルコールは飲み方や飲む量によっては「漢書」のいう『百薬の長』となりますが、一歩間違えると『万病の元(吉田兼好:百薬の長とは言えど、よろずの病は酒より起これ。)』となります。
適量のアルコールは心身をリラックスさせ、コミュニケーションの輪を広げるのに役立ってくれるでしょう。しかし、羽目をはずすと、本人だけでなく周りにも迷惑をかけることになります。今回はちょっと耳の痛いお話を中心にお伝えしたいと思います。
アルコール・ハラスメント(略してアルハラ)の定義 (ASK:アルハラに関する日本の代表的な組織)
アルハラは人権侵害です。また、以下のような犯罪にあたることがあります。
(浅野晋弁護士監修:アルハラ ミニ法律学)
日本では「未成年者飲酒禁止法」によって、20歳未満の飲酒が禁じられています。未成年者の飲酒を知りつつも制止しなかった親権者やその他の監督者は、科料を処せられ、酒類を販売・供与した事業営業者とその関係人は、罰金に処せられるのです。
なぜ未成年者への飲酒が禁じられているのでしょう。年長者は軽い気持ちで「少しくらい」と勧めるのではなく、まずは禁じられている理由を知り、責任を担う立場であることを確認しましょう。
いけないと思いつつ、ついついノリで「イッキ飲み」をしてしまうことはありませんか?イッキ飲みによる急性アルコール中毒になるのは、お酒に慣れていない人だけではありません。体内のアルコール分解のサイクルを無視したお酒の飲み方は、お酒に強い人であっても急性アルコール中毒を招く危険があります。急性アルコール中毒になるかどうかは、体質ではなく飲んだアルコールの量(血中のアルコール量)と飲むスピードに比例するからです。アルコール量と体の変化をみてみましょう。
血中濃度 | 酒 量 | 酔いの状態 | 脳への影響 | ||
---|---|---|---|---|---|
爽快期 | 0.02~0.04 | ビール大1本まで 日本酒1合まで ウイスキーシングル2杯まで |
陽気、気分の高揚 皮膚が赤くなる |
軽い酩酊 | 理性をつかさどる脳活動が低下し、本能や感情をつかさどる脳活動が活発になる。 |
ほろ酔い期 | 0.05~0.10 | ビール1~2本 日本酒1~2合 ウイスキーシングル3杯 |
手の動きが活発になる 体温上昇 脈が速くなる 理性が失われる |
||
酩酊初期 | 0.11~0.15 | ビール3本 日本酒3合 ウイスキーダブル3杯 |
気が大きくなる 大声をだし怒りっぽくなる 立てばふらつく |
||
酩酊期 | 0.16~0.30 | ビール4~6本 日本酒4~6合 ウイスキーダブル5杯 |
千鳥足 何度も同じことを話す 呼吸が速い 吐き気や嘔吐する |
強い酩酊 | 大脳・小脳の活動が低下し、運動障害を起こす。 |
泥酔期 | 0.31~0.50 | ビール7~10本 日本酒7合~1升 ウイスキーボトル1本 |
まともに立てない 意識がはっきりしない 言語がめちゃくちゃ |
麻痺 | 海馬(記憶の中枢)や脳幹などの機能が障害され意識が混濁し、記憶できない状態。 |
昏睡期 | 0.41~0.50 | ビール10本以上 日本酒1升以上 ウイスキーボトル1本以上 |
揺り動かしても起きない 大小便を垂れ流す 呼吸がゆっくり深い 死亡 |
死 | 障害が脳全体に広がり死の危険がある。(1~2時間で約半数が死亡する) |
血中アルコール濃度は飲み始めてからピークに達するまで通常30~60分かかります。酔いのピークが遅れてやってくるため、本人の自覚(酔ってきた)なしに危険な量を飲んでしまうことになり、一気に泥酔期や酩酊期(上表)に達してしまうのです。
飲み始めてから1時間足らずで酔いつぶれている場合は即、病院へ運びましょう。
泥酔している人を放置しないでください。生命への危険があります。
重 要
救急車が到着するまでに・・・
お酒を飲める人も飲めない人も、楽しいひと時が過ごせるようにしましょうね。