Need Help?

新着情報

新着情報の一覧

製品情報

ここにメッセージを入れることができます。

龍谷大学 犯罪学研究センターは、2022年2月4日18 :00より第31回CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会「『ヘイトクライムとは?』〜京都における事案から考える〜」をオンライン上で開催し、約140名が参加しました。当研究会では、はじめにCrimRC「ヘイト・クライム」ユニットメンバー2名による報告が行われ、報告内容について参加者を交えたディスカッションが行われました。
【イベント情報: https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-9877.html

〔報告者〕



石塚伸一教授(犯罪学研究センター長)による企画趣旨説明:
犯罪の議論をする際、差別や偏見は問題の中核となり、アメリカの犯罪学ではそれが中心テーマとなっています。しかし、従来から日本の犯罪学は差別の問題を避けており、なぜそうしてきたのかということが、重要な課題となっています。本日はこの課題について考えるため、CrimRC「ヘイト・クライム」ユニット長である金尚均教授(龍谷大学・法学部)と、ユニットメンバーである山本崇記准教授(静岡大学・人文社会科学部)に、お話をしていただきたいと思います。
 
 

金 尚均教授の報告要旨:
「ヘイトクライムと歴史の否定―ウトロ地区放火事件が意味すること」


 2021年8月30日、京都府宇治市に存在するウトロ地区において放火事件が発生しました。この地域にはいわゆる在日朝鮮人として生きる人たちが多く集まって暮らしています。この放火事件により、在日朝鮮人として生きた歴史を示す重要な資料が焼失してしまいました。犯行は、韓国人、朝鮮人が嫌いだという思いに基づいて行われた可能性が高く、このような犯罪は、ヘイトクライムの一つだと考えられます。ヘイトクライムとは、「皮膚の色、言語、宗教または信条、国籍または民族的または種族的出身、世系、年齢、障害、ジェンダー、性的指向・性自認等の特定属性をターゲットにして、当該集団又はその構成員に対して行われる犯罪」と定義されています。ヘイトクライムの対象となるコミュニティに属する人々は、同じ人間だということを否定され、社会の周辺に追いやられざるを得ません。しかし現在、日本の法律研究や、裁判の中でさえ差別の問題については触れられておらず、このままでは、差別的な動機や背景によって、特定の人々を社会から排除する可能性があるということが忘れ去られかねません。よって、今後日本は、人種差別撤廃条約の実効化、差別に基づく犯罪に対する司法的対応、さらに、差別の予防、禁止を目的とした機関におけるプログラムの作成や情報共有などに注目し、力を入れるべきだと考えます。


金教授の報告の様子

金教授の報告の様子


山本 崇記准教授の報告要旨:
「地域社会におけるヘイトクライムの影響―京都事件を通して―」


当報告の詳細は、以下の論文を参照ください。
・山本崇記2019「ヘイトクライム被害からの『回復』の困難とその方途:京都朝鮮学校襲撃事件からの一考察」『法学セミナー』258:85-97
・――――2021“What is Necessary to Recover from Damages Caused by Hate Speech: A 10-year Continuous Survey of the Kyoto Korean School Case”『龍谷大学社会科学研究年報』51:75-87
・――――2022「ナショナリズムと複合差別」『現代の部落問題』解放出版社: 269-306

 京都では過去3度にわたり(2009年12月、2010年1月及び2010年3月)、京都朝鮮第一初級学校と呼ばれる小学校に対する襲撃事件が起きています。事件当時、学校にはいわゆる在日朝鮮人の子どもたちが登校しており、この事件は子どもたちや学校の関係者たちに大きな被害を与えました。
 当報告においては、山本准教授が実施したヘイトスピーチに関する実態調査の結果について説明がなされました。まず、2015年に行われた全国の在日コリアン中学生・高校生を対象としたアンケート調査を通じて、京都朝鮮高級学校(京都市左京区)に進学していた生徒の中には「居住地における多文化共生が進んでいないと思っている生徒」が比較的多いことが分かりました。また、京都朝鮮学校の統廃合を経験した人々 (卒業生・保護者・教員など)を対象に、2019年から行われたアンケートでは、「事件について忘れたい、リセットしたい」と考える人が多いにもかかわらず、実際には事件から回復できず、苦しんでいる人が多く存在することが明らかになっています。同アンケートでは、「ヘイトスピーチへの恐怖がある」という人が41%を占め、「日本社会は住みやすい」と感じる人は27.9%を占めました (住みにくいと思うのは24.6%、どちらともいえないと思うのは47.5%)。しかしながら、事件の被害を直接受けた生徒の回答をみると、「ヘイトスピーチへの恐怖がある」と思う割合と、「日本社会は住み心地がよくない」と思う割合が、それぞれ過半数を占め、拮抗しているという結果となります。この結果には、アンケート回答者たちが、朝鮮学校及び、家庭、同胞社会という当事者コミュニティによって守られ、朝鮮人としてのアイデンティティが肯定的に育まれつつあることが表れているのではないかと想定します。しかし、事件の被害からの回復には、当事者コミュニティだけでなく、地域社会全体でつながりを持ち、国、自治体、ひいては日本社会が責任を果たす立場性にあると考えます。


山本准教授の報告の様子

山本准教授の報告の様子


質疑応答(Q&A)
Q:京都朝鮮第一初級学校への襲撃事件によって、朝鮮初級学校が移転したのでしょうか?

A(金教授):もともと移転(朝鮮学校の統廃合)の話は出ていたのですが、それに拍車をかけたのはやはり襲撃事件だと思います。また、当時朝鮮学校が運動場として使用していた勧進橋児童公園が、行政によって運動に使用できないような形状にされてしまい、その後、子どもの健康状態に悪影響が出たというデータも存在します。これも移転を早めた大きな要因の一つだと言えます。


Q:ヘイトクライマーの形成過程に関する研究はありますか? 私は大学の講義(「保育と人権」)で、さまざまなスティグマ体験を取り上げる際、受講生の家庭内、親族間で、様々なヘイト感情が継承されていることを多数耳にしています。ホームレスや障がい者、被差別部落など、身近な大人の言動に影響される子ども、若者の存在があるとすれば、ヘイトクライマーも周囲の大人の影響が無視できないと考えますが、いかがでしょうか?

A(山本准教授):家庭内の会話によって差別や偏見が刷り込まれ継承されるということは、以前から問題になっています。しかし、今は家庭ではなくネットで流される情報の方が、ヘイターを育てているように思えます。
A(金教授):過去に10件のネットでの誹謗中傷事件を分析した際には、書き込みをしたのが大体65歳以上の男性であったということが判明しました。どの世代が右傾化、またはいわゆるネトウヨ化(ネット上での右翼的な言動の拡大)しているのかということは、今も真剣に研究しているところです。


Q:ウトロ地区の放火事件で人的被害がなかったのは本当にたまたまですし、この国はすでに極めて危険な段階に達しているのではないでしょうか。この状況を打開するためにも、この国に住む人たちが差別や人権について知るために、教育が果たす役割が大きいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

A(金教授):いわゆる啓蒙教育において、人権教育や被差別部落教育には非常に負担が課せられてきましたが、司法は何も進展していません。私の意見としては、現在、差別、人権問題はすでに飽和状態であり、法的な枠組みと教育、啓蒙が両輪として動かなければこれらの問題は改善されないと考えます。ヘイトクライムの問題について考える際も、この法的な枠組みがないという大きな欠陥を踏まえた方がよいと思います。
A(山本准教授):人権教育が最高潮に達した時期における差別についての「画一的」な教育こそが、ネガティブな感情を育て、現在の差別の過激化の背景になっていないかということについても調査すべきだと考えます。


Q:山本先生の最後の示唆のうち、地域社会の【沈黙】に対してより強度な包摂性に向けた取り組みという点を挙げられていましたが、もう少し詳しく教えてください。多文化共生の拠点がある地域で、この【沈黙】の問題を乗り越えないと他でも難しいのではないかと思いました。

A(山本准教授):京都朝鮮第一初級学校への襲撃事件のあった地域では、様々なマイノリティが共に暮らしているにもかかわらず、形式的なイベント以外に、垣根を越えてお互いの考えを共有するという場が少ないです。よって、マイノリティ、マジョリティが、それぞれの立場を明確にしたうえで丁寧かつ安全に本音を語れる場を、地域社会で作る必要があると考えます。


Q:金先生が示されたマイクロアグレッションを加えたピラミッドについて、解説していただけませんか。

A(金教授):マイクロアグレッションというのは、日常生活における言動の中に無自覚に存在する、歴史的に培われた偏見や差別的な表現のことです。これが蓄積されていくことによって差別的な環境が生まれて、それがひどくなるとハラスメントが起こります。こういった、マイクロアグレッション、ハラスメントの中でヘイトスピーチが多様化され、暴力につながっていくということがあるのではないかと考え、ピラミッドの図を示させていただきました。


金教授報告資料より:マイクロアグレッションから暴力へ

金教授報告資料より:マイクロアグレッションから暴力へ


質疑応答(Q&A)の様子

質疑応答(Q&A)の様子


本学における新型コロナウイルス感染者の発生状況についてお知らせします。

2022.3.1確認者数
学 生  2名
教職員  2名

※ 学内における濃厚接触者はいないことが確認されています。
※ 感染が確認された方の一刻も早い回復を念じております。
※ 感染者やそのご家族の人権尊重・個人情報保護にご理解とご配慮をお願いします。
※ 本学では、引き続き感染予防の啓発と全学的な感染防止対策を講じてまいります。


龍谷大学学長室(広報)では、公式Twitterアカウントを運営しています。
様々な学内情報(行事、重要なお知らせなど)についての投稿はもちろんのこと、龍谷大学に関する興味深い情報、豆知識、綺麗な風景なども発信していく予定です。

先ずは入学式に向けての有益な情報を発信して参りますので、是非フォローをお願いいたします。

公式Twitter「龍谷大学広報」

またその他のSNSも、是非フォローをお願いいたします。

公式Instagram「龍谷大学」
公式Facebook「龍谷大学」
 



龍谷大学 犯罪学研究センター科学鑑定ユニットは、2022年3月30日(水)18:00~オンライン公開研究会を開催します。
今回の研究会は研究者間の情報共有はもとより、その最新の研究活動について、内外の研究員や学生など様々な方に知っていただく機会として、公開スタイルで開催します。

研究会は「事前申し込み制」でオンライン開催します。ぜひふるってご参加ください。
【>>お申込みフォーム】
※お申し込み期限:3月29日(火)16:00


科学鑑定ユニット公開研究会
「研究会の歩み:SBS問題が科学鑑定のあり方に問いかけるもの」


〔日時〕2022年3月30日(水)18:00-20:00(予定)
〔形式〕オンライン(Zoom)
〔参加費〕無料  〔定員〕100名(申込先着順)

〔趣旨〕
 2016年に発足した龍谷大学犯罪学研究センターは、私立大学ブランディング事業の終了に伴い、今年度末に一つの区切りを迎えます。センターを母体とする科学鑑定ユニットは、2022年度以降も何らかの形で研究活動を続けていきたいと考えております。
 そこで、センター発足からの法科学研究会の活動を総括する研究会を開催致します。本ユニット下での第一回研究会で取り上げたSBS問題の現状と課題(各論)を踏まえて、司法と科学(総論)の今後のあり方について検討します。どうぞご参加ください。

〔報告〕
・古川原明子(龍谷大学法学部、科学鑑定ユニット長)
 「SBS問題の現状と課題(仮)」

〔指定コメント〕
・笹倉香奈 教授(甲南大学法学部、科学鑑定ユニット客員研究員)
・徳永光 教授 (獨協大学法学部、科学鑑定ユニット嘱託研究員)
・平岡義博 氏(立命館大学 上席研究員、科学鑑定ユニット嘱託研究員)


【ご参加にあたって】
・Zoomの会議情報は、お申し込みフォームに入力いただいたメールアドレスに、開催時刻までに連絡します。拡散はお控えください。
・会の進行上、ホストにより発表者以外をミュートとさせていただく場合や、進行の妨げとなる方に退出いただく場合があります。ご了承ください。

主催:龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)

 
科学鑑定ユニットは、科学鑑定に関する国内外の最新の「知」を集結することで、科学的知見に基づいた科学鑑定の枠組みを提示し、その実践を刑事裁判において担いうる専門家集団を形成を目的としています。
https://crimrc.ryukoku.ac.jp/org/science.html#s03

揺さぶられっこ症候群(SBS)理論に関する科学的信頼性の検証プロジェクトについては、以下のインタビューを参照ください。
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-3612.html
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-4044.html


a

龍谷大学 You, Unlimitedの記事一覧

お電話でのお問い合せはこちら

電話番号: