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2019年1月29日、龍谷大学 犯罪学研究センターは第6回「CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会」を、本学深草キャンパス 至心館1階で開催し、約10名の方が参加しました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-2980.html

今回の研究会では、石塚伸一(本学法学部教授・犯罪学研究センター センター長・「治療法学」ユニット長)、古川原明子(本学法学部准教授・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長)、の2名による発表が行われました。

研究会前半では、石塚伸一教授による発表が行われました。治療法学ユニットでは、これまで社会技術研究開発センター(RISTEX)と共同して、「アディクションからの回復」をテーマに研究を進めてきました。


石塚伸一(本学法学部教授・犯罪学研究センター センター長・「治療法学」ユニット長)

石塚伸一(本学法学部教授・犯罪学研究センター センター長・「治療法学」ユニット長)


アディクションとは、嗜癖あるいは嗜虐行動のことです。具体例として、アルコール依存、薬物依存、DV、性暴力、ギャンブル依存、万引き、摂食障害、インターネット依存を指します。石塚教授は、アディクションの問題の背景に「孤立」を挙げました。石塚教授は、人が「孤立」に陥る流れを、つぎのように説明しました。子どもが成長過程において、自身を尊重される経験が乏しいまま親から虐待的行為を受けてしまう。虐待的行為からの束の間の解放感あるいは統制を望み、やがて物や行為に依存してしまう。そして、周りの人々からの信頼や評価を失い、「孤立」してしまうのです。

そこで、治療法学ユニットでは、「孤立」を背景としたアディクションからの回復を支援する『ATAnet』(多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築)と連携をとりながら、日本の薬物問題の状況に適合するテーラーメイドの「新たな薬物政策」を構築し、類似した社会的・文化的環境にある東アジア地域においてこれを普及・展開することを目的としています。

『ATAnet』では、「アディクション円卓会議(“えんたく”)」を設けて、アディクションからの回復を支援しています。“えんたく”は、依存問題の解決に際してどのような問題や課題があるかの共有を目的としています。具体的には、Aグループ(Addict=当事者)、Bグループ(Bonds=親、支援者)、Cグループ(Collaboration=回復支援に共同する人たち)という3つの円卓を設けます。はじめに、グループのメンバー間で話し合い、理解を深めます。つぎに、各グループが同じ目線や立場で問題を共有できるように、垣根を越えて話し合うのです。
石塚教授は「アディクションからの回復において我々に必要なプロセスは、知る(当事者のことを理解する)、分かる(自分の中で腑に落ちるようにする)、支える(当事者を理解し、自分の中で腑に落ちたうえで、行動として支える)ことである」と述べました。


参照:http://www.jst.go.jp/ristex/pp/project/h28_1.html

参照:http://www.jst.go.jp/ristex/pp/project/h28_1.html


つづいて、研究会後半では、古川原明子准教授がこれまでの科学鑑定ユニットの研究成果を報告しました。科学鑑定ユニットは、犯罪と科学との関係を扱うユニットです。DNA鑑定や画像解析鑑定など裁判で使われる科学的証拠はたくさんありますが、これらの信頼性を問い直し、国内外の科学者の知見を踏まえて、信頼できる鑑定を刑事裁判で用いるための基準の提言を目指しています。 


古川原明子(本学法学部准教授・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長)

古川原明子(本学法学部准教授・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長)


現在、科学鑑定ユニットでは、揺さぶられっ子症候群(SBS)*1を中心に研究を行っています。2018年2月10日に龍谷大学・響都ホールで開催された国際シンポジウム「揺さぶられる司法科学-揺さぶられっ子症候群仮説の信頼性を問う」は、国内外から大きな注目を浴びました。
【関連記事>>】2018年 国際シンポジウム「揺さぶられる司法科学 揺さぶられっ子症候群仮説の信頼性を問う」開催レポート


古川原准教授は「研究成果が最近少しずつ表れている」と報告しました。揺さぶられっ子症候群に関する刑事裁判で不起訴・無罪判決が見られるようになってきたのです。その過程で、法医学や小児脳神経学を専門とする医師らとの議論の場が醸成されつつあります。

そして、古川原准教授は「昨年2月の国際シンポジウムでは、問題意識の共有がなされた。さらに、海外の議論状況を踏まえながら、医学・法律・福祉といった複数の観点からの検討を進めていく予定である」と述べました。

科学鑑定ユニットは、新たな研究報告の場として、2019年2月14日、岐阜・朝日大学で、国際シンポジウム「SBS/AHT~わかっていること、わかってないこと~」【>>詳細】、2月16日東京・弁護士会館で「国際シンポジウム揺さぶられっ子症候群(SBS)を知っていますか」【>>詳細】を開催します。

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「CrimRC(犯罪学研究センター)公開研究会」は、犯罪学研究センターに関わる研究者間の情報共有はもとより、その最新の研究活動について、学内の研究員・学生などさまざまな方に知っていただく機会として、公開スタイルで開催しています。

今後もおおよそ月1回のペースで開催し、「龍谷・犯罪学」に関する活発な情報交換の場を設けていきます。
次回は2/12(火)に開催予定【詳細>>】です。ぜひふるってご参加ください。

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【補注】
*1「揺さぶられっ子症候群(SBS)」
The Shaken Baby Syndromeの略で、1970年代にアメリカの小児科医が提唱。網膜出血・脳浮腫・硬膜下血腫の三徴候は、激しく子どもを揺さぶることで生じるという仮説。医師の間にはこの三つの症状(これは三徴候とよばれる)があれば虐待があったとしてよいという考え方があり、これを警察官や検察官、そして裁判官が信じていることから、三徴候の存在を理由に虐待があったとして逮捕・起訴される例が少なくない。

【参照サイト】
「SBS(揺さぶられっ子症候群)を考える」
https://shakenbaby-review.com/wp/


2019年1月30日、犯罪学研究センター矯正宗教学ユニット」では、公開研究会を本学大宮キャンパス 南黌で開催し、教誨や宗教に関わる実務者、研究者を中心に、約10名の方が参加しました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-3093.html

今回の研究会では、網代豊和氏(浄土真宗本願寺派・西照寺 副住職)、アダム・ライオンズ氏(京都アメリカ大学コンソーシアム・ポストドクター)を講師に迎え、教誨活動の歴史と現状をテーマに発表いただきました。



「教誨師(きょうかいし)」という存在をご存知でしょうか?教誨とは、教え諭すこと。そして教誨師とは、受刑者に寄り添い、心の救済に努める宗教者です。本学には、戦前から続いている浄土真宗本願寺派の宗教教誨を基盤にした矯正・保護の教育プログラムがあります。しかし、受刑者の宗教的欲求に応じて面接指導を行なう教誨活動や教誨師について、社会的認知度はそれほど高くありません。

研究会前半では、現在教誨師として活動されている網代豊和氏より「教誨師活動の現場~被収容者への支援のあり方~」をテーマに発表いただきました。宗派内の推薦から、2010年に教誨師に着任された網代氏は、他宗派の教誨師と共に、川越少年刑務所での教誨活動を続けています。川越少年刑務所の被収容者は約1,000名で、JA(少年院への収容を必要としない少年で、犯罪傾向の進んでいない者)・YA(可塑性に期待した矯正処遇を重点的に行うことが相当と認められる26歳未満の成人で、犯罪傾向の進んでいない者)という指標に分類されます。また、同刑務所内での網代氏の教誨活動は、「グループ教誨(宗教教誨)」・「個人教誨」・「出所前指導」の3種があり、「グループ教誨」・「個人教誨」では宗派の教義に基づいた話を行う“宗教教誨”が、「出所前指導」では出所が確定した被収容者へ一般的な道徳の話を行う“一般教誨”がなされています。


網代豊和氏(浄土真宗本願寺派・西照寺 副住職)

網代豊和氏(浄土真宗本願寺派・西照寺 副住職)


網代氏が教誨師に着任した当初、宗教教誨では始めに勤行を行い、余った時間で法話を行っていましたが、しだいに「被収容者との会話(言葉のキャッチボール)の時間」を増やすようにしたそうです。ある時、網代氏が被収容者に「私の話は理解できるか?」と尋ねたところ、「視野が広がります」と返答があり、被収容者への宗教の必要性を実感する契機になりました。「ただし、こちらが伝えたいことと、向こうが欲しい情報とが乖離している場合もある。だから時折尋ねることで、自分の話が一方通行にならないように心がけている」と網代氏は活動を振りかえります。
そして、網代氏は教誨活動を通じて、特別なルールで規制・管理される刑務所で「孤独性を抱えている被収容者が多いのではないか」と感じるようになりました。「宗教教誨は、社会と隔絶された刑務所という空間で、社会とのつながりを得られる特別な時間でもある」。そうした信念のもと、被収容者との言葉のキャッチボールを続けてきました。

出所前指導の際、網代氏は「宗教的発露と反省の心がつながる時はあるのか?」と自問自答するような場面に遭遇しました。ある被収容者から「反省とはなにか? たしかに、自分がおかした事件について半分は自分が悪いと反省しているが、それでも半分は生きていくために仕方がなかったと思う」という問いを受けたのです。そこで、網代氏は釈迦の教えである「天上天下唯我独尊(我々人間の命に差はなく、みなが平等に尊い)」をもとに、「自分が一番だと思っているように、相手もそう思っている。だから自分がして欲しくないことを、相手にしないようにする。被害者への行為は、自分がして欲しい行為だったのでしょうか?」と指摘。すると、指導教室に臨席した被収容者たちが、「なるほど。それを教えて欲しかった」との声をもらしたそうです。
社会復帰という真の意味での「立ち直り」を考える上で、宗教者だからこそ被収容者の心に寄り添い、そして導くことのできる、宗教教誨の可能性を感じる出来事です。


アダム・ライオンズ氏(京都アメリカ大学コンソーシアム・ポストドクター)

アダム・ライオンズ氏(京都アメリカ大学コンソーシアム・ポストドクター)


研究会後半では、教誨マニュアル編纂委員会や教誨師研修会への参加等を通じて研究活動を行うアダム・ライオンズ氏より「浦上四番崩れと浄土真宗の護法運動:廃仏毀釈と教誨の始まり」をテーマに発表いただきました。

はじめに、ライオンズ氏は、「犯罪は個人の心の問題から始まるが、同時に犯罪には社会の問題でもある。言いかえれば、犯罪者は事件の加害者であると同時に社会の被害者でもある」とし、「宗教教誨の問題点は、心の領域(=私的領域)にとどめている点にあるのではないか。また、いまの日本における宗教は私的なものでもありながら公的な働きを求められるという、難しい矛盾を抱えているのではないか」と、疑問を呈しました。

近代日本において、宗教には社会貢献が求められてきました。明治初期の1870年〜1873年に浦上村(現在の長崎市)で起きた「浦上四番崩れ」は、大規模なキリスト教徒への弾圧です。なんと全村移送という規模で、配流先では仏教徒が教誨を担当したという仏教側、キリスト教側それぞれの史料があります。これは違法のキリスト教徒を改心させることによって、江戸時代の寺と政府の密接的な関係を存続させる戦略だったとも言えます。

「浦上四番崩れ」は、神道色の強い明治政府において、仏教と新政府とのつながりを見出すことになった事件です。すなわち、「刑罰と教誨のつながり」がここから生まれたのです。
ライオンズ氏は、「教誨師は、国家と宗教の狭間に立たされている存在ではないか。近代国家において、宗教が犯罪・再犯の抑止にどのように貢献できるのか? というのが重要なポイントです」と発表を終えました。


井上善幸(本学法学部教授・犯罪学研究センター「矯正宗教学」ユニット長)

井上善幸(本学法学部教授・犯罪学研究センター「矯正宗教学」ユニット長)


さいごに、今回の研究会を企画した犯罪学研究センター矯正宗教学ユニット」長の井上善幸(本学法学部教授)は、「宗教教誨を心の問題とするか社会の問題とするかという二者択一ではなく、犯罪をふくめて社会現象を相対化させて捉えなおす時に宗教という軸の役割があるのではないか」と締めくくりました。

同ユニットでは、民間や行政、宗教・宗派の枠を超えて連携し、お互いを支えあう接し方や社会のあり方を目指して、引き続き、研究活動を進めていきます。

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【関連記事リンク】
>>【犯罪学研究センター】矯正宗教学ユニット紹介
>>【犯罪学研究センター】矯正宗教学ユニット長 インタビュー
>>【News letter】石塚 伸一 犯罪学研究センター長
「教誨師~その知られざる職業~受刑者に寄り添い、心の救済に努める「教誨師」とは何か
https://www.ryukoku.ac.jp/news/detail/en2614/newsletter.pdf


滋賀県産の食材を活用し、県民の健康増進を目指す滋賀県の取り組み、「滋賀めし」の新メニューコンテストが実施され、
学生部門の初代グランプリに、本学農学部食品栄養学科2年生の中川怜那さんが選ばれました。
学生の部では21件の応募があり、中川さんは滋賀県産の野菜を使った「近江カブのリゾット」を提案しました。

【「滋賀めし」とは】
〇滋賀県では、食の地産地消を進める「おいしが うれしが」キャンペーンの一環として、「滋賀めし」を展開。
〇「健康に美味しく食べられる地産地消の食事」をテーマとしており、新メニューコンテストを通じて、健康増進に資するメニューを募っている。

【農学部HP】
https://www.agr.ryukoku.ac.jp/






2月6日、京都府立 桃山高等学校にて、農学部アグリカフェ「食べ物の安全?安心?」を実施しました。
農学部では、「食」や「農」に関する内容を簡単な実験や体験をとおして、高校生と語り合い、高校生の研究や学びへの意欲を醸成する取り組みを行っています。
今回は、「クロスロード」と呼ばれるシュミレーションゲームで、給食調理員やレストラン店員の立場になって、仮定された状況の中で自分ならどんな決断をするか、チームで話合いながら、食品衛生について学び、文系・理系の枠組みを超えた視点で「食」と「農」を考える講義を行いました。

【参加者の感想】
・農学は経済やすべてのものにつながっている事と思いました。色々なことを知らないと問題は解決できないことが分かりました。
・知識を与えられるだけでなく、実際に自分が考えることで、より深く無いようを知ることができました。
・考えた事もないテーマだったので、新鮮で楽しかったです。
・農学部のイメージが変わりました。農学部といっても農業の話ばかりではないのだなと思いました。





本学農学部食料農業システム学科では、2016年度から一般社団法人 環びわ湖・大学コンソーシアムの「大学地域連携課題解決支援事業」の助成を受け「学生と市民が一体となって取り組む『農』から広がる愛東のまちづくり」の活動等、東近江市愛東地域との連携活動に取り組んできました。これらの活動は愛東地域の中でも特に百済寺地区を拠点として行っており、本学科の学生等が本地区の「百済寺樽復活プロジェクト」にも参加する等、継続的に活動を行ってきました。

 このような本学科と百済寺地区との連携活動を礎として、本年2月8日には、地域活性化に係る取組支援事業「しがのふるさと支え合いプロジェクト」に関する協定締結式(本学科と百済寺ブランド認証協議会との協定)が三日月知事同席のもと滋賀県庁知事室にて執り行われました。同締結式では、落合雪野教授(農学部食料農業システム学科主任)からこれまで取り組んできた連携活動に関する報告が行われ、三日月知事からはさらなる連携活動への期待を込めた挨拶をいただきました。

 本学科と百済寺ブランド認証協議会とは今後本プロジェクトの支援を受け、学生と百済寺地区の地域住民の方々と交流を図りながら、地域活性化に向けた諸事業に取り組んでいきます。



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