立ち止まり、ふり返り、成長する

はじめに、歌を一首、紹介しましょう。

人の持てる長さは言はで
短さをただ言ひちらす人のみじかさ

これは京都女子大学の創設者の一人である甲斐和里子かいわりこ さん(1868~1962)のまれた歌です。
和里子さんは、龍谷大学の第5代学長を務められた足利瑞義あしかがずいぎ 先生(1871~1944)の姉です。日本における女子教育に多大な影響をあたえた教育者であると同時に、仏の願いを聞いて真実の人生を歩まれた方でもありました。その方の歌に「内省」の心を見ることができます。

この歌にもあるように、私たちは他人の長所をめるよりも、他人の短所をあげつらうことを常としています。他人に良いことがあるとねたましく思い、他人に不幸があるとひそかにほくそ笑む──。実はこれが、私たちの最も大きな短所なのではないでしょうか。

他人の悪いところはよく目につきますが、自分の悪いところはなかなか気づかないものです。他人の悪い噂は、たとえそれが嘘であっても面白いものです。逆に、自分の噂は、それが本当であっても不愉快な気持ちになります。私たちは、ずいぶんと自分勝手ですね。
そんな私たちですから、自身の欠点を知るためには、まわりの人たちの言葉をよく聞かなければなりません。しかし、私たちは自分の欠点を指摘されると、瞬時にカッとなってしまいます。どうしたらよいのでしょう。
ここでもう一つ、和里子さんの歌をご紹介しましょう。

をしえ子を さとすことばに おのれ
さとさるる身の はづかしさかな

これは、教育者として教え子をさとそうとするその言葉に、まずご自身が諭されることをうたわれたものです。ここに謙虚な「気づき」が見られます。このようなあり方は、実は「建学の精神」にふれていくところに、自然とあらわれてくるものなのです。これまでに出遇であった人。
これから出遇う人……。多くの人と、多くの言葉を交わしてください。時には立ち止まり、ふり返りながら、少しずつ前を向けば良いと思います。
わが身をかえりみる、内省することを通して、初めて人は成長できるのです。
多くの良い出遇いを念じています。

龍大はじめの一歩
-龍谷大学『建学の精神」-


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