(2025年4月更新)
LGBTQという言葉を耳にしたことのある人は多いでしょう。知識として理解している人も増えてきています。では、たとえばふだんの生活のなかで、その言葉をどれほど身近なこととして意識し、具体的に行動しているでしょうか。“知っている言葉”のひとつに留まっているということはないでしょうか。
差別は多くの場合、正しいことを伝えようとするところから生じると言います。私自身、気づかないままに自分の正義を振りかざして人に押しつけ、その結果、だれかを傷つけたり否定したり排除したりしてきたかもしれません。だからこそ、深い自省とともに、みなさんにお伝えしたいのです。たんに言葉として覚えるだけではなく、知識として蓄えるだけでもなく、言葉にこめられた切実な内容を“わがこと”として解きほぐし、編み直し、血肉化することが大事なのです。それによって、柔軟な思考を育み、「まごころ」ある行動を起こせる人間になることが望まれているのです。
いま、同性パートナーシップ制度が広がり、あるいは「同性婚を認めない現行制度は憲法違反」という高裁判決が陸続と出されるなど、LGBTQなどの性的少数者をめぐる環境は大きく変化しつつあります。しかし、その一方でマイノリティを否定し排除しようとする言説が拡大し、それによって苦しみや生きづらさに直面している人たちがいるという厳然たる事実も、私たちはけっして見逃してはなりません。LGBTQは、政治の道具でもなければ、経済活性化の手段でもありません。人権の問題、「いのち」の尊厳の問題なのです。
龍谷大学は、これまでも建学の精神に根ざして性的指向や性自認、性表現などを理由とした差別や偏見を克服し、だれもが自分らしく安心して過ごすことのできるキャンパスをめざした取り組みを進めてきました。私たちは、これからも学びを進め、ほぐし、視野を広げ、まなざしを深めつつ、「自省利他」の行動哲学に基づいて主体的に実践する大学でありつづけます。
2025年4月1日
龍谷大学 学長 安藤 徹
性的指向や性自認など、性のあり方は多様であり、これらに関する差別や偏見を解消し誰もが自分らしく安心して過ごすことができる大学や社会を目指すことは、すべての本学構成員が取り組むべき課題です。
龍谷大学は、「人権に関する基本方針」のもと、本学構成員の一人ひとりが、性的指向および性自認などに関する悩みや生きづらさを抱える人がいることを常に理解し、合理的な配慮を可能な限り提供するため、次のとおり基本指針を策定します。
2017年12月策定
大学生活で、性的指向や性自認など、性に関する悩みや困っていることについて相談できる「ジェンダー・セクシュアリティ相談(GS相談)」を開設しています。GS相談は原則として予約制です。相談の日程や場所を調整の上、相談員(教職員)が相談に応じます。本学の学生と教職員が対象で、自分自身のことだけでなく、困っている友人のことや、相談を受けた場合の対応方法などについてもお気軽にご相談ください。
相談を希望される方は、宗教部(深草キャンパス顕真館)に来室するか、syukyobu@ad.ryukoku.ac.jpに連絡して予約してください。個別の事情等によって希望に沿えない場合もありますが、より良い答えを導き出せるよう一緒に考えましょう。
なお、その他の相談窓口として、学生部内に「なんでも相談室」がありますので、ご利用ください。
性的指向や性自認などを嘲笑したり、本人の同意なく個人情報を他人にばらすことはセクシュアル・ハラスメントとなります。嫌な思いをしたり、不快な思いをした場合、ひとりで悩んでいても解決しません。すぐに周囲の信頼できる人かハラスメント相談員に相談しましょう。
ジェンダーやセクシュアリティなどについて語り合う気軽で自由な交流の場として「SOGIカフェ」(そじかふぇ)を半期に一回程度のペースで開催しています。
SOGIカフェでは、個人情報などに関するグランドルールを設けます。参加者のジェンダーやセクシュアリティは問いません。黙って聞いているだけでもOKです。途中参加や途中退室も可、お申し込み不要です。
開催日時が決まりましたらポータルサイトやポスターなどでお知らせします。お気軽にご参加ください。
通称名等の使用を希望する学生は、学部長、研究科長又は別科長に申し出ることにより、通称名等を使用することができます。詳細は、所属の学部教務課等または宗教部(受験生は入試部)までお問い合わせください。
本学が発行する証明書ならびに申請書等には原則として性別の記載はありません。また、各授業における受講者名簿にも性別の記載はありません。
性別違和により、戸籍等と異なる性別の登録を希望する場合は、個別に対応しますので、所属の学部等にご相談ください。
龍谷大学では、学校保健安全法に定められた健康診断を毎年4月に実施しています。健康診断は、学部(学年)・男女別に行われます。その際、胸部レントゲン写真撮影がありますが、撮影時の更衣スペースは、個人ごとに分かれていません。健康診断の際に配慮が必要な方は、事前に所属学部があるキャンパスの保健管理センターまで電話にてご相談ください。教職員の健康診断についても同様にご相談ください。
本学学生が使用する指定履歴書に性別欄はありません。
なお、本学の教職員採用にかかる一部の履歴書には性別欄がありますが、記入は必須ではありません。
未記入の場合も、選考において不利益となることはありません。
離籍後に改姓・改名をした卒業生等(修了、退学、除籍を含む)が、改姓・改名後の名前での発行を申し出た場合は、改姓・改名後の名前で卒業証明書等を発行します。
龍谷大学では、多様なトイレニーズに対応するため、男女別トイレ以外の選択肢として性別にかかわらず利用できる「だれでもトイレ」を設置しています。
「だれでもトイレ」は、どなたでもご利用いただけます。車イス対応のほか、オストメイト、衣服の着脱やおむつ交換などができる多目的シートやフィッティングボード、ベビーチェアなどの機能を備えているところもあります。広めのスペースや介助を必要とする方、その他このトイレを必要とする方が優先してご利用いただけるようご理解をお願いします。
その他、深草キャンパスの聞思館1階に「だれでもシャワー室」、聞思館2階に「ファミリールーム(授乳・おむつ替え)」を設置しています。
「だれでもトイレ」の設置場所や機能については、以下の「だれでもトイレの設置場所・機能について」をご覧ください。
生理用ナプキンを無料で提供するサービス「OiTr」(オイテル)を導入し、「だれでもトイレ」を含む個室トイレに設置しています。
事実婚、同性婚等、事実上婚姻関係と同様の事情または状態にある相手との関係について、婚姻の届出をしたものに相当するとみなす制度があります。
【参考】パートナーシップ制度の適用により対象となる法人内の主な各種制度
通称名等の使用を希望する職員は、所定の申し出をすることによって、旧姓および通称名を使用することができます。
職員が死亡で退職した場合の退職手当の受給者を、予め指定することができます。
龍谷大学は、「LGBTQ+が働きやすい職場づくりを実現する」ための取り組みを確認し検証することを目的として、2018年度から継続して一般社団法人「work with Pride」が主催するPRIDE指標に応募しています。
各学舎に設置しており自由にお持ち帰りいただけます。複数必要な方は宗教部までご連絡ください。
各学舎に設置しており自由にお持ち帰りいただけます。複数必要な方は宗教部までご連絡ください。
最新刊:27号『いのちと平和』(2025年3月10日発行)
人権冊子『白色白光』
セクシュアルマイノリティの現状とニーズを把握することを目的として実施したものです。2016年11月9日から12月8日にかけて、大学ポータルサイト内のアンケートに回答する形式で、本学の学生および教職員を対象におこないました。詳細については、以下の報告書をご覧ください。
深草キャンパス顕真館のロビーに、SOGIやジェンダーに関する図書や冊子を展示しています。
自由に手に取って顕真館の講堂内で読むことができるほか、宗教部にお申し出いただければ貸し出しも致します。また展示していない冊子もありますので、お気軽にお声がけください。
京都、東京、大阪などのプライドイベントに学生と教職員が協力して出展するほか、学生の活動に対するサポートや経費の支援をおこなっています。
いわゆる「性分化疾患」(DSDs:「体の性の様々な発達」と呼ばれる)は、性的指向・性自認とは基本的に別の医学的な問題で、混同せずに対応することが求められます。性分化疾患は、染色体や性腺の種類、女性の膣や子宮の有無、外性器の形状・大きさなど、性に関する体の発達が先天的に非定型的である状態を指します。治療が必要な場合もあり、複数の症例 を包括する医療カテゴリーとして「性分化疾患」が用いられます。DSDsについては、「男でも女でもない」「男女の区別がつかない」「男女の中間」「両性具有」ということではなく、「女性にも様々な体がある・男性にも様々な体がある」という理解が求められます。
(日本学生支援機構:『大学等における性的指向・性自認の多様な在り方の理解増進に向けて』より抜粋)