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 農研機構と龍谷大学は、カリウムの施肥量を抑えて多収イネを栽培すると、分解しにくい難分解性の炭素が土壌に蓄積することを発見しました。これは、イネのカリウム施肥を制御することにより土壌への難分解性炭素の蓄積を人為的に促進できる可能性を示しており、新たな地球温暖化対策の開発につながることが期待されます。

 

 地球温暖化対策として、堆肥等を農地に施用して土壌中に積極的に炭素を蓄積させようという試みが推進されています。しかし、堆肥等は微生物等により分解されると、最終的には二酸化炭素となって大気に放出されるため、炭素は土壌に長期間蓄積しません。他方、アルミニウム等と結合した炭素(難分解性炭素)は、微生物により分解されにくく、数千年にわたって土壌に蓄積していることが知られていますが、このメカニズムはわかっていません。このため、土壌に炭素を貯める技術を開発するには、土壌中で難分解性炭素が形成・蓄積されていく過程を明らかにする必要があります。そこで、農研機構と龍谷大学等は、水田を対象として研究を実施し、カリウムの施肥量を抑えて多収イネ(※1)を栽培すると、土壌中に難分解性炭素が形成・蓄積されることを明らかにしました。

 カリウムの施肥量を抑えて多収イネを栽培した水田では、11年間で10アールあたり76.3kgの難分解性炭素が土壌に蓄積しました。一方、カリウムを十分に施肥してコシヒカリを栽培した水田には難分解性炭素は蓄積しませんでした。水田の養分収支とイネの根・土壌の調査から、①カリウムの施肥の抑制により、肥料・灌漑(かんがい)水・土壌に由来する吸収しやすい形のカリウムの供給量が不足しても、多収イネは他の給源から必要量のカリウムを吸収し正常に生育した、②多収イネの根が土壌中の鉱物(※2)を壊し、その構成元素であるカリウム、ケイ酸、アルミニウムを放出する、③鉱物から放出されたカリウム、ケイ酸を多収イネが吸収し、アルミニウムは根圏に残る、④アルミニウムは土壌中の炭素と結合して難分解性炭素が形成・蓄積する、ことが分かりました。一方、カリウムが十分に施肥されたコシヒカリ栽培水田では鉱物が利用されず、難分解性炭素が形成しませんでした。この結果は、イネのカリウム施肥を制御することにより、難分解性炭素の土壌蓄積を人為的に促進できる可能性を示しており、新たな地球温暖化対策技術の開発につながると期待されます。

 今後、鉱物中のカリウム、ケイ酸を利用できる能力がイネの品種によって異なるのか、堆肥などの施用が、難分解性炭素の蓄積をいっそう増加させることができるのか等について検討をおこなう予定です。

 

※本成果は放射性セシウムが蓄積している水田を考慮したものではありませんので、放射性セシウムを吸収するおそれのある地域では、カリウムの施用等に関して自治体の吸収抑制対策に従ってください。

 

<関連情報>予算:運営費交付金、科学研究費補助金 基盤研究C

 

問い合わせ先など                                 

研究推進責任者:農研機構中日本農業研究センター 所長 中村 ゆり

研究担当者:農研機構中日本農業研究センター 転換畑研究領域

上級研究員 草 佳那子

       龍谷大学農学部 准教授 森泉 美穂子

       龍谷大学食と農の総合研究所 客員研究員 阿江 教治

      広報担当者:農研機構中日本農業研究センター 

広報チーム長 谷脇浩子

TEL 029-838-8421

https://prd.form.naro.go.jp/form/pub/naro01/carc_press

 

※農研機構(のうけんきこう)は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネーム(通称)です。

新聞、TV等の報道でも当機構の名称としては「農研機構」のご使用をお願い申し上げます。

 

開発の社会的背景および研究の経緯                        

 地球温暖化が進行している現在において、堆肥等を農地に施用して土壌中に積極的に炭素を蓄積させようという試みが推進されています。しかし、土壌に施用した堆肥は微生物等の働きにより分解され、最終的には二酸化炭素として大気に放出されるため、その全てが蓄積する訳ではありません。このため、地球温暖化対策として、微生物が分解しにくい(難分解性の)炭素を土壌に蓄積させるための技術開発が求められています。炭素を多く含む土壌では、アルミニウム等と結合して分解されにくい形態となった炭素が数千年間にわたり蓄積していることが知られていますが、その形成メカニズムは分かっていません。そこで農研機構と龍谷大学等は、我が国で最も栽培面積が大きい多い水稲(イネ)を対象とし、水田土壌中の難分解性炭素の形成・蓄積メカニズムの解明に取り組みました。

 

研究成果の内容と意義                              

  1. 研究用水田における栽培試験の結果、カリウム施肥を抑制して多収イネを栽培した水田の土壌には、アルミニウム等と結合した難分解性の炭素が11年間で10アール当たり76.3㎏(1年間の平均では10アール当たり6.9㎏)蓄積したことが分かりました(図1)。一方で、カリウムを十分に施肥してコシヒカリを栽培した水田の土壌には難分解性の炭素は蓄積していませんでした。
  2. 調査した水田において、カリウムとケイ酸の供給量(肥料・灌漑水・土壌に由来する利用しやすい形のカリウム、ケイ酸)とイネの吸収量を比較したところ、多収イネの吸収量は供給量を大きく超過していました(表1)。この結果、植物が利用できるカリウム、ケイ酸の量の指標となる土壌の交換性カリウム(※3)と可給態ケイ酸(※4)は減少しましたが、イネは良好に生育し、収量およびカリウムとケイ酸の吸収量は低下しませんでした(図2)。一方で、コシヒカリは生育に充分な量のカリウムが肥料等から供給されていました。
  3. 鉱物と多収イネ(北陸193号)の根を使った実験により、イネの根は鉱物を壊すことによってカリウムとケイ酸を吸収していることがわかりました。表1の結果と合わせて、多収イネは土壌中の鉱物を壊して、施肥等で不足するカリウム・ケイ酸を吸収したと考えられました。
  4. 土壌中の鉱物はカリウム、ケイ酸に加えてアルミニウムを含むため、イネが鉱物を壊してカリウムとケイ酸を吸収すると、アルミニウムが土壌に残ります。土壌中ではアルミニウムは炭素と速やかに結合し、難分解性炭素を形成します。多収イネ栽培水田の土壌には、このようなメカニズムで難分解性炭素が蓄積したと考えられました(図1、図2)。他方、コシヒカリは、鉱物由来のカリウムを利用しなかったため、難分解性炭素が蓄積しなかったと推定されました。
  5. 以上の結果から、肥料等から供給されるカリウムが不足する場合、多収イネは鉱物を壊して必要な量のカリウム・ケイ酸を吸収し、その結果、土壌中に難分解性の炭素が蓄積したことが分かりました(図3)。これは、イネのカリウム施肥を制御することで、難分解性炭素の土壌蓄積を人為的に促進できる可能性を示しており、新たな地球温暖化対策技術の開発につながると期待されます。

 

今後の期待                                   

 本研究では、多収イネのカリウム施肥を制御することで、生産性を落とすことなく、人為的に難分解性炭素の土壌蓄積を促進できる可能性を示すことができました。多収イネの生産は食料自給率の向上に加えて温暖化対策にも役立つことが分かり、水田の持つ多角的な機能は持続可能な社会の形成に大きく貢献していることが分かりました。世界に目を向ければ、およそ1億6千万ヘクタールでイネが栽培されており、イネの施肥管理は地球温暖化を緩和するための有効な手段になることが期待されます。

 一方、鉱物を壊してカリウム、ケイ酸を利用する能力がイネの品種によって異なるのか、多収イネを栽培した水田のようにアルミニウムが蓄積している土壌に堆肥等を投入すると、難分解性の炭素蓄積をさらに促進できるのか、カリウム制御可能な土壌母材(地質)は何か、さらに長期的なカリウム抑制が収量に及ぼす影響等、の解明すべき点が残されており、今後研究を進めていく予定です。

 

用語の解説                                   

※1 多収イネ:「コシヒカリ」のような従来の主食用品種よりも地上部が大きい飼料用および子実収量が高い業務加工用品種を指します。本試験では「ホシアオバ」と「たちすずか」を1年、「リーフスター」を4年、「北陸193号」を5年間栽培しました。

※2 鉱物:母岩や母材に由来し、風化や土壌化の過程で変質を受けていない一次鉱物で、ケイ素が主成分でアルミニウム、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム等が含まれます。カリウムを含むものには、長石類、雲母類、角せん石類、火山ガラス等があります。

※3 交換性カリウム:粘土や腐植がもつ荷電によって土壌中に保持されており、植物が吸収しやすい形態のカリウムです。

※4 可給態ケイ酸:植物が利用可能な形のケイ酸のことで、ここではリン酸緩衝液法で分析しました。

 

発表論文                                    

K.Kusa, M.Moriizumi, S.Hobara, M.Kaneko, S.Matsumoto, J.Kasuga and N.Ae. Mineral weathering and silicon uptake by rice plants promote carbon storage in paddy fields. 2021, 67(2), 162-170: Soil Science and Plant Nutrition. doi10.1080/00380768.2021.1878471

 

参考図                                          

 


図1 多収イネとコシヒカリ栽培水田における難分解性炭素の推移


表1 多収イネとコシヒカリの水田におけるカリウムとケイ酸の収支(試験期間の平均値)


図2 多収イネとコシヒカリの収量の推移 多収イネ水田の栽培品種:1年目「ホシアオバ」、2~5年目「リーフスター」、6~10年目「北陸193号」、11年目「たちすずか」


図3 多収イネが鉱物中のカリウム・ケイ酸を吸収した結果、土壌で難分解性炭素が形成し蓄積するメカニズムの概念図


 

2021年度龍谷大学国文学会総会・研究発表会を、6月26日(土)14:00より、オンラインで開催いたしました。

 

本学会は、本学文学部日本語日本文学科に付置される学内学会です。また、本学会には学部生による「学生研究会」という組織も含まれています。

同日開催の総会では、大学院生はもちろん、学部生の代表者も年間活動計画、予決算等、学会運営に関する報告をいたしました。

 


 

研究発表会では、内田智子先生(本学・専任講師、日本語学コース担当)に、「近代の音声研究におけるローマ字と五十音図」と題してご発表いただき、幕末に流布した「ヘボン式ローマ字」による当時の音声研究や五十音図への影響についてお話しいただきました。

 

また、今年度の特別講演会は、従来とは異なり、大学院に進学を希望する学生や、少なくとも在学中くらいは専門的な研究活動に集中してみたいという学生を対象とする内容にしました。本学日本語日本文学科の卒業生、万波寿子先生(本学・非常勤講師)に、「研究への誘い―つながり広がる近世文学研究―」と題してご講演いただき、近世文学研究・書籍文化(書物文化)研究の最新の動向や、ご自身の研究活動についてお話しいただきました。

なお、万波先生のご講演は、オンデマンド形式で、本学日本語日本文学科の学生に公開されています。

 


万波寿子先生

 


国文学会では、初のオンライン開催でしたが、滞りなく終えることができました。ご協力、ご参加くださった皆さまに深く感謝申しあげます。



〈当日のスケジュール〉

・14:00~    開会

・14:10~15:10 研究発表会:近代の音声研究におけるローマ字と五十音図(本学文学部専任講師 内田 智子氏)

・15:20~    総会

・17:00     閉会

・特別講演会(※本年度は、オンデマンド形式で公開・学部生向けで配信)

「研究への誘い―つながり広がる近世文学研究」(本学非常勤講師 万波 寿子氏)




龍谷大学国文学会Webサイト

https://ryukoku-nichibun.hatenadiary.org/


野呂靖准教授(文学部仏教学科)へのインタビュー記事が京都新聞に掲載されました。

鎌倉時代の僧・明恵(1173-1232)の「夢記」や、華厳思想が取り上げられています。

ぜひご覧になってください。

 

▽膨大な「夢記」残した明恵 仏教にとり「夢」とは何か 龍谷大文学部准教授の野呂靖さんに聞く 【宗教をガクモンする】


野呂靖 准教授


 

実践真宗学研究科に興味のあるみなさんに向けて、合同研究室開放を行います。

 

合同研究室は、実践真宗学研究科の院生の為の研究室で、院生は自由に出入りし、

 

自らの研究活動・実践活動を進めています。

 

今回、合同研究室を開放し、実践真宗学研究科の雰囲気を感じ取ってもらうとともに、

 

先輩院生から、研究科での学生生活など、生の声を聴くことができる貴重な機会です。

 

実践真宗学研究科への進学をご検討の皆さんは、ぜひこの機会に合同研究室にお越し

 

ください。

 

 

〇日時:2021年7月20日(火) 13:30 ~ 16:55

    2021年7月21日(水) 13:00 ~ 16:55

 

〇場所:大宮キャンパス 清風館 3F 実践真宗学研究科合同研究室

    ※大宮七条交差点東南かどにあります。

    ※予約不要。直接、合同研究室へお越しください。

    ※学外の方は、事前にご連絡ください。(文学部教務課075-343-3317)


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