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Tales from the Field: An Invitation to Criminological Research in Asia
A Pre-Event for the Asian Criminological Society 12th Annual Conference

Date/Time:
3 February, 2021
- 17:00-19:00 (Japan Standard Time)
- 19:00-21:00 (Australian Eastern Daylight Time)
- 08:00-10:00 (Greenwich Mean Time)
- 00:00-02:00 (Pacific Standard Time)

Event Overview:
Doing criminological research in Asia can be a daunting challenge that is full of pitfalls for foreign researchers. Yet for those who can master the terrain, there is much to be learnt and exchanged. In this seminar, we will explore the challenges that can arise in the field and how these have been dealt with.
Looking towards the 12th Annual Asian Criminological Society Conference, which will be held between 18-21 June, 2021 in Kyoto, Japan, we will also consider the benefits of presenting your work at international conferences and the opportunities that Asian contexts offer for international and comparative criminologists.

Event Program:
- Getting in an getting on
- Getting out and getting published
- Q&A
- Panel discussion on international presentations

Chair:
Ass. Prof. Mai Sato (Monash University)

Panelists:
Dr. Sally Atkinson-Sheppard (Lecturer, University of Westminster)
Dr. Katie Lowe (Postdoctoral Researcher, University of Hong Kong)
Dr. Emiline Smith (Lecturer, University of Glasgow)
Prof. Alison Young (Francine V. McNiff Professor of Criminology, University of Melbourne)

[>>Application Form] *Deadline for applying to participate: 1 February, 2021
The day before the event, we will send you the necessary information to participate online via the email address you provided at the time of application



- Main Organizer: Asian Criminological Society 12th Annual Conference Local Organizing Committee
- Co-organizer: Criminology Research Center, Ryukoku University (CrimRC)


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2021年1月6日(水)、龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)は、今年も第32回 龍谷大学 新春技術講演会内のポスターセッションに出展しました。
【昨年の内容>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-4926.html

本学瀬田キャンパスを開設した1989年以降、開催されてきたこのイベントは、今回で32回目を迎えましたが、コロナ状況下ということもあり、全ての講演・発表がオンライン上でおこなわれることになりました。
【イベント概要>>】https://shinshun.ryukoku.ac.jp/

今年のテーマは「⽇本発の明るい未来をデザインする」です。
当センターの出展タイトルは、「龍谷発 “つまずき” からの“立ち直り”支援〜 明るい未来創造プロジェクト 〜」です。
オンライン・ポスターセッションの参加者は5分間の動画を作成し、特設サイトに投稿・公開しています。※当センターの報告のみ、下記YouTubeでもご覧いただけます。

※以下、報告の内容をテキストでご紹介します。

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犯罪学はどのような学問なのか
みなさんは、「犯罪学」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
その対象が犯罪や非行であるため、多くの人びとの関心は、罪を犯した人の素質や環境、捜査手法、防犯対策に集中しがちです。
イタリアの刑務所や精神病院に勤めていた医師のチェーザレ・ロンブローゾ(Cesare Lombroso, 1835–1909)は、「犯罪学の父」と呼ばれています。ロンブローゾは、観察・実験・調査といった科学的な手法を用いて、犯罪者を実証的に研究したパイオニアでした。彼自身が主張した「生来性犯罪人説(犯罪は先天的な身体的・精神的特徴をもった人物によっておこなわれるという説)」は、後に科学的に否定されましたが*1、犯罪を対象とする研究の発展に大きな影響を与えました。現在の犯罪学は、社会学を中心にさまざまな学問領域の研究者が、犯罪の原因と予防について、科学の目で人と社会現象を観察・分析する学際的なものとなっています。
当センターは「人にやさしい犯罪学」をモットーとし、対人支援を基盤とした科学的根拠に基づく再犯防止のあり方について研究を進めています。

罪を憎んで人を憎まず
「人にやさしい犯罪学」の根底にあるのは「浄土真宗の精神」、ならびに市井に根付く「相互扶助」の精神です。犯罪というと暗いイメージがつきまといますが、私たちは犯罪現象を通じて、私たちの住む社会全体を見たいと考えています。罪をおかした人をつぶさに見てきたプロフェショナルたちは、時に刑罰ではなく、福祉的なサポートが何よりも重要であると主張しました。
例えば、日本では世界に先駆けて1789年(江戸時代後期)に、罪をおかした人のための“更生プログラム・職業訓練専用施設である「加役方人足寄場(かやくかたにんそくよせば)」が設置されました。提案者は「鬼平犯科帳」で有名な火付盗賊改方長官 長谷川宣以(平蔵)です。長谷川が役職についていたのは、ちょうど「天明の大飢饉」の影響が色濃く出ていた時代でした。江戸の街には衣食住を求めて大量の人が押し寄せ、治安が悪化していたのです。人足寄場はそのような背景を持つ人に対し罰を与えるのではなく、自立の手助けをしました。江戸から明治になり、開国によってそれまでの習俗・文化は一変しました。監獄(刑務所)改革の功労者である小河滋治郎は、官職を辞したのち、大阪に方面委員(民生委員)制度を創るなどさまざまな福祉事業をおこします。貧しい人や生きづらさを抱えている人が犯罪に身をやつすことに心を痛めていたためでした。

龍谷・犯罪学のルーツ「教誨師」
「教誨師」という宗教者の存在をご存知でしょうか?「教誨(きょうかい)」とは「教えさとすこと」。対話を通して罪をおかした人たちの心のケアや相談にのる他、時には亡くなった方のお見送りをする宗教者です。明治期より教誨師を多く輩出してきた浄土真宗本願寺派には、罪をおかした人の立ち直りを支える更生保護施設(西本願寺白光荘)*2の運営のほか、保護司(立ち直りを支援を支えるボランティア)となっている方も多数います。龍谷大学には、それらの活動を通して得られた知見が教育・研究などさまざまな形で根付いています。

「日本の刑事政策研究の拠点」へ
教誨活動の歴史と伝統を継承し、教育課程の充実と社会的要請に応えるため、1977年、本学は特別研修講座の一つとして「矯正課程」(1995年「矯正・保護課程」に改称)を開設しました。以来30年以上にわたる教育活動の成果として、矯正や更生保護の分野で実務家(刑務官・法務教官・保護観察官・関連する民間施設の職員、保護司や教誨師等のボランティアなど)を多数輩出してきました。こうした実績を基盤として、2002年には「矯正・保護研究センター」が文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業「アカデミック・フロンティア・センター(AFC)」に採択。「西日本における刑事政策研究の拠点」との評価を受けました。2010年度には、新たに研究・教育・社会貢献を一体として展開する「矯正・保護総合センター」に改組され、文・法・社会・政策の各学部、短期大学部および大学院実践真宗学研究科から選出された委員で運営する全学的事業となりました。
そして2016年、私立大学研究ブランディング事業に「犯罪学研究センター」が採択され、現在に至ります。



犯罪学研究センターの使命
【研究部門】:人間、社会、自然科学をテーマに13のユニットが、犯罪をめぐる現象を科学的に研究し、そこから得た成果を融合させることで、あらたな犯罪学としての体系化をめざします。
【国際部門】:グローバル・スタンダードの犯罪学をめざし、海外の研究教育機関との交流や国際学会での成果発表、そして、すぐれた研究者を招聘してシンポジウムやセミナーを開催しています。また、2021年6月には龍谷大学で「アジア犯罪学会 第12回年次大会」の実施を予定しています。
【教育部門】:調査研究や学術交流の成果を活用し、独自の教育カリキュラムや、ICT教育メソッドの開発をしています。 犯罪学教育の理論と実践。多様なニーズと期待に応える「龍谷・犯罪学」の研究成果を社会へ還元します。


これまで、大学内にとどまらず、地方自治体をはじめとするさまざまな団体と共同事業*3をおこなってきました。

わたしたちの目指す犯罪学は、「人にやさしい犯罪学」。キーワードは、“つまずき” からの “立ち直り” を支援すること。わたしたちの研究は、このように旧来の犯罪学よりも一歩踏み出して、新しい領域にもその射程をひろげています。

「生きづらさを抱えている人に柔軟に対応できる力を持った地域社会」
それがわたし達の目指す明るい未来。その実現に向けて、さまざまな知見やメッセージをこれからも提供できるよう、一層の努力を重ねていきます。

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【補注】
*1 近年の「脳科学」や「DNA研究」の発展により、ロンブローゾの研究テーマ「罪をおかすのは先天的・後天的、どちらの要因によるものか?」という、(個人的資質に着目した)犯罪原因論の研究に再び関心が集まっています。

*2『更生保護施設は、刑務所や少年院などから釈放された人や保護観察中の人などのうち、頼るべき家族や帰る家のない人などを保護観察所や家庭裁判所から委託されて収容保護し、その自立を促し、更生を助けることで犯罪を防止し、地域社会の安全と社会福祉に寄与する施設です。
現在、更生保護施設は民間経営施設が全国に101施設ありますが、女性専用施設は僅か7施設しかありません。西本願寺白光荘は、7施設のうちの1施設として被保護者に宿所や食事を提供し、自立更生に必要な指導助言を行い、その更生を図ることを目的として運営し、本人に適した就職先の斡旋など、早期自立のための指導・援助を行っています。』
>>参照Link:西本願寺白光荘HP(「白光荘の事業」より引用)

*3 地方自治体との連携:
寝屋川市:犯罪認知件数減少に向けた施策立案事業「犯罪学研究センターから市域の犯罪多発地域の調査・研究及び効率的な防犯施策の提案を受け、市域における犯罪認知件数の減少や体感治安の向上のための施策立案につなげる。」
>>参照Link:(寝屋川市HP「危機管理部主要取組」より引用)

京都府:京都府では、「京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり計画」に基づき「防犯」「再犯防止」「犯罪被害者支援」等を一体的に推進し、誰もが犯罪の被害者にも加害者にもならず、安心して安全に暮らせる共生社会を実現するため、「犯罪予防と対人支援」という視点から犯罪学について研究している「犯罪学研究センター」を設置する龍谷大学と「犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する協定」を締結しました。
>>参照Link:(京都府HPより引用)

「第32回 龍谷大学 新春技術講演会」ポスターセッションについて
オンライン・ポスターセッションの全報告は、特設サイトで2021年1月6日(水)〜1月15日(金)17時まで視聴可能です。視聴をご希望の方は、https://shinshun.ryukoku.ac.jp/ より登録ください(無料)。
また、各報告者は、1月15日(金)午前中まで質問・コメントを受け付けており、頂いたコメントについては、2021年1月13日(水)~1月15日(金)17時の間に、報告者から回答いたします。ぜひ他のセッションもあわせてご覧ください。


2020年12月19日、龍谷大学犯罪学研究センターは「アジア犯罪学会 第12回年次大会 オンライン・プレイベント」を実施し、国内の犯罪関連学会ネートワークの会員をはじめ、研究関係者、学生など約40名が集いました。
【>>EVENT詳細】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-6529.html

今回は国際学会での発表経験を有する、社会科学・人文科学を専門領域とする若手研究者5名がパネリストとして登壇し、日本の若手研究者や実務家、学生を主な対象としてウェビナー(Webinar)で実施しました。国際学会のトレンドを共有する機会となったと同時に、国際的な学術交流を通じた日本の犯罪学研究の質的向上や、論文や出版物など知見を発信する必要性についても議論が交わされました。

パネリスト(50音順・*敬称略):
  ・相澤 育郎(立正大学・助教)
  ・相良 翔(埼玉県立大学・助教)
  ・都島 梨紗(岡山県立大学・講師)
  ・松川 杏寧(国立研究開発法人防災科学技術研究所・特別研究員)
  ・丸山 泰弘(立正大学・准教授)

指定討論者(パネリスト総括):
宮澤 節生(アジア犯罪学会・会長、神戸大学名誉教授、カリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクール客員教授、本学犯罪学研究センター客員研究員)

司会者:
ディビッド・ブルースター(龍谷大学犯罪学研究センター 博士研究員)


パネリスト紹介

はじめにパネリストの自己紹介として、各自の国際学会デビューや近年の報告状況について報告が行われました。パネリストの研究課題は、薬物政策(刑事政策)や非行からの立ち直り(教育社会学)、被災地防犯(環境犯罪学)など犯罪学領域の中でもさまざまで、報告経験のある国際学会も多岐にわたっています。

そうした中で、「日本で行われる国際学会は、ホームアドバンテージがある!」という共通点が指し示されました。特に若手研究者や学生にとっては、国際学会の参加にかかる費用の捻出がネックになっています。パネリストの中からは「はじめての国際学会は院生時代に指導教員を頼って参加したものの、日本とは異なり大会事務局の対応がアバウトで、無事に報告を終えて帰国できるかどうか、まさにサバイバルだった」というエピソードの紹介もありました。旅費や大会事務局の対応という点で、日本で行われる国際学会(学会にもよりますが数年〜十数年に一度)は、若手研究者にとって貴重なチャンスと言えるのかもしれません。

また、指定討論者として参加した宮澤 節生会長(アジア犯罪学会)も自身の国際学会経験を振り返りました。宮澤氏の国際学会デビューは1976年(イエール大学留学中)のアメリカ法社会学会。以来、主にアメリカの学会を中心に毎年発表を続けてきたとのこと。そして、「様々な大会に参加して発表することで、論文の出版機会に恵まれ、共同研究プロジェクトのメンバーとして声がかかるようになった。研究費の制約など厳しい状況があるかもしれないが、若手研究者にはぜひ積極的に国際学会に参加して欲しい」と激励しました。

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パネルテーマ1【私はなぜ国際学会に参加するか】

Q. 国際学会参加のための研究資金はどう調達するか?
松川:大学院生時代、2011年に神戸で行われた国際犯罪学会(World Congress of Criminology)に参加した時、日本国内の参加者に対する助成があったので申請した。また、過去には指導教員の研究費枠で国際学会に同行したこともある。私としては機会を逃さないために、学会報告にはお金を使おうと思っている。
相良:初めて参加した国際学会は、2015年にドイツで行われたヨーロッパ犯罪学会(European Society of Criminology)だった。その時には科研費が獲得できていたので、渡航費に充てることができた。科研費は研究課題の内容はともかく、申請書類の書き方にポイントがあるので、その点についても若手研究者の皆さんと共有していきたい。
相澤:近年は所属機関の研究費をベースに国際学会に参加してきた。また、研究費をもっていない院生時代には、先生方の科研費の協力研究者に加えていただいて、学会に限らず海外に行く機会をもらってきた。先生方はぜひ若手研究者に目をかけてあげて欲しい。


Q. 国際学会の参加で得られた発見やメリットは?
松川:行動範囲が広がると、当然のことながら出会う人が増える。コネクションが広がることで研究の幅が広がり、研究課題の突破口が見つかることがある。また、世界における自分の立ち位置やレベルについて、客観的に見ること、深く考えることに役に立つ。
相良:自身の研究テーマである「更生保護施設」について海外で説明する時に、日本の文化や制度的な枠組みから説明しなければならず、とても苦労した記憶がある。しかし同時に、どのような文脈で伝えると良いかをグローバルな視点で捉えることにつながり、松川さん同様に自分の研究者としての立ち位置について考えさせられた。
都島:2つの発見があった。1つは、 過去に参加したヨーロッパ犯罪学会では、日本の学会ではあまり話題にのぼらないようなテーマが話題になっていることを知った(例:環境犯罪学、戦争犯罪等)こと。もう1つは、 (ヨーロッパと台湾での報告経験から)お互いに英語のネイティブスピーカーではないので、発表をあたたかく聞いてくれたこと。英語での発表に対しての緊張感が和らいだ。


Q. 国際学会の参加で生まれたコネクションとその後の展開は?
丸山:自身の発表内容について後日問合せが来るなど、少しずつ興味を持ってくれる方が増えていった。また、はじめはミーハーな姿勢で参加しても良いと思う。有名な先生であっても積極的に話しかけていけば、気さくに若手の質問に答えてくれることがある。
相澤:私は消極的なタイプなので、自分から話しかけていくことがなかなか出来なかった。ただ、同じ国際学会に3回続けて参加したところ、さすがに顔見知りになって、韓国の若手研究者が来日した時には一緒に食事に行くようになった。参加し続けることで、繋がりが深まることもあると思う。
相良:2019年に参加した香港の学会(The 1st Asia Regional Meeting of the International Society for the Study of Drug Policy)はアットホームな雰囲気で交流が進み、各国の状況を知る上で非常に為になった。
ブルースター:確かに学会によって雰囲気は随分違う。
丸山:コネクション作りについて、15年ほど前に浜井浩一先生(龍谷大学法学部)に教わった裏技がある。欧州で有名な研究者でもアウェイのアメリカの学会では、一人ポツンとしている時があるので(逆もまた然り)、そこで話しかけると気さくに対応してくれる、というものだ。実際にトライしてみると、たしかに良い反応が得られた。


Q.国際学会で人気の研究領域、日本との違いは?
松川:日本の学会と海外の学会とでテーマの違いを強く感じる。たとえば、私が属する災害に関する研究領域では、日本はこれまで理工(土木)系が報告の中心だったが、近年は社会科学領域がようやく注目されるようになった。一方、アメリカの同領域の学会では社会科学の報告が中心で、「災害=社会問題へのアプローチ」という捉え方が普及している。そうした点でも、ギャップを感じる。
丸山:海外の犯罪学領域の学会で驚くのは、同時に20、30のテーマセッションが行われるので、自分が興味を持つテーマセッションを見つけやすい状態になっていること。たとえばDPA(Drug Policy Alliance)が主催する薬物合法化のカンファレンス(International Drug Policy Reform Conference)の「薬物合法化」のテーマセッションの中には、研究者でありドラッグユーザーでもある人々が円陣を組んで語るというものも開催され、日本ではまず目にできないようなもので、とても興味深かった。


Q. 言語の壁をどう乗り切ったか?
相澤:気合で乗り切ったと言うか、発表のタイミングだけ変なスイッチが入っていて、うまく答えられることができた。ただ準備していないわけではなく、おすすめしたいのは「カフェで英会話」というようなサービスで、時間制で講師と好きな話ができるというものがある。私の場合は、担当講師にプレゼン資料のアドバイスをもらったり、QAの問答集を一緒に作ったりと、このサービスを通じて事前の準備をすることができた。
都島:発表自体はトランスクリプトを用意して練習していたので、あまり困ることはなかった。トランスクリプトは、所属する大学の英語講師に協力を仰いで用意した。大学院生でまわりに留学生がいる人は、言語のことを相談できるようになると良いと思う。
丸山:プレゼン資料はただ読みあげるのではなく、指し示しながら話せるようにグラフを多用するようにしている。都島さん同様に僕も大学の英語講師と仲良くなって、定期的に他の教員も含めた英語の勉強会に付き合ってもらえるようになった。普段の勉強会では自身の授業を英語で10分で説明するような練習をして、学会前はプレゼンの内容を相談した。
相良:僕はトランスクリプト(台本)を発表時に読みあげずに、事前に暗記するようにした(暗記しきれなかったこともあったが)。そうすると他の学会報告の時にも覚えたフレーズを活用できるようになった。

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パネルテーマ2【おっと! 事前に失敗だと知っていたらよかったこと】

Q. 国際学会での恥ずかしい経験は?
松川:大学院生時代、指導教員に「国際学会で笑いをとってこい。それで点数をつける!」といわれたことがある。プレゼン中、うまい言い回しが見つからない時に、たくさんの言葉で補足しようとして時間切れに…。以来、プレゼン資料にあわせてトランスクリプトを準備するようになった。あと、質疑応答の時に何を聞いているか分からないまま、時間切れになったことも…。
相澤:発表するテーマがその学会に合致しておらず、参加者にポカーンとされたことがあった。とくに法律系の研究者は国際学会での発表に慣れておらず、また普段から国際的な発信を意識した研究をしていないことが多い。私自身もそのような姿勢でいたが、苦い経験を経た現在では、海外での発表を意識した研究をあえて別立てで行うようになった。
丸山:国際学会では、やはり前提となる部分が伝わらないと共感を得にくい。(日本の状況を伝える論文など)土台として読めるものを沢山出して、さらに国際学会で発表することが必要。海外で日本の研究者が勝負していくためには、論文と発表の両輪が欠かせない。個人の学会発表だけで済ませるのではなく、全員で日本の犯罪学を底上げする必要がある。


Q. 過去の自分へのアドバイス、次の国際学会への参加に向けての意気込みは?
相澤:過去の自分へ伝えたいのは「(国際学会へ)はよ行け!」ということ。2016の初参加の時に感じたことを、もっと若いうちに体験できれば良かった。
相良:大学院生の時に横浜で行われた社会学領域の国際会議(The 18th World Congress of Sociology)に参加しなかったことを未だに後悔している。学生や若手研究者には資金面の懸念があると思うが、「ホームアドバンテージがある時には参加すること」をおすすめしたい。尻込みせずに自分の発表をしっかりとして、その反応を見てみることが必要。
都島:現在のような大学教員としてではなく、「学生の身分の時に国際学会に参加したら良かった」と思う。資金面については、指導教員に相談することができるかもしれない。
また、プレゼン資料については、海外の機器によってパワーポイントが文字化けしてしまうことがあるので、PDFデータを持参することを強くおすすめしたい。
松川:過去に参加した学会に関して、1つずつもっと丁寧に準備をしておけば、相手に伝わるような報告や、議論を深めることができたように思う。国際学会で発表するハードルはあるが、海外は学術的な広がりのレベルが日本よりも高く、国際的な視点を獲得できる貴重な機会だと思う。異なる視点の獲得や経験を多く積むことが大事なので、これから国際学会での初報告を目指す学生には、とにかく「頑張れ!」と言いたい。
丸山:「迷ったらやる!」ということを若い方々に伝えたい。また、やはり誰しも自分の学会報告に対しての反応が無いと寂しいものなので、大学院生や若い人には他人の報告にも積極的に質問やコメントするなど、どんどん参加して自らコミュニケーションをとって欲しい。


▼宮澤会長からのアドバイス
(丸山さんが指摘された通り)前提となる日本の状況や文化的背景が理解されていないことには、国際学会では報告が理解されにくい状況がある。現状として、日本の犯罪学研究が国際的に流通していない、とりわけ英語での出版点数が少ないという問題点がある。最近では、多くの出版社がアジアの研究成果を発表するようになってきており、アジア犯罪学会で最優秀図書賞に選出された研究者たちは、アメリカやイギリスで執筆した博士論文を何年もかけて改定して単行本として出版している。しかし日本人がいきなりその段階に上がることは難しい。日本の状況をデータとして世界に共有するために、若手世代の研究者には英語論文の執筆・投稿を強くおすすめすると同時に、学術論文として出版することを提案したい。
アジア犯罪学会では、Asian Journal of Criminologyに掲載されている論文の中から最優秀のものを、1000ドルの賞金付きで表彰している。今年は日本の研究者の論文が受賞したが、日米でデータを集めて既存の犯罪学理論に対して発言するという内容だった。日本の理論やデータだけではなく、他国の理論やデータとどう関係があるかまで言及すると、海外の研究者にももっと読んでもらえるのではないか。

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全体ディスカッション

【参加者からの質問1】
バックグラウンド(また、理論的背景や先行研究の認識)がさまざまに異なる研究者が集う国際学会で、より充実した質疑応答をおこなうために意識すると良いことは?
(各国の事情を確認しておしまい、となってしまった苦い記憶がある)

丸山:長期的に見ると、先ほど宮澤先生がおっしゃった通り論文執筆や出版を通じて日本の状況を知ってもらう必要がある。短期的な対応としては、本当に知ってほしい革新的なことを15〜20分のプレゼンに盛り込むことになると思う。もしくは特定のテーマに関して、75分〜90分のパネルセッションを組んで、基本的な状況を報告する人、そこからの発展について報告する人、海外との比較について報告する人といった複合的な形で報告を試みてはどうか。
宮澤:私自身の経験からも、たしかに自らセッションを組んでみることが最善だと思う。その場ですべてを解決しようとせず、自身と興味関心のある方とのつながり、また考えるべき視点を見つけるきっかけとなれば良いのでは。
相良:まさに今のようなことを意図して、私も都島さんと2019年にヨーロッパ犯罪学会で共同発表を行った。前半は日本の制度論に関することを報告し、後半はナラティブ分析に関して報告した。チームを組んで発表するのも一手。また、国内・国際学会問わずどの視点で報告するのかを明らかにする上で、先行研究レビューとの比較検討が根本的に重要ではないか。
松川:私も方法論に関して、チームを組んで発表したことがある。また、日本と海外とで発表の際に使用する先行研究を変えている。どの先行研究を取り上げるかによって、その国で理解されやすい内容になる。

【参加者からの質問2】
スライドを作成する際に、ユニバーサルデザインについて具体的にどのような配慮をしているか?

松川:シンプル・イズ・ベスト。フォントは2種類まで、キーカラーも2色までにすると良い。グラフや写真が入るのが効果的だが、文字の説明は極力少なくすること。スライドはビジュアル的に見せて、プレゼンの言葉で説明していくことをおすすめしたい。
ブルースター:コミックサンズ(Comic Sans)フォントは、子供っぽくなるから絶対に使わないこと。
相澤:極力文字量を少なくするようにしている。グラフを使う場合、途中で要点をまとめたスライドを入れるようにして理解をうながすようにしている。
石塚:15〜20分のプレゼンで共有すべきグラフは1、2個に絞って、詳しく聞きたい人には後でデータをメール等で配布するような仕組みにして、関係性作りのきっかけにしては。

【参加者からの質問3】
リモート報告を中心とした学会が増えている中、プレゼンやQ&Aの工夫についてどう考えるか?

松川:学会報告のリモート化が進んだことで、簡単に海外の学会に参加できるようになった。リモート形式の方が、むしろ質疑応答の内容が濃くなるように思う。また、報告時にプライベートチャットでメッセージもとんでくるので、文字で情報を把握することができる。
今年ポスターセッションで参加したリモート形式の学会では、ポスター(説明音声付きのプレゼン資料)のデータを事前にWEB公開し、会期中のコアタイムにライブチャット等でオンタイムに質疑応答を行うというものだった。
丸山:松川さんの事例のように、これまでのオーラル報告とポスターセッションの間、デジタル・ポスターセッションのようなものが生まれてきているし、面白いと思う。
相澤:同世代の人とみんなで海外へ行くのは貴重な経験で、関係性が深まる機会でもあるので、対面のコミュニケーションが完全になくなってしまうのは寂しい。
宮澤:日本で大会を行う場合、時差の関係で日本人だけが交流時間に参加するような懸念がある。各報告に関して新たな視点を見出すためにも、各セッションに海外のディスカッサントを招くなどの工夫が必要ではないか。

【参加者からの質問4】
国際学会での発表が、国内学会のように必ずしも拍手では終わらないことを語って欲しい。

宮澤:昔の刑法学会では質問できる人が決まっていたなど、しきたりや関係性を重視する学会はある。私個人の経験としては、自分の報告に対して(批判を含めて)何も反応が得られないことの方が心配だ。
石塚:学会というものは、参加者の立場が違うことが前提となっているので、心配することはない。自身が報告するセッションを盛り上げるという意味では、関連するテーマの研究者と事前に仲良くなっておき、サクラ(報告後の質問役)を入れると良い。学会報告を通して、毎回聞きに来てくれるような仲間を作っていくこと。個人として名を売ること、研究仲間のチームを作っていくこと、この2つが大切だ。


おわりに:日本の若手研究者と犯罪学の国際化

▼宮澤会長による総括
今回議論したように、「アジア犯罪学会 第12回年次大会(ACS 2020)」では、日本の研究報告に対して、外国の研究者が何らか議論に参加できるように工夫したい。日本の若手研究者には、自身の研究に誇りをもって発表されることを期待する。
まずは国際的に関心を持ってもらえるような報告を準備し、その上で積極的に発表していただくことで、将来的には出版につながるのではないかと考える。また、日本やアジアに関する犯罪学の知見が増えていくことにもつながると考えているので、ぜひとも若手研究者の皆さんには積極的に国際学会に参加して欲しい。



アジア犯罪学会 第12回年次大会(ACS 2020)」は、2021年6月18日〜21日に龍谷大学で開催されます。大会登録、演題募集ともに2021年1月15日よりスタート予定。詳細はぜひ公式サイトでご確認ください。
http://acs2020.org/

↓本大会のプロモーション・ビデオ(Short Version)をぜひご覧ください。


 12月5日(土)、経済学部若山ゼミと渡邉ゼミは、大阪経済大学経済学部小川ゼミと関西大学経済学部座主ゼミとディベート大会を行いました。
 
 例年とは異なり、Zoomを利用したオンライン開催となりましたが、以下の4論題について白熱したディベートが繰り広げられました。コロナ禍の状況で対面でのグループ活動が制限されてしまう中でも、学生たちは試行錯誤しながらこの日に向けて精力的に準備を進めていたようです。

 当日は多少のネットトラブル等もありましたが、概ね順調にディベート大会を行うことができました。学生たちはオンライン上とはいえ他大学の学生と交流することができ、大変満足していたようでした。来年度は対面で実施できることを楽しみにしています。

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第1論題「新型コロナウイルス感染症対策として、公共の場でのマスク着用は義務化すべきか」
第2論題「国会議員の議員報酬を恒久的に2割削減すべきか」
第3論題「人工知能やロボットの波及は雇用を奪うか」
第4論題「新型コロナ危機下において、命と経済のどちらを優先する政策を実施するべきか」

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 コロナ禍の状況ではありますが、経済学部では様々なゼミ活動を積極的に行っています。



【本件のポイント】
・龍谷大学大学院実践真宗学研究科のシンポジウムをオンラインで開催
・講演会のほか、2021年度「臨床宗教師・臨床傾聴士研修」※募集要項の発表、ドキュメンタリーフィルムの上映などを実施

 

【本件の概要】
 龍谷大学大学院実践真宗学研究科はこの度、関係者・修了生をはじめ、宗教者の実践活動に心を寄せる方々が一堂に会する公開シンポジウム「臨床宗教師研修の闇と光」をオンラインで開催します。
 講師として、谷山洋三氏(東北大学文学部准教授、実践真宗学研究科アドバイザリーボード)を迎え、鍋島直樹 実践真宗学研究科長製作のドキュメンタリーフィルムの上映、そして、臨床宗教師研修生よる研修報告をおこないます。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年度の臨床宗教師総合実習が相次いで中止となりました。そのような状況の中で、秋にはあそかビハーラ病院緩和ケア施設にて実習を実施し、その他実習先の施設とはオンラインで意見交換をおこなうなど、厳しい状況の中でも多くの関係者の支えのお陰で研修生は学びを深めることができました。
 ドキュメンタリーフィルム、研修生による報告の中で研修生の苦悩、そして学びの姿をお届けします。
※「臨床宗教師研修」教育プログラムについて https://www.ryukoku.ac.jp/faculty/graduate/practical_shin/curriculum/rinsho.html

 


1 日  時:2021年1月13日(水)18:00~19:10

 

2 実施方法等:オンライン(ZOOM)開催
(開催URL)https://us02web.zoom.us/j/84703091319?pwd=Ly9mSCtZZVZxUWpXYlhMT1JZajR5dz09

 

3 内  容:
(講演会)
 「臨床宗教師の現状と未来」
 谷山 洋三氏(東北大学文学部准教授、龍谷大学大学院実践真宗学研究科アドバイザリーボード)
(ドキュメンタリーフィルム上映)
 鍋島 直樹(龍谷大学実践真宗学研究科長)
(研修生報告)
 2020年度臨床宗教師研修生4名

 

4 参加申込:ryukoku.jissen@gmail.com まで
      (必ずご所属、お名前を明記してお申し込み下さい)

 

5 主  催:龍谷大学大学院実践真宗学研究科、世界仏教文化研究センター

 

問い合わせ先 : 龍谷大学文学部教務課(大宮キャンパス)   
         Tel : 075-343-3317
 


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