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 11⽉19⽇に⿓⾕⼤学・経営学部で開講している特別講義「我が社の経営と京都」において株式会社 龍村美術織物 会長 龍村 旻(たつむら きよし) 氏による講義が、⿓⾕⼤学深草学舎にて⾏われました。

 龍村美術織物は1894(明治27)年に創業され、講義にお越しいただいた龍村会長は四代目とのことです。講義当日、会社の製品である織物や帯等をたくさんご持参いただき、教室に所狭しと展示いただきました。そのうえで、会社の製品構成や、紋織物の作り方をお話しくださり、受講生はその講義のお話しや綺麗な織物に興味津々の様子でした。現在も手織りをされる織手さんが会社に20人くらい在籍されているとのことで、中には20歳の時に入社し、現在85歳の従業員の方もおられるそうです。
 織物というと帯や着物が思い浮かぶと思いますが、それらだけでなく室内装飾の壁紙、新幹線や京都市地下鉄の車内の椅子のシート地なども作っておられるそうで、製品を身近に感じられました。
 龍村会長のお話しから会社や織物の歴史に触れることができ、受講生は講義に熱心に耳を傾けていました。

 この特別講義は、優れた京都企業から総合的に学ぶために経営学部に設置された特別科⽬です。優良京都企業がどのような経営を実践して現在に至っているか、経営者による連続講演を通して企業経営の実際的理解が深められることを講義⽬標としています。
(担当教員 細川 孝)








 2019年11月22日、政策学研究科と法学研究科院生による自主研究会が開催されました。今回は、8月に開催された初回から数えて4回目の実施となりました。

 第4回目の今回は、青木久馬さん(法学研究科修士1年)が「障害年金受給要件における非論理的な採決についての検討」について報告を行い、それをもとに参加者で議論を行いました。

 この研究会は、研究科生2名(田中友梨さん(政策学研究科修士1年)/大芝理穂さん(法学研究科博士後期課程1年))が中心となって、毎回研究科生に参加者を募り開催しています。普段の講義の中では報告できなかったことや修士論文のプレ報告など、参加者の関心や興味に合わせて自由に研究・議論していく場として運営しています。学部卒業後に大学院へ進学した若手院生や社会人院生など、様々なバックボーンをもつ者同士の交流を通して、学問分野の垣根を越えて切磋琢磨しながらそれぞれの研究に新しい視座を得て研究を進めています。






2019年11月14日、龍谷大学大宮キャンパス 東黌にて「龍谷大学臨床心理学会 第9回学術講演会」が開催され、学生や研究者を中心に約100名が参加しました。
今回は「刑事司法における臨床心理の可能性」をテーマに、石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)が登壇し、参加した学生や研究者に向けて講義しました。
【>>EVENT概要】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4362.html


石塚教授をはじめ刑法学者の多くが、「人間は、自由な意思決定の下に行為を選択し、それに従って行動し、意図した結果を生じさせる。これは、心理学の実証では否定することのできない真実である」と語ってきました。しかし、最近「人間は、反射的に行動し、その行動に理由を後付けして、次の行動を追構成している」という報告がなされ、自由意志をめぐる議論が活性化しています。はたして、現実に起きているすべての犯罪現象について、自由意志を前提に刑法理論を維持できるのでしょうか。また、犯罪現象を分析、考察する上で心理学に期待されていることは何でしょうか。

はじめに、事実と規範の設定に基づき、心理学と刑法学の異なる点の説明がありました。心理学では事実を見る際、規範に基づく判断は障害になり得ます。経験的事実としての意識現象と行動から、人が何に困っているのかを正確に観察することが出発点となります。しかし、刑法学ではありのままの事実を見ません。すべての客観的事実は故意によるものと推定し、規範に事実が当てはまるかどうかを見ます。石塚教授は2つの学問のパラダイムについて、「経験論的な『事実』を重視する心理学と、法律という規範に則り犯罪が発生する要件を構成する『思考』の過程を重視する刑法学、この2つの世界をどう繋げるかが重要だ」と述べました。


石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)

石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)


つぎに、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)について説明がありました。認知行動療法は、不適切行動の原因や思考や論理の誤りに修正を加えることによって行動を変容させることを目的としています。石塚教授は「人間は認知によって行動が支配されているので、感情から認知へのプロセスに何らかの修正を加えるか、認知したときに出る行動に修正を加えるかで、問題行動を変えることができる」と説明し、日本で主に使われている認知行動療法的なプログラムを3つ(SMARPP*1・マトリックス・モデル*2・条件反射制御法*3)を紹介しました。

さいごに、刑事司法の流れを説明した後、石塚教授は「臨床心理学者や心理臨床家は、警察の捜査段階から関わるべきだと考えています。例えば薬物事件の場合、拘留後に一定時間が経過すると、最初に出ていた症状が消えてしまう。被疑者が薬物依存かどうかの判定は、初期にどのような症状があったのかが重要になってくる」と主張。つづけて「最近では、高齢者・知的障害者・少年にはダイバージョン*4が見られ、医療や福祉に繋げるという入口支援*5があります。しかし、健常者には何の支援もないので、今後そこに心理学関係者が介入していく必要性があるのではないか。責任能力の鑑定は精神科の先生に、責任能力に従い行為したときの判断能力を精神科の先生と心理の専門家に見てもらい、問題点を明確にする。そして刑事司法慣れしている情状証人の方に、どのような量刑が必要か、社会復帰にどのようなサポートがあるかを提案していただきたい。その結果、状況によっては刑務所に入れず、一定の条件を付けて社会へ復帰するというルートができるのではないか」と刑事司法プロセスにおける心理学の可能性や期待について言及し、講演を終えました。


今回の学術講演会は、物を見る時のパラダイムが違う心理学と刑法学が、どのようにして認識の共有化をするのかという新たな課題を発見できた良い機会となりました。

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【補注】

*1 SMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)
せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム(SMARPP)とは、神奈川県立精神医療センターのせりがや病院にて松本俊彦医師が中心となって開発された、精神刺激薬である覚醒剤への薬物依存症を主な対象とし、認知行動療法の志向をもつ外来の治療プログラムのこと。8週間全21回という短期集中セッションの形式で開始されたが、現在は週1回24週のプログラムとして実施されている。

*2 マトリックス・モデル(Matrix Model)
ロサンゼルスのマトリックス研究所が開発した、精神刺激薬への依存症を中心とした外来治療プログラム。支持的・受容的であることが特徴であり、認知行動療法との親和性も高い。治療者と患者の信頼関係が重視される。

*3 条件反射制御法(CRCT:Conditioned Reflex Control Technique)
下総精神医療センター・精神科医の平井慎二氏によって開発された依存症治療法。体験によって学習される第一信号系条件反射を弱体化させる治療プログラム。治療は「キーワード・アクションの決定」「疑似摂取(快楽の失敗)」「想像刺激作業」「維持」の4つのステップから成り立っている。

*4 ダイバージョン(diversion)
犯罪事件について通常の司法手続を回避し、他の非刑罰的処理方法を採用すること。1960年代後半からのアメリカにおいて犯罪の増加に基づく刑事司法機関の負担を軽減するため、軽微な事件や交通事件,青少年犯罪などについて試みられた方法。

*5 入口支援
罪に問われた高齢者や知的障害者が、取調べの段階で、福祉の支援を必要としている場合、社会福祉に繋げ、不起訴等の処分にすること。


犯罪学研究センター(CrimRC)の研究活動に携わる研究者について、気軽に知っていただくコーナー「犯罪学CaféTalk」。研究の世界に馴染みのない方も、これから研究者を目指す学生の皆さんにも、是非読んでほしい内容です。
今回は、中根 真教授(本学短期大学部・こども教育学科教授/犯罪学研究センター保育と非行予防」ユニット長)に尋ねました。
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Q1. 中根先生の学生時代について教えてください。


「高校時代は障がい者の作業所でのボランティア活動の影響もあって、障がい児教育(現在の特別支援教育)に興味があり、教育学部への進学を希望していました。具体的には、障がいのある子どもの教育支援を学びたかったんです。しかし、志望した国立大学にはことごとく落ちました…。結果的に、龍谷大学社会学部社会福祉学科に一期生として入学しました。しかし、大学の講義を受けているうちに、先生方の話は学問的には正しいんだろうけれど、私には無味乾燥で、つまらないように感じ始めました」

「その理由は、大学入学とほぼ同時に始めたの養護老人ホーム・特別養護老人ホームでの当直員の住み込みアルバイトに関係します。業務内容は、夕方からシフトに入って面会者の対応、夜間の電話の応対や戸締りの管理を基本にしながら、時には高齢者の救急搬送の随行、霊安室での夜伽(よとぎ、ご遺体に夜通し寄り添うこと)などです。何もなければ、仮眠をとれましたが、翌朝の朝食の配膳補助、食器洗浄です。そのアルバイトを大学4年間、修士課程の3年間、計7年間やりました。そこで、高齢者や職員の方々とたくさん関わりをもったわけですが、利用者のさまざまな生き様、生老病死にまつわる悩みや悲哀、また介護職員の喜怒哀楽を垣間見ることになりました。今思えば、先生方の講義がつまらない、無味乾燥だと感じたのは、アルバイトとはいえ、福祉現場で生きた人間ドラマを日常的に見聞きしていたからでしょうね。講義にはリアルさが感じられなかった気がします。」
「アルバイトの他にもボランティア活動など、自分が面白いと思ったことには何でも挑戦しました。学部2年生の時、学生主体で講演会を企画したんです。先生の力を借りず学生だけで運営しました。その時に瀬田キャンパスにお招きしたのが、現在国会で活躍されている山井和則衆議院議員です(当時は京都ボランティア協会職員)。その後、彼から、『中根君、福祉を本気で学ぶなら北欧を一度見るべきだ。スウェーデンに来ない?』と誘っていただき、二つ返事でルンド大学に留学中の山井ご夫妻のお宅に転がり込みました。学部3年生の春休みのことです。40日間、スウェーデンとデンマークに滞在し、小学校の参観・交流やサービスハウスでのヘルパー実習、ルンド大学やベクショー大学の訪問など体験しました。若き日の山井ご夫妻と、日本の福祉と政治の行く末について、未熟な議論の相手をしていただいたのも良い思い出です。
また、旅行会社の依頼で、重度身体障がい者の海外旅行の添乗ボランティアもしました。まだリフト付きバスがない時代、バスの乗降支援などをする代わりに、参加費も無料だったので、ハワイやオーストラリアを旅しました。旅行で知り合った身体障がい者の方と親しくなり、自宅で高齢の母と暮らす生活の実態を知ることにもなりました。こうして振り返ると、私の学生生活の学びの多くは教室の外ばかりでしたね」


Q2. 研究をするうえで、学生時代の経験が役に立っていると思うときはありますか?
「社会科学や人文科学における質的な調査、例えば、インタビュー調査ではその人にしか語れない経験や体験に注目します。人それぞれ人生のリュックサックを背負っているんです。そのリュックサックの中には楽しいことも悲しいことも苦しいこともある。ですから、年齢や性別、学歴など関係なく色んな方の人生のリュックサックを見せていだくことが不可欠です。幸いにも、学生時代に色んな人に出会った経験を活かしながら、コミュニケーションを円滑に進める勘が働いているかもしれません。だからでしょうか、飲み屋のカウンターで一人で飲んでいる時も、隣のお客さんからよく声をかけられます。相手の話を聴きながら、手抜き料理や自分の子育ての話などをしています(笑)『ホンマに、大学の先生ですか?』って言われることも(笑)自分自身がふつうの生活をすること、料理をしたり、子育てで悪戦苦闘したり、そんな当たり前のことが、一般の方と同じ目線で話すポイントです。研究者の話は浮世離れしていて難しい、固いという一般のイメージをぶち壊すこと、学生時代の経験が、多様な価値観を受け入れることに繋がっているように思います」


Q3. 自身の学生時代の経験を踏まえたうえで、講義を行うとき、意識していることは何ですか?

「レジュメに書いてあるものをただ読みあげるとか、著書を教科書として買わせて読ませることはしません。私はこども教育学科の教員だから、学生に『あなたたちも、いずれ子どもたちの前に立つでしょ?目の前の子どもたちの顔や表情を見なさい』と指導しています。先ほど終えた講義も135人もの受講生がいて教室がいっぱいです。3講時なので、眠たくて寝ている学生もいます(笑)だけど、せめて起きている学生の目を見て、反応を確かめながら授業をするようにしています」


「あと心がけているのは、先生って、たくさん知っているからいっぱい教えようとしてしまう。教えたがる病を自覚すること。大学は義務教育ではないので、教え過ぎるのはまずいなと思っているんです。そこで、今は良いところで寸止めする。『ここから先は自分で調べてみよう!』と投げかけます。『それからどうなるんですか?』と学生に問われても、『それは自分で考えよう』という流れを大事にしています。そうしないと、自分で学ぼうとしなくなります。社会人になると日々自分の職場で求められている課題を解決しないといけません。何でも最初から教えてくれる人はいないんです。だから、『このテーマはこういうことだけど、実はここから先は分かっていない。誰か調べてみたい人はいますか?』と投げかけたり、『図書館でこういう本を検索して、読んでくださいね』と促したりします。このようにして、成功しているかどうかは別として、学生の『知りたい』『なんで?』など知的好奇心に火をつけようと心がけています。もちろん、自分が読んで心を揺さぶられた本はマンガも含めて、できるだけ学生に紹介しています」
「身近な題材を取り入れた授業をすることも意識しています。映画やドラマ、マンガ、絵本を教材にすることもあります。例えば、読売新聞の『人生案内』というコーナーを取りあげ、投稿者に対して、『あなたはどんなお返事を書きますか?5分以内で書いてください』と指示し、プチ・アクティブラーニングを試みることもあります」


Q4. 犯罪学研究センターでは、ユニット長として、保育と非行の関係について研究されています。幼少期の保育の在り方が、将来の非行・犯罪の予防になると考えられていますが、中根先生が考える理想の「保育」を教えてください。
「我が家の子育てが理想かどうかわかりませんが、1つの具体例ですね。子どもが3人いますが、妻と常々言っているのは、子どもに多くを求め過ぎないこと。やはり少子化に伴って、親が数少ない子どもに目をかけ、過剰な期待を押し付けてしまいがちです。それが、知らず知らずのうちに子どもへプレッシャーをかけていると思うんです。だから、わが家ではシンプルかつベーシックに、よく食べて、よく寝る。そして、たっぷり遊ぶ。こうして元気に毎日過ごすのが子どもの基本だと思うんです。私もそんな子どもでしたし。『今日は友達の誰々ちゃんと遊んだよ、先生とこんなお話をしたよ』といった会話から、子どもがこの世に生まれてきて楽しいと実感している、ワクワク感・ドキドキ感に溢れているのが理想でしょうね」
「また、子どもがやりたい!ということは、親はやらせてあげたら良いと思いますが、『転ばぬ先の杖』のように親の考えで『前もってこういうことをやっておいたら良い』と、親のやらせたいことを優先させる、先回りの育児は、その子にとって幸せかどうかは分かりません。我が家では、『何か始めたくなったら言って』と子どもに伝え、子どもの内面で機が熟するのをひたすら待ちます。例えば、長女は沖縄の離島の県立高校に留学中です。自然豊かな島で農業を学び、自給自足できる人間になりたいと家を出ました。残された弟2人には刺激の強い姉ですが、帰省した時には互いに学び合っているようです。子ども時代は誰もが一度きりです。一度きりだからこそ、たっぷり遊ぶ。これこそ、創造性の源泉ですから。子どもが『こんなことして楽しかった!』と思える体験を親は静かにみまもり、支えたいと思います。平成生まれの子どもに、昭和の子育てをしているなぁとも思いますが…」


Q5. 最後に、中根先生にとって「研究」とは?



「『雑務への怒りと反動』です…(笑)故・渡辺和子先生の名言に「この世に『雑用』という用はありません。私たちが用を雑にした時に、雑用となるだけです」があります。この名言にならえば、雑務という業務はないことになるのですが…まだ修行が足りませんね。現在、私は短期大学部長を務めていますが、学部長は何でも屋と言いましょうか、『雑務長』なんて言う人もいるくらいです。講義も担当しますし、短大ですので、保育所や福祉施設、幼稚園など実習先の巡回訪問も年間20回以上しています。加えて、学部の代表者として多くの会議に出席しなければなりません。だから、会議で拘束されている時間が非常に長い。『図書館に行って、あれを調べたい、この資料をコピーして早く見たい』という願望がありながら、目の前に図書館があるのに行けない、お預けの状態。どうしても、図書館を外から眺めるだけの日が多くなります。そういう役割なのだと割り切っていますが、それでも徐々に気持が消耗して疲れてきます…」
「だから、その我慢というか、抑圧されている間に研究したいことや知りたいことがドンドン溜まってくる。そして、その反動としての研究になっています、恥ずかしながら。『目の前の雑務が終われば研究ができるかも!』と思うと、自然と目が輝き力が湧いてきます。実際、雑務は終わらないですが(笑)同僚の先生からは、『中根先生は抑圧されるほど、良い研究アイデアが溢れ出てきますね』と言われることも(笑)そう考えると、良い意味で日常の雑務の忙しさが、私の研究意欲を搔き立てているのでしょうね。時間がない、限られているからこそ、逆に研究を何とか進めようとして、結果的に進む、成果も出るという逆説(パラドックス)を日々感じています。」

中根 真(なかねまこと)
本学短期大学部・こども教育学科教授/犯罪学研究センター保育と非行予防」ユニット長
<プロフィール>
研究分野は社会福祉学、保育学。上記ユニット研究の主な研究成果として次の学術論文がある。中根真(2019)「保育児名義貯金という家庭支援」日本保育学会『保育学研究』57(1)、中根真(2019)「小河滋次郎と『児童保護本位』の保育事業」日本生命済生会『地域福祉研究』公7(通算47)。


 11月7日、龍谷大学大宮学舎清和館3階ホールにて実践真宗学研究科実習報告会が開催されました。実習報告会とは、実践真宗学研究科の3年次生がそれぞれの研究の過程で行なった実習や調査の結果をまとめ、研究科の内外へ報告をする場です。
例年、各ゼミから代表で1名がスライドショーソフト等を用いながら報告しています。今年は宗教実践分野の2ゼミ、社会実践分野の2ゼミの計4人がそれぞれの実習について報告しました。
 報告者と研究テーマは以下の通りです。また、2年後に発表することとなる1回生による報告レビューも併せてご参照ください。

藤山厚慈(ふじやま こうじ 葛野ゼミ)    
「アメリカにおける真宗伝道の研究―meditationを手掛かりとして―」
最初の発表者である藤山さんは、現在の海外開教の現状を実際に現地で視察し、それぞれの寺院で行われている活動や実際の様子を発表してくださいました。藤山さんは北米開教における真宗伝道の変容について研究を進められており、今回は特にアメリカ仏教の特色であるメディテーション活動を多数の寺院で視察されたそうです。
今回の発表の中で一番印象的だったのが、北米開教区の開教使(僧侶)に聞き取り調査をし、その中でメディテーションに対する意識調査が行われたことです。メディテーションに対して好意的な印象を持つ開教使は8割を超えたにもかかわらず、実際に寺院活動として行なっている寺院は全体の半数にも満たないという結果であると報告してくださいました。やはり専門家ではないことや、メディテーションを行うことで教義への誤解を与えてしまう危惧が実施されない要因となっているようです。しかし、その反面、メディテーションに対する需要があるのも事実で、課題は諸々あるようです。同じ海外伝道を志すものとして大変興味深く発表を聞かせて頂きました。
【1回生 安武】
写真1

岡至(おか いたる 中村ゼミ)
「寺院と動物の保護を調べる −アニマルシェルターへの訪問―」
岡さんは、動物保護施設(アニマルシェルター)が寺院との関係を構築することで何か問題解決できないかということを目的に、実習に行かれました。
まず、アニマルシェルターとはアメリカを発祥とし、迷子や飼育放棄などにより行き場を失った動物や、不適切な飼育環境から保護が必要となった動物たちを収容し、保護と人道的な処置を行う動物保護施設ということだと述べられていました。
そして、日本でもそのような取り組みがあり、寺院が地域の中での繋がりの一つとなる可能性を感じたそうです。寺院とアニマルシェルターの人の間の情報の行き来が円滑にでき、さらに保護活動の存在を多くの人に認知してもらい、動物についての相談も受け付けることが出来るようになれば良いのではないかと実習を通して考えられました。いのちを大切に守っていくことのできる環境の構築は、寺院とシェルターの両方の目的です。寺院でも動物たちのより良い生き方の一助となることが出来るということをまとめとし、報告されていました。
【1回生 三神】
写真2

山田 正業(やまだ しょうごう 鍋島ゼミ)
「医療者が捉える宗教者の役割 ―緩和ケア領域の視点から―」
山田さんの発表では、①緩和ケアの現場において医療者と宗教者が協同していけるのか、②宗教者にはどのような役割が期待されるのか、について報告されていました。この研究では、緩和ケアに携わる医療者にアンケートやインタビュー調査を兼ねて実施、量的かつ質的なアプローチをしています。
医師からは「傾聴やカンファレンスでの情報共有や価値観の提供して欲しい」また「患者さんやその家族の凝り固まった固まった価値観を変えてもらいたい」など。
看護師からは「病院でカフェ等、患者さんや医療スタッフが気持ちを話せる場を、もっと提供してほしい」ということが求められているとわかったということです。現場において、宗教者を求めている医療者は多いということが良くわかりました。今後の研究が楽しみです。
【1回生 柳田】
写真3

宇野 淳成(うの じゅんじょう 貴島ゼミ)
「真宗における寺院活動の課題と展望―寺カフェにおける寺院活性化の考察―」
個人的にカフェがとても好きなので、興味をそそられる実習報告の内容でした。私自身、「寺カフェ」というものを見たことが無かったので、動画で紹介してくださったのは、イメージの湧く良い手法でした。聞き取り調査の結果では、比較ができるように都心にある寺カフェと過疎地にある寺カフェという2つを取り上げていた点が印象的でした。ただ、浄土真宗本願寺派の「寺カフェ」の数が少ないという点で比較が難しいことや、「寺カフェ」と仏縁の関連性に関する考察、また地域の人々(檀家さん)の声など、自分が実習に行くときの課題などを多く学ばさせていただきました。
【1回生 佐々木】
写真4

 全員の発表後にゼミ担当教員の貴島先生、中村先生から丁寧な総評と一人ひとりに向けてのコメントがなされました。発表者にとっては、これまでの実習に対する手応えや修士論文の執筆に向けての課題を得られ、また参加者は実践真宗学における課題を見いだせる、大変有意義な場となりました。
写真5、6


写真1 藤山厚慈(ふじやま こうじ 葛野ゼミ)


写真2 岡至(おか いたる 中村ゼミ)


写真3 山田 正業(やまだ しょうごう 鍋島ゼミ)


写真4 宇野 淳成(うの じゅんじょう 貴島ゼミ)


写真5 貴島信行教授


写真6 中村陽子教授


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