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龍谷大学 犯罪学研究センターは、カーディフ大学(英国)と連携し、犯罪学を中心とした大学院博士後期課程の学生と教員(研究者)を対象とした留学・学術交流プログラムを2019年度より開始します。本協定は、カーディフ大学がEUの教育助成プログラム「エラスムス・プラス」*1の国際単位移動制度の奨学金を取得したことによるもので、2020年7月までの協定期間中、学生2名3ヶ月、教員(研究者)2名10日間の交換派遣を行う予定です。
この交換協定の締結により、当センターが目指す対人支援に基づく合理的な犯罪対策の構築に向け、より国際的な知見の共有、人材交流の活性化、日本の犯罪学の国際発信を推進していきます。


今回の協定締結にあたり、2019年4月12日(金)深草キャンパスにて、カーディフ大学犯罪学研究所(Cardiff Centre for Crime, Law and Justice)から2名の研究者を招聘し、午前中に学術交流シンポジウム、午後に協定締結式を行いました。
また締結式の後、カーディフ大学の研究者が「龍谷大学 グローバル教育推進センター(R-Globe : Center for the Promotion of Global Education)」を訪問し、本学の国際交流の現状や様々な取り組みについて紹介を受けました。


「龍谷大学 & カーディフ大学 協定締結式」のようす

「龍谷大学 & カーディフ大学 協定締結式」のようす


協定締結式の冒頭、石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)が「1883年創立のカーディフ大学はイギリス・ウェールズを代表とする国立大学です。同大学の犯罪学研究所は12名もの教授陣を擁し、最先端の犯罪学研究が行われているなど世界で注目される研究機関。当センターの博士研究員であるディビッド・ブルースターの母校であったことを端緒に、研究者の交流がスタートしました。今回のエラスムス・プラスに関する交換協定から、今後ますます交流の機会を持てることを心からうれしく思う」と述べました。


そして交換協定の締結にあたり、入澤 崇 学長が建学の精神を具現化する事業としての犯罪学研究センターの設立背景や、本学で40年余りに渡って展開してきた「矯正・保護課程」の取り組みにも触れながらあいさつを行いました。(※以下は一部抜粋)
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本学の歴史と伝統を継承して2016年に開設された犯罪学研究センターは、犯罪予防と対人支援の視点から、犯罪をめぐる多様な知を融合する新たな犯罪学を体系化すると共に、これを基礎に犯罪に関する政策を科学的に再考しようとしています。また、時代の要請に応える担い手を育成し、共学システムの将来を展望するための事業を展開しております。
龍谷大学は今回の「エラスムス・プラス」の学術交流協定の締結を契機に、非行少年や罪をおかした人達の社会復帰だけではなく、子育てや保育や教育、保健や福祉、町づくりや生活環境の改善に資するべく、一人ひとりがその人らしい生き方をしていくことができる社会の創造を目指し、犯罪学研究センターを中心にして国際的な協力関係をつくりあげていきたいと願っております。

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▼「龍谷大学 & カーディフ大学 協定締結式」のようす







▼「グローバル教育推進センター(R-Globe )」訪問のようす



犯罪学研究センターは「犯罪学」に関する学術的発展が著しい英国との交流を通じて、日本における「犯罪学」のさらなる発展を目指していきます。
なお「犯罪学学術交流シンポジウム」の様子は当センターHPで後日レポートします。

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【補注】
*1 「エラスムス・プラス(Erasmus+)」
欧州連合代表部が主宰するEUの教育助成プログラム。欧州とそれ以外の地域との学生・研究者の交流を通して、大学間の連携を強化し、欧州の高等教育の質と競争力を改善することを目的としたプログラムです。
留学を支援する「国際単位移動制度(International Credit Mobility-ICM)」において、欧州外の学生は、欧州内の大学と欧州外の大学との間の協定に基づいた3カ月〜12カ月までの単位認定留学プログラムに参加可能。留学先の大学(ホスト校)で取得した単位が在籍校で認定されます。教員・職員の場合、欧州のパートナー大学で5日〜2カ月まで教えたり研修に参加したりすることが可能。なお、2015〜2018年の間にこの制度を利用して日本と欧州間で約2,000人の学生とスタッフが留学、研修、教育に参加しています。


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【>>龍谷大学とカーディフ大学(英国)の協定締結に関するニュースリリース】


2019年4月12日(水)5講時、本学深草キャンパス21号館408教室にて、特別講義「RYUKOKU Criminology: Criminology and Criminal Justice in Japan(龍谷・犯罪学:日本の犯罪と刑事司法)」が開講しました。

この授業は、欧米諸国では「犯罪学部」として学問分野が確立されている領域を、世界で最も安心・安全とされる日本社会の中で独自に捉え直す試みで、新たなグローバル・スタンダードとしての「龍谷・犯罪学」を目指して、全回英語で実施します(前期・後期、各セメスター開講)。

第1回目のテーマは「入門 龍谷・犯罪学:Introduction to RYUKOKU Criminology」で、石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター センター長)が講義を担当しました。


石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター センター長)

石塚 伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター センター長)


はじめに石塚教授は、龍谷大学の沿革と犯罪学研究センターのこれまでの取り組みについて紹介し、つづいて最近ニュース等で頻繁に取り上げられた刑事事件を例に挙げ、日本の刑事司法の問題点を説明しました。その後、「人質司法」や「有罪率99.9%問題」などと表現される日本の刑事司法システムについて、ディスカッション形式で授業が展開しました。

授業に参加した日本人学生からは、「すべて英語授業ということをお聞きし、受講する前は不安でした。しかし、身近なニュースや法学部の授業で学習したことがほとんどで、英語でも理解できました。石塚先生の授業も楽しかったです」と感想が寄せられました。

さいごに石塚教授は、今後の講義テーマとゲストスピーカーについて紹介しました。
「RYUKOKU Criminology」は、毎週水曜5講時、本学深草キャンパス21号館408教室で開講されます。受講対象は法学部2年生以上、犯罪学や英語授業、また海外留学に興味がある方は、ぜひふるって受講登録をしてください。



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【>>シラバス】特別講義「RYUKOKU Criminology(龍谷・犯罪学)」


▼龍谷大学 犯罪学研究センター(紹介映像)


 龍谷大学と滋賀県は、2015年10月に包括協定を締結し、これまで、食や農業など様々な分野で連携を深めてきました。この度、2019年4月1日付で三日月大造滋賀県知事が、龍谷大学客員教授(招聘A)に就任いただくことに伴い、2019年4月12日(金)知事室にて辞令交付式を実施いたしました。より一層、滋賀県と連携し、様々な事業に取り組んでいきたいと考えています。

 

※龍谷大学における客員教授(招聘A)

各界にあって特に優れた知識および経験を有し、その活動内容が大学の教育・研究の向上および社会貢献に必要であると大学が認めた方で、1学期間または1年以内の期限に限って(再任あり)招聘します。


辞令交付式の様子


龍谷大学 入澤 崇 学長の趣旨説明の様子


龍谷大学 大門 弘幸 農学部長の今後の取組について説明する様子


三日月 大造 滋賀県知事からコメント


 文学部のゼミは、学内外で様々な活動を行っています。ゼミ活動とはどのようなものなのか、その一端を紹介するために、文学部真宗学科の能美潤史先生が実施した内容を報告いただきました。

 新たな年度が始まり、文学部真宗学科の能美ゼミでは、4回生となったゼミ生が今年度の目標について発表する「立志会」を開催しました。4年間の学びの集大成である卒業論文をしっかりと書き上げることは全員共通の目標ですが、その他、就職活動や大学院入試、資格取得など、自身の今年度の目標について語ってもらいました。
 思い描く卒業後の進路はそれぞれ異なりますが、すばらしい卒業論文を書き上げ、夢の実現に向かって歩み続ける1年にしてほしいと思います。




2019年3月23日(土)、犯罪学研究センター「対話的コミュニケーション」ユニットでは、講演を中心としたトークセッションを本学深草キャンパス 紫光館で開催し、約30名が聴講に訪れました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-2824.html

今回のトークセッションでは、同ユニットが研究の柱として注目する「リフレクティング」の第一人者、矢原 隆行教授(熊本大学大学院 人文社会科学研究部)を講師に迎え、北欧の刑務所における実践例の紹介をメインに、その成り立ちや現場の声も含めて詳報いただきました。



リフレクティングの詳細を聞くのは初めてだという聴講者に向け、矢原教授の講演は手法の紹介から始まりました。リフレクティングは、1980年代にノルウェーの精神科医トム・アンデルセン氏によって提唱された家族療法の一つです。家族療法とは対象者を取り巻く人間関係に注目して問題解決を図る手法。その系譜のなかで生まれたミラノ・システミック・モデル*を土台として誕生した手法がリフレクティングであり、現在は対話を主軸にした精神医療「オープンダイアローグ」の中核的手法としても活用されています。


矢原 隆行教授(熊本大学大学院 人文社会科学研究部)

矢原 隆行教授(熊本大学大学院 人文社会科学研究部)


1985年、実際の臨床場面のなかで生まれたリフレクティング・チーム形式では、ワンウェイミラーを挟んだ2つの空間において、相談者家族と専門家たちがそれぞれ交互に会話し、互いに観察する側・される側の立場をくり返します。特長は、専門家は解決策や結論を出すのではなく、新たな会話が展開していく可能性をひらいていくよう努めるため、相談者サイドにとっては専門家たちのすべての意見がヒントとなりうるという点。矢原教授は「家族たちは専門家の発言から自身にマッチするヒントを自身の内なる会話に即して選択でき、会話を聞く/聞かないも自由です」と補足。さらに「リフレクティングは互いの会話を丁寧に重ね合わせ、うつし込みながら展開していく(=会話について会話する)ための工夫に満ちた方法であり、アンデルセン氏は『リフレクティングの方法は無限にある』と述べました」と説明しました。その“無限にある方法”のいくつかを実践しているのが北欧の刑務所です。

矢原教授が例としてまず挙げたのは、スウェーデンのカルマル刑務所。長期および終身刑の者が収容される場所です。1991年、心理士として勤めていたユーディット・ワーグナー氏によってリフレクティングが導入され、北欧におけるリフレクティングの礎が築かれました。
当時、刑務官からは「受刑者に対しての関わり方がわからない」との声が上がっており、一方で受刑者には不安や悲しみに苦しむ人、感情を自身でコントロールできない人が多かったと言います。導入したのは受刑者1名と職員2名の計3名で行う「トライアローグ」の形式でのリフレクティング・トークでした。実践にあたって受刑者には、会話のテーマや対話する職員、参加の可否など選択の自由が与えられていました。
受刑者に決定権を与えることは、現在の日本の刑務所ではおよそ考えられないことです。しかし「自由こそリフレクティング・トークに必要な要素です。誰と何を話そうかと考えるときに初めて、受刑者のなかで『自分はなぜ、この人を相手にこの話をしたいのか?』という内なる会話が始まります」と矢原教授。
結果、トライアローグの導入により刑務所内の雰囲気が格段に向上。導入前は否定的だった職員たちも約半数が参加するようになり、後年には出所者を招いてリフレクティングの経験を語る会が開催されるまでになりました。矢原教授は「何かが起きても話し合いで解決できるという認識が浸透し、刑務所内の人々から不安な気持ちが消えたのでは」と分析します。さらにワーグナー氏がリフレクティングの導入時に掲げた目標が、受刑者たちの更正や矯正ではなく「刑務官が受刑者と上手に会話でき、その機会を最大限に活かすよう手助けすること」だった点を高く評価しました。
この画期的で効果的なリフレクティングの取り組みは国内外で評判となりましたが、残念ながら現在のスウェーデンの刑務所では継続されておらず、エビデンスに基づくマニュアル化された認知行動療法が主流となっています。ただし、デンマークやノルウェーのいくつかの刑務所では、トム・アンデルセン氏やワーグナー氏から学んだ刑務官・刑務所職員によってリフレクティングが実践されています。


つづいて矢原教授が紹介したのは、ノルウェー・トロンハイム刑務所での事例。2003年の導入以来、同刑務所ではすでにリフレクティング・トークが2,000回以上実施されており、現在は受刑者の家族を交えたリフレクティング・トークを全国へ広げるプロジェクトが展開されていると報告しました。
また同じくノルウェー・バルドレスにある刑務所では、リフレクティングとオープンダイアローグを学んだ職員によってアレンジされた小グループでのリフレクティング・トークを実施中だと紹介。会話を支援するファシリテーターとしてNGOから元受刑者が派遣されていることも付け加えました。

これらの現場を訪れた矢原教授は、リフレクティングを経験した受刑者の感想で印象的だったものとして「自分自身と親しくなれた」「この会話を通して、自分も刑務官も心理士もみんなが人間になった」といった声を紹介しました。一方、職員の声としては「受刑者の話を熱心に聞くことは新鮮な経験だ」「受刑者と会話していると制服が気にならなくなってくる」といった内容を紹介。つまり、管理する側・される側という役割が明確な刑務所においても、リフレクティングを通して双方が人間どうしであることを尊重するようになっている。また「誰か『に』話すのではなく、誰か『と』話すことがリフレクティングの新しさだ」との感想も挙げ、実に本質を突いた内容だと添えました。

矢原教授はつづけて、日本の刑事施設では、あたりまえの会話の機会が奪われており、少年院のなかには私語が禁止されている施設もあることにふれ、「私たちは他者との会話のなかで生きているのに、これでは社会へ戻っても人と会話できない人を育ててしまう」と指摘。近年は日本の刑務所や少年院、国の矯正・保護機関でのリフレクティング実践をめざし、法務省 矯正研究所での講師を務めたり、刑務官向け・出所者向けのセミナーを催したりして展開を模索中だと語りました。



終盤には聴講者から質問を募りトークセッションを実施。
「リフレクティング・トークで対象者から反応が薄い場合、他の参加者はどのような進行で内なる会話を促進すべき?」という質問に、リフレクティングは対象者にとってより多くのきっかけをつくることに重きを置くため、明快な会話や結論を必要としないこと。“間”を大切にするような会話こそ効果的ではないか、とアドバイスを送りました。さらに、訪問看護に携わる参加者からは「現場で導入してみたいが、北欧の刑務所では事前に専門の研修があったのだろうか」と質問が。これに対し矢原教授は、研修は受講者同士が会話を重ねる体験講習がメインであったことを紹介。まずは職員どうしでリフレクティングを重ねて望ましい雰囲気を模索してみてはどうか、と提案しました。これを受けて吉川教授が「形式にこだわるのではなく、ご自身が体験しながらより良いと思われるリフレクティングを工夫していくのが良さそうですね」と続けると、会場内ではで深くうなずく参加者の姿が多く見受けられました。

最後に吉川教授が矢原教授と参加者への謝辞を述べ、本トークセッションは閉幕。北欧の刑務所における展開と含意の紹介に留まらず、実践的なポイント解説も多く含んだ盛りだくさんの内容となりました。
同ユニットでは、今後も対話的コミュニケーションの研究を進めるとともに、関連する有意義な話題を提供・共有できる機会を設けていきます。


吉川 悟教授(本学文学部、犯罪学研究センター「対話的コミュニケーション」ユニット長)

吉川 悟教授(本学文学部、犯罪学研究センター「対話的コミュニケーション」ユニット長)

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【補注】
* ミラノ・システミック・モデル:
ワンウェイミラーを挟んだ2つの空間の一方で、専門家たちが相談者家族の面接の様子を鏡越しに観察し、その観察を踏まえて、鏡の背後で専門家たちによる協議をおこなう。その後、専門家間で効果的であると結論づけられた解決策を対象者に伝えるという家族療法の手法。


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