【書籍紹介】伊藤邦武『宇宙はなぜ哲学の問題になるのか』のご紹介【文学部】
伊藤邦武先生(龍谷大学文学部教授・龍谷哲学会委員)の新著が刊行されます。
「宇宙に果てはあるか」「広大な宇宙の片隅の我々は何者か」。プラトンもカントもウィトゲンシュタインも哲学は宇宙への問いから出発した。謎の極限への大冒険! 根源から考える一番やさしい哲学入門。
(筑摩書房 on Twitter)
ぜひ手に取ってみてください。
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伊藤邦武先生(龍谷大学文学部教授・龍谷哲学会委員)の新著が刊行されます。
「宇宙に果てはあるか」「広大な宇宙の片隅の我々は何者か」。プラトンもカントもウィトゲンシュタインも哲学は宇宙への問いから出発した。謎の極限への大冒険! 根源から考える一番やさしい哲学入門。
(筑摩書房 on Twitter)
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2019年7月28日、法務省が主唱する「第69回“社会を明るくする運動”*1 〜犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ〜伏見地区大会」が、本学深草キャンパス 紫光館4階 法廷教室で開催されました(犯罪学研究センター共催)*2。当日は馬屋原宏氏(第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員長/伏見区長)をはじめ、国会議員、府議会議員、市議会議員、伏見区内の学校関係者、保護司、更生保護関係の実務家、大学教職員、学生等あわせて約200名が参加しました。
【イベント概要>>】https://kyoto-kouseihogo.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/SKM_C454e19070316000.pdf
馬屋原宏氏(第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員長/伏見区長)
横地 環氏(京都保護観察所長)
今大会は以下の3部構成で行われました。
第1部の講演は、落語家であり天台宗僧侶でもある「露の團姫(つゆのまるこ)」氏を講師に迎え、仏教落語「一隅を照らす(作:露の團姫)」の上演と講演をしていただきました。
露の團姫氏
講演では、露の團姫氏が落語家兼僧侶になった経緯や「一隅を照らす運動」*3の紹介、天台宗開祖最澄の教え*4である「一隅を照らす」について解説されました。この一隅とは、我々一人ひとりの持ち場や役割・使命を指し、それを自覚したうえで、自分自身が輝けるように頑張って生きることが大切であるという教えがこの言葉には込められています。今大会の「社会を明るくする運動」は、従来つまずいても立ち上がれる社会を実現するために、人には「居場所」と「出番」が必要であると訴えてきました。両者には共通する理念があり、「一隅を照らす」の教えはとても示唆に富むものでした。
第2部の活動報告は、浜井浩一教授(本学法学部、矯正・保護総合センター長、犯罪学研究センター国際部門長)、および本学学生が中心となって活動をしている「深草BBS会」*5のメンバーが登壇しました。
浜井浩一教授(本学法学部、矯正・保護総合センター長、犯罪学研究センター国際部門長)
浜井教授は、「因縁」という仏教の概念を引き合いに、罪を犯してしまった人を立ち直らせることに必要な姿勢として、「罪を償うことはもちろん大切だが、それに加えて、再び縁を紡いでいく、繋げていくような作業が矯正・保護の基本だという風に考えている」と主張。つづいて昨今の日本の犯罪状況や、それに対応する政策、矯正・保護の現場の実際について解説しました。「刑事司法に関わる検察官や裁判官、刑務官等は再犯者ばかりを目にしているので、罪を犯した人が立ち直っていずれ社会に戻れるのだということに実感や希望を持ちにくい」という現状を指摘。「実際に罪を犯した人が立ちなおる過程に関わりサポートしているのは保護司であり、そうした意味で社会を明るくする運動を通して、保護司の方々が中心となって、どのように人が立ちなおるのかということを多くの方に伝えていくことが重要だ」とエールを送りました。そのほか、龍谷大学で広く一般の方にも開講されている矯正・保護課程*6の紹介、龍谷大学の研究機関としての役割や活動の展望を述べ、報告を終えました。
「深草BBS会」による報告のようす
深草BBS会は、龍谷大学公認サークルであり、龍谷大学の学生で構成されています。犯罪や非行のない社会を目指して、地域で活動を行うボランティアとして、小学校での学習支援や工作教室、地域パトロール、子ども食堂などの活動を展開しています。今回はそうしたボランティア活動の詳細について報告しました。
最後の第3部では、平成30年度京都府コンクールで銀賞を受賞した、京都市立深草中学校吹奏楽部による演奏が披露されました。のびやかな演奏に参加者から大きな拍手が送られ、大会は成功裏に終わりました。
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【補注】
*1「社会を明るくする運動」:
すべての国民が犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪のない地域社会を築こうとする全国的な運動で、2019年で69回目となる。
http://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo06.html
*2当会の主催共催は以下の通り。
主催:第69回“社会を明るくする運動”伏見地区推進委員会
共催:京都洛南ロータリークラブ、京都鳥羽ライオンズクラブ、龍谷大学深草BBS
会、龍谷大学 矯正・保護総合センター、龍谷大学 犯罪学研究センター、伏見地区保護司会、伏見地区更生保護女性会
*3「一隅を照らす運動」:
信仰と実践によって一人ひとりが心豊かな人間になり、平和で明るい世の中を共に築いていこうという社会啓発運動。
http://ichigu.net/about/index.php
*4「山家学生式(さんげがくしょうしき)」の冒頭部分。
http://ichigu.net/person/
*5「BBS運動」:
Big Brothers and Sisters Movementの略。日本の青年ボランティア運動法務省所管の更生保護制度における民間協力者(更生保護ボランティア)の一つに位置付けられる青年ボランティア。「犯罪や非行のない明るい社会の実現」を理念に掲げ、「非行を初め社会適応に悩む多くの少年少女を対象としたメンタリング活動などを行っている。
日本BBS連盟 http://bbs-japan.org/
龍谷大学 深草BBS会 (@BBS_Ryu) | Twitter https://twitter.com/bbs_ryu
*6「龍谷大学 矯正・保護課程」:
戦前からの長い歴史と伝統を持つ浄土真宗本願寺派の宗教教誨を基盤としながら、日本で唯一の刑事政策に特化した教育プログラムとして、特別研修講座「矯正課程」(現在の「矯正・保護課程」)を1977年に開設。以来、刑務所・少年院・少年鑑別所などで働く矯正職員を目指す学生や、犯罪をおかしたり非行をおこなったりした人たちの社会復帰を手助けする保護観察官等の専門職やボランティアを養成するために実務に即した教育プログラムを提供している。
https://rcrc.ryukoku.ac.jp/educate/study.html
【本件のポイント】
・8月12日~16日の5日間、宮城県石巻市で復興支援活動を実施
・「見る・聴く・感じる」をテーマに「防災・減災教育」を盛り込んだプログラムを行う
・活動のメインは、石巻市雄勝町で開催される「雄勝湾灯籠流し」の実施・運営のサポート
【本件の概要】
龍谷大学では、学生・教職員が一丸となって、2011年から石巻市での活動を続け、延べ600名以上が活動
してきました。東日本大震災発災後、21回目の活動となります。
「見る・聴く・感じる」をテーマに「防災・減災教育」を盛り込んだプログラムを実施しており、今回は、石巻市雄勝町で開催される「雄勝湾灯籠流し」の実施・運営のサポートを行います。
毎年、定員を超える応募が続いており、今回の参加学生は30名となります。
活動後は、毎日ふりかえりを実施し、活動を通して得た気づきや学びを共有する時間をつくり、よりその想いを深めることができるプログラム構成となっております。
1.日時・場所
日 程:2019年8月12日(月)~8月16日(金)4泊5日
場 所:宮城県石巻市雄勝町及び牡鹿郡(おしかぐん)女川町(おながわちょう)
2.活動内容
①地元の皆さんと灯籠作りから一緒に行い、当日の運営、片づけまでのサポートを実施
②震災遺構として保存されることが決まった大川小学校を訪ね、語り部のお話を伺う
③公益社団法人3.11みらいサポートの方の案内で石巻市中心部を視察し、宮城県第2の都市である石巻市の被災状況や復興状況を学ぶ
④一般財団法人 雄勝花物語主催の防災教育を受講
・石巻市雄勝町の被災・復興状況について学ぶ
※同じ石巻市内ではあるが、半島部という地理的要因もあり、雄勝町は中心部とは被災状況や復興状況が大きく異なっている。
・津波について座学で学ぶ
・震災当日の避難経路の一部を歩くなどの体験も実施
⑤女川町で語り部と共に、女川町内を視察
※女川町内の視察は今回初めての試みで、雄勝町から車で30分程度の隣町であり、同じく壊滅的な被害を受けながらも、復興状況が大きく異なる町を体感し、震災復興について多角的に考える機会とする。
⑥10月1日(火)に深草キャンパス、10月3日(木)に瀬田キャンパスで活動報告会を実施
問い合わせ先 :
ボランティア・NPO活動センター 竹田・平井 Tel 075-645-2047
2019年7月13日、本学深草キャンパス22号館102教室において、要 友紀子氏(SWASH*1代表)を講師に迎え「性と労働」をテーマに講演していただきました(法学部主催、犯罪学研究センター協力)。公開で行われた当講演会には、学生や一般の方を合わせて約80名が参加しました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-3742.html
講演に先立ち、石塚伸一教授(本学法学部、犯罪学研究センター長)が、講師の紹介と趣旨説明を行いました。石塚教授は、2019年7月10日に学内で行われた「2019年度第1回ハラスメント防止に関する研修会」や自分の周囲のエピソードに触れながら、「私たちは社会生活において、性別に固定された役割分担を当たり前のものとして受け入れる傾向にあるのではないか。性と労働について、いま一度考えなおしてみよう」と述べました。
セックスワークは、1970年代にキャロル・レイ氏*2によって提唱された言葉で、性的サービスを提供する仕事全般を指します。この名称は、従来差別的な意味が付与されていた「売春婦」などの言葉を、「労働」という観点から中立的に捉え直すために作られました。現在日本におけるセックスワークの当事者団体は約10団体。ほとんどの団体が当事者間のみのクローズドな活動を主とするのに対し、要氏が代表を務めるSWASHは、現役/元セックスワーカーとサポーターで構成しており、支援・研究・調査・ロビー活動・研修などプロジェクトごとに、多様な関係者(研究・医療・行政など)と共同で活動を展開しています。
要氏は「SWASHは、セックスワーカーの国際的なネットワーク組織(NSWP)*3にも所属している。セックスワーカーが存在する国・都市・地域の多くに当事者団体が存在し、現在世界には263団体ある」と述べ、海外の状況について説明していきました。
要氏は、セックスワークに関わる法律が国や地域によって千差万別であることを、国や地域固有のルールを挙げながら説明。なぜこんなにも国によって性行動に関する規定が異なるのか?その理由について「性に関わる法規定が、世界各地の性道徳をもとに考えられてきたからではないか」と指摘しました。
また、「もしも各地の性に関わる法規定が人の普遍的権利である人権擁護の観点から立法されていれば、ここまで国によってバラバラにならなかっただろう。性道徳や何らかのバイアスに基づいた法的整備は、現実に起こりうる問題のすべてに必ずしも対応しておらず、万全とは言えない」ことを参加者に訴えかけました。
つづいて要氏は、性道徳に関わるテーマとしてジェンダーの問題を取り上げました。ジェンダーとは社会的・文化的に作られた「男らしさ」「女らしさ」という性差を指しますが、要氏は、「性自認の問題や性自認に基づく行動は、周りや社会環境が変えようとして変えられるものではない」と主張。「男女の属性にとどまらない性の多様性や個別の状況に理解を示さないまま、ジェンダー不平等の是正だけを目指すことは、男女という属性によって社会構造を把握することにつながり、個別具体的な状況を理解することを困難なものにしてしまう」と危機感をあらわにしました。また、「とかく性の問題は、自身の実像の問題や性のトラウマの問題に影響されやすい。セッククスワークを批判・問題化する際には、社会道徳的な見地や個人的な嫌悪感から考えるのではなく、個人の価値観の多様性を念頭において考えてもらいたい。人というのは “誰かにとっての幸せは誰かにとっての迷惑・抑圧である”という葛藤を抱えながら社会で生きているということを認識してほしい」と述べました。
要氏は「セックスワークという労働に従事することは、個別の事情と本人の生き方の問題であるため、他者が社会的道徳や個人の価値観にもとづいて、セックスワーカーの意思決定を一律に非難・制限してはならない。セックスワークについて考える上で大切なのは、“Nothing about us without us!”*4の視点だ」と改めて主張しました。
さいごにまとめとして、学生に伝えたい3つのポイントが提示されました。
1. 解放には「○○からの解放」と「〇〇としての解放」がある。
→例)セックスワーカーからの解放(当事者が職業から解放されること)、セックスワーカーとしての解放(当事者の社会的差別・偏見からの解放)
セックスワークからいかに抜け出すかという他者・第三者中心の関心ばかり焦点化されるが、セックスワーカーの権利・安全・健康の保障、差別解消の問題も大切。
2. 性に関して、ネガティブな情報だけでなくポジティブな情報も大事である。
→性に関してネガティブな経験を減らすためには、自分にとって何が嫌かを明確にすることだけに留まらず、どのような性的関係や性的行為(スキンシップやコミュニケーション)であれば心地良いと思えるかを考えよう。他者からの強い働きかけに対して、主導権を握るには、自分はどうしたいかが明確であることが必要。
3. I must ではなく、I want で生きよう。
→多様性のある社会形成のためには、各自の「自分はこうあらねばならない」という思い込みをいかに取り除くか、生きづらさをなくすかが大事。
このあと質疑応答の時間が設けられ、参加者からは、セックスワークの現場における性感染症やAIDSに関する取り組み、セックスワーカーを取り巻く問題についての質問があり、要氏にはその一つひとつに丁寧に回答していただきました。
今回の講演会は、性の問題に限らず、一人ひとりの個人が尊重され、社会の中で生きるためにはどのような視点が必要かについて考える、大変有意義な機会となりました。
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【補注】
*1 SWASH:
Sex Work And Sexual Healthの略。性産業で働く人の健康と安全のために活動するグループとして1999年から活動を開始。要氏は2005年より同団体の代表を務めている。
http://swashweb.sakura.ne.jp/
*2 キャロル・レイ:
Carol Leigh(1951〜)。アメリカのセックスワーカーにしてアーティスト。セックスワーカーの権利擁護、AIDS啓発、人身売買撲滅など、様々な団体の設立やキャンペーンの企画に携わる。
http://www.bayswan.org/Scarlot_Resume.html
*3 NSWP:
Global Network of Sex Work Projectsの略。1990年11月に設立された非営利組織。スコットランドのエジンバラに拠点を置く。5つ(アフリカ、アジアと太平洋、ヨーロッパ、ラテンアメリカと北アメリカ、カリブ海)にまたがる国または地域にあるセックスワーカーが主導する組織のための国際ネットワークを構築し、セックスワーカー(女性・男性・トランスジェンダー)の声を、各々の地域のコミュニティにつなげるための活動を支える。
https://www.nswp.org/
*4 “Nothing about us without us!”(ラテン語:“Nihil de nobis, sine nobis”):
世界中の様々な当事者グループの活動で使用されているスローガン。「グループのメンバーが全面的かつ直接的に参加しない限り、いかなる代表者も方針を決定しえない」というメッセージ。ヨーロッパに古くからある政治的伝統・ことわざが元となっている。スローガンが英語に翻訳され使用されはじめたのは90年代の障がい者の権利運動がきっかけであると言われている。セックスワーカーの団体のほかにセクシャルマイノリティー・LGBT運動にも使用されている。
2019年7月10日、本学深草キャンパス 和顔館B102で「2019年度第1回ハラスメント防止に関する研修会」が開催されました。本研修会は、学生、職員、本学に関わるすべての人々が、人権を尊重し、相互に信頼し、快適に学び働くことができる環境を維持向上することを目指して行われているものです。
今回の研修会は、龍谷大学ハラスメント問題委員会主催、人権問題研究委員会、犯罪学研究センター共催で企画し、関連企画としてドキュメンタリー映画『愛と法』上映会を実施。学内に積極的な広報をかけることで、教職員のみならず学生も多数参加するものとなりました。
『愛と法』は、大阪の下町で小さな法律事務所を経営するふうふ(夫夫)を追ったドキュメンタリー映画。二人のもとには、さまざまな依頼人が訪れます。セクシュアル・マイノリティ、養護が必要な子どもたち、戸籍を持てずにいる人、「君が代不起立」で処分された先生、作品が罪に問われたアーティストなど。こうした依頼人のために東奔西走する弁護士ふうふの奮闘が日常風景とともに描かれます。
本作は、第30回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門作品賞、第42回香港国際映画 祭最優秀ドキュメンタリー賞など国際映画祭でも高く評価されたもので、全国で公開されています。
(>>上映情報は公式サイトを参照)
上映後休憩を挟み、ドキュメンタリーの主役の一人である南 和行氏(弁護士・なんもり法律事務所)を講師に迎え、「LGBTなど性の多様性の問題とハラスメント —裁判で問題となった事例を中心に—」*1というテーマで講演していただき、その後、座談会の時間が設けられました。
南 和行氏(弁護士・なんもり法律事務所)
講演に先立ち、石塚伸一教授(本学法学部・ハラスメント問題委員会 委員長・犯罪学研究センター長)より講師の紹介と、「昨今、LGBTという言葉が世間で広く認知されるようになった。しかし、本学では、LGBTをはじめ、性の多様性の理解が進んでいるとは言い難い。本研修会を契機に、LGBTや性に関する問題がハラスメント*2とどう関わりを持つか気付いてもらいたい」と研修会の趣旨説明が行われました。
南氏は、原告代理人の一人として関わった「一橋大学アウティング事件」*3を事例に、LGBTおよびハラスメント問題の現状について報告しました。本件は、大学側(相談を受けた教授、ハラスメント相談室の職員など)の対応が、安全配慮義務*4を満たしていたかどうかが争点となりました。
なぜアウティングが問題であるのか。第一審判決ではこの点について一切言及されませんでした。南氏は「大学側の対応も含め、『LGBT=普通ではない人』という先入観が、アウティングに対する無理解や相談者への不十分な対応に繋がったのではないか」と指摘。そして、「LGBTという言葉は、本人が性の多様性について語るには必要不可欠な言葉である。しかし、世間的にLGBTという言葉が認知された結果、言葉に対する印象が一人歩きし、当の本人への理解や抱えている問題について適切な対応が行われにくい状況になったのではないか」と疑問を呈しました。
南氏は「ハラスメントがあったと相談された場合には、まず何があったのか事実を把握する姿勢が肝要だ。性の多様性、ハラスメントを汲み取るうえで大切なことは、自分とは違う、自分には到底理解できない問題だと決めつけないことである。自分自身に置き換えることが難しい問題でも、当事者がどんなことで悩み、傷ついているか立ち止まって考えていただきたい」と述べ、発表を終えました。
南氏の発表を受けて、石塚教授は「経験がないこと、知らないことを自分のことに置き換えて考えることが困難な場合もある。そこで、当事者の問題解決に向けたネットワークを構築することを意識したい。相談を受けた側も問題を抱え込まず、その問題に詳しい知識人、専門家に相談することが必要。本学においても、職場の同僚や上司、友人に相談できる環境づくりが、性の多様性、ハラスメントの理解につながっていく」と本研修会を総括しました。
石塚伸一教授(本学法学部・ハラスメント問題委員会 委員長・犯罪学研究センター長)
研修会終了後、南氏を囲み、座談会が行われました。座談会では、龍谷大学におけるハラスメント相談および、ジェンダー・セクシュアリティ相談(2019年5月開設)の活動状況を中心に意見交換が行われました。相談室に持ち込まれる事例は、相談者の周囲の状況が深刻化していることが少なくありません。人間関係の修復など、解決に向けてとるべき方法の選択に苦慮している旨、担当職員から報告がありました。他に、セクハラ・LGBTに関する問題処理の知見を学内でどのように共有するのか。相談室になかなか来られない、他の人に相談できず一人で悩んでいるという人に向けて、相談しやすい環境を作るにはどうすれば良いか、といったことが話し合われました。
>>Link: ハラスメントに関する相談
>>Link: ジェンダー・セクシュアリティ相談の開設
本研修会を通じて、相談者だけでなく対応する相談員や周囲の教職員・学生などの支援者が、双方ともに孤立する状況をいかに無くすか、「一人で抱え込まない、抱え込ませない」という原点を振り返ることができ、大変有意義なものとなりました。
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【補注】
*1「LGBT」:
Lesbian(レズビアン、女性の同性愛者)、Gay(ゲイ、男性の同性愛者)、Bisexual(バイセクシャル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった言葉。
*2「ハラスメント」:
教育、研究及び学習並びに就労に関連して、行為者の意図にかかわらず、相手方に不利益や損害を与え、若しくは個人の尊厳又は人格を侵害する行為。
*3「一橋大学アウティング事件」:
2015年4月に一橋大学法科大学院において、同性愛の恋愛感情を告白した相手による暴露(アウティング)をきっかけとして、男子学生A(当時25歳)が投身自殺したとされる事件。第一審で、東京地裁は遺族側の訴えを棄却した。
- アウティング(英語: Outing)とは、本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性同一性障害等の秘密を暴露する行動のこと。
【>>関連記事】
東京新聞 <アウティングなき社会へ>(上)同性愛暴露され心に傷 転落死の男子学生「友人関係、苦しい」
*4「安全配慮義務」:
時と場合の事情に応じて、相互に相手方の信頼を裏切らないよう行動すべきであるという法原則(信義誠実の原則:信義則)を根拠にしている義務。
今回の一橋大学アウティング事件の場合、大学側は生徒の「生命及び健康等(メンタルな面の安全や健康も含まれる)を危険から保護するよう配慮すべき義務」を履行していたかどうか、が問題となった。