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2019年11月22日、犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニットは「第22回法科学研究会」を開催しました(於:本学深草キャンパス 至心館1階)。当日は15名の方に参加いただきました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4347.html
今回の講師は、福島由衣氏(日本大学文理学部人文科学研究所研究員/龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員)で、テーマは「目撃者記憶に聴取者が与える影響:識別手続き場面を想定した実験的検討」でした。誤った目撃証言は冤罪に寄与する割合が非常に高いと言われていますが、誤った目撃証言が発生する要因は様々です。目撃者が目撃した時点の環境によっておこる記憶自体の間違いが要因であることもあれば、捜査手続きにおいて目撃者へ不適切な聴取が行われてしまうことが要因であることもあります。今回は後者の、目撃証言に対する聴取者側が与える影響についての研究が紹介されました。
まず質問の選択肢が目撃者の写真識別に与える影響についての研究です。刑事事件の捜査手続きでは、目撃者に対して複数枚の写真を見せ、実際に目撃した人物を選択させる「写真識別」を行うことがあります。この写真識別において、目撃した人物について自由に証言するよう求めた場合、「わからない」と回答する人が非常に少ないということがオーストラリアの研究者ら(※1)によって明らかになりました。その後、この研究者らは「写真の人物は自分が目撃した犯人であるかどうか」について選択肢を設けた実験を行いました。実験では、「はい」か「いいえ」という2つの選択肢から選ぶ条件と、そこに「わからない」を加えた、3つの選択肢から選ぶ条件を設けました。その結果、「わからない」を加えた条件のほうが、誤識別率(犯人ではない人物を犯人だと証言してしまう割合)が低くなることが明らかになりました。この研究結果に基づいて、福島氏ら(※2)も「わからない」という選択肢の影響に関する調査を行いました。日本の捜査手続きでは目撃者に対して何度も聴き取りが行われるため、調査では2週間にわたって4回の聴取を行いました。また写真識別に対する誘導の影響も検証するため、聴取者が「あなたが見たのはこの人ですよね」と発言する/しない、という誘導あり/なし条件も追加しました。その結果、誘導あり条件では誘導なし条件より誤識別率が高いことがわかりました。一方で、誘導あり条件では誤識別率がすべての聴取において高かったことから「わからない」という選択肢では誤識別が抑制されないことが示されました。したがって、「わからない」判断の明示は聴取者が誘導的でない場合にのみ有効であることが推察されます。
つぎに聴取者の発言が目撃者自身の記憶に対する評価に与える影響についての研究です。目撃者の確信度評価(自分の証言の確かさについてどのくらい自信があるか)は、目撃証言の正確性の指標として認識されやすい、ということが明らかになっています。しかし、確信度と正確性に相関があるかどうか、つまり確信度が高い目撃者の証言のほうがより正確であるといえるかどうかという点については長い論争があります。この確信度について研究するアメリカの研究者ら(※3)は、聴取手続きにおいて聴取者が目撃者の識別を暗に肯定するようなフィードバックを返すと、目撃者は自分自身の記憶について高く評価する(犯人の顔がよく見えた、目撃時間は長かったなど)ようになる、ということを明らかにしました。この現象は識別後フィードバック効果(post-identification feedback effect;PIFE)と名付けられました。さらにほかの研究者らの研究によって、PIFEは、目撃者に誤った確信を与えるだけでなく、その証言の信用性や正確性を評価する陪審員や裁判官の誤った判断も助長することが示されました(※4)。これらの研究結果に基づいて福島氏ら(※5)もPIFEに関する調査を行いました。たとえ目撃証言が誤ったものであっても証拠にならなければ冤罪が発生する可能性は低いでしょう。誤った目撃証言が問題となるのは、それが法廷で証言されたときです。そこで福島氏らは、PIFEによって自身の記憶についての評価が高くなった目撃者ほど、法廷で証言をしやすくなるかどうかについて2件の調査を実施しました。1件目の調査では、ビデオで目撃した人物について写真識別を行いました。フィードバックは、確証的フィードバック条件(いいでしょう、犯人を選びましたね)、非確証的フィードバック条件(実は被疑者は●番でした)、フィードバックなし条件の3条件を設けました。その結果、確証的フィードバック条件の目撃者が最も自分の記憶について高く評価していたことが分かりました。一方で、識別に関する証言を録音し、これの提供に同意するかどうかという点について、同意の割合について3条件での差はありませんでした。2件目の同様の調査では質問項目に「調査データを法廷で利用するために弁護人に提供してもよいか」と「証言を録音するもしくは証言を筆記してもよいか」という2項目を加えました。その結果、確証的フィードバック条件の目撃者が最も自分自身の記憶について高く評価しており、目撃証言データの弁護人への提供についても「はい」と回答し、承諾する割合が最も高いということが分かりました。一方で証言を録音・筆記してもよいかについては3条件で差はみられないということが分かりました。これらの調査結果により、PIFEは記憶評価だけでなく、特定の行動に対する動機付けも向上させることが示唆されました。
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※1)Weber N. & Perfect TJ. (2012). Improving eyewitness identification accuracy by screening out those who say they don't know. Law and Human Behavior, 36(1),28-36.
※2)福島由衣・三浦大志・厳島行雄 (2016). 面接者の誘導が繰り返しの 写真識別判断に与える影響:─「わからない」判断を用いた検討. 法と心理,16(1),100-111.
※3)Wells, G. L., & Bradfield, A. L. (1998). "Good, you identified the suspect": Feedback to eyewitnesses distorts their reports of the witnessing experience. Journal of Applied Psychology, 83(3), 360–376.
※4) 福島由衣・厳島行雄 (2018). 目撃者の記憶を歪めるフィードバック : 識別後フィードバック効果研究とその展望. 心理学評論 = Japanese psychological review, 61(4), 407-422.
※5)Yui Fukushima, Kayla Jordan., & Maryanne Garry (2019). Does post-identification feedback affect eyewitness’ behavior? Poster presented at Conference of the European Association of Psychology and Law 2019 (Santiago de Compostela, Spain),119.
2020年1月23日、2020年4月に入学を予定している、協定先からのご推薦により入学試験を受験された方を対象にした入学予定者説明会を開催いたしました。大学側からは各研究科の研究科長、教務主任や指導教員、入学予定者10名が参加しました。
本プログラムでは、地域人材育成のための相互協力に関する協定を締結している約100団体よりご推薦をいただき、1年間で修士課程修了を目指すカリキュラムを開設しています。入学後、7月には修士論文・課題研究の中間発表、1月には提出のスケジュールとなり、さらに修了要件の単位修得が必要となりますので、濃密なカリキュラムです。社会人の皆さんはお仕事とも両立しながら研究を進めていくことになりますので、1年間での修了に向けては、事前の準備や計画性が重要となります。
説明会においては、各カリキュラムのご紹介、入学後の受講希望科目の選択についての案内などに加え、入学後の修士論文・課題研究の指導教員との顔合わせを行いました。入学予定者らは、早速入学に向けた準備、入学後の研究計画についての相談を行い、本学大学院での研究に向けたスタートの場となりました。
説明会終了後には、入学予定者および指導教員との懇親会も開かれ、春の入学に向けて想いを馳せながらコミュニケーションを深める場となりました。
2019年12月16日(月)、龍谷大学犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニットは、SBS冤罪・山内事件の報告会として公開シンポジウム「無実の祖母はなぜ『犯人』にされたのか ―SBS冤罪・山内事件を振り返る―」を共催しました。山内さん弁護団の報告と、当事者である山内泰子さんのインタビュー映像を中心に、約2時間のプログラムを企画。年の瀬の平日夜にもかかわらず約100名が聴講に訪れ、SBS事件に関する情報と問題を共有する貴重な機会となりました。
【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4560.html
■山内事件とは
山内泰子さんが“2016年4月、大阪市の次女宅で生後2ヵ月の孫の頭部に何らかの暴行を加え、約3ヵ月後に死亡させた”と疑いをかけられ、同年12月に傷害致死罪で逮捕・起訴された事案です。一審では検察側の「揺さぶられっこ症候群の疑いあり」とする医師の証言や鑑定書が重要視され、山内さんには5年6ヵ月の実刑判決が下されました。しかし控訴した二審では、SBS検証プロジェクトメンバーを中心に結成した弁護団がSBS理論の危うさを指摘し、科学的根拠を持って反証。乳児の死亡が内因性の病気によるものであること、また山内さんに動機がないことを主張し、2019年10月25日に大阪高等裁判所で無罪判決が下された冤罪事件です。
はじめに、陳 愛弁護士(大阪弁護士会・SBS検証プロジェクトメンバー)が開会のあいさつの後、SBS問題について改めて概要を説明して会場全体で基本的な情報を確認しました。諸外国ではSBS理論を疑問視する風潮がある一方で、日本ではSBS理論が未だ根強く、無実の罪で苦しむ人がいること、山内泰子さんもその一人であったことなどを述べました。
陳弁護士は「冤罪は大きな不幸です。さらに、大切な人に対し罪をおかしたと見なされてしまうことは、冤罪の中でも最も苦しく耐えがたいことではないでしょうか。山内さん事件の報告を通して多くの方にこの問題を考えていただきたく、当シンポジウムを企画しました」と開催趣旨を告げました。
つづいて、山内泰子さん弁護団を代表して、大阪弁護士会の我妻路人弁護士(SBS検証プロジェクトメンバー)、辻 亮弁護士、秋田真志弁護士(SBS検証プロジェクト共同代表・犯罪学研究センター嘱託研究員)より弁護活動の報告が行われました。
まず主任弁護人を務めた我妻弁護士が、一審・二審の経緯にふれ、シンポジウムのテーマ「無実の祖母はなぜ『犯人』にされたのか?」について所感を述べました。
我妻弁護士は「一審の弁護活動を批判するものではない」と断りを入れたうえで、一審では検察側が小児科と法医学の医学証人を立てたこと。対して、弁護側には専門家の証人がいなかったことが原因ではないかと語り、「二審では山内さんの無罪を主張するに足る証人を得たことで無罪判決につながりました」と、改めて山内さんの雪冤を強調しました。
また、一審・二審ともに検察側の証人となった小児科の医師について、二審の判決文で「鑑別診断の正確性に疑問を禁じ得ない」「医学文献に整合しない疑いがある、または不誠実な引用がされている」と厳しく評価されたことも言い添えました。
さらに山内さん事件で改めて浮き彫りになった刑事事件における諸問題として、逮捕直後から山内さんの人間性に誤解を与える偏った報道がなされていた点を指摘。「メディアの取り上げ方しだいで、社会が当事者たちに抱くイメージは大きく変わります」と警鐘を鳴らしました。
ついで、裁判で被告人質問を担当した辻弁護士がマイクを取り、人質司法(犯行を否認する被疑者・被告人に対する身体拘束)の問題点に言及しました。弁護活動を進めるなか、一審での被告人質問の様子を確認した辻弁護士は、山内さんと検察官のやりとりに着目。「長期化した身柄拘束で山内さんの体調が万全でなく、緊張感も相まったためだと推察されますが、会話がスムーズではなく裁判官・裁判員に悪印象を与えてしまったと考えています」と述べ、人質司法の弊害ではないかと疑問を呈しました。
また、一審で犯行動機として『突発的に激高し、暴行を加えたことも考えられる』と憶測の域を出ない認定がなされた点について、刑事裁判における無罪推定の原則に反するものだと指摘。「検察側証人である医師が『虐待があったはず』と証言すれば、裁判員や裁判官にとって無罪推定の原則が机上の空論となってしまうこともあるのではないでしょうか」と語りました。二審では、弁護団が医学的な反証に加え、山内さんに動機がないこと、山内さんの華奢な体格で揺さぶられっこ症候群を引き起こすほど幼児を揺さぶることはできないことを強く主張し、裁判所より山内さんが揺さぶり行為に及んだと考えるのは相当不自然だと認定されています。
弁護団の報告の締めくくりとして話を引き継いだのは秋田弁護士です。秋田弁護士は「私は、山内さんが冤罪で苦しまれたのは医学鑑定に問題があったからだと考えています」と切り出しました。
一審判決で山内さんが有罪となったのは「被害児に硬膜下血腫が認められ、揺さぶられっこ症候群を引き起こすほどの衝撃(虐待)があった」と認定されたためです。しかし、揺さぶられっこ症候群を引き起こすとされる揺さぶりとは“成人男性が乳児を抱き、5cmの振り幅で1秒間に3往復揺さぶる”ほどのものです。
秋田弁護士は「60代の華奢な女性にそういったことが可能かどうか、冷静に考えると答えは明らかです。ではなぜ一審で裁判所が検察側の主張を認定したのか? 証人である2人の医師が豊富な医学的知識と経験を持つ人物で、両者の意見が『山内さんが乳児に危害を加えたと考えられる』と一致していたためです。しかし、彼らはSBS理論に基づいて判断したので、結論が一致するのは当然なのです」と本件における問題点を示しました。そもそもSBS理論は賛否の激しい医学上の仮説であるにもかかわらず、裁判時の鑑定書には確立した医学的見解かのように書かれていた点を鋭く指摘。「医師が発する『医学的な見解』という言葉が魔法の言葉のように働き、常識的な観点が押し流されてしまっていたように感じます」と一審を振り返り、公平性を欠くSBS理論に基づいた見解に警鐘を鳴らしました。
加えて、一審で揺さぶられっこ症候群の根拠とされていた「硬膜下血腫」の診断については弁護団が誤りであったことを突き止め、乳児の急変が内因性の「静脈洞血栓症」によるものだと主張できたこと、そこに至るまでにはイギリスでSBS問題に取り組む医師であるウェイニー・スクワイア氏(元オクスフォード大学ジョン・ラドクリフ病院・神経病理学)氏との幸運な出会いがあったことを紹介しました。
【関連リンク>>】国際シンポジウム「揺さぶられる司法科学 揺さぶられっ子症候群仮説の信頼性を問う」開催レポート
医師らの医学的所見が誤りだったことについて、秋田弁護士は「そもそも診断に用いられたCT画像やMRI画像は、病人の体内で起きた変調や程度がわかるに過ぎず、その原因となる外力が揺さぶりかどうかを特定することは不可能です。仮に揺さぶりで三徴候が生じるとしても、逆に三徴候があるからといって揺さぶりがあったとは断言できません。その点を忘れてはいけないのです」と語りました。
また「本件で一番の問題と感じているのは、検察側の医学証人たちがSBS理論を絶対視し、自らの見解に固執していた点です。二審では、この姿勢そのものが裁かれたと言えるのではないでしょうか」と、我妻弁護士が引用した二審の判決文に絡めて意見を述べました。
締めくくりとして「山内さんの無罪判決は、SBS問題における深刻な冤罪の存在を明らかにし、社会に大きな一石を投じました。今こそ、SBS理論が客観的な視点から見直されるべき時期が訪れています」と聴講者に呼びかけました。
つづくプログラムとして、SBS検証プロジェクトが撮影した山内泰子さんと長女(亡くなったお子さんの伯母にあたります)のインタビュー映像をスクリーンに映写しました。山内さんはインタビュアーに向けて「一貫して否認していましたが、あまりにつらく心が折れそうになったこともありました。自ら命を絶とうとすら考えましたが、拘置所へ面会に来てくれる家族の激励が救いでした」と明かします。また、山内さんの長女は「母を疑ったことはありません。あの子の本当の死因が警察の捜査の過程で明らかになることを期待していましたが、警察からは『家族の誰かが嘘をついている』などの言葉をかけられて憤りを覚えました」と当時の状況を語りました。「病気だとわかっていれば、不要な司法解剖もされずに済んだのに……」「普通に暮らしていたのに、人生が突然変わってしまった」など、冤罪被害の苦しさがありありと伝わる内容に、聴講者は真剣に見入っていました。
インタビューの上映後、本来のプログラムにはなかったのですが、シンポジウム会場を訪れていた山内さん親娘が急遽登壇することに。聴講者から拍手で迎えられた山内泰子さんは、冒頭で「みなさん、ありがとうございます」と謝意を述べました。わけもわからず逮捕され、一審の直後は不安にさいなまれていたこと。しかし弁護団に出会い、ご家族の存在や同様の冤罪に苦しむ被害者家族の集まり(家族会)への参加、スクワイヤ医師による新たな診断で勇気を得て二審に挑めたことなど、時に涙をにじませながら語られる様子が胸に迫りました。コメントの最後には「徐々に日常を取り戻しつつ、今は孫たちの顔を見ることが生きがいです」と笑顔を見せ、会場からは改めて大きな拍手が送られました。
ここでシンポジウムは終盤にさしかかり、質疑応答の時間が設けられました。弁護団に対し「二審で3名の医学証人を立てたことは重要なポイントになったと思うが、どのようにして見つけたのですか」と質問が出ると、秋田弁護士が「協力してくれる医師を探すことには苦労しています」としながらも、「SBS検証プロジェクトを立ち上げ、多くの医師とコンタクトを取るなかで賛同してくれる人が増えてきました」と現状を語りました。
おわりに、笹倉香奈教授(甲南大学法学部・SBS検証プロジェクト共同代表・犯罪学研究センター客員研究員)が登壇しました。山内さん事件の裁判において、裁判所がSBS問題へ真剣に取り組んだ姿勢を評価しつつ、「山内さんと同じような立場にありながら、未だに冤罪が晴らされずにいる人があと何人いるのかと思うと胸が痛みます」と述べました。
また、山内さんご家族との出会いからこれまでを振り返り「一審の有罪判決時、ご家族が泣き崩れていた様子が強く印象に残っています。SBS事件にふれるたびに感じる怒りが、SBS検証プロジェクトの活動の源です。山内さん事件で冤罪が生まれる原因が少しずつわかってきました。これから分析を進め、得た教訓を活かしてさらに活動を広げていきます」と改めて決意を語りました。最後に「虐待は許されませんが、冤罪は絶対に生んではなりません」と力強く発し、聴講者に向けて「当シンポジウムで得た内容を、ぜひ社会に広めていただきたいです」と願いをこめ、謝辞を述べてシンポジウムを締めくくりました。
司会:古川原明子 准教授(本学法学部・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長・SBS検証プロジェクトメンバー)/宇野裕明 弁護士(大阪弁護士会・SBS検証プロジェクトメンバー)
「科学鑑定」ユニットでは、今後も揺さぶられっこ症候群の理論に関する科学的信頼性の検証を進めていくとともに、引き続き龍谷大学犯罪学研究センターHPでSBS問題に関する情報を発信していく予定です。