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2019年11月28日、犯罪学研究センターは「第21回神経発達症研究会(発達障害研究会)」を、本学大宮キャンパス 西黌別館3F カンファレンスルームにて共催し、医療や心理に関わる実務家、研究者を中心に約10名が参加しました。
【EVENT概要】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4314.html

研究会を主宰する武田俊信教授(本学文学部)がユニット長をつとめる犯罪学研究センター「司法心理学ユニット」では、精神医学、発達障害、ADHDなどを切り口に、司法・矯正分野においてどのように心理学が貢献できるかを検討しています。
今回の「神経発達症研究会」は、医療、心理、福祉などに携わる方や、精神医学、心理学領域に興味を持つ方々が集まり、神経発達症に関連することを学び、共有していくことを目的としています。



始めに、武田俊信教授(本学文学部・司法心理学ユニット長)から「Sluggish Cognitive Tempo(SCT)という新しい神経発達症について」の報告がありました。Sluggish Cognitive Tempoは日本語での正式な症名はありませんが、空想にふけりやすい・動きが緩慢・すぐに混乱してしまう等の、ADHD*1と少し類似した症状が見られるのが特徴です。これらの特徴は、もともと精神障害の診断・統計マニュアルであるDSM-III-R*2においてADHDの診断基準の候補から外れたものでしたが、カルフォルニア大学サンフランシスコ校のキース・マクバーネット氏が取り上げたことによって新たにSCTとして再発見されました。


武田俊信教授(本学文学部・司法心理学ユニット長)

武田俊信教授(本学文学部・司法心理学ユニット長)

武田教授は、気質・内在化障害・睡眠状態・自閉症傾向の観点から、SCTとADHDに差異があるかを調査。結果として「SCTとADHDに大きな差は見られなかったが、BIS/BAS尺度*3のBASと入眠時間に差異が見られた。以上のことから、今後SCTの独立臨床単位とADHDを比較しながら研究を続けていきたい。そして、生物学的指標や治療反応性も検討していくべきだ」と述べ、報告を終えました。

次に、武田教授の共同研究者である中島陽大氏(洛和会音羽病院 臨床心理室 副係長) から「成人における視覚認知機能の予備的検討」と「WAVES検査*4におけるASD*5群とADHD群の比較検討」について報告がありました。いずれも発達ディスレクシア(dyslexia)*6という学習障害についての研究であり、現在発達ディスレクシアの発生機序のひとつに視覚認知機能の弱さが関連していると考えられています。


中島陽大氏(洛和会音羽病院 臨床心理室 副係長)

中島陽大氏(洛和会音羽病院 臨床心理室 副係長)

中島氏は成人の視覚認知機能の特徴を調査し、小学生と20代の間では視覚認知機能に差異は見られませんでしたが、小学生と30代・40代の間ではVPI(視知覚)とECAI(目と手の協応正確性)に差異が見られたことを報告しました。さらに、WAVES検査を受けた子どものASD群・ADHD群と、対照群(奥村ら,2014)との比較の調査では、ASDの特性としてVPI指数の低いこと、ADHD群の特性としてECGI指数(目と手の協応全般性)とECAI指数の値が反比例していることを報告しました。以上の報告から、中島氏は「成人の視覚認知機能の特徴として、20代までに視覚認知機能はピークに達すると考えられ、30代・40代の視覚認知機能は本来備わっている視覚認知機能以外の要因がWAVES検査結果に表れている」と説明。また子どものASD群とADHD群との比較検討については、「WAVES検査結果にASD、ADHDの発達特性が見られた。すなわち、ADHDは課題に対する拙速性や集中力の欠如が正答の割合に影響を及ぼし、一方でASDは認知的視野狭窄や非柔軟的な思考が視覚認知機能の低さに影響を与えていたと考えられる。どちらの調査もまだ始まったばかりだ。今後の調査でより詳しく解明していきたい」と展望を述べ、報告を終えました。

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【補注】
*1 ADHD(Attenuation Deficit Hyperactivity Disorder)
注意欠如多動性障害のこと。発達障害の1つであり、不注意・多動性・衝動性の症状が特徴である。

*2 DSM-III-R(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
精神障害の診断と統計マニュアルのこと。精神障害の分類(英語版)のための共通言語と標準的な基準を提示するものであり、アメリカ精神医学会によって出版された書籍である。DSM-III-Rは1987年に出版され、現在は2013年に出版されたDSM-Vが最新となってる。

*3 BIS/BAS尺度(Behavior Inhibition System/Behavior Activation System)
行動抑制システム(BIS)行動活性化システム(BAS)尺度のこと。ジェフリー・アラン・グレーは神経科学的気質理論の中で、人間の行動はBIS・BASの2つの大きな動機づけシステムの競合によって制御されていると述べている。

*4 WAVES検査
視覚認知機能をスクリーニングするための心理検査。小学生を対象に標準化されており、眼と手の協応や視知覚などを40分程度の時間で網羅的にアセスメントすることができる。近年は読み誤りや読み飛ばしなどの困難を抱える発達性ディスレクシア(dyslexia)の特性を知る検査として注目されている。

*5 ASD(Autism Spectrum Disorder)
自閉症スペクトラム障害のこと。常同行動(目的のない行動を繰り返すこと)を示す、コミュニケーションや言語に関する症状が特徴である。

*6 発達ディスレクシア(dyslexia)
海外ではdevelopmental dyslexia (DD) 、specific reading disorder (SRD)がそれにあたる。日本では発達性ディスレクシア、読字障害、発達性読み書き障害などと翻訳される。国際ディスレクシア協会(International Dyslexia Association : IDA)の定義によると、dyslexiaは神経学的な原因による特異的な学習障害であるとされる。特徴として単語認識の困難さ、つづりの稚拙さ、デコーディングの弱さがみられ、こうした特徴は言語の音韻的な側面に関する弱さが原因だと考えられている。二次的に読解の問題を引き起こしたり、読みの経験が少なくなったりすることで、語彙や予備知識の発達を阻害することが起こりうるとされる。


2019年11月25日(月)、12月16日(月)それぞれ3~5講時に「基礎栄養学実習」にて、臨床検査技師である株式会社HIL代表取締役 井浦 憲治 氏をお招きし「腹部エコーによる臍帯皮下脂肪圧と腹筋圧の測定」と題して実習を行いました。
食品栄養学科の「基礎栄養学実習」では、食事調査、身体組成(身長、体重、体脂肪率等)、運動量および安静時代謝量の測定を実施しています。今回は、これらに加えて超音波法を用いた測定を実施するため、井浦氏にご協力いただきました。
井浦氏は、熊本における心臓エコーの第一人者であり、超音波を用いて生活習慣を客観的に把握する研究を進めています。本研究の手法により、外見から観察できない体内の脂肪状態や筋肉の構造変化を確認することができるため、体型からは明らかにならない「食事の摂取量は適切か」、「運動不足になっていないか」等の生活習慣の状態を的確に知ることができます。
受講した学生は、得られた結果を基に自身の生活習慣について考察し改善案を検討することで、栄養評価に有用なデータであることを学習しました。




2020年4月13日~15日、国立京都国際会館において、京都コングレス・ユースフォーラム(以下、ユースフォーラム)が開催されます。それに伴い、参加予定の学生に日本の刑事司法制度に関する理解を深め、ユースフォーラムにおける活発な議論につなげるため、事前準備の一環として、京都所在の法務省関係機関における業務説明会が行われました。

犯罪学研究センターでは京都コングレス・ユースフォーラムへの道のりと題して、参加学生の皆さんの活動の様子をシリーズで紹介しています。今回は、海津更さん(龍谷大学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)の京都刑務所 参観レポートを紹介します。


海津更さん(龍谷大学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)

海津更さん(龍谷大学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)


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京都刑務所を参観して


京都市山科区に位置する京都刑務所は、大通りから一本入った住宅街にある。住宅街の真ん中にあることから、施設として周辺住民のために何ができるかということを常に考えているという。例えば、防災訓練を地域住民と合同で行ったり、災害時の炊き出しに職員が参加したりしている。

京都刑務所にはB指標(犯罪傾向が進んでいる者)とF指標(日本人と異なる処遇を必要とする外国人)の収容者が収容されており、収容者の平均年齢は50歳代後半・最高年齢は87歳である(令和元年11月22日現在)。平成18年に最高収容者数1899人(収容率123%)を記録し、令和元年度11月22日現在で1004人を記録している。
外国人収容者の犯罪種別の割合は1位窃盗、2位強盗、3位覚せい剤となっていて、日本人収容者も含めた全体の割合を見てみると暴行が20%弱を記録している。これは他の刑務所に比べると珍しい値である。

平成24年7月に「再犯防止に向けた総合対策」が決定され、平成26年12月に「犯罪に戻らない・戻さない」というスローガンが制定されたことで、刑務所としても再犯防止に取り組む体制をスタートさせたという。その後、さまざまな再犯防止に関する法整備などが行われ、現在も再犯防止に関する計画が進められている。

刑務所の中には境界知能と呼ばれる、IQが70後半~90代という障害でもないが一般の知能を持つ人よりは劣るという人が一定数確認できる。そこで境界知能への対応として「ステップアップ工場」という制度を用いている。通常の作業工場は大人数で作業を進めるが、10人以下の少人数制の工場で作業をさせることで、知能や人格に問題があり協調性が望めないような収容者に対応しているのだ。
実際に所内を見学した感想と考察についてだが、やはり事前に得た知識のとおり高齢収容者が多い印象を受けた。特に京都刑務所は累犯者を多く収容しているので、高齢者の比率が高くなっている。そうした現状に「老々介護のようなことは発生していないのか」と尋ねると、「無い」ということだった。しかしながら、入浴の際に手助けをしたり病室での着替えを手伝ったりすることを収容者同士で行っていたり刑務官が行っている現状はあるという。

また、作業工場での作業風景を見学したが、立っているのもやっとと見受けられる高齢収容者までもが作業に従事していた。現在の刑務所では高齢者の認知症が大きな問題となっているが、単純作業だけではかえって症状が進行してしまうのではないだろうか。たしかに手先を使ってはいるが、言われたままに行う作業では頭を使うことがないだろう。作業効率の向上を自分たちで考えさせたりしてみると良い頭の運動になるのではないだろうか。

私は事前に知識を得てから参観したが、実際に目にした現場で受けた衝撃は大きかった。高齢収容者が多いことは知っていたが、こんなにも多く、また、若年の収容者が全くもっていないことは実際に見てみないと知り得なかったことであり、とても勉強になった。来年の「京都コングレス・ユースフォーラム」に向けて様々な日本の刑事司法の現実を知り、海外の学生に説明できるようにしたい。

海津更


2019年11月27日(水)、28日(木)に、マイドーム大阪で開催されたビジネスチャンス発掘フェア2019内「大阪府知的財産マッチング」事業に出展しました。

この出展は、大学や研究機関等の知的財産及びその関連技術を中小企業に紹介し、マッチングを図ることで、中小企業の新規事業や新商品の創出につなげることを目的としています。

本学からは、理工学部 電子情報学科 山本伸一教授のシーズである、「アップコンバージョン蛍光体」に関する特許紹介を行いました。

主に、照明装置、器具のメーカーに関心をもっていただき、活発な意見交換がなされました。
また、ブースには本学卒業生の企業さんにも多数来場していただき、本学の活動をアピールできる機会となりました。


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