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吉川 悟 本学 文学部臨床心理学科教授、犯罪学研究センター「対話的コミュニケーション」ユニット長

吉川 悟 本学 文学部臨床心理学科教授、犯罪学研究センター「対話的コミュニケーション」ユニット長


吉川 悟(よしかわ さとる)
本学 文学部臨床心理学科教授、犯罪学研究センター「対話的コミュニケーション」ユニット長
<プロフィール>
教員としてだけでなく、臨床心理士、医療心理士として日々多数のケースに奔走。家族療法を発展させた心理療法である「システムズアプローチ」の有用性を提言している。
 

犯罪について、個人ではなく相互作用の状況から考える
罪をおかした人たちの回復支援、社会復帰の初期過程において、どのようなコミュニケーションが有効性を高めるのか。臨床心理で実践している「対話的コミュニケーション」を用いた援助関係の構築について研究しています。
まずベースとなるのが「システムズアプローチ」です。これは、家族療法から発展させた対人援助の方法論で、当事者間に起きている出来事を把握したうえで相互作用に直接介入し、関係性に変化を起こす手法です。当事者を含む周囲の関係性を重視する点において、個人心理学の上に成立してきた従来の臨床心理の方法論とはまったく異なります。そもそも個人心理学には「人間には固定の特性があり、同じ条件下では全ての人が同じ行動を取る」と前提があるのですが、私はこれを否定しています。人間は周囲との関係性や状況によって判断材料や判断基準が変わるがゆえに、さまざまな行動パターンが成立すると考えます。逸脱行動の抑制は、当事者個人が抑制するだけではなく、周囲との関係の中で行動抑制が生じるのです。これまでの更生・保護支援では「誰が原因で、なぜ問題が起きたか」が焦点でしたが、システムズアプローチでは「人々による相互作用の中、どのような状況で何が起きているか」に目を向けます。


社会的な孤立を防ぐ社会的ネットワークの必要性
システムズアプローチが目指す先は当事者の行動変容、つまり社会的な適応行動を取るように変わることには違いはありません。そこで有用となるのが、対話的コミュニケーション。経験や感情など情報を交わすだけの会話ではなく、情報伝達を経て人との関わりを持つための対話です。たとえば、問いかける際に「何というお名前ですか」と言うよりも、「何と呼ばれるのがお好きですか」と言う方が相手も考えてから答えることになりますよね。当事者が自己と深く向き合えるようさまざまな観点からの物事の見方を提示し、対話による相互状態を築くことで、その人の中にある前提を変えていく。それが対話的コミュニケーションです。
システムズアプローチから見る「更生」とは、対象者が社会的ネットワークへ再参与すること。したがって、いかに周囲との繋がりを持つかという視点が大切です。私は、社会的・心理的に孤立している人ほど、逸脱行動のリスクが高まると見ています。矯正・保護の視点で考えると、社会的ネットワークを構築する仕組みと、対話の促進が大きな課題ではないでしょうか。



現場の取り組みを調査研究していく
システムズアプローチ、対話的コミュニケーションを広め、実績を提示していくことで、実務レベルで矯正・保護の対応が変わる可能性があると考えています。私は、これまで保護司や裁判官、家庭裁判所の調査官に向けた研修を通じて、臨床技能の普及に務めてきました。今後はさらに多くの保護司の方々と接点を持ち、システムズアプローチを実践していただいたうえで、結果をリサーチして行く予定です。従来の心理療法との差異を検証し、具体的なデータで効果を示したい。実際の現場で受け入れてもらうためにどう仕掛けるか、現在模索中です。本学にも矯正・保護総合センターや、ぎんなん会*1がありますよね。連携できる機会があれば嬉しいです。
また、2019年3月23日には熊本大学の矢原隆行先生をお招きして「北欧の刑務所におけるリフレクティング*2の展開と合意」のトークセッションを開催します。リフレクティングとは、当事者を援助する人々がチームを作り、さまざまな観点からのアプローチで当事者に行動の選択肢を与える手法。家族療法のひとつであり、対話的コミュニケーションの研究を進めるにあたって中心的な課題になっていくと考えています。リフレクティングの実践についての第一人者である矢原先生から、北欧の刑務所での取り組みの紹介と展望についてうかがいたいと考えています。

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【補注】
*1 龍谷大学校友会 ぎんなん会
本学卒業生のうち、刑務所・少年院・少年鑑別所などで働く矯正職員(刑務官・法務教官)で構成するOB会。会員の親睦と職務能力向上のための研究と研修を主な目的としている。
https://www.ryukoku-koyukai.jp/branch/detail/39

*2 リフレクティング・プロセス:
ノルウェーの精神科医トム・アンデルセンによって提唱された家族療法の手法。近年、オープンダイアローグの中核的方法としても注目を集めている。


2月15日(金)に瀬田キャンパス6号館第1グループワーク実習室にて、第20回専門セミナー「各市町家庭児童相談室・県子ども家庭相談センター共同研修~語りから未来を紡ぐ~」を開催しました。
本セミナーは、滋賀県の市町家庭児童相談員および児童相談所職員がこれまでの自分の経緯を振り返り、支援する立場の方が健康に、前向きに職務に従事できるよう、支援者を支えていくことを目的に開催しています。今年度は昨年度に引き続き2年目の取り組みで、参加者間でのコミュニケーションを図っていただくことができました。
参加者からは、「日常の業務を離れ、又仕事内容は同じでもそれぞれの持つ個性と発想の豊かさに気付かされました。」、「グループワークを通して人との関係、信頼について考えることが出来た。」など、参加して良かったというご意見をたくさんいただきました。




【本件のポイント】
・大規模自然災害を想定し、地域の人々と一緒に「防災・減災」について学べるブースを出展
・龍谷大学生が中心となり、自らが東日本大震災復興支援活動、熊本地震、平成30年7月豪雨災害等の支援活動にて体験したこと、学んだこと、感じたことを地域の人と一緒に考え学び合う

【本件の概要】
 近年、大規模自然災害が各地で発生し、昨年は大阪北部地震、平成30年7月豪雨災害が発生し大きな被害を及ぼすとともに、多くの人々を苦しめました。また、今後30年以内に南海トラフ地震が発生するとの想定もあります。
 このような状況の中では、災害時に必要なのは地域住民同士の繋がりです。そこで、龍谷大学では、龍谷大学生と地域住民、また地域住民同士であっても普段から繋がりがない人たちを繋ぐ機会を提供したいと考え、龍谷大学生が瀬田キャンパスに隣接する滋賀県営都市公園 びわこ文化公園にて開催される「防災・減災そなえパークの日2019」に参画します。この活動は今年で5年目となります。
 今年は、東日本大震災復興支援活動や熊本地震、平成30年7月豪雨災害の支援活動に参加した学生が中心となり、地域の人々と「防災・減災」について一緒に考えを学び、そして交流することを目的としてブースを出展します。ブースでの実施内容は、防災グッズ製作や体験を行う「びぶんちゃん※とつくって学ぼうと、子どもを対象に防災や減災に関するクイズや体験をしてもらう「チャレンジ!防災ミッション」です。
 参加する学生はボランティア・NPO活動センターの学生スタッフだけでなく、防災やまちづくり等に興味のある学生です。」※びわこ文化公園のマスコットキャラクター

1.日時  2019年3月10日(日)10:00~15:00

2.場所  滋賀県営都市公園 びわこ文化公園(滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1)

3.イベント名  防災・減災そなえパークの日2019
(主催:滋賀県営都市公園びわこ文化公園指定管理者 近江鉄道ゆうグループ)

4.実施内容 
●「びぶんちゃんとつくって学ぼう(防災グッズ製作体験コーナー)」
 ・新聞紙などの身近にあるものを使って防災グッズを作る体験を行います。
 ・既製の防災グッズを触ったり使ったりして、いざという時に困らないように使い方を説明します。
 ・防災(非常)食の試食も行う予定です。
●チャレンジ!防災ミッション(子どもを対象にクイズや体験をしていただきます)
 ・防災・減災に関するクイズ
 ・〇〇〇体験のミッションを出して、子どもたちに防災や減災について楽しく学んでいただきます。

問い合わせ先 :
 ボランティア・NPO活動センター 担当:上手・國實(くにざね)  Tel 077-544-7252


公開シンポジウム
「死刑、いま命にどう向き合うか ~京都コングレス2020に向けて~」


日 時:2019年3月2日(土)10:10~17:30
場 所:龍谷大学 響都ホール校友会館(>>アクセス方法)
(京都府京都市南区東九条西山王町31 アバンティ9階)
主 催:日本弁護士連合会、京都弁護士会 【>>主催者HP】
共 催:近畿弁護士会連合会、龍谷大学 犯罪学研究センター、大阪弁護士会、兵庫県弁護士会、奈良弁護士会、滋賀弁護士会

○参加無料・事前申込不要。どなたでも参加いただけます(先着順・定員330名)
※手話通訳が必要な方は事前に主催者宛に連絡ください。

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企画趣旨:
 龍谷大学 犯罪学研究センターは、犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」の構築を目指して、人間科学・社会科学・自然科学の観点から多様な研究活動を展開しています。
 2020年4月、京都で国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が開催されます。刑事司法に関わる国際機関、各国代表、研究者、NGO等が京都に集結し、世界中の刑事司法関係者の視線が日本の刑事司法制度に注がれることとなります。果たして、世界の中で日本の刑事司法・刑罰制度はどのような位置づけなのか。さまざまな方々の講演やパネルディスカッションを通じて、日本の刑事司法・刑罰制度のあり方について検討したいと思います。
 このたび、日本弁護士連合会、京都弁護士会の企画に賛同し、下記の通り公開シンポジウムを共催いたします。ぜひふるってご参加ください。

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【プログラム(予定)】
午前の部 (10時10分~) 映画上映
 「三度目の殺人」(監督:是枝裕和 主演:福山雅治)

12時20分~13時20分 休憩

午後の部(13時20分~) 講演・パネルディスカッション
 ●基調報告「京都コングレス2020 ~日弁連がめざすもの~ 」
 ●ゲストスピーチ (国会議員)
 ●ゲストスピーチ「カトリックから見た死刑」
   前田万葉氏(ローマカトリック教会枢機卿)
 ●ゲストスピーチ
   アリスター・カーマイケル氏(英国国会議員)
 ●対談 「対テロ戦争における命」     
   ゲスト 安田純平氏(ジャーナリスト)
   聞き手 堀川惠子氏(ジャーナリスト)
 ●講演「国家が人を殺すとき、 死刑を廃止する理由」 
   ヘルムート・オルトナー氏(ドイツ人ジャーナリスト・編集者・著述家)
 ●パネルディスカッション「死刑、いま命にどう向き合うか」
   パネリスト
   - 浜井浩一(本学法学部教授・犯罪学研究センター 国際部門長)
   - 安田純平氏(ジャーナリスト)
   - 堀川惠子氏(ジャーナリスト)

※内容・登壇者は、変更する場合があります。
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【関連イベント】
>> 2019/3/1(金)18:00-20:00 「ヘルムート・オルトナー氏講演会」
会場:深草キャンパス 至心館1階フリースペース
○参加無料・事前申込不要

>> 2019/3/3(日)13:00-15:30 「安田純平氏 公開講演会」
会場:深草キャンパス 紫光館4階法廷教室
○参加無料・事前申込が必要(先着順・定員100名)
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アジア犯罪学会(Asian Criminological Society, ACS)*1は、アジアの犯罪と刑事司法に関心を持つ研究者と実務家の集まりです。
現在、犯罪学研究センター 客員研究員の宮澤節生氏が同学会の会長を、犯罪学研究センター長の石塚伸一教授(本学法学部)が同学会の理事をつとめています。

このたび「アジア犯罪学会 第11回年次大会」が2019年6月23日〜6月26日に、フィリピン・セブ島において開催されることが決定しましたので、お知らせします。
スピーカーやプログラム、エントリー方法などの詳細については公式サイトを参照ください。

Asian Criminological Society
"Contextualizing Challenges In Criminology And Criminal Justice In Asia"
11th Annual Conference
http://www.11thacsannualconference.com


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【ACS 11th Annual Conference エントリー参考資料】

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また2020年10月2日~10月5日、龍谷大学において「アジア犯罪学会 第12回年次大会」を開催します。
犯罪学研究センターでは、2020年のアジア犯罪学会の成功に向けて、より一層の研究活動の発展と、国内外に向けたアピールや社会への貢献に取り組んでまいります。

【>>関連記事】
2020年10月に龍谷大学にて「アジア犯罪学会第12回年次大会」の開催が決定

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*1「アジア犯罪学会(Asian Criminological Society, ACS)」
マカオ大学のジアンホン・リュウ (Liu, Jianhong) 教授のイニシアティブによって 2009 年に結成。設立目的は、①アジア全域における犯罪学と刑事司法の研究を推進すること。②犯罪学と刑事司法の諸分野において、研究者と実務家の協力を拡大すること。③出版と会合によって、アジアと世界の犯罪学者と刑事司法実務家のコミュニケーションを奨励すること。④学術機関と刑事司法機関において、犯罪学と刑事司法に関する訓練と研究を促進することです。
http://acs002.com/


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