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 龍谷ミュージアムでは、シリーズ展6「仏教の思想と文化-インドから日本へ-」/特集展示「仏像ひな型の世界」を開催しております。

 本展では、インドで誕生した仏教が各地の文化や風習と融合しながらアジアから日本へ伝わっていく流れを貴重な文化財や映像等で紹介しています。
 
 特集展示では、仏師たちが仏像などの彫刻をつくる際に使用した「雛型」と呼ばれる模型や資料を展観します。15代にわたり系譜を連ねた京都仏師の畑治良右衛門が伝えてきた雛型を是非ご覧ください。

 また、会期中には、本願寺の書院(国宝)や伝道院(重要文化財)を、学芸員の解説を交えながら拝観するツアー、スペシャルトーク、ギャラリートークなどの関連イベントも開催します。

 皆様のご来館を心よりお待ちしております。

会期
 2020年1月9日(木)~ 2月9日(日)
 2020年2月22日(土)~ 3月22日(日)
 ※ 休館日:月曜日(ただし、1月13日、2/24は開館)

開館時間
 10:00 ~ 17:00
 ※最終入館受付は16:30まで

本展特集展示の概要
 仏像などの彫刻をつくる際、仏師たちは「雛型」と呼ばれる模型を使用しました。大きな仏像をどのようにして効率的に彫るかを考えるため、または注文主である施主や発願者にみせる完成予想図としての役割などを果たしたのでしょう。

 江戸時代には全国各地で膨大な数の仏像がつくられました。そうした江戸時代の造仏界をリードしたのが、七条仏師をはじめとする京都仏師です。今回の特集展示では、『大仏師系図』にもその名が記され、江戸時代から平成まで15代にわたって系譜を連ねた京都仏師・畑治良右衛門が伝えてきた雛型の数々を展観します。手のひらサイズの小さな雛型を通して、江戸時代の仏師の幅広い活躍を、手に取るように感じていただければ幸いです。

関連サイト
 ・特集展示:仏像ひな型の世界・特設サイト
 ・龍谷ミュージアム公式twitter
 ・開館スケジュール
 ・アクセス




特集展示


特集展示


シリーズ展(アジアの仏教)


シリーズ展(日本の仏教)


フォトスポット


2020年4月20日~27日、国立京都国際会館で「京都コングレス(第14回国際犯罪防止刑事司法会議)」が開催されます。来春の京都コングレスに関連して実施される「京都コングレス・ユースフォーラム」への龍谷大学チームの参加に向けて、犯罪学研究センターHPでは京都コングレス・ユースフォーラムへの道のりと題して、参加学生の皆さんの活動の様子をシリーズで紹介していきます。



2019年12月7日、法務省主催・ヤフー株式会社共催によるイベント「法務省政策提案アイデアソン ~私と地域と立ち直りをテーマに~」が行われました。
2017年には、5万人を超える少年が警察に検挙され、2,000人以上が少年院に新たに収容されています。非行の背景はさまざまですが、家庭、学校、職場への不適応や被虐待経験など少年を取り巻く環境には多種多様な課題があります。今回のイベントでは犯罪・非行という社会課題について、「非行を身近な問題として捉えるには?」「立ち直りに自分たちは何ができる?」などといった観点から学生と社会人が一緒になってアイデアソン*1を実施。当日は、ヤフー本社のオープンコラボレーションスペース「LODGE」を会場に、学生をはじめ法務省職員やヤフー社員、一般企業社員など、約130人もの多様な職業や世代が参加し、白熱した議論を展開しました。
今回のワークショップに参加した4名の学生によるレポートを紹介します。

【法務省政策提案アイデアソン(東京・Yahoo! LODGE)に参加して】


海津更(本学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)

海津更(本学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)


山口未来(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)

山口未来(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)


森本夏樹(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)

森本夏樹(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)


永井涼介(本学法学部法律学科2回生・英語コミュニケーションコース)

永井涼介(本学法学部法律学科2回生・英語コミュニケーションコース)

【海津更】
今回の「法務省政策提案アイデアソン」は、矯正関係の職に就いている社会人や矯正関係の職に興味を持つ学生の参加が多くみられ、様々な視点からの考えが聞くことができたので、私自身の成長にもつながった。もっと大々的な取り組みとして、例えば、矯正処遇に今まで触れる機会がなかった人も参加できるような形で行っても良いのではないか。なぜなら、外部の視点を取り入れることで新たな発見ができるのではと考えたからだ。
最初のトークセッションでは、飯田大輔氏(社会福祉法人福士楽団 理事長/㈱恋する豚研究所 代表取締役)・甲田真理氏(SUN RHYTHM,INC 代表取締役)・安部敏樹氏(一般社団法人リディラバ代表理事/㈱Ridilover代表取締役)が登壇し、少年院や刑務所の被収容者、非行少年に対する世間の目や、3名の取り組みについて紹介があった。中でも印象深かったのは甲田氏の言葉だ。甲田氏は、少年院でのダンスレッスンの際に入院者に対して「少年院に入ってよかったね」といつも話されているそうだ。一般の人は、「少年院」と聞くと多くの人が大なり小なり忌避してしまいがちだ。少年院というワードはそれだけマイナスイメージが強く、少年自身にもそのイメージが重くのしかかってくる。このことは少年の自尊心を傷つけ、社会復帰に向けて努力するにあたって大きな壁となり、仮に社会復帰が叶ったとしてもその状態を維持し続けることを困難にする。そして、社会復帰が困難になってしまうと再犯の可能性が上がると考えられている。だからこそ、忌避すべき対象だというイメージが少しでもなくなれば社会復帰の壁が低くなり、再犯の予防にもつながると私は考える。私は将来、少年院へのマイナスイメージを払拭し、少年の社会復帰がスムーズにいくような社会を作りたい。
また、安部氏が使っていた「社会の無関心」というワードも印象深い。安部氏が代表理事を務める一般社団法人リディラバの活動に、修学旅行で社会問題の現場訪問(刑務所・少年院の参観)を組み込むというものがあり、とても感銘を受けた。そこで、アイデアソンではリディラバの活動と、私が以前少年院を参観した際に目にした少年院と近所の幼稚園との交流とを組み合わせたアイデアを提案した。簡潔に言うと『固定観念の植え付けられていない低年齢層に働きかけることで、社会のマイナスイメージを将来的に打破すること』。ありきたりかもしれないが、全国的な規模で行われている試みはまだない。
アイデアソンでは多様なアイデアを聞くことができた上に、自分が当初考えていたアイデアに他のアイデアを組み込んだりチームでブラッシュアップしたりすることができたので、とても有意義な時間を過ごすことができた。そして、私の参加チームは最終発表を行う3チームのうちの1つに選ばれ、発表する機会を得られました。とても光栄なことです。
今回のワークショップを通して学生という身分がとても恵まれていることを感じ、同時に少し悔しい思いもした。学生は矯正保護の現場を知ることはできないからだ。現場を知らないからこそ出せるアイデアもあるが、逆もしかり、現場を知っているからこそ出せるアイデアもある。それぞれのアイデアをすり合わせていく作業はとても刺激的でためになった。おそらく今回のワークショップに参加されなかった方もアイデアを持っているはずだ。ぜひそうした方々ともアイデアも共有したいと思う。


海津更(本学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)

海津更(本学法学部法律学科2回生・浜井ゼミ)


【山口未来】
私は、アイデアソンの中で「刑務所のまち」を提案した。現在、社会では元受刑者に対して偏見を持って接していると感じる。そこで、元受刑者への偏見をなくすこと、受刑者が出所後に孤立しないコミュニティづくりの2つを目的とした。具体的には、街の中に受刑者の収容施設をつくり、夜間はそこに収容し、日中は刑務作業を街中の公共施設や商店などで行う。それによって、街の人とコミュニケーションをとり、つながりをつくる。刑務作業を街中で行うことによって、地域の人々が受刑者の立ち直り、更生を実際に見ることができ、社会にある受刑者への偏見をなくす契機になるのではないかと考える。
グループディスカッションの際には、大きく2つの問題が出てきた。ひとつは全受刑者を対象とするべきかどうかである。一見模範囚であるように見えても、仮釈放の後ですぐに罪を犯して、また刑務所に戻ってくる者もたくさんいる。もうひとつは出所後の就職先が建築関係やサービス業に限られるということである。解決方法としては、「刑務所のまち」の規模を縮小し、個人の面談を重ね、仮釈放もしくは満期をむかえる直前に対象者を絞り、インターンシップのかたちで社会に出ていく方法が有効と考えられる。インターンシップ先として、IT企業など知識労働の企業も提供することで、自分に合った職場を探し、就職先に決定すれば釈放、というスキームにする。これによって、出所後に自分に合った職業に就くことができ、長続きすると考えられる。
今回、このワークショップに参加することで、自分では得られない視点から自分のアイデアを見ることができ、新しい視点や観点を持つことができた。知見を得ることも大切だと思うが、同じことをさまざまな視点、観点から見ることで、また見え方が変わるのだと改めて実感した。


山口未来(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)

山口未来(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)


【森本夏樹】
私の見解では、「犯罪」は人生に対する単なる「つまづき」であり、どんな人でも環境が変われば犯してしまうものであり、特別的なものではない。しかし、多くの市民は「犯罪はアブノーマルな人間が行うもの」と考え、「犯罪や受刑者」は特別的なものとして見ている。このことが「受刑者」を「社会」から遠ざける壁を作り出し、この「社会と受刑者の壁」が、再犯防止や社会復帰を妨げていると考えている。
また受刑者側も前述の「社会と受刑者の壁」の影響により、「自分たちは社会や市民から虐げられている存在である」と言うアイデンティティを持ち、自分達に偏見を持つ「社会」に憎しみを抱き更に「社会と受刑者の壁」を厚くする悪循環に陥っているように思える。
そのため、受刑者の再犯防止や社会復帰にはこの「社会と受刑者との壁」を薄くする必要があり、その方法として
①元受刑者と「一般市民」の間に違いは殆どなく、環境の違いだけが異なる点であることを学校で教育すること。
②元受刑者が犯罪を行ってしまう原因を明確に解明し、非犯罪者に親近感を持ってもらうこと(同じような存在であることを強調)。
③元受刑者が敵対するべき存在は「社会」でも「一般市民」でもなくこの「現状」そのものであると考えてもらうために(逆もまた然り)、「一般市民」と「受刑者」がお互いを仲間であると認識を持つよう共通の敵を設定し互いが協力するように促すこと。
の3つをアイデアソンの中で提案した。

しかし、私の案はあまり賛同を得られず、方針に理解を示してくれたのは一部の方だけだった。理由は明白だ。他の案は具体的な政策提案であったのに関わらず、私の案は抽象的で、枠組のみしか伝えられなかったからだ。

私は今まで確かな解決案を持っていれば、なんとかなると高を括っていたが、今回のワークショップを経て、自分には「内容を要約する能力」と「相手に伝える能力」が足りていないことに気づかされた。しかし、私がワークショップで知ることが出来たのは自分の弱みだけでない。自分の強みも知ることが出来た。手間を惜しまず、徹底的に掘り下げて考察する力と最後まで諦めない根気と根性と図太さだ。諦めない限り可能性は無限に広がっていると自負している。
このワークショップの悔しさを力に変え、自分の弱みを改善しながら、京都コングレス・ユースフォーラムの発表準備に全身全霊で取り組みたい。


森本夏樹(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)

森本夏樹(本学法学部法律学科2回生・石塚ゼミ)


【永井涼介】
複数のチームに分かれて行われたアイデアソンでは、はじめに自分のアイデアを書き記した後、チームで意見交換を行った。私の意見は、「地域コミュニティとのつながり」だ。その理由は、出所後に必要な福祉サービスが受けられずに孤立した結果、犯罪を繰り返して再入所するような高齢累犯者がいるように、“社会に居場所がない”ことが挙げられる。具体的には、刑務所内での刑務作業のみならず、文化祭のように施設を一般開放したり、刑務所内の運動の時間の代わりに地域の部活動生と一緒に活動したりする等の案を挙げた。また、「刑務作業の労働化」というのもポイントとして強調した。刑務作業は刑法に規定された懲役刑の一つ。刑務作業は労働ではないため賃金ではなく「作業報奨金」が与えられるが、極めて低額だ(平成29年度の1人1月当たりの平均計算額は約4,340円)。そのため、実際に所持金がほとんどなく窃盗(万引き)を行う累犯者など、食事と住居を得るために自由を捨て軽微な犯罪で意図的に捕まるという例を見たからだ。以上、社会復帰という観点から「地域コミュニティとのつながり」「刑務作業の労働化」を挙げた。
その後、全体アイデア発表や意見交換を行う中で、経営者の方や官僚の方々の意見を直にうかがい、自分では思いもつかなかった物事の視点に触れることができ、思考の幅が広がった。特に資金の集め方について、経営者の方がクラウドファティングを用いた時の予想値をその場で計算されていたのが印象に残り、経験値の差を感じた。
また、自分の考えを大勢の前で積極的に主張できたことが得難い経験で、何よりも臆せずに発表できたことが自信にも繋がった。
ただ、審査の際はパネラーの方に「みなさんまだまだ現場のリアルを知らないんだな」とやや辛口なコメントを貰い、京都コングレス・ユースフォーラムに向けて多少の勉強をしているとはいえ、まだまだだと感じた。また、ソーシャルファームの存在や受刑者の社会復帰に関する支援の現状を事前にもっと勉強しておけば、自分の意見をもっとうまくまとめられたのでは、と勉強不足を痛感した。
さいごの懇親会では、他府県他校他職業の方々と交流でき、非常に新鮮であるとともに学びの輪を広げられたのが良かった。


永井涼介(本学法学部法律学科2回生・英語コミュニケーションコース)

永井涼介(本学法学部法律学科2回生・英語コミュニケーションコース)


集合写真

集合写真


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【補注】
*1 アイデアソン(英:ideathon)
同じテーマについて皆で集中的にアイデアを出し合うことにより、新たな発想を創出しようとする取り組みのこと、および、そうした取り組みを主とするイベントのこと。アイデアとマラソンを組み合わせた造語。


八幡市立図書館の元館長、現在児童図書館研究会京都支部代表 出口宏子先生

 文学部開講科目「図書館サービス概論」では、図書館サービスの考え方と構造、すなわち、資料・情報の提供、他機関との連携・協力、課題解決支援、障碍者・高齢者・多文化、著作権等の基本的な図書館サービスの理論と実践について学んでいます。この科目は、図書館司書を目指して資格を取得できる図書館司書課程の必修科目です。

 2020年1月6日(月)には、総括として、八幡市立図書館の元館長、現在児童図書館研究会京都支部代表である出口宏子先生をお招きし、「図書館司書としてあるべき姿 ~民主主義と図書館~」と題し、特別講義を実施いたしました。

 図書館司書は自館の蔵書を知り、利用者を知り、利用者の本当の求めを見極め、利用者と対峙します。出口先生はさまざまな境遇の図書館利用者に寄り添いつつ、図書館長としてのご経験を含め約30年間公共図書館の現場で働いて来られました。図書館司書としてどうあるべきか、さまざまな具体例を交えお話しいただきました。

 参加した学生は、将来図書館司書として利用者の本当のニーズに応えるため、学生の間から準備できる心構えなどを質問していました。実際の公共図書館でのご経験を拝聴できたことで、教室での学びの振り返りとして大変良い勉強になったようでした。



犯罪学研究センター(CrimRC)の研究活動に携わる研究者について、気軽に知っていただくコーナー「犯罪学CaféTalk」。研究の世界に馴染みのない方も、これから研究者を目指す学生の皆さんにも、是非読んでほしい内容です。
今回は、伊東 秀章講師(本学文学部/犯罪学研究センター対話的コミュニケーション」ユニット研究員)に尋ねました。
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Q1.伊東先生が研究されていることは何ですか?


「僕が研究していることは、カウンセリングをどういう風にすればうまくいくのかといった手法や方法についてです。特に、コンサルテーション*1と言うのですが、臨床心理の専門家や心理士が、教師や医師とどのように会話すれば良いかということを研究しています」

「僕自身いくつか現場を経験してきた中で、スクールカウンセラーとして赴任した学校の先生方とお話の進め方について考えたことがこの研究を始めたきっかけです。学校の先生方との会話を通して、起きている問題について納得し解決する道筋を作りたいものの、下手をしたら対話というよりも、心理士が指導してしまうことになるので、すごく難しいんです。はたしてコンサルテーションにおいて、関係者が本当に協働することができるのか。スクールカウンセラーの経験からこの分野に興味を持ち、今の研究へと続いています」
*1 コンサルテーション:
異なる専門性をもつ複数の者が、援助対象である問題状況について検討し、よりよい援助の在り方について話し合うプロセスのこと。


Q2.コンサルテーションの研究では、どのように調査を行いますか?
「カメラを3台ぐらい使って、セラピスト(援助者)とコンサルテーションを受けるコンサルティ(援助対象者)が行う『模擬面接』を撮影しています。これはロールプレイング*2という方法の応用で、模擬的な実験です。撮影では、非言語的な目線とか表情とか、相槌のタイミング、身体の向きもすべて記録しています。最近の実験では、ロール(役)が入っている状態で、面接の前にセラピストに『どういう面接をしようと思っていますか』と聞いたり、コンサルティに『どのようなことを相談したいですか』と聞いたり、インタビューを行います。そして面接が終わって動画を見返しながら、再度インタビューをする、ということをしてます」

*2 ロールプレイング(roleplaying)
「役割演技」とも訳される、ドラマ的な手法。与えられた役割を演じることによって、物事への視点の客観性を高め、課題などを新しい視点から検討する手法。ここでは、セラピストやコンサルティがどのような行動を撮っているのか、心情であるのかを検討している。

Q3.どんな時に研究活動にやりがいを感じますか?
「自分が思ってもいなかった結果が出ると嬉しいですね。データを収集することは結構楽しいのですが、より深く分析していく作業がちょっと大変です。しかし、その結果としてこれまで思いもしなかったようなことが明らかになった時が楽しいです」

「また私自身、研究を通してコミュニケーションの仕方が変わったと実感しました。前に自分が行ったインタビューの文字起こしをしてみた時に『ここを聞きたかった!』とか『もっとここを聞いたら面白かったのにな』とか、後から見直すと気付くことがありました。自分はコミュニケーションが下手なんだなって(笑)それからは、自分のインタビューを見直すことで、常に考えながらコミュニケーションをとることができるようになりました。たとえば、相手にどのように質問するか、相手がうなずいた時はどのように反応を返すか、といったものです。より話しやすい文脈を作れるか、質問を工夫できるかを考えながら接することで、コミュニケーションの変化を実感するようになりました」


Q4.現在の研究は、社会にどう役に立つと思いますか?

「やっぱり1番は臨床心理学が専門なので、患者さんやクライアント、悩んでいる人やその家族、またその人たちを支える関係者にとって意義があるものになればいいなと思っています。なので、僕の研究ならコンサルテーションの現場、心理士が他の専門職と仕事をする時に役に立ってほしいですね」


Q5. 先生にとって研究とは何ですか?
「研究とは『臨床』です。僕は、研究あっての臨床、臨床あっての研究という風に考えています。臨床ってつまり人と関わることなので、関わっていく上で自分のことを見直す、自分のしている実践を見直すということ自体が自分の研究につながりますし、それなしに臨床だけしていても客観性を失います。その両方があって、対人援助職として仕事ができるので、臨床と研究の両輪を大事にしたいと思っています」


中根 真教授(本学短期大学部・こども教育学科教授/犯罪学研究センター「保育と非行予防」ユニット長)

伊東 秀章(いとうひであき)
本学文学部・講師/犯罪学研究センター対話的コミュニケーション」ユニット研究員
〈プロフィール〉
本学文学部・臨床心理学科講師。専門分野は「スクールカウンセリングと連携」。心理面接やコンサルテーションの会話(コミュニケーション)の研究を行う。


犯罪学研究センター(CrimRC)の研究活動に携わる研究者について、気軽に知っていただくコーナー「犯罪学CaféTalk」。研究の世界に馴染みのない方も、これから研究者を目指す学生の皆さんにも、是非読んでほしい内容です。
今回は、佐々木 大悟准教授(本学短期大学部/犯罪学研究センター矯正宗教学」ユニット研究員)に尋ねました。
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Q1. 佐々木先生が研究されていることは何ですか?


「所属している真宗学は親鸞のことを研究していますが、その中でも僕は親鸞が1番大事にしていた経典の『無量寿経』の研究をしています。経典をどう読むか、ということなりますので、ほとんど漢字の研究のような感じになっています。経典に書かれている文字は、今の意味とは違う意味で書かれています。辞書にない意味を予想して、新たな意味を発見して読まなければいけないというのは大変です。でもそれが面白いところでもあります。3~5世紀の漢字を研究しているのですが、日本でいうと古墳時代より少し前ぐらいで、中国でいうと魏晋南北朝時代の頃ですかね」

矯正宗教学ユニット内では、教誨師*1の歴史について研究しています。教誨師が朝鮮半島に行った時*2に、どのような動きをしたのか、そして満州国を作った時に、満州国の中で教誨師*3はどのような動きをしたのか、というようなことを研究しています。日本の教誨師と朝鮮半島や満州国の教誨師では、やはり朝鮮半島や満州国の教誨師の方が大変そうです。暴動が起きる可能性がありますし、本気でやらないといけないというのがありますからね。とはいえまだ研究が発展途上なので何とも言えませんが、教誨活動についても色んな見方ができるので、体制に阿た人と見ることもできれば、とても頑張っていたと見ることもできると思います。そもそも従っている指令自体が良いものだったのかということがあって、もし下されている指令が悪ければ、一生懸命やればやるほど悪い事をしていたことになっていくので、難しいところですよね」

*1 教誨師:
監獄内における受刑者の心のケアのため講説する者のこと。日本ではおもに諸宗教の聖職者がボランティアでその任に当たっている。

*2 朝鮮半島における教誨師の活動:
朝鮮半島での教誨師の活動は三期に分かれる。朝鮮では、1800年代末からキリスト教宣教師による教誨活動があったが、第一期(韓国併合後の約10年間)では政府の司法及び監獄事務の一切を日本政府に委託することになり、以来日本と同じ教誨制度になった。第二期(1919年から満州事変)には両派本願寺が協力し、教誨師の養成が行われた。第三期前半(満州事変からアジア太平洋戦争まで)では満州事変の勃発に伴い、教誨師は国家に奉仕することが、より強く求められるようになり、後半(アジア太平洋戦争から終戦まで)では決戦体制に伴い、受刑者を保安職員の補助として使ったことから信頼を得て、釈放後の継続雇用など行刑と保護の一体化の端緒が開かれた。終戦時には、囚人・思想犯は随時釈放され、撤退時には、教誨師は逮捕された者、ソ連軍によってシベリアに送致された者、日本に帰国した者、帰国途中で亡くなる者など様々であった。

*3 満州国の中での教誨師の活動:
満州国には、日本人の教誨師と、現地満州国出身の教誨師がいた。活動内容としては、囚人と一緒に行動するなど、人格を通して収容者の改悛につとめる活動が見られた。戦争が佳境を迎えるにあたり、その任務は全体的に国家に資する活動へとつながるものが多かった。終戦時にはソ連軍駐在の際、満州人や朝鮮人が解放を叫んで蜂起し、暴動化した。日本人刑務官をことごとく逮捕し、延吉監獄教誨師の住居に押しかけ捕縛し、朝鮮人青年同盟の名のもとに、人民裁判に付して撲殺した。またソ連軍に逮捕されシベリアに送致抑留となった教誨師もいた。

Q2. 矯正宗教学ユニットでは、独自の研究会や学びを共有する場面が増えたようですが、その中で新たな発見や気づきはありますか?
「教誨師のほとんどが浄土真宗のお坊さんなのですが、浄土真宗のお坊さんは、結局は僕が研究している無量寿経を心の中心として活動しています。無量寿経のどの部分を自分たちの行動の支えにしているのかなというのが気になるようになりました」

「実は知り合いの研究者が、満州(中国東北部)のことについてずっと研究していまして、正直全然専門ではありませんが、僕も研究してみたいと考えていました。私の祖母が満州にいたということもあり、日本はどんな風に満州へ進出していったのかなど色々知りたかったんです。後は村上春樹の『ねじ巻き鳥クロニクル』という好きな小説があるんですが、それが満州で起きたノモンハン事件*4のことを取り扱っているので、詳しく知りたかったんですよ。なのでユニットに所属したこの機会に調べさせてもらおうという思いがありました」

「僕は、教誨師のことをあまり知らなかったんです。保護司という存在も知らなくて…。でも満州と朝鮮の歴史を研究する中で、教誨師に関する様々な本を読んで、教誨師は不思議な職業だなと思いました」

*4 ノモンハン事件:
1939年5月、満州国と外モンゴルで起きた国境紛争で、日本軍とソ連軍が直接衝突した事件。



Q3. ご自身も僧侶資格をお持ちだとうかがっておりますが、宗教者の視点から、罪を犯した人の立ち直りには何が必要だと感じますか?


「浄土真宗ということもあるのですが、人には罪を犯すことがあるという哲学を伝えること、あとは出所後などの支援(保護)の役割で、身近に見ている人・支える人がいるということを示すことかと思います」

Q4. 佐々木先生の学生時代について教えてください。
「小さい頃は本当に遊んでばかりで、野原を走り回っていました。実家がお寺なんですけれども、ずっと草取りばっかりさせられていました。お陰様でいつの間にかものすごい忍耐力はつきましたね。『何でこんな草取りばっかりさせられるんだろう』って疑問を持つ以前にさせられていましたから(笑)。中学高校はずっとサッカーをやっていまして、勉強もそれなりにやっていたんですけれども、サッカーの方が楽しいなと思っていました。高校に入って勉強も楽しいなと感じるようになり、龍大に入って、自分が所属している真宗学を勉強し始めました」

「自分の周りには常に良い先輩がいました。学生時代はその先輩から勉強の仕方・やり方を教わって、勉強していました。そんな中で、1人の決定的な、天才的な学者に巡り合いまして、今年亡くなられましたが、セカイの仏教学で先端を走っている人と、たまたま研究分野が重なっていたんです。その人に可愛がってもらいまして、憧れながらずっと追いかけていたら、だんだん研究が面白いなと思うようになりました」


Q5. 佐々木先生にとって研究とは何ですか?
「『知らなかったことが分かるようになること』です。研究というのは僕にとって、ブラックボックスがあって、そこに疑問を抱き、ちょっとずつ分かるようになってきて、そしてある時パッとボックスを開けるような感じになることかなと思います。パッと開けた時、わかった時が楽しく、快感ですね。ずっと昔からこの感覚が好きで続けているという感じですね」



佐々木 大悟(ささき だいご)
本学短期大学部・准教授/犯罪学研究センター「矯正宗教学」ユニット研究員
〈プロフィール〉
本学短期大学部・准教授。専門分野は「真宗学」。無量寿経の諸異訳・諸注釈書などを主な研究課題としている。


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