ブラウザからレイアウト自由自在
Layout Module
ここにメッセージを入れることができます。
【本件のポイント】 ・本学における学生への食材支援の取り組み趣旨に賛...
<開催中止>第23回法科学研究会 (犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット)
事情により今回の研究会の開催を中止いたします。 次回開催が決定しだい...
【新型コロナ現象について語る犯罪学者のフォーラム】流行病と犯罪動向――COVID-19とスペイン風邪を通じて
犯罪学は、あらゆる社会現象を研究の対象としています。今回の「新型コ...
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている学生の支援のため食材配布(大宮学舎)【文学部】【学生応援方策検討ワーキンググループ】
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている学生の支援のために立ち...
観光資源の活用と創出について、新たな視点から学ぶ【社会共生実習】
6月19日に、社会学部の科目「社会共生実習(大学は社会共生に何ができ...
第19回「CrimRC(犯罪学研究センター)研究会」をオンライン上で開催【犯罪学研究センター】
2020年5月14日、犯罪学研究センターは、第19回「CrimRC(犯罪学研究セン...
2021年6月19日(土)、犯罪学研究センターは「戦争と犯罪〜グアンタナモ収容所で何が起きたのか?そして、いまは?〜」をオンラインで開催しました。
当イベントは、本学がホスト校をつとめる「アジア犯罪学会第12回年次大会(ACS2020)」開催を記念して、6月18日(金)から6月21日(月)の4日間、当センターが企画するサイドイベント「龍谷コングレス2021 〜人に優しい犯罪学の過去・現在・未来〜」のひとつとして開催されました。2日目となる今回は、米国政府が秘密裏に設置した「グアンタナモ収容所」に罪状のないまま長期にわたり拘束された被害者であるモハメドゥ・ウルド・スラヒ氏をゲストにお迎えし、オンライン・インタビューを行いました。当日は約50名が参加。いまなお存在するグアンタナモ収容所の実態が浮き彫りになりました。
関連NEWS>>
- 【6/18〜6/21開催】龍谷コングレス2021 〜人に優しい犯罪学の過去・現在・未来〜
- 犯罪学に関する国際学会「アジア犯罪学会第12回年次大会」をオンライン初開催(2021.06.23)
はじめに、石塚伸一教授(本学・法学部、犯罪学研究センター長)より開会の挨拶が行われました。
石塚教授は「海外では、戦争における加害と被害の問題を、犯罪学の研究の対象と考えるのに対し、日本ではまだそのような視点が乏しい。2021年3月に京都で開催された国際連合刑事司法犯罪防止会議(京都コングレス)でも、戦争犯罪や国家による人権侵害の問題が正面から取り扱われることはなかった。このサイドイベントがそのような現状を変える機会になることを願う」と述べました。
石塚伸一教授(本学・法学部、犯罪学研究センター長)
次に、舟越美夏氏(ジャーナリスト、犯罪学研究センター嘱託研究員)より趣旨説明が行われました。*1舟越氏は、2001年の9・11米国同時多発テロの後に、米国が各国に秘密裏に設置したテロ容疑者収容所へ、中東やアフリカのイスラム教徒が多数連行されていること、司法手続なしの長期の拘束中に拷問されていることに触れ、「国家による犯罪の多くが隠蔽され、被害者の人権の回復や、国家からの謝罪や賠償が行われることは、ほとんどない。グアンタナモ収容所には十数人の子どもを含む780人ほどが連行され、解放された人の大半が貧困や心身の後遺症に悩まされている。本日モーリタニアから参加されるモハメドゥ・ウルド・スラヒさんもその一人だ。彼は15年以上拘束され、自国に戻った後も自由が制限されている」と述べ、モハメドゥさんへのインタビューから参加者と共有したい事実として、①正義と民主主義を標榜する国家が暴走した時、どのような形で司法や人権は踏みにじられるのか、②理不尽に拘束され孤独を強いられる状況下から解放されること、そして真実を公に訴えることがいかに難しいか、③国家の命令により不法な行為(拷問)を実行せざるを得ない立場にあった者の苦しみ、④いかなる時でも他人を思いやる心を失わない人々の存在、を挙げました。
舟越美夏氏(ジャーナリスト、犯罪学研究センター嘱託研究員)
そして、舟越氏は「米国の戦争を支援する日本に生きる私たちは、国家による犯罪を認識し、被害者を救済する努力をする必要がある。本日、体験に基づくモハメドゥさんの言葉が、分断された今の世界を再構築する小さな一歩につながればと思う」と述べました。
つづいて、ハラス・ドリス氏(犯罪学研究センター リサーチ・アシスタント)より、ゲストであるモハメドゥ・ウルド・スラヒ(Mohamedou Ould Slahi, 1970年12月21日−)氏の半生に起きた出来事を時系列に振り返りながら、①2002年から2016年までの長期間、罪状なしのままキューバにある米国のグアンタナモ収容所に拘束されることになった経緯や、②施設の中で行われた拷問*2、そして③家族や弁護士による救援活動などを紹介する報告が行われました*3。
モハメドゥ・ウルド・スラヒ氏オンライン・インタビュー
モハメドゥ・ウルド・スラヒ氏
インタビューはオンライン(zoom)を通して、逐次通訳を交え行われました。インタビュアーはドリス氏・舟越氏の順で担当し、綿井健陽氏(ジャーナリスト、映画監督)よりコメントおよび質問が行われました。当日のインタビューから一部を紹介します。
ドリス氏からは、グアンタナモ収容所に連行される経緯の確認と、施設での体験を中心にモハメドゥ氏に質問がされました。
Q. グアンタナモ収容所について
A. モハメドゥ氏「CIAの調査官が私に『これからお前をグアンタナモの収容所に移送する』と言いました。私はそれを聞いてとても嬉しかったです。なぜならそれまで耐え難い恐怖をうえつけられたヨルダンから米国の管理する刑務所に移してもらえるのだと思ったからです。私は子どもの頃、米国のドラマをよく見ていました。私は米国が法律をきちんと尊重する国であるというイメージを持っていました。私は自分の無実がはらされることを期待しました。グアンタナモに到着すると、毎日毎日尋問が行われました。それが8ヶ月程続きました。しかしながら私が全く何も自白しないので、尋問を続けていても無駄だと彼らは考える様になったのです。FBIは2003年5月に新たなチームに私を引き渡しました。そしてそこから拷問が始まりました。私は70日間眠らせてもらえませんでした。とても信じがたいと思われる方がいらっしゃるかも知れませんがこれは記録として残されています。彼らはシフト制を敷いて絶え間なく私に尋問を行いました。3回に渡って性的な虐待も受けました。詳細は話したくありません。時には低温室に放置されました。非常に寒い部屋なのです。グアンタナモにいる当時は知らなかったのですが、モハメド・グルという人物はこの低温室で死亡しました。あまりにも寒いので彼は耐えることが出来なかったのです。私はある日、尋問室でマリー軍曹と座っておりました。そしてマリー軍曹を含めた看守3人が私を殴り始めました。しかし、マリーはそこで泣き始めたのです。私は非常に強く殴られましたので、肋骨が折れました。私は拷問がどれだけ続くのか、今度はどの様なことをされるのか想像できませんでした。私はこの様なことはいつか終わると願っていました。その一方でその痛みや辛さに自分自身をならそうとしていきました。しかしながら、一つの出来事が全てを変えてしまいました。リチャード・ズーリーという中尉が私の部屋にやってきました。彼は『お前の母を逮捕する。そして男しかいない収容所に収監する、おそらくお前の母親はレイプされるだろう』と私に言いました。私が最後に母を見たのは私が警察に連れて行かれる時でした。母の姿を車のバックミラーから見ることが出来ました。その時見た母の姿は祈りを捧げる姿でした。母の姿はどんどんどんどん小さくなって行き、やがて見えなくなりました。その後、再び母と会うことは出来ませんでした。私は『おっしゃる通り何でも自白します。何でも話します』と言いました。『あなたが自白調書を書いてください。私はそれに署名します』とも言いました」
モハメドゥ氏はこのような体験をもとに、テロリズムという用語が、恣意的に利用される問題点を4つ挙げました。①誰がテロリストであって誰がテロリストでないかというこということの合意がとれないこと、②政治的に意見を異にする人たちを迫害するために利用されること、③テロリストというレッテルを貼って、証拠なしに人を逮捕することを正当化すること、④テロ行為とされるものの多くが、すでに各国の刑法で禁止されている行為であり、テロリストとしてではなく市民として適正手続のもとで責任に応じた罰を与えるべきであること、です。このことからモハメドゥ氏は「アフリカや中東の人々に対する偏見、テロリストの人権は保護するに値しないというような例外的な措置を直ちにストップしないといけない。危機に陥ると社会のつながりは非常に弱くなる。あらゆる時代のあらゆる人たちが迫害されてきた。今迫害されているのはイスラム教徒だが、その次の時代は他のグループになるかもしれない。大事なのは脆弱な立場におかれている全ての人の人権を尊重することである」とモハメドゥ氏は訴えます。
Q. グアンタナモ収容所の閉鎖に向けて
A. モハメドゥ氏「ジョー・バイデン大統領は必ずや閉鎖すると考えています*4。彼は自分の妻や息子を亡くし、非常に苦しみました。自分自身が苦しんだ人は、苦しみを持つ人に対して共感をもつものです。新たに釈放が決定された人が3人います。私はだいたいにおいて米国人は良い人であることを知っています。私はグアンタナモ収容所は米国人にとっても恥辱であると考えています。なぜならこの収容所は民主主義国家ではなく独裁政権国家に属するものだからです。日本のような国におきましては勇気を持って米国に収容所を閉鎖せよと言うべきだと思います」と参加者に訴えました。
舟越氏からはモハメドゥ氏がグアンタナモ収容所から解放された後のことを中心に質問がされました。舟越氏がはじめて取材を申し込んだ時、モハメドゥ氏はグアンタナモ収容所から解放されたばかりで、心身ともに大変なダメージが残っていました。
Q.現在の健康状態について
A. モハメドゥ氏「いまも悪夢を見ます。眠るための導眠剤も利用しています。私はグアンタナモに収容されている時に胆のうを取り除かれました。今も耐え難い痛みに悩まされています。モーリタニアの医者は手術が必要であるといいますが、モーリタニアにはそのような医療設備がありません。そこでドイツの病院が援助を申し出てくれました。しかし米国大使館の誰かがそれを邪魔しています。全ての米国人がそのような人ではないと思います。私は前向きに自分自身をケアして生きたいと思います」
このように未だに米国に監視され、移動を制限されているモハメドゥ氏は、グアンタナモ収容所から解放された後、米国人の弁護士と結婚。二人の間に息子が一人いますが、モハメドゥ氏が対面できたのは出産から1年後でした。現在はパートナーの休暇中に、母子の方からモーリタニアを訪れる状況です。
つづいて綿井健陽氏(ジャーナリスト、映画監督)から次のような質問が寄せられました。
綿井健陽氏(ジャーナリスト、映画監督)
Q. ISやアルカイダなどは中東で広く勢力を広げたが、一方でアフリカの西部マリーやニジェール、ブルキナファソといった場所で、ISによるテロが起きている。アフリカの特に若者の間で、なぜISやアルカイダに信奉・傾倒し、暴力行為を行う者が増えているのか?
A. モハメドゥ氏「私は政府が犯罪組織であってはならない。犯罪組織よりも優れた組織であるべきだと考えています。政府は権力と暴力のツールを持っています。私たち市民には法律しかありません。日本では政治的な信条を理由に逮捕されることはありませんよね?もし政府があなたの権利を全て剥奪したらどうしますか?そのようなことが多くのアフリカや中東の国で起きています。権利が制限されている地域に住む市民は、米国や日本などの助けを必要としています。しかしながら世界でも最大の力を持つ米国は市民ではなく独裁者を助けています。ISやアルカイダは間違った希望を若者に与えており、若者はそれに感化されています。法治国家でない状況において、政府のもつ権力と暴力のツールが非常に魅力的に見え、自分のものにしたいと考えてしまいます。そのような状況を変えるためにも民主主義や法の支配、社会正義が保障されることが必要です」
最後に石塚教授より閉会の挨拶が行われました。石塚教授は「今日のイベントは大変有意義なものであった。モハメドゥさんをモデルにした映画が日本では2021年10月に公開予定だ。今後もこのような戦争と犯罪をテーマにしたイベントを企画したい。今回、モハメドゥ氏には、インタビューを通してご自身の辛い体験を私たちのために語っていただいたことに、大変感謝する。コロナがおさまれば、是非モハメドゥ氏を日本にお招きする機会を設けたい」と述べ、イベントは終了しました。
当イベントでは、モハメドゥ氏と英語によるインタビューにあたって、逐次通訳を森あさみ氏に依頼しました。インタビュー中、通信の乱れによって聞き取りにくい部分も森氏には細やかに対応いただきました。この場を借りて改めて御礼を申しあげます。
経済学部では、データを活用して、社会やビジネスの課題を解決していけるような人材の育成に取り組んでおり、データ分析に関連した様々な講義や講演会を行っています。
その一環として、6月2日(水)の「現代特別講義 データ分析と問題解決」の講義では、東京本社編集局企業報道部記者の兼松雄一郎氏をお招きし、「今求められるデータ分析」と題した講演をしていただきました。
企業や個人の活動から生み出される膨大なデータは、現代社会の「新たな資源」になっており、いかに有効にデータを活用できるかが企業の今後の命運を左右すると言われています。報道機関も例外ではなく、様々なデータ分析が記事作成の上で重要な役割を果たしている様子をお話しいただきました。特に、コロナ禍に広まった、あるフェイクニュースのエピソードは、SNS時代における報道のあり方について考えさせられるものでした。
講演後の質疑応答の時間にも、複数の質問がよせられ、第一線で活躍する記者から貴重な話を聞くことができ、参加した学生たちには大きな刺激になったようでした。
今後とも、経済学部では、このような取り組みを続けてまいります。