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このたび文化系サークル活動等の拠点となる『成就館』の工事が完了し、3月11日に竣工式が行われます。深草のボランティア・NPO活動センターも現在の7号館から同館1階に移転し、新しいことに挑戦したいという龍大生の皆さんを更に応援できるよう、環境を整備しているところです。
※新型コロナウイルスの影響により、竣工式は中止となりました。(3月9日現在)

つきましては、移転にかかる作業のため、以下の通り閉室させていただく期間がありますので、ボランティア相談などはその日程を避けて来室してください。ご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご協力いただきますよう、何卒お願い申し上げます。

7号館での業務最終日:2020年3月12日(木)16:45まで
移転にかかる閉室期間:    3月13日(金)~18日(木)※終日閉室します。
成就館での業務開始日:    3月19日(金)8:45から


問い合わせ:深草キャンパス【TEL】075-645-2047

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成就館外観。この1Fにセンター事務室と学生スタッフルームが移転します。


2018年度からは現在の7号館に


2011年度~2017年度までは当時の学友会館に


2011年度までは当時の1号館にありました

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法学部生 各位

2020年3月16日(月)に実施を予定しておりました履修説明会について、
新型コロナウイルスによる感染の拡大にともない、中止とすることを決定いたしました。

なお、中止に伴い、履修説明会の資料を3月16日(月)にポータルサイトに掲載いたします。
必ず、確認していただくよう、お願いいたします。


日本人等学生及び外国人留学生のみなさまへ

次の項目に関する海外プログラム及び派遣交換留学等(私費留学を含む)への対応をポータルサイトに掲載しています。
詳細はポータルサイト掲載の「海外プログラム及び派遣交換留学等の対応について」をご確認ください。

 1 大学主催の海外プログラム及び派遣交換留学について(私費留学を含む)
 2 学生の海外渡航について
 3 今後の海外からの帰国者について
 4 外国人留学生の方へ

日々状況が変化しているため、本学の対応もそれに応じて随時更新されます。

最新情報や追加留意事項は、大学ホームページポータルサイト等で通知しますので、必ず定期的に確認いただくようお願いいたします。


犯罪学研究センター(CrimRC)の研究活動に携わる研究者について、気軽に知っていただくコーナー「犯罪学CaféTalk」。研究の世界に馴染みのない方も、これから研究者を目指す学生の皆さんにも、是非読んでほしい内容です。
今回は、井上 見淳准教授(本学社会学部・犯罪学研究センター矯正宗教学」ユニット研究員)に尋ねました。
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Q1. 井上先生が研究されていることは何ですか?
「割と専門的にはなりますが、僕は親鸞聖人の研究者です。《親鸞聖人とその後の本願寺教団がどのように推移して、発展してきたのか》ということを研究するのがメインテーマですね。それは教義的理解の変遷はもとより、教団の在り方や儀礼全般についても興味があります。だから浄土真宗に関しては結構、全般的にやっているといえばやっていますかね。
特にここの所、ずっとメインでやっているのは、江戸時代に起きた《三業惑乱》という論争事件のことですね。江戸時代に本願寺には、学林(本願寺が設けた僧侶の教育機関)というものがありました。これが後の龍谷大学ですけどね。ここの学問上の責任者《能化(のうけ)》と、地方の学僧とで、江戸時代に3回、教学論争が起きているんですよ。
1回目も、2回目も一応、能化側が優勢で終わったと言えます。しかし3回目の論争、これを《三業惑乱》といいますが、これは明確に学林の学頭である能化の理解が誤りであるとされ、地方の学僧が言う方が正しい。つまり本願寺の能化は異安心(親鸞聖人と同じ信心の理解ではない)と判定されたわけです。これすごいでしょう。
この時ね、最終的に江戸の奉行所で決着をつけることになってね。この時の学林の能化といったら、これ今でいうなら、うちでいう学長と、本願寺でいう勧学寮頭という重職があるんですけど、それを足したような人ですよ。そんな人が地方の学僧と奉行所で、論戦を展開したんです。が、地方の学僧が圧倒してます。それには理由もあったのですが。今でいう裁判長があまりに見かねて、能化に『理解が誤ってたって認めたら?』と勧めたぐらいの展開だったんです。でも、能化も譲りませんよ。彼にだって背負ってるものが、たくさんありますからね。
結局、この地方からやってきたお坊さんは裁判の途中で亡くなってます。彼は大瀛(だいえい)といいましてね。すさまじい闘病生活の中、教えを護るんだと朝鮮人参をかじりながら、この日のためにずっと頑張り続けた方でした。結局、彼の方の正当性が認められ、能化の方は理解が誤りだと認定され、今回の大騒動を引き起こした首謀者とされて、遠島の罪を受けます。でも、彼もまた満身創痍でね、最後は刑の執行を待つ伝馬町の獄中で亡くなってますね。お互い、いろんなものを背負いながら壮絶ですよ。
この論争は、現代に至るまで後世に与えた影響は甚大です。私は、なぜあれほどの論争になったのか、特に教学面に注目して、その経緯を調べているのです。」

「他に最近調べていたことですか。そうですね。あとは親鸞聖人が飢饉に陥った地域を訪れた時に、経典を千回読んで、呪術的な力で人々を救済しようとしたことがあったんですけど、思いとどまってやめたという一件があったことが伝わっています。あれを何で途中でやめたのか、これもすごく問題が深くてね、調べましたね。
飢饉の救済に対して、呪術な経典読誦によっておこなうというのは、当時の仏教では普通のことです。ただ親鸞聖人はね、呪術的な方法で、病気をしないように、できるだけ命を伸ばすように、と現実から目を背けさせ奇跡を願わせるのが、仏教の役割ではない。僧侶がやることは、いずれ必ず病気して死んでいく、この《私のいのちの現実》をどうやって受け止めていくのか、そのことをお釈迦さまの教えの中から自分できちっと確認し、人に伝えていくことが僧侶のすべきことだと考えたようですね。親鸞聖人のこの感覚は、今だと馴染みやすい感覚ですけれども、当時はこの方は『変わった人』だったのかもしれませんね(笑)。
お釈迦様の四苦*1ってありますよね。《仏教の思想》の授業で習ったでしょう?お釈迦さまが『人は年を重ね、病気して、絶対、死ぬ。この動かしがたい私のいのちの真実をどうするのか?』と問われますね。仏教はここを外すと分からない。親鸞聖人はそこから目をそらさなかったわけですね。
あと私が他にやってたのはですね。浄土真宗という教えは、《信心を得たその時に、私の往生成仏が決定する》というのが、親鸞聖人以来の教義の骨格です。でも、江戸時代にね、小児の往生が大きく問題になっています。何で問題になるのかというとね、《言葉を解さない小児の往生を、信心正因をうたう浄土真宗はどう保証できるのか?》ということが非常に難しい問題だからです。胎児から元服前の少年までまんべんなく問題化しています。これは僧侶である私は、今もしばしば直面する問題でしてね。こういう厳しい現場で僧侶が何を言えるのだろうか。これは今でもきわめて重要な問題です。江戸時代には百年以上、第一級の学者達が論じあっていますよ。その議論を整理したりね。これは勉強になりました。」

*1 四苦
人間のもつ、生苦(生まれること)、老苦(老いていくこと)、病苦(様々な病気があり、痛みや苦しみに悩まされること)、死苦(死ぬことへの恐怖、その先の不安のこと)の4つの根本的な苦悩のこと。



Q2. 犯罪学研究センターの矯正宗教学ユニット内では何を研究されていますか?
「僕が担当したのは、教誨師の活動についてですね。浄土真宗は教誨師の活動を古くからすごく熱心にしています。どういう教えから根拠づけて教誨師の活動が始まり展開してきたのか。そこがまた重要ですが、その点について、ですね、かつて龍大におられた高名な宗学者・大原性実先生が、『教誨百年』という本に、結構、難しい論文を書いておられるんですよ。ホント、これ誰に向けて書かれたんだろうっていうくらい難しい内容です、はっきりいって(笑)。
その論文を、僕が要約して、大原先生の主張を分析して発表したりしましたね。ユニットのメンバー達には興味をもってもらえたと思います。色んな話に派生していって、《江戸時代の教学傾向》とか《悪人観》とか《罪やゆるしをどう考えるのか》とか、メンバー達がそれぞれ詳しいからね。いろんな情報が出てきて、盛り上がりましたね。」


Q3. 各地で法話をされることがあると思いますが、浄土真宗の教えを一般の方に伝える時に意識されていることは何ですか?
「たとえば、龍大の授業で必修教科の《仏教の思想》で教える時は、まず仏教の教えをシンプルな論理で伝えること、そして教えすぎないこと。あとは、その教えを私達の生活に落とし込んで伝えること。この3つを強く意識しています。これはずっと意識してやっています。
一生におそらく一度だけ仏教思想を一年間も学ぶ機会をもった学生たちに、僕はね、情報量を多く与えるよりも、今後の人生で《仏教は決して難しくない。そして今の自分を離れた所にある教えでもない》と印象づけたい。そこを意識してます。特に喩えることは大切だと思ってて、学生たちはそれによって『なるほど確かにこういう時あるな。それをこういう言葉で説いてあるのか』という感覚をもって自分の中に落とし込むことができると思うんです。仏教はそもそも譬喩をたいへんうまく使ってあります。というか宗教はなんでもそうかもしれませんが。
例えば、仏教という宗教の特色でもある《慈悲》という言葉。これはたいへん古くから《親心》で喩えてあります。有名なものに7人の子供の喩えというものがあって、『涅槃経』という古い経典に出てくるんですがね。親は7人子供がいたら7人とも可愛いけれども、その中にたとえば病気の子どもが出てきた時、親はその子しか見えなくなる。その子の痛みを理解し、何とかしてその苦しみを取ってあげなきゃという思いしかなくなる。《慈悲》というのは、そういう心の動き方のことを言います。仏さまの思いは利口で気の利く者ではなく、仏法に背を向け孤独に生きている。そんな者に焦点を結んでいく。これね、健康な6人が可愛くないわけじゃないんですよね。ただ病気の子が心配でたまらないという親心があるだけ。救ってあげたいという思いがあるだけ。――こういう風に教えを説いて学生に説明すると、みんな思い当たる節はありますからね。すると、『ああ、何となくわかる』という感覚になっていくみたいですね。そういう話し方を意識しています。」



Q4. 井上先生の学生時代について教えてください。
「僕は福岡のお寺の長男なんですけれども、お寺を継ぐのがすっごくイヤだったんですよ(笑)。高校までは地元の高校に行ってね。いざ受験を頑張ろう!となった時に龍谷大学の真宗学科しかダメだという話になって、何それ?という感じでしたね。それまで『継がない』ってずっと言っていましたし…。親と大激突ですよ。その時、親に《大学は何をしに行くのか》と繰り返し言われましたね。そして《本当にお寺を継がないつもりなのか》とね。でもね、小さい時からお寺を支えてくださっていた方々がたくさんいて、『お寺の跡継ぎ坊ちゃんや』と可愛がってもらっててね。どうしても頭に浮かぶんですよね。お寺の子は、どうしたってそういう風に育てられてますもん。そんなことをじっくり考えている内に、《やはり僕がやるしかないか》と思いが定まっていき、決意して龍大に入りました。向こうの作戦勝ちだったんじゃないですかね。
ただ入学した後も、全然おもしろくなくてね(笑)。当時の先生たちに申し訳ないですね、あの頃の僕は。教えの内容も理解はできるけど、何となくピンとくるものがなくて、腐りかかってました。でも3年生の時に、もうご退職されましたが、内藤知康先生という先生に出会いましてね。この方のご講義が僕はすごい分かりやすかったんです。いろんな考え方や教えを学ぶ姿勢について、一から教わりました。先生と出会ってなかったら、とっくに実家に帰って、よく味わえもしない教えを、有り難そうなフリだけしていたかもしれませんね。恐ろしいね、本当(笑)」


Q5. 井上先生にとって、研究とは何ですか?
「『親鸞聖人にお会いする道』です。親鸞聖人が何をおっしゃりたかったのか、どういう境地におられたのか、僕はこれからどれだけ味わえるんだろうと思っています。研究していると、ふと親鸞聖人の言葉について、『ああ、これ。こういう意味やったんや』とか『ああ、だからこれ、こういう説かれ方されてるんや』と気付く時があります。まさに点と点が線でつながる、というかね。その時、『親鸞さま、これ、こういう意味だったんですね』って感じで、少し親鸞聖人にお会いした気持ちになるんですよ。研究している時、こういう発見をするのがとても嬉しくて、こんな時は人に言いたくなるね(笑)。だから論文を書いたり、あっちこっちお話しに行くんですかね」



井上 見淳(いのうえ けんじゅん)
本学社会学部・犯罪学研究センター矯正宗教学」ユニット研究員
〈プロフィール〉
本学社会学部・准教授。専門分野は「真宗学」。各地で法話の講演を行っており、2020年1月18日(土)にキャンパスプラザ京都4階にて講師として法話を行う。


2020年2月14日(金)午後6時から午後8時、東京・弁護士会館において、龍谷大学犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニットは「SBS(揺さぶられっ子症候群)仮説をめぐるセミナー」を共催しました。

【イベント概要>>】https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4873.html
主催 日本弁護士連合会
共催 関東弁護士連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会、大阪弁護士会、甲南学園平生記念人文・社会科学研究奨励助成研究「児童虐待事件における冤罪防止のための総合的研究グループ」、龍谷大学犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット


当日は開場早々から多くの来場者が訪れ、最終的には立ち見も含めて168名の参加となりました。複数の報道機関の取材もあり、会場は熱気に包まれていました。

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 日本弁護士連合会副会長・篠塚力弁護士からの開会挨拶に始まり、まずは秋田真志弁護士(大阪弁護士会、SBS検証プロジェクト共同代表、龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員)が、セミナーの趣旨説明を行いました。2020年2月6日、生後1ヶ月の長女を揺さぶり頭部に重傷を負わせたとして傷害罪に問われた事件で、大阪高裁は有罪とした一審判決を破棄し、無罪を言い渡しました。この事件の弁護団であった秋田弁護士は、この女性の「5年は長かった」「誰のための裁判だったのか」という言葉を引用してその苦難の道のりを振り返り、さらに他のケースでも多くの家族がSBSを疑われ苦しんでいることを述べました。そして、このセミナーは「すべての虐待認定が間違っているというつもりはない」ことと併せて、「虐待は許されない」ことを当然の前提としており、その上で「誤った親子分離やえん罪」が引き起こす深刻な事態を防ぐために建設的な議論が必要であり、そのためにはSBS仮説をゼロベースで見直すことが重要であると訴えました。この大阪高裁で逆転無罪となった事件は、秋田弁護士がSBS事件に関わるきっかけとなったもので、そこから秋田弁護士と笹倉香奈教授(甲南大学法学部教授、SBS検証プロジェクト共同代表、龍谷大学犯罪学研究センター客員研究員)の情報交換が始まり、やがてSBS検証プロジェクトの設立に繋がったという経緯があります 。
【関連記事>>】SBS検証プロジェクト 共同代表者インタビュー「日本における揺さぶられっこ症候群問題のこれまでとこれから」

 続いて、昨年10月25日に大阪高裁で逆転無罪判決の出た山内事件 で専門家証人をつとめ、その証言の信用性が高く評価された埜中正博医師(関西医科大学医学部診療教授)が、「医学的に見たSBS問題に関する報告」と題して、乳幼児を揺さぶったとの診断を招く3つの症状(三徴候と呼ばれる硬膜下血腫、脳浮腫、眼底出血)について、画像などを示しながら説明し、虐待と認定するには三徴候は不十分であると指摘しました。
 さらに、川上博之弁護士(大阪弁護士会、SBS検証プロジェクトメンバー)が、国内の無罪事例と裁判の状況に関する報告を行い、SBS事件における最近の検察官の主張の傾向とその問題点を示しました。さらに、山内事件の判決を引きながら、刑事裁判で医師の専門性に疑いが生じる場面(翻って、専門家証人に求められる資質)と、SBS事件では医学的視点以外からの検討、例えば関係者や現場の状況を見ることが特に必要である旨が述べられました。

 パネルディスカッションは、秋田弁護士がコーディネーターとなり、パネラーとして埜中医師、川上弁護士に加えて、日弁連子どもの権利委員会委員長でもある岩佐嘉彦弁護士(大阪弁護士会)が加わることで、福祉の観点を交えた議論が行われ、複数のトピックが扱われました。例えば、医療機関から児童相談所に虐待が通告される場面と、その後に一時保護が決定される場面とで、医師の意見がどのような重みを持つのか、また、親が虐待を認めていない場合には親子分離が長期化する傾向があるが、これに対して取りうる方策はあるのかといった点について、意見が交わされました。さらに、虐待の疑いを通告した医師に対して、通告後にその子どもがどうなったかのフィードバックがないこと、児童相談所が意見を求めることのできる医師が十分に見つからないことなど、それぞれの立場からの悩みが示されました。いずれの立場からも重要とされたのは、虐待があったか否かが明確ではない、いわば「グレー」の場合の取り扱いです。医学的な情報のみでは分からない場面があること、その際に一時保護があったとしても、その後の親子分離が長期に及ばないようなプロセスを用意する必要があること、刑事事件と家事事件では異なる問題があることなどが課題として共有されました。


パネルディスカッションの様子(古川原撮影)

パネルディスカッションの様子(古川原撮影)


 パネルディスカッションに続いて、笹倉教授が諸外国における無罪判決を踏まえながら国外の状況を紹介した上で、セミナーの内容を総括し、福祉の視点からのシステム作りの重要性と、乳児の頭部外傷に関する基礎的なデータや情報を蓄積することの必要性を述べました。また、最近続いたSBS事件での無罪判決は、SBSの三徴候が低位からの落下や隠れた病変などによっても生じることを確認するものであり、そうであるならば従来のようなSBS仮説に基づく画一的な判断は見直されねばならないことが明らかになったと述べました。さらに、親子分離や一時保護も公権力の行使である以上、必要な時に相当な方法や範囲でしか認められないはずであるとして、スウェーデンの2018年の行政最高裁判所の判決を紹介しました。そして、日本において大前提となるのは、誤った虐待診断の一因となっている厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」のSBSに関する記載の見直しであり、それがなされない現状では、SBS仮説による誤った判断により引き裂かれた多くの家族の苦しみは終わらないとも述べました。最後に、秋田弁護士が冒頭で述べた「虐待は許されませんが、冤罪も絶対に許されません」という出発点を参加者と確認し、SBS仮説のゼロベースでの見直しを訴えて閉会となりました。

 本セミナーは、SBS問題について医療、法律、福祉という横断的な検討がなされた点で注目されるものでしたが、登壇者らがこれまで行ってきた議論の方向性が誤っていなかったことを確認した点でも重要であったと思われます。無罪判決が連続したことの意義を冷静に受け止め、立ち止まることなくさらなる検討を進めていくことが求められます。その前提として、刑事裁判になったケースだけでなく、一時保護や親子分離のケースを含めて情報を広く集めることも必要となるでしょう。また、セミナーの資料として配布された、日本におけるSBS/AHT(虐待による頭部損傷)をめぐる裁判例一覧と、2018年以降の海外における関連裁判例の一覧は、非常に有益な情報でした。これらの事例の分析は研究者にとっての課題でもあります。犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニットがそうした面で貢献できるよう、ひき続きSBS問題に取り組んでいきたいと思います。

科学鑑定ユニット長
古川原明子


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