私たちが食料の生産、共有、消費の方法を考え直す時が来ています。農林水産業は適切に機能すれば、すべての人に栄養豊富な食料を提供し、適正な所得を創出しつつ、人間中心の農村開発を支え、環境を守ることができます。
現状を見ると、私たちの土壌や淡水、海洋、森林、そして生物多様性は急激に劣化しています。気候変動は、私たちが依存する資源をさらに圧迫し、干ばつや洪水などの災害に関連するリスクを高めています。農村で暮らす多くの女性と男性は、その土地で生計を立てられなくなり、機会を求めて都市への移住を余儀なくされています。また、食料不安の結果、数百万人の子どもが深刻な栄養不良による発育不全や低身長症に陥っています。
現時点で空腹を抱える8億1,500万人に加え、さらに2050年までに増加が見込まれる20億人に食料を確保するためには、グローバルな食料と農業のシステムを根本的に変える必要があります。農業生産性を高める能力の強化には、農業への投資が欠かせないほか、飢餓の危険の緩和に資する持続可能な食料生産システムも必要です。
本SDGに関連する主な取組実績は以下のとおりです。
全国で川や湖沼の生態系が失われ、漁業協同組合の経営が資源減少や費用高騰で悪化しています。この問題に対し、先端理工学部の山中裕樹准教授は「環境DNA分析」を活用し、生態系の把握と保全を進めています。この技術を活用し「オンライン漁協アプリ」を運営する株式会社フィッシュパスと簡便な調査アプリを共同開発することで、持続可能な自然保護活動を支援しています。
2023年12月2日、16日の2日にわたり、地球規模の気候変動被害など世界各国で喫緊の課題を議論する「龍谷大学学生気候会議」を開催。実行委員会(学生団体OC’s) が気候ネットワーク、京都市総合企画局総合政策室、京都府地球温暖化防止活動推進センターと連携し運営を行い、学部・学年を越えた29名が参加した。本会議で議論された内容をもとに提言書をまとめ、大学に提出する。
農学部の玉井鉄宗講師は、「姉川クラゲ」(イシクラゲ)を持続可能な農業の一環として研究し、地域の食文化再生や収益化を目指しています。このクラゲは、肥料不要で育つ陸棲ラン藻類で、かつて滋賀県で食されていた食材です。2023年度からは食と農の総合研究所にて研究に取り組み、地域の協力を得て栽培試験場を設置し、姉川クラゲの大量生産を試みています。