社会におけるお寺の役割を考えるためのヒントを得ました【社会共生実習】
社会学部の「社会共生実習(お寺の可能性を引き出そう!―社会におけるお寺の役割を考える―」)」(担当教員:猪瀬優理教授、古莊匡義准教授)では、お寺の社会活動に参加しながら、地域におけるお寺の役割と可能性を考えます。
5/17(土)には、斎藤英明さん※(浄土真宗本願寺派 教化部 部長)に、現代社会において浄土真宗本願寺派の置かれている状況、および、さまざまな世代の人びとや地域住民とのつながりづくりに関する取り組みを中心に、「ご縁づくり」に対する本願寺派の考え方や教化部の具体的な取り組みについてご講演いただきました。
ご講演のなかで印象深かったのは、かつて戦時中、宗祖の教えに背き、仏法の名において戦争に協力していった過去の事実があればこそ、また、部落差別をはじめとした差別の現実に加担した事実があればこそ、いのちの尊厳を脅かす問題に対して学び、取りくむ姿勢にあるということと、旧オウム真理教に入信していた将来有望なはずであった若者が発した「お寺は風景でしかなかった」という言葉に対して大変衝撃を受け、そうした若者が二度と出てこないように、地域で必要とされるお寺でありたいという斎藤さんの想いでした。
また、近年では独身の門徒さんに出会いの場を提供する婚活イベントを開催されるなどといった「ご縁づくり」もされていることを教えていただき、驚きました。
講演後は、畑中阿難さん(浄土真宗本願寺派 教化部 事務職員)に、国宝の御影堂(ごえいどう)と阿弥陀堂(あみだどう)、普段は一般公開されていない書院と飛雲閣を特別にご案内いただきました。
阿弥陀堂の廊下では、長年にわたってできた亀裂や穴を修復する際に大工さんの遊び心でひょうたんや鹿などといった可愛い埋木が施されていることを教えていただいたり、書院では、僧侶が書物を読む東狭屋(ひがしさや)の間の天井に描かれている「八方睨みの猫」がネズミから書物を守っているということを教えてくださったりと、それぞれに一目では見落としてしまいそうな面白いポイントをたくさん教えていただきながら拝観することが出来、楽しくも貴重なひと時を過ごさせていただきました。
(本願寺では、「お西さんを知ろう!」と題した境内ツアーが開催されており、“お西のお坊さん”がガイドを務めてくださり、それぞれの視点で本願寺の境内を案内してくださるそうです。ガイドする方によって紹介の仕方もさまざまですので、拝観する際にはぜひ参加してみてください。)
本プロジェクトでは、いくつかの寺院を訪問させていただいたのち、受講生たち自身が地域におけるお寺の役割と可能性を探り、課題解決に向けてさまざまなアプローチをおこないます。今年度の受講生たちがどのようなアプローチを見出すのか楽しみにしたいと思います。
社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。